介護情報メディア ケアケア 一般介護向けコラム 介護サービス・制度 【何ができる?】要介護認定を受けるメリットと介護認定を受けるまでの流れを解説

介護サービス・制度

2023-05-26

【何ができる?】要介護認定を受けるメリットと介護認定を受けるまでの流れを解説

要介護認定を受けることで得られるメリットには、どのようなものがあるのか、疑問に思う方もいるでしょう。

 

介護サービスの利用を検討する際は、要介護認定の制度内容や、申請方法を理解しておくことが大切です。

 

この記事では、要介護認定によって受けられるサービスや、要介護認定の申請方法を解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

要介護認定とは

要介護認定とは、身体機能や判断能力の低下により、介護の度合いを判断して数値化したものです。

それぞれの状態やニーズに合わせて、さまざまな介護支援が受けられます。

以下で、制度の詳しい内容を確認してみましょう。

要支援・要介護の2種類がある

介護認定の制度では、それぞれの心身の状態によって「要支援」と「要介護」の2つのカテゴリーが設けられています。

主に、要支援に分類されるのは、生活動作において必要最低限の内容を1人でおこなえる状態の方です。

要介護に分類されるのは、心身機能の低下によって、1人では生活できず介護が必要な状態の方です。

要支援の方と比較して、身体機能や思考能力の低下が見られます。

全部で8つの区分がある

要介護認定には、全部で8つの区分があります。

それぞれ「自立・要支援1と2・要介護1〜5」の8区分です。日常の生活動作において、サポートを必要としない方は自立に分類されます。

そのため、自立の場合は、原則として介護サービスは利用できません。

要支援・要介護では、機能状態の低下が進むほど、介護度があがります。要支援1より2、要介護1より2の方のほうが、より生活機能が低下した状態です。

介護保険制度が利用可能

要介護認定を受けると、介護保険制度を利用できるようになります。

要支援の場合は「介護予防サービス」、要介護の場合は「介護サービス」が利用可能です。

65歳になると、自宅へ介護保険証が自動で届きますが、それだけでは介護保険サービスは利用できません。

介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。

要介護認定は原則として65歳以上の方が対象ですが、40~64歳でも特定の疾病に該当する場合は、要介護認定の申請が可能です。

要介護認定を受けるメリット

要介護認定を受けると、さまざまな介護サービスを利用できるようになります。

どのようなサービスが受けられるのか、確認してみましょう。

居宅介護サービスが利用可能

居宅介護サービスでは、要支援・要介護の方が、自宅で生活しながらサポートを受けられます。

居宅介護で受けられる主なサービスは、以下のとおりです。

・訪問介護
・通所介護
・ショートステイ
福祉用具

ホームヘルパーによる介護や、デイサービスでの機能訓練などのサービスが受けられます。

施設サービスが利用可能

在宅での暮らしが難しい場合は、施設へ入所して介護を受ける方法もあります。

基本的には、1人での生活が不安な要介護者向けのサービスです。

中でも、特養や老健などの公的施設は、民間の老人ホームと比較して費用が安く、人気が高い傾向があります。

地域密着型サービスが利用可能

地域密着型サービスでは、利用者が住み慣れた町で生活できるように、自治体と事業者が連携してサポートをおこないます。

そのため、利用するサービスは、住民票がある市町村内の事業者が提供するものでなければいけません。

利用できるサービスは、要支援と要介護で異なるほか、各自治体によっても異なります。

地域密着型サービスの利用を検討の際は、地域包括支援センターケアマネージャーに相談してみましょう。

住宅改修費の援助が受けられる

転倒防止やバリアフリー化のための住宅改修をおこなう場合は、修繕費の援助が受けられます。

主な内容は、スロープや手すりの設置、床材の変更、段差の解消などです。

住宅改修の限度額は20万円で、利用者は修繕にかかった費用の1割〜3割を負担します。

改修費の援助を受けるには、事前に手続きが必要です。工事を検討する場合は、あらかじめ地域包括支援センターやケアマネージャーに相談しましょう。

福祉用具レンタル・購入費の支給が受けられる

要介護認定を受けると、福祉用具のレンタル・購入費用の補助が受けられます。

各介護度に設定された、支給限度額の範囲内で利用が可能です。かかった費用の1〜3割を利用者が負担します。

レンタル可能な福祉用具は、車椅子や歩行器、杖、手すりなど、全部で13品目です。

また、身体に直接触れるものや、リサイクルできないものに関しては、購入になるため留意しておきましょう。

福祉用具は、要介護度によって利用できる品目が異なるほか、それぞれの身体に合うものを選択する必要があります。

利用検討の際は、ケアマネージャーや福祉用具専門相談員に相談しましょう。

要介護認定を受けるまでの流れ

原則として65歳以上の方が、介護保険を利用できます。

一方で、介護保険証を所持しているだけでは、介護サービスは利用できません。

事前に要介護の認定を受ける必要があります。

これから、要介護認定を受けるまでの手順を紹介します。

以下で確認してみましょう。

申請に必要なもの

要介護の申請は、各市町村の担当窓口でできます。

申請時に必要なものは、以下のとおりです。

・介護保険保険者
・医療保険証(40〜64歳の方)
・身分証明証
・マイナンバーカード
・申請書
・印鑑(本人以外が申請をおこなう場合)

