介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護資格・スキルアップ 介護福祉士の受験資格とは?資格取得のメリットや受験方法を解説します!

介護資格・スキルアップ

2023-03-09

介護福祉士の受験資格とは?資格取得のメリットや受験方法を解説します!

介護の専門職として介護福祉士の資格を取得したいと考えることはありませんか。しかし「受験の申し込み方法や受験資格が分からない……」と受験を迷っている方もいるでしょう。

 

介護福祉士は国家資格であり、介護の専門性が高い資格です。専門知識と技術を生かして、要介護者に最適な介護サービスが提供できる、やりがいのある仕事です。

 

この記事では、介護福祉士国家試験の受験資格や申し込み方法・介護福祉士資格を保有するメリットについて解説しています。

 

介護福祉士の資格があれば、資格手当で収入が増える可能性もあります。また、自身のスキルアップにもつながるでしょう。

介護福祉士の受験資格

介護福祉士は、身体的・精神的な理由により、日常生活を営むことに支障がある方に対して、専門的な知識と技術を使って状況に応じた援助(痰の吸引等を含む)をおこないます。

また、介護福祉士は要介護者と家族に対して、相談・指導をすることも可能です。

介護福祉士として働くためには、介護福祉士の試験に合格し登録しなければなりません。
介護福祉士国家試験は、介護福祉士に必要な知識と技術を評価する全国共通の試験です。

介護福祉士の資格を取得するルートは、次の3つです。
・養成施設などを卒業
・福祉系専門学校卒業
・実務経験を経て受験

社会福祉士及び社会福祉士法の改正により、平成29年度から「養成施設ルート」が、介護福祉士国家試験の受験資格となりました。

養成施設とは、介護福祉士の資格を取得するための施設です。介護福祉士養成施設を卒業した方は、実技試験免除で試験を受けられます。

特例高等学校など、福祉系学校卒業者は、9か月以上介護の実務経験がある方が受験できます。

また、3年以上の実務経験と実務者研修を修了して受験する「実務経験ルート」もあります。次から、実務経験に当たる時間や該当する職種について、詳しく解説していきます。

実務年数

介護福祉士の受験資格は、実務経験を3年以上従事し、実務者研修を修了した方です。実務経験とされる期間は、次のとおりです。

実務年数3年(1095日)以上かつ従事日数540日以上と実務者研修
実務経験3年(1095日)以上かつ従事日数540日以上+介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修

実務経験3年以上でも、実務者研修を修了しなければ、介護福祉士国家試験を受験できません。実務者研修を修了した方は、法令により実技試験は免除されます。また、免除回数に制限はありません。

介護職員基礎研修とは、講義・演習360時間と施設等における実習140時間の合計500時間を履修します。

それぞれの研修を修了した方は、受験申込時に「原本証明」した証明書を受験申込書に添付する必要があります。

実務経験は、パートや事業所を掛け持ちしている方でも受験できます。介護福祉士は、学歴・年齢・性別など問わず受験可能です。

従事時間の計算の仕方

実務経験の従業期間は、対象となる事業所と職種で決まります。従事日数は、雇用契約に基づき、産休や育休・病気休暇などの休職期間も含まれます。

ただし、有給や特別研修などで、実際に介護に従事していない日数は計算されません。

複数の事業所を掛け持ちし、同じ日に介護業務をした場合は、従業期間・従事日数として扱われます。その場合、1日の勤務時間は問われません。

介護福祉士国家試験の受験を申し込むときに、実務経験が満たされていない場合でも、試験実施年度の3月31日までに従業期間1095日を満たしていれば「実務経験見込み」として受験可能です。

受験資格となる職種

実務経験となる職種は、介護員や訪問介護員・介助員など、主たる業務が介護などの業務をおこなっている方に限られます。

次の表は、受験資格となる実務経験の職種と施設の一例です。

実務経験の分野受験資格となる施設・事業職種
児童分野・知的障害児施設
・肢体不自由児施設
・重症心身障害児施設
・保育所等訪問支援 など
・保育士
・介助士
・看護助手
・訪問支援員 など
障害者分野・障害者デイサービス事業
・短期入所
・重度訪問介護
・移動支援事業 など
・介護職員
・寮母
・生活支援員
・世話人 など
高齢者分野・指定通所介護
・特別養護老人ホーム
・指定訪問看護
・指定訪問介護 など
・介護職員
・介護従事者
・訪問介護員
・看護補助者 など
その他の分野・救護施設
・地域福祉センター など
・介護職員
・介助員 など
介護等の便宜を供与する事業地方公共団体が定める条例・実施要綱等に基づく事業 など・介護職員
・訪問介護員 など

