介護サービス・制度
2023-04-17
【介護保険料の納付はいつから?】保険料支払い開始の年齢や納付額、支払い方法を徹底解説!
国民にはさまざまな義務があり、介護保険料の納付も義務の1つです。
介護保険の存在は知っているものの、納付開始のタイミングや、いつまで納付するのか疑問に思う方もいるでしょう。
また、介護保険サービスには、一定の利用条件があるため、事前に理解しておくことが大切です。
この記事では、介護保険料の徴収が始まる時期や、納付の方法を紹介します。介護保険サービスを利用する方法も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
介護保険料はいつから納めるの?
40歳になると強制的に介護保険に加入し、第2号被保険者になります。
なお、介護保険の加入は義務のため、個人の意思による加入・脱退はできません。40歳を迎えた時点で、介護保険料の徴収が開始されます。
介護保険について、以下で詳しく確認してみましょう。
介護保険とは
介護保険とは、高齢化問題が深刻化する中で、家族の介護負担を軽減するために立案された制度です。介護が必要な方が、それぞれの心身状況に合わせたケアサポートを受けられます。
介護保険を利用するには、要介護(要支援)の認定が必要です。介護保険サービスを利用する場合、それぞれの所得に応じて1〜3割を負担します。
第1号被保険者と第2号被保険者の違い
介護保険の被保険者には「第1号被保険者」と「第2号被保険者」があり、それぞれ年齢によって分けられています。
それぞれの区分は以下のとおりです。
・第1号被保険者:65歳以上の方
・第2号被保険者:40歳〜64歳で医療保険に加入している方
どちらも規定年齢になると自動的に加入されるため、特別な手続きは必要ありません。第1号被保険者と第2号被保険者では、保険料の納付額や納付方法が異なります。
介護保険料は40歳から納付開始
40歳を迎えると自動で第2号被保険者になり、介護保険料の納付が開始されます。
納付開始の正確な時期は「40歳になる誕生日の1日前の月」からです。
例えば、5月1日が誕生日の方は1日前が4月30日なので、4月分から徴収が始まります。5月2日が誕生日の方は、1日前が5月1日なので5月分からの徴収です。
その後は一生涯にわたって納付
介護保険には満了日の概念がないため、保険料の徴収が開始されると、その後は一生涯にわたって納付していきます。
65歳を迎えるタイミングで健康保険料との合算徴収は終了しますが、保険料の徴収が終わるわけではないため、引き続き納付が必要です。
65歳以降も、年金からの天引きによる特別徴収か、口座振替または納付書による普通徴収が継続されます。
介護保険料の納付額
介護保険料は、毎年少しずつ増額傾向にあります。納付額は、それぞれの家庭状況や収入によって変動するため、留意しておきましょう。
第1号被保険者(65歳以上)と、第2号被保険者(40歳〜64歳)では、納付額の算定方法が異なります。
以下で詳しく確認してみましょう。
40歳〜64歳
40歳〜64歳の方は、健康保険料と合わせて介護保険料が徴収されます。
社会保険などの健康保険に加入している場合は、標準報酬月額の等級に応じた金額の納付が必要です。標準報酬月額は、毎年4月〜6月の給与の平均額によって算定されます。
自営業などで国民健康保険に加入している場合は、それぞれの所得や資産の状況から算定された保険料の納付が必要です。
健康保険の場合は、その年の収入によって納付額が算定されます。一方、国民健康保険の場合は、前年の所得に応じて算定される点を覚えておきましょう。
65歳以上
65歳以上の介護保険料の金額は、各自治体によってさまざまです。
それぞれの前年の所得や家庭環境などを元に、自治体ごとの基準で段階分けがおこなわれ、保険料が決定されます。
高齢化率の高い地域や介護サービスの利用者数が多い地域ほど、介護保険料が高くなる傾向です。保険料の詳細を確認したい場合は、各市町村の介護保険窓口に問い合わせてみましょう。
介護保険料が免除されるケース
介護保険料の納付は国民の義務であるため、基本的に徴収は拒否できません。
一方で、生活保護を受給している方や、経済的に生活が困難な方は、減免措置を受けられる場合があります。
その他、介護保険料が免除されるケースは以下のとおりです。
・短期在留の外国人
・海外居住などで日本に住所がない場合
・身体障害者の療養施設など、特定の施設入所者
・自然災害等によって大きな被害を受けた場合など
保険料の納付が難しい場合は、各自治体へ相談してみましょう。
介護保険の納付方法
介護保険料の納付方法は、年齢や状況によって異なります。
一般的には、自動で徴収される場合が多いため、それほど気にする必要はありません。一方で、65歳以上の方は自身で支払いが必要なケースもあります。
それぞれ詳しく確認してみましょう。
40歳〜64歳
40歳〜64歳の方は、健康保険の加入元になっている保険者から、健康保険料と介護保険料を合わせて徴収されます。
社会保険に加入している場合は「健康保険料と介護保険料」を、国民健康保険に加入している場合は「国民健康保険料と介護保険料」を合わせた額です。
65歳以上
65歳以上の場合は「普通徴収」と「特別徴収」の2種類の納付方法があります。
老齢基礎年金や退職年金、遺族年金などの年金を年額18万円以上受給している場合は、特別徴収の対象です。
2か月ごとに介護保険料を差し引いた金額が年金として支給されます。特別徴収の対象者は、基本的に普通徴収を選択できません。
年金受給額が年額18万円未満の方や、繰り下げ受給をしている方、65歳になったばかりの方は、普通徴収による納付が必要です。
普通徴収の場合は、納付書か口座振替によって介護保険料を納付します。
介護保険サービスはいつから利用できる?
