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2023-03-07

ケアマネージャーの実務研修は必要?内容や費用・受講資格を解説!

ケアマネージャーの資格を取得するには、介護支援専門員実務研修受講試験と実務研修(介護支援専門員実務研修)に合格する必要があります。

 

そのため、ケアマネージャーの実務研修の受講内容や研修に必要な時間がどれくらい必要なのか、疑問に思っている方もいるでしょう。

 

ケアマネージャーとしての専門性を身に付けるために、実務研修は必要不可欠です。

 

今回は、介護支援専門員実務研修の詳しい内容や必要な時間・費用について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ケアマネージャーの実務研修とは

ケアマネージャーの実務研修の正式名称は「介護支援専門員実務研修」といい、職務に必要な専門知識と技能を身に付けるために必須の研修です。

ケアマネージャーの資格は「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し「介護支援専門員実務研修」を受講した人が取得できます。

その後、都道府県に申請後、介護支援専門員証が交付されて、はじめてケアマネージャーとして働けます。

介護支援専門員実務研修の総時間は87時間あり、普段の仕事をおこないながら受講しなければならないため、負担に感じる方も少なくありません。

しかし、社会的にも専門的な知識や技術・各職種や事業所のマネジメントスキルが求められています。要介護者に質の高い介護サービスを提供するためにも、介護支援専門員実務研修は必要不可欠です。

ケアマネージャーの研修内容

介護支援専門員の実務研修は、講義と演習で構成されています。2015年以前は、介護支援専門員実務研修は44時間でした。

2016年からは、任意研修だった実務従事者基礎研修の33時間と統合され、87時間に増えています。

具体的な研修内容は、以下の表にまとめています。

研修科目時間
講義ケアマネジメントによる法令の理解2
地域包括ケアシステム及び社会資源3
ケアマネジメントに必要な医療との連携及び他職種協働の意義3
人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理2
ケアマネジメントのプロセス2
介護保険制度の理念・現状及びケアマネジメント3
実習オリエンテーション1
16
研修科目時間
講義・演習自立支援のためのケアマネジメントの基本6
利用者、多くの職種の専門職等への説明及び合意2
介護支援専門員に求められるマネジメント(チームマネジメント)2
ケアマネジメントに必要な基礎知識及び技術22
相談援助の専門職として基本姿勢及び相談援助技術の基礎4
実習振り返り3
ケアマネジメントの展開35
アセスメント、居宅サービス計画等作成の総合演習5
研修全体を振り返っての意見交換、講評及びネットワーク作り2
81
合計97

(参考:ケアマネジャーの研修制度について|厚生労働省

介護支援専門員実務研修は、通常は前期と後期に分けて実施します。詳しい日程は都道府県によって異なるため確認しておきましょう。

また、実務研修で学習した知識と技術を確かめるため、各研修終了後には修了評価が実施されます。

スケジュール

介護支援専門員実務研修試験の合格後の流れは次のとおりです。

介護支援専門員実務研修の受講
研修終了証明書の交付
都道府県へ登録
介護支援専門員証の交付

介護支援専門員実務研修試験の終了後、実務研修の日程が発表されます。研修修了後、都道府県に申請し「介護支援専門員資格登録簿」に登録されます。

その後、介護支援専門員証の交付を都道府県知事に申請が必要です。ケアマネージャーは、介護支援専門員症を携帯しておかなければ業務がおこなえないため、忘れずに申請しておきましょう。

更新時の研修はどんなもの?

ケアマネージャーは5年ごとに更新があり、更新研修を受けなければなりません。

更新研修は、ケアマネージャーとして6か月以上就業した方を対象に、56時間の「専門研修課程Ⅰ」があります。

ケアマネジメントに必要な医療との連携と協働の実践」や「ケアマネジメントの演習」が新しくなり、講義と演習中心の研修です。

3年以上実務経験のある方は、32時間の「専門研修課程Ⅱ」を受講し、専門知識と技能の習得ができます。

専門研修課程Ⅱでも、ケアマネジメントにおける実践事例の研修及び発表など、専門的な知識や技能を身に付けます。

更新研修は、期限までに受ける必要があり、期限が過ぎてしまうと資格が失効してしまいます。そのため、ケアマネージャーの業務がおこなえなくなる場合もあるため、必ず更新しておきましょう。

ただし、その場合でも、再研修を受ければ介護支援専門員証の再交付が受けられます。(※試験は不要)

さらに上位研修もおこなわれている

ケアマネージャーとして実務経験が5年以上で、専門研修課程を修了した方は「主任介護支援専門員」の研修を受講可能です。

主任介護支援専門員は、ケアマネージャーの上位資格で、ケアマネージャーの統括や個別指導・育成などを担います。

主任介護支援専門員研修は、主任介護支援専門員の役割や実践、介護支援専門員に対する指導や支援を70時間かけて学びます。

研修期間は約12日です。研修場所や日程は都道府県によって異なるため、確認しておきましょう。

また、主任介護支援専門員にも更新研修があり、有効期限までに46時間の受講が必要です。

研修費用はどれくらい?