ただし、医師や看護師・理学療法士・福祉用具専門相談員などは、主たる業務が介護等の業務と認められないため、介護福祉士の受験資格にはなりません。

介護福祉士の資格取得のメリット

介護福祉士国家試験を受ける際は3年以上の実務経験が必要になるため、すぐに資格が取得できるわけではありません。

しかし、介護福祉士の資格を持つことは、次のような3つのメリットがあります。

・給与が増える
・職員や利用者の家族から信頼される
・転職に有利になる

順番に解説していきます。

給与が増える

多くの介護施設では、介護福祉士の資格を持つ方に資格手当が支給されます。

また、処遇改善加算がされている事業所では、キャリアパスや資格に応じて介護職員1人に対して支給されます。

処遇改善加算は、研修の実施や資格で昇給するしくみで、段階的に金額が変わります。条件によっては、月額1万円以上の給与が増えることもあるでしょう。

このように、国から介護福祉士などの資格を取得した方に対して、後押しする制度があります。また、事業所はキャリアアップができる職場環境に整えられると考えられます。

職員や利用者家族から信頼される

介護福祉士の国家資格を取得することは、自身だけでなく要介護者や家族・職場にとってメリットがあります。

介護福祉士は、介護の専門的な知識や技術を修得していることを提示できます。事業所にとっても、質の高い介護員がいることで、満足度の高い介護サービスが提供できるでしょう。

高い水準の介護サービスが受けられることや介護福祉士がいる事業所を利用することは、家族にとっても安心して要介護者を支援してもらえると考えられます。

転職に有利

介護福祉士の資格は、転職時に有利に働きます。多くの介護現場では、即戦力のある資格保有者が求められています。

国家資格である介護福祉士は、全国共通の資格であり、転職時に役立つ可能性が高くなるでしょう。また、令和6年からは、すべての介護職員が認知症介護基礎研修をはじめとする介護の資格を有していなければなりません。

介護福祉士の人数に応じて加算が取れるため、事業所でも介護福祉士が必要となるでしょう。

介護福祉士の受験方法

介護福祉士の試験は、筆記試験と実技試験があります。筆記試験は毎年1月の下旬、実技試験は3月上旬の日曜日におこなわれます。

筆記試験では、介護の専門知識や技術について出題されます。筆記試験の科目は13科目あり、すべての科目の得点が必要です。実技試験では、介護技術に関する専門的技能があるかをみられます。

受験を申し込む際は「受験の手引き」を、公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページから請求してください。

また、介護福祉士国家資格の申し込みの際には「実務経験証明書」が必要です。実務経験期間の計算を、事業所に依頼しなければならないため、早めに依頼しておきましょう。

介護福祉士の受験日までのスケジュールについては次から詳しく紹介します。

介護福祉士の申し込みの流れ

介護福祉士の受験まで、次のような流れになります。

・受験の手引きの請求
・受験申し込み
・受験票の発送
・介護福祉士国家試験(筆記試験)
・実技試験
・合格発表

1.受験の手引きの請求
介護福祉士の受験に必要な「受験の手引き」は、毎年7月頃~8月末頃に請求できます。

2.受験申し込み
受験申し込みの受付期間は、8月の中旬から9月上旬です。郵送で申し込む場合は、締切日の消印まで有効です。詳しい日程は、7月以降に発表されるため、確認しておきましょう。

3.受験票の発送
12月に介護福祉士の筆記試験の受験票が、はがきで発送されます。

4.介護福祉士国家試験
1月下旬の日曜日に筆記試験が実施されます。

5.実技試験
筆記試験に合格した方は、3月中旬が実技試験です。実技試験の受験票は、2月の中旬に発送されます。

6.合格発表
合否は、3月の下旬に発表されます。合否の発表は、結果通知でされますが、当日に知りたい方は、合格発表日の14時から社会福祉振興・試験センターのホームページから確認可能です。

合格基準

介護福祉士の国家試験の合格基準点は、問題総得点の60%程度です。何点以上で合格という基準はなく、問題の難易度によって変わるため、毎年合格基準点が変わります。

13科目のなかから「人間の尊厳と自立」と「介護の基本」、「人間関係とコミュニケーション」と「コミュニケーション技術」が1科目になり、下記の科目すべてで得点が必要です。

人間の尊厳と自立、介護の基本
人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
社会の理解
生活支援技術
介護過程
こころとからだのしくみ
発達と老化の理解
認知症の理解
障害の理解
医療的ケア
総合問題

試験地

介護福祉士試験の筆記試験地は、次の35か所です。

北海道
青森県・岩手県・宮城県・秋田県・福島県
群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県
新潟県・石川県
長野県・岐阜県・静岡県・愛知県
京都府・大阪府・兵庫県・和歌山県
鳥取県・島根県・岡山県・広島県
香川県・愛媛県・高知県
福岡県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県
沖縄県

実技試験地は、東京都と大阪府の2か所で実施します。

費用

介護福祉士国家試験の受験費用は、18,380円です。受験料を支払った受領証を「受験手数料払込受領証貼付用紙」に貼り付けて、申し込みしてください。

受験費用の申し込みは、指定された期間内に支払っておきましょう。なお、支払手数料は受験者の負担です。

まとめ:介護福祉士の資格はメリットが多い!専門知識を生かした支援ができる

今後、日本では高齢者が増加することが予想され、専門的な支援ができる介護福祉士の資格者が求められます。

介護福祉士国家試験を受験するには、3年以上の実務経験と実務者講習が必要です。実務時間は、各事業所に依頼し計算してもらわなくてはなりません。

7月頃から受験受付が始まるため、受験の手引きを請求し早めに手続きしておきましょう。

介護福祉士の資格があれば、すぐに即戦力となって働けます。転職の際にも有利なうえに、資格手当などで給与アップも望めます。

介護の仕事を専門的に学びたいと考えている方は、介護福祉士の資格を取得することがオススメです。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。