40歳になると介護保険料の徴収が開始されます。
しかし、基本的に65歳未満の方は、介護保険サービスを利用できないため注意しましょう。
これから介護保険を利用できる条件を紹介します。
以下で確認してみましょう。
原則65歳から利用可能
原則として、介護保険サービスが利用できるのは、65歳以上(第1号被保険者)の方です。
65歳になると各市町村から介護保険証が郵送されてきます。しかし、介護保険証を受け取っただけでは、介護保険サービスは利用できません。
介護保険サービスを利用するには、要介護(要支援)認定を受ける必要があります。
サービス利用を検討の場合は、要介護(要支援)認定の申請をしましょう。
65歳未満で介護保険を利用するには?
40歳〜64歳の方が介護保険サービスを利用するには、特定の条件に該当していなければなりません。
特定の条件とは、末期がんや関節リウマチなどを含む、16種類の特定疾病に該当する方です。
その他の病気や事故等によって介護が必要になった場合でも、介護保険サービスは利用できないため注意しましょう。
16特定疾病の一覧は、以下のとおりです。
(末期)がん
関節リウマチ
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
後縦靱帯骨化症
骨折を伴う骨粗しょう症
初老期における認知症
進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
脊髄小脳変性症
脊柱管狭窄症
早老症
多系統萎縮症
糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
脳血管疾患
閉塞性動脈硬化症
慢性閉塞性肺疾患
両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
特定疾病に該当する方で、介護保険サービスの利用を希望する場合は、各市町村の介護保険の担当窓口や地域包括支援センターで要介護(要支援)認定の申請をしましょう。
介護保険で利用できるサービス
要介護(要支援)認定を受けている方は、介護保険サービスを利用できます。
さまざまなサービスの中から、自身の心身状況やニーズに合うものを選ぶことが重要です。
介護保険で利用できる代表的なサービスを確認してみましょう。
【介護保険サービス】 | 【主なサービス】 |
---|---|
居宅サービス | 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 通所介護 通所リハビリ ショートステイ 福祉用具貸与・販売 住宅改修費の支給 など |
施設サービス | 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 介護医療院 特定施設入居者生活介護 介護療養型医療施設(※2024年3月末で廃止予定) |
介護予防サービス | 介護予防訪問入浴介護 介護予防訪問看護 介護予防訪問リハビリ 介護予防居宅管理指導 介護予防通所介護 予防福祉用具貸与・販売 住宅改修費の支給 など |
介護保険サービスを利用する際は、ケアマネージャーとよく相談しながら、自身に合うものを検討しましょう。
介護保険サービスの利用手順
これから、介護保険サービスを利用するまでの流れを紹介します。
要介護(要支援)認定を受けなければ、介護保険サービスは利用できないため、はじめに要介護認定が必要です。
以下で詳しく確認してみましょう。
要介護・要支援認定を受ける
要介護(要支援)認定は、各市町村の担当窓口や地域包括支援センターで申請できます。
要介護認定の申請時に必要なものは以下のとおりです。
・申請書:担当窓口受け取り・ホームページからダウンロード
・40〜64歳:健康保険証・国民健康保険証
・65歳以上:介護保険被保険者証
・マイナンバーカード
・印鑑など
各自治体によって必要なものが異なる場合があるため、事前に確認しましょう。その他、調査には主治医の意見書も必要になってくるので、事前にかかりつけの医師に介護認定を申請する旨を伝えておくとスムーズです。
要介護認定調査では、利用者に対して聞き取り調査がおこなわれます。調査の内容は、身体機能・日常生活機能・認知機能・日常生活自立度など74項目の質問事項があり、所要時間は約30分から1時間程度です。
聞き取り調査内容や医師の意見書を元に、コンピューターによる一次判定がおこなわれます。一次判定の結果と医師の意見書などを元に、介護認定審査会が介護度を決定します。
介護度は要支援1・2と要介護1〜5の全7段階です。
介護・介護予防サービス計画書(ケアプラン)の作成
介護サービスを利用する際に、介護・介護予防サービス計画書(ケアプラン)が作成されます。
要支援認定を受けた方の介護予防サービス計画書を作成するのは、地域包括支援センターの保健師や社会福祉士、ケアマネージャーなどです。
要介護認定を受けた方の介護サービス計画書は、居宅介護支援事業所のケアマネージャーが作成します。
利用者本人や家族が納得のいく介護サービスを受けるためにも、信頼できるケアマネージャーを担当に選ぶことが重要です。
サービス利用開始
サービス開始前には、担当者会議という各専門職と本人が事前に援助内容を確認する会議を経て、ケアプランが完成します。ケアプランの作成が完了したら、介護サービスの利用が開始されます。
要介護度ごとに利用できるサービスの内容や頻度は異なり、サービスの組み方もさまざまです。それぞれの介護度に設定されている限度額の範囲で、その方に必要なサービスを利用することができます。
サービス利用中に状況が変化した場合や、新たな困りごとが出てきた場合は、担当ケアマネージャーに相談しましょう。
介護保険料を納付しなかった場合
介護保険料を納付せず滞納が続いた場合は、延滞金が発生するほか、財産の差し押さえや、介護サービスが利用できなくなる可能性があります。
介護保険料を1年以上滞納した後に、介護保険サービスを再度利用する場合、全額自己負担による償還払いから段階を追って給付制限を受けることになるので注意が必要です。
経済的な理由で介護保険料の納付が困難な場合は、各市町村の介護保険窓口に相談しましょう。介護保険料の減免措置を受けられるケースがあります。
まとめ:介護保険料の納付は40歳から
この記事では、介護保険料の納付開始のタイミングや、介護保険サービスの利用条件を紹介しました。
介護保険料は40歳から徴収が開始されますが、原則として介護保険サービスを利用できるのは65歳になってからです。
介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があるため、利用検討の際は各市町村の担当窓口へ相談しましょう。