介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護資格・スキルアップ ケアマネージャーになるには?必要な条件や資格取得までの流れを紹介

介護資格・スキルアップ

2023-02-28

ケアマネージャーになるには?必要な条件や資格取得までの流れを紹介

介護業界にはさまざまな専門職があり、その中の1つがケアマネージャーです。ケアマネージャーに興味があるものの、仕事内容や資格取得までの手順がわからずに悩んでしまう方もいるでしょう。

 

ケアマネージャーになるためには、介護支援専門員の資格を取得しなければなりません。

 

この記事ではケアマネージャーの資格取得に必要な条件や流れを解説します。仕事内容やメリットも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

ケアマネージャーとは

ケアマネージャーの正式名称は「介護支援専門員」です。介護業界において、介護サービス計画書を作成する重要な職種です。厚生労働省のサイトページでは「介護支援専門員(ケアマネジャー)」と表記されています。

ケアマネージャーは介護を必要とする方のニーズを把握し、心身状態に合ったさまざまなサポートをするのが主な役割です。ケアプランの作成や提供サービスの改善などをおこないます。

ケアマネージャーは介護を必要としている本人やその家族、サービスを提供する医療・介護従事者などを繋ぐ重要な存在です。

ケアマネージャーになるには?

ケアマネージャーを目指すには、年に1回おこなわれる介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネージャー試験)に合格し、実務研修の修了が必須です。

ケアマネージャー試験を受験するには、指定の業務で5年以上(かつ900日以上)携わる必要があります。指定業務は主に2種類あり、それぞれ以下のとおりです。

・規定の国家資格に基づく業務
・相談援助に関する業務

それぞれ詳しく確認してみましょう。

国家資格に基づく業務

国家資格に基づく業務に該当する資格は以下のとおりです。

国家資格医師・歯科医師・薬剤師・助産師・社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・保健師・理学療法士・作業療法士・看護師・准看護師・言語聴覚士・歯科衛生士・管理栄養士(栄養士)・視能訓練士・あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師・義肢装具士・柔道整復師

ケアマネージャー試験の受験を検討している方は、規定の国家資格を所持しているか確認してみましょう。

相談援助に関する業務

相談援助に関する業務に該当する職種とそれぞれの施設は以下のとおりです。

【該当職種】【相談援助業務】
生活相談員特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入居者介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護・介護老人福祉施設
支援相談員介護老人保健施設
相談支援専門員障害児相談支援・計画相談支援
主任相談支援員生活困窮者自立相談支援事業

施設や業務内容によって「相談援助業務」として認められない場合があるため、不安な方は各都道府県の担当窓口に確認しましょう。

資格取得までにかかる期間

無資格、未経験の方がケアマネージャーを目指す場合は最短で8年かかります。

例えば、介護福祉士の資格取得後にケアマネージャーを取得する場合、介護福祉士の受験資格として3年の実務経験が必要です。

介護福祉士取得までの3年間は、ケアマネージャー試験資格の条件にある「実務経験5年」には含まれません。そのため、無資格・未経験でケアマネージャーになるには、介護福祉士取得にかかる3年と、介護福祉士としての実務経験5年で最低でも8年必要になる計算です。

ケアマネージャーになるには、数年単位の長い期間が必要なため、早い段階から資格取得の計画を立てておくとよいでしょう。

ケアマネージャー資格試験

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネージャー試験)は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターによって毎年10月に開催されます。

試験は各都道府県で開催されていますが、原則として受験地は選択できません。介護従事者の場合は勤務地の都道府県、それ以外の方は居住されている都道府県での受験になります。試験は年に1度、開催されます。

ケアマネージャー試験について以下で詳しく確認してみましょう。

ケアマネージャーの試験内容

ケアマネージャー試験は主に5つの選択肢から正解を複数回答するマークシート方式が採用されています。問題数は全部で60問です。(※試験時間は120分)

出題分野と問題数を以下で確認してみましょう。

出題分野内容問題数
介護支援・介護保険制度の基礎知識
・要介護認定等の基礎知識
・居宅、施設サービス計画の基礎知識など
・25問
保健医療福祉サービス・保健医療サービスの知識
・福祉サービスの知識など
・20問
・15問
計60問

(※1問1点/60点満点)

合格の基準点は正答率70%前後です。試験に合格するには介護支援分野・保健医療福祉サービス分野、それぞれで基準点をクリアする必要があります。

どちらか一方が基準点をクリアしていない場合は不合格になるため、偏らないような学習を心がけましょう。

ケアマネージャー試験の合格率

ケアマネージャー試験の合格点は年度ごとに変わります。これまでの傾向を確認してみましょう。

近年のケアマネ試験の合格点・合格率は以下のとおりです。

開催年介護支援分野(25問)保健医療福祉サービス分野(35問)合格率
令和2年度13点22点19.5%
令和3年度14点25点17.7%
令和4年度18点25点23.3%

試験の難易度や結果によって変動しています。

それぞれの分野で7割以上とれるような学習を意識して取り組みましょう。

受験に必要な日数の数え方

実務経験として換算できるのは、ケアマネージャー試験の前日までの業務日数です。試験申し込みをした時点で業務日数が不足している場合は、実務経験見込証明書を提出しましょう。