介護支援専門員実務研修にかかる費用は、都道府県によって異なります。4~6万円程度の地域が多く、2020年の全国平均では約57,000円です。

また、更新研修である「研修課程Ⅰ」では約34,000円、「研修課程Ⅱ」で約24,000円必要になると考えておきましょう。

ケアマネージャーの業務内容は?

ケアマネージャーの業務内容は次の5点です。

・介護サービスの提案
・介護サービス計画書(ケアプラン)の作成
・介護サービスの調整
・家族や要介護者の介護相談
・要介護申請の代行

ケアマネージャーは、介護認定を受けた本人や家族がはじめて相談する相手になることが多い職種です。要介護者の話をじっくり聞いて信頼関係を築けるようにしましょう。

具体的な業務内容

ケアマネージャーの主な業務は、要介護者のニーズに合ったケアプラン(介護サービス計画書)を立てることです。必要なサービス内容や利用頻度などを個別に検討し、ケアプランを作成します。

要介護者の体調変化などで、ケアプラン通りのサービスが提供できない場合は、サービス担当者会議をし、目標や内容を修正します。

また、ケアマネージャーは市区町村から委託されて、要介護認定の認定調査をすることもあり、幅広い業務をおこなえる職種です。

ケアマネージャーが働く場所

ケアマネージャーは、介護保険事業所として指定されている、居宅介護支援事業所や介護保険施設で働いています。

介護保険施設は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設・地域包括支援センターなどです。

ケアマネージャーの待遇

ケアマネージャーは、平日の昼間に働くことが多く、夜勤をすることはありません。しかし、介護相談を受けるときは、家族の都合に合わせなければならず、夜間や休日に対応することもあるでしょう。

電話対応などが必要なケースもあることから、シフト制を導入している事業所も多くみられます。

年収はどれくらい?

ケアマネージャーの年収は、300~400万円の事業所が多く、全国平均でも約409万円、月収にして約23万円です。

ケアマネージャーの資格を取得するには

ケアマネージャーの資格を取得するまでのポイントは以下の4点です。

・受験資格
・受験までの流れ
・必要書類
・合格率と難易度

次から順番に解説していきます。

受験資格

介護支援専門員実務経験受講試験を受けるためには、受験資格が必要です。受験資格とは、指定業務を5年以上かつ900日以上の実務経験があることです。

指定業務とは、医師・看護師・社会福祉士介護福祉士・生活相談員などが該当します。

受験までの流れ

介護支援専門員実務経験受講試験は、6~8月頃に受験申し込みが開始され、受験票が9月中旬には発送。試験日は10月、合格発表は12月です。

合格発表が出ると、介護支援専門員実務研修の日程が発表され、翌年には実務研修が開始します。

実務研修が修了すれば、都道府県に登録・介護支援専門員証が交付され、ケアマネージャーとして働くことが可能です。

必要書類

介護支援専門員実務経験受講試験を受ける際に必要な「受験要項」は、5月頃から都道府県から取り寄せが可能になります。

試験に必要な書類は次の4点です。
・受験申込書
・受験料の払い込み受領書
・証明写真
・実務経験証明書または、実務経験見込証明書

ケアマネージャーは民間資格です。都道府県によって手続き期間や申し込み方法に違いがあるため確認しておくとよいでしょう。

合格率と難易度はどれくらい?

介護支援専門員実務研修受講試験は、だいたい70%の正答率が合格基準となっています。しかし、合格ラインは毎年の難易度によって調整されます。

次の表は、令和4年のケアマネージャーと、ほかの福祉資格の合格率と比較しています。

資格受験者合格者合格率
介護支援専門員54,406人10,328人19.0%
介護福祉士83,082人60,099人72.3%
社会福祉士34,563人10,742人31.1%

(参考:厚生労働省)

上記の表からでもわかるように、ほかの福祉資格と比較しても合格率は低く、難易度は高めです。

まとめ:ケアマネージャーは実務研修を終了してはじめて仕事ができる

この記事では、ケアマネージャーの実務研修について解説しました。「介護支援専門員実務研修」は、ケアマネージャーの試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格しなければいけません。

実務研修は、講義と演習を含む87時間受講し、ケアプランの作成方法や専門知識を習得します。受講期間や費用は都道府県によって異なるため、確認が必要です。

ケアマネージャーの資格を取得するためには、介護福祉士などの資格を保有し、5年以上かつ900日以上の実務経験がなければ受験できません。

ケアマネージャーの資格取得と維持に時間がかかりますが、資格を保有することで、主任介護支援専門員へキャリアアップや転職が有利になるため、目指してみてはいかがでしょうか。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。