介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護業界の給料と年収 ケアマネージャーの年収はどれくらい?勤続年数でどう変わる?収入アップの方法、将来性など詳しく紹介!

介護業界の給料と年収

2023-03-02

ケアマネージャーの年収はどれくらい?勤続年数でどう変わる?収入アップの方法、将来性など詳しく紹介!

最適なケアプランの作成や、介護サービス事業者との連絡・調整、利用者とその家族からの相談対応など、さまざまな業務を担当するケアマネージャー(介護支援専門員)。

 

今後、さらに高齢化が進む日本において、非常に重要な役割(仕事)ですが、年収について気になる方も多いのではないでしょうか?

 

今回はケアマネージャーの年収について紹介します。また、他職種や勤続年数などから比較し、解説しています。さらに、ケアマネージャーの年収を増やす方法についても紹介しているため、これからケアマネージャーを目指す方はぜひ参考にしてください。

ケアマネージャーの年収はどれくらい?

介護職がスキルアップ・キャリアアップとして目指すケースが多いケアマネージャー。ここではケアマネージャーの年収について見ていきましょう。

ケアマネージャーの平均年収

まずケアマネージャーの平均年収について、厚生労働省がおこなった「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を元に、常勤・非常勤別にケアマネージャーの基本給、手当などの平均額をまとめました。

(万円)平均給与額平均基本給額平均手当額平均一時金額
常勤35.322.07.85.4
非常勤22.717.23.22.2

気になるボーナスですが、令和3年度の「賃金構造基本統計調査」によると、常勤ケアマネージャーのボーナス(平均額)は64万8,500円となっています。

ここから年収を計算すると月収35万3,560円×12ヶ月+ボーナス64万8,500円で、ケアマネージャーの平均年収は約490万円という計算になります。

ちなみに令和3年度の日本人の平均年収は約443万円となっています(国税庁調べ)。つまり常勤のケアマネージャーの平均年収は、日本人の平均年収を上回っていることがわかります。

「給与が安い」というイメージがある福祉職の中でも、ケアマネージャーは安定した収入が見込めるといえるでしょう。

続いては福祉分野の他職種と給与額を比較してみましょう。

他職種との平均給与の比較

ケアマネージャーと他職種との平均給与の比較

職種平均給与(万円)
ケアマネージャー36.2
介護福祉士32.8
介護福祉士実務者研修30.7
介護職員初任者研修30.0
社会福祉士36.3
無資格者27.1

統計局「賃金構造基本統計調査」から、ケアマネージャーは福祉系の他職種よりも給料が高いことがわかります。例えば介護職員(無資格)と比較すると約9万円/月、国家資格である介護福祉士と比較しても約4万円/月以上、平均給与が高くなっています。

ケアマネージャーの年収が高い理由

ケアマネージャーの年収が他職種より高い主な理由は3つあります。

1.専門性の高い業務に対応するから

ケアマネージャーのみが対応できる業務として、以下のものが挙げられます。

介護サービスの利用や頻度、方針などを記載した計画書「ケアプラン」の作成
要介護認定の申請代行
・施設入所などの支援
利用者さんとその家族、他のサービス提供者との連絡・調整
介護保険サービスの給付管理

これらの業務をおこなうには、専門的な知識が欠かせません。そのスキルが資格として認められていることから、高い給与設定となっています。

2.資格手当がつくから

資格手当がつくと、それだけ給与も上がります。ケアマネージャーの資格手当額は勤務先や地域によって違いがありますが、相場は15,000円前後といわれています。

他の資格手当の相場は以下の通りです。
介護職員初任者研修:3,000円前後
介護福祉士実務者研修:5,000円前後
・介護福祉士:10,000円前後

これらの資格手当と比較しても高いことがわかります。

3.役職に就くことが多いから

高い専門性を持ち、介護の現場にも詳しいケアマネージャーは、管理者やリーダーなどの役職に就くことも少なくありません。役職に就けば役職手当をもらえるため、結果的に給与アップにつながります。

ここまではケアマネージャーの平均年収について紹介しました。次からは、同じケアマネージャーでも、条件の違いによる給与の差について見ていきましょう。

厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2022年7月13日)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03kekka.pdf

ケアマネージャーの年収、条件によってこれだけ違う!

ここでは「勤続年数」「勤務先の形態」「男女別」の3つの条件を設定し、ケアマネージャーの年収がどれくらい違うのかを見ていきます。

条件その1:勤続年数

「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、ケアマネージャーの勤続年数と年齢別の平均年収は下記の表の通りになっています。

年齢・勤続年数別のケアマネージャー平均年収(万円)
0年1~4年5~9年10~14年15年以上
20~24歳309.4261.6
25~29歳257.8341.1266.1
30~34歳348.8369.5365.2380.5
35~39歳315.4363.2400.5401.5424.1
40~44歳351.2405.0368.5442.0424.1
45~49歳321.8359.2394.0395.9468.2
50~54歳324.5367.0385.3394.4448.8
55~59歳282.6336.2409.6376.6447.1
60~64歳367.9319.1366.7322.5404.4
65~69歳329.7364.2256.6298.2348.5
70歳以上287.2294.4328.5222.1305.4

上記の表を見ると、45~49歳(勤続年数15年以上)が468.2万円と一番年収が高くなっています。ケアマネージャーは勤続年数が長いほど年収は高くなる傾向です。

条件その2:勤務先の形態

続いては、勤務先の形態によってケアマネージャーの年収はどう変わるのか、見ていきましょう。「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、ケアマネージャーの施設形態ごとの平均給与は以下の通りです。