申請書は、市町村の役所でもらうか、役所のホームページからダウンロードできます。

65歳未満の方は、原則として要介護認定を受けられません。特定の疾病がある方で、要介護申請をする場合は、医療保険証が必要です。

本人による申請が難しい場合は、各市町村の役所へ相談しましょう。

調査内容

要介護申請をすると、認定調査がおこなわれます。

調査の内容は、心身機能や生活機能、適応力、普段の様子などの聴き取りです。

聴き取った情報と、主治医の意見書をもとに、コンピューターによる一次判定がおこなわれます。

一次判定のあとに、調査委員会による二次判定がおこなわれ、介護度が決定されます。

要介護申請から、判定が出るまでの期間はおよそ1か月〜2か月です。

要介護認定の判定基準

要介護度の判定基準は、全国で統一されています。

そこで用いられるのが、介護に必要な手間を時間化(数値化)した「要介護認定等基準時間」です。

あくまで、基準を統一化させるための指標であり、実際に介護やサポートにかかる時間ではないことを覚えておきましょう。

要介護認定を申請する際の注意点

要介護申請をする際に、知っておきたいポイントを紹介します。

以下でそれぞれ確認してみましょう。

認定までに時間がかかる

要介護認定は、各市町村の窓口で申請できます。

一方で、その場で結果が出るわけではありません。

訪問による聴き取り調査のあとに、8段階ある介護度を決定するための審査がおこなわれます。

申請をおこなってから結果が通知されるまでの、一般的な期間は1か月〜2か月ほどです。

介護サービスが必要になりそうな場合は、早めに申請をすると良いでしょう。

認定結果に不服がある場合

判定結果に納得がいかない場合や、実情と違うと感じた場合は、不服申し立てが可能です。

まずは、各市町村の担当窓口に相談してみましょう。判定理由を説明してもらえます。

理由を聞いた上で納得できない場合は、60日以内に申し立ての手続きをおこないましょう。

一方で、不服申し立てにより再度認定調査をおこなったとしても、必ず結果が変わるわけではありません。

また、調査をやり直すため、時間がかかる点にも注意が必要です。

異なる判定を受ける場合がある

要介護認定では、申請する自治体や状況、タイミングなどによって判定結果が異なる場合があります。

もし、現在の介護度と実際の様子にギャップを感じる場合は、区分変更の手続きによる認定調査が可能です。

認定結果を受けたあとで、状態が変化した際におこなう手続きのため、申請期限はありません。

現状の様子と介護度に疑問を感じる場合は、役所の担当窓口へ相談してみましょう。

正確な認定を受けるために

要介護認定では、それぞれの身体状態に合うサービスを受けることが重要です。

そのためには、認定調査で正確な判定を受ける必要があります。

これから、認定調査で正しい判定を受けるためのポイントを紹介します。

以下で確認してみましょう。

認定調査には家族も同伴する

認定調査員による聴き取り調査では、親族や家族が同伴するのが一般的です。

普段の状況を正確に調査してもらうために、適宜情報を伝えましょう。

また、利用者本人を尊重するためにも、調査員への伝え方には配慮が必要です。

できる限り、普段の本人の様子を知っている家族が同伴するようにしましょう。

普段の状況を記録しておく

認定調査の当日は何がおこるかわかりません。

調査員に対して正確な情報を伝えなくてはいけませんが、記憶だけで普段の様子を全て伝えるのは難しいでしょう。

普段できないことを伝えそびれたり、できることをできないと伝えてしまったりすると、正確な判断を受けられなくなります。

適正なサポートを受けるためにも、普段の状況をメモや記録で残しておくようにしましょう。

本人が当日頑張ってしまった場合

認定調査当日は、さまざまな配慮が必要です。

本人が、周りに心配をかけないように、普段以上に頑張ってしまうことも少なくありません。

普段ならできないことをできると言ったり、できないことができてしまったりするケースもあります。

もし、日常と違う言動が見られる場合は、本人を傷つけないように配慮しながら、調査員へ伝えるように心がけましょう。

まとめ:要介護認定を受けると介護サービスが利用可能になる

この記事では、要介護認定を受けるメリットを解説しました。

介護保険証を持っていれば、介護保険サービスを利用できると思いがちですが、介護認定を受けなければ利用できません。

それぞれの心身状態に合うサービスを受けるためにも、普段の様子を正確に調査してもらう必要があります。

介護サービスの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

大岩保英

理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

理学療法士として10年以上の臨床経験あり。一般病院・総合病院の勤務経験を経て、現在は整形外科クリニックに勤務。本業と並行し、ライターとして執筆活動や編集者も行う。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)を取得し、オンラインサロンでお金や投資関連の情報発信・相談業務も行っている。