ケアマネージャーの受験資格は2018年に変更がありました。今後も変更の可能性があるため、受験を検討している方は早めの準備・確認をおこないましょう。

ケアマネージャーの資格取得の流れ

ケアマネージャーになるまでのスケジュールを見ていきましょう。

ケアマネージャー試験

ケアマネージャー試験は毎年10月に開催されており、例年のスケジュールは以下のとおりです。

【時期】【内容】
4~5月受験の詳細発表・受験申込書類の取り寄せ
6~7月受験申込書類の手続き
9月頃受験票発送
10月ケアマネージャー試験
12月合格発表
翌年試験合格後に実務研修

試験は年に1度しか開催されないため、機会を逃してしまわないように早めにスケジュールを把握しておきましょう。

各種詳細の公表時期や手続きの期間は都道府県ごとに異なります。受験会場となる都道府県の社会福祉振興・試験センターのページで確認しましょう。

介護支援専門員試験・実施案内ページ

試験合格後の実務研修

ケアマネージャー試験に合格した後は、介護支援専門員実務研修を受講します。試験合格のみではケアマネージャーになれないため注意しましょう。

研修では、ケアマネージャーに必要なさまざまな知識を87時間かけて学びます。研修内容は以下のとおりです。

科目内容研修(時間)
介護保険制度の理念・現状及びケアマネジメント3
ケアマネジメントに係る法令等の理解2
地域包括ケアシステム及び社会資源3
ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の意義3
人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理2
実習オリエンテーション1
自立支援のためのケアマネジメントの基本6
相談援助の専門職としての基本姿勢及び相談援助技術の基礎4
利用者、多くの種類の専門職等への説明及び合意2
介護支援専門員に求められるマネジメント(チームマネジメント)2
ケアマネジメントに必要な基礎知識及び技術19
実習振り返り3
ケアマネジメントの展開28
アセスメント、居宅サービス計画等作成の総合演習5
研修全体を振り返っての意見交換、講評及びネットワーク作り2
ケアマネジメントの基礎技術に関する実習2
合計87

実務研修のスケジュールや定員は実施団体によって異なるため、それぞれの担当窓口へ事前に確認をしましょう。

資格取得後は5年ごとに更新が必要

研修を修了すると、研修修了書が発行されます。3か月以内に住所のある都道府県へ登録申請をしましょう。

すぐにケアマネージャーとして仕事をする場合は、登録申請時に介護支援専門員証の交付申請をおこないます。

ケアマネージャー資格取得後は5年ごとの更新手続きと研修が必要です。ケアマネージャーとしての実務経験の有無によって研修内容は異なります。

ケアマネージャーの主な仕事内容

ケアマネージャーの主な仕事内容は以下のとおりです。

要支援要介護認定に関わる業務
・ケアプラン作成
・給付管理

介護が必要な方や介護について悩んでいる方の相談に乗ったり、他職種との連携を図ったりするのもケアマネージャーの重要な役割です。

それぞれの仕事内容を以下で確認してみましょう。

要介護認定に関わる業務

支援が必要な方が介護保険を利用してサポートを受けるためには、要介護認定が必要です。

ケアマネージャーは、サービス利用者やその家族に代わって要介護認定調査の申請・更新の手続きをおこなう場合があります。

介護保険には有効期限があるため更新手続きが必要です。ケアマネージャーは手続きや管理が難しい方のサポートもおこないます。

ケアプラン作成

介護・介助が必要な方が介護サービスを受けるにはケアプランが必要です。ケアマネージャーは支援が必要な方に対してケアプランを作成します。

ケアプランは、サービスを利用する本人・家族の生活がより豊かになるように配慮された内容で、それぞれの希望やニーズに合ったケアプランを作成します。

ケアプラン作成後はサービスが適切におこなわれているか、目標に向かって進めているかなどの定期的な確認が必要です。

本人や家族との希望にズレがある場合や、思ったような効果が見られない場合には必要に応じてプラン内容の調整をおこないます。

給付管理

介護保険サービスでは介護給付費の管理が必要です。給付管理はケアマネージャーの仕事の一つです。

介護保険サービスを利用する際、設定された区分基準限度額を超えないようにケアマネージャーがサービス内容の調整をおこないます。

給付管理業務でケアマネージャーが作成する書類は以下のとおりです。

・サービス利用票・サービス利用票別表
・サービス提供票・サービス提供票別表
・給付管理票

介護サービスの利用者に対して「サービス利用票」、サービスを提供する事業者には「サービス提供票」を毎月作成します。

ケアマネージャーは、作成した書類をもとにサービスの内容に間違いがないか確認しなければなりません。

確認後、毎月10日までに給付管理票を作成し各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)に対して介護給付の請求をおこないます。

ケアマネージャーになるメリット

ケアマネージャーになるメリットは、キャリアアップに繋がることです。

ケアマネージャーはより専門的な知識が求められるため、その他の介護職と比較して給与が高い傾向にあります。

ケアマネージャーとその他の資格での平均給与額を確認してみましょう。

資格平均給与額(円)
ケアマネージャー362,290
社会福祉士363,480
介護福祉士328,720
実務者研修307,330
介護職員初任者研修300,510
資格なし271,260

※令和3年のデータ
(出典:厚生労働省「介護職員の平均給与額等」)

資格取得によって給与アップが期待できるほか、ケアマネージャーとしてのキャリアは転職の際も有利です。

まとめ:ケアマネージャーを目指すなら早めのプラン設計が大事

この記事では、ケアマネージャーになるまでの流れや仕事内容を紹介しました。ケアマネージャーになるには、実務経験・試験合格・実務研修と大変ではありますが、資格を取得できた場合は自身の財産になります。

ケアマネージャーの資格を得るには長い年月を必要とするため、早めのプラン設計と計画的な学習を心がけるとよいでしょう。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。