施設別のケアマネージャー平均月収
施設平均月収(万円)
介護老人福祉施設41.0
介護老人保健施設38.4
介護医療院36.8
訪問介護事業所33.3
通所介護事業所31.7
通所リハビリテーション事業所36.3
特定施設入居者生活介護事業所37.0
小規模多機能型居宅介護事業所34.7
認知症対応型共同生活介護事業所35.3

ケアマネージャーの平均月収が最も高いのは、介護老人福祉施設で月収約41万円、介護老人保健施設の約38万円、特定施設入居者生活介護事業所の約37万円と続きます。

全体的に見ていくと、施設に勤務するケアマネージャーの方が、居宅介護支援事業所に勤務するケアマネージャーより、月収が高いことがわかります。

条件その3:年齢・男女別

続いては年齢・男女別でケアマネージャーの年収を比較します。

年齢・男女別のケアマネージャー平均月収

年齢男性女性
20~24歳201.0230.0
25~29歳236.8288.5
30~34歳269.0241.3
35~39歳298.3250.7
40~44歳305.7270.9
45~49歳301.0267.3
50~54歳289.3279.4
55~59歳296.2276.1
60~64歳232.4261.9
65~69歳333.6251.9
70歳~190.0238.8

※「きまって支給する現金給与額」を記載

男性ケアマネージャーは40代前半に給与額のピークを迎え、以降はゆるやかに下がっています。一方、女性ケアマネージャーは20代後半で給与額のピークを迎え、30代で大きく下がるものの、40代から少しずつ改善が見られます。

では、今後ケアマネージャーが、年収をアップさせていくにはどうすればよいのでしょうか。次は、ケアマネージャーが年収アップする方法をご紹介します。

ケアマネージャーが年収アップする方法

ここからは、ケアマネージャーが年収アップするための方法について紹介します。

年収アップ法① 施設ケアマネージャーになる

ケアマネージャーとして施設に勤務し、介護業務を兼任すれば、夜勤・早出・遅番などの手当が上乗せされます。さらに、職場によっては「介護職員等特定処遇改善加算」による収入アップも期待できるでしょう。

しかし、施設によっては人員基準配置として、ケアマネージャーを「専従1名配置」すると定められています。

そのため、専従のケアマネージャーがいない場合は、自身が専従することとなり、介護職との兼務はできません。

年収アップ法② 主任ケアマネージャー資格を取得する

新人を含む地域のケアマネージャーの支援・指導・育成・相談対応などを担当するのが「主任ケアマネージャー」です。

主任ケアマネージャーになれば資格手当が給与にプラスされます。金額は施設・事業所によって異なりますが、1~2万円程度の施設が多く見られます。

主任ケアマネージャーになるには資格を取得しなければなりませんが、試験はなく研修を修了すれば取得可能です。

ただし、研修を受けるには、専任のケアマネージャーとして5年以上の実務経験が必要になります。

年収アップ法③ 勤務先で役職に就く

勤務している施設・事業所で管理職に就けば、役職手当が給与に追加されます。さらに経験と実績を積めば、基本給アップも期待できるでしょう。

年収アップ法④ 転職する

居宅介護支援事業所より施設ケアマネージャーの方が、給与が高い傾向があります。

施設に転職する方法もありますが、業務内容や担当する利用者数が異なり、施設ケアマネージャーは介護業務を兼務する可能性もあります。どういったスタイルで働きたいのかを考えた上で決めるとよいでしょう。

もし現在勤務中の施設・事業所で手当が充実していなかったり、昇給が見込めなかったりする場合は、転職を検討してみてはいかがでしょうか。

ケアマネージャーの年収、将来はどうなる?

今後、ケアマネージャーの年収はどうなっていくのか、将来性や国の方針なども含めて考察していきましょう。

ケアマネージャーの重要性は年々高まっている

少子高齢化が止まらない日本では、介護サービスと利用者・家族の間をつなぐケアマネージャーの需要が、今後さらに高まると考えられます。

また、ケアマネージャー自身の高齢化も進んでいます。令和3年度に実施された、介護労働実態調査の結果を見ると、居宅ケアマネージャーは60歳以上が25.1%、55歳以上60歳未満が16.3%となっています。

20~30代のケアマネージャーが少ないことがわかります。この状況は今後さらに加速すると思われるため、これからケアマネージャーを目指す若手は非常に貴重な人材といってよいでしょう。

処遇改善

2019年、日本は「介護職員等特定処遇改善加算」を新たに創設しました。この試みにより、介護職員以外の職種にも加算による手当がつくようになったのです。

今後も、ケアマネージャーを含む、処遇改善が進むのではないかと見られています。

さらなる改善の見込みも

2021年5月、日本介護支援専門員協会の柴口里則会長が、ケアマネージャーのさらなる処遇改善について言及。将来的にケアマネージャーの年収500万円を確保できるよう待遇改善を進めていくと明言しています。

この改善案がすぐに実現するかどうかは難しいところですが、こういった取り組みがおこなわれていることからも、ケアマネージャーの人材不足を改善したいと考えられていることがわかります。

まとめ

ケアマネージャーは介護職全体の中でも、年収が高い職種です。スキルアップやキャリアアップとしてケアマネージャーの資格を取得したいと考える方も多いでしょう。

働く場所や主任ケアマネージャーの資格取得により、さらに、基本給や手当がつく場合もあります。

また、処遇改善の内容から国がケアマネージャーの確保・活躍に大きな期待をかけていることも明らかでしょう。今後、さらなる年収アップも期待できるため、ケアマネージャーを目指してみてはいかがでしょうか?

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。