介護情報メディア ケアケア 一般介護向けコラム 介護サービス・制度 【簡単!】要介護認定の申請方法を解説!申請の際に準備しておくこととは

介護サービス・制度

2022-12-06

【簡単!】要介護認定の申請方法を解説!申請の際に準備しておくこととは

親の介護は突然必要になります。しかし、いざ介護認定を受けようと思っても、どのような手続きをして良いかわからない方もいるでしょう。

 

また、仕事や家事で忙しく、家族だけでおこなう介護は大きな負担になる場合もあります。家族の負担を軽減するためには、介護サービスの活用が重要です。

 

この記事では、介護サービスを受けるために必要な要介護認定の申請方法について解説しています。最適な介護サービスを受けるためにも、手続きの方法や介護度について理解しておきましょう。

要介護認定とは

要介護認定は、介護サービスが必要な量を全国一律の基準をもとに判断するものです。認定調査員は、調査基準に従って運動機能や精神状態から判断します。

介護認定は、「要支援」と「要介護」の2種類があります。要支援は、日常生活はほぼ自立しているものの、一部見守りや支援が必要な方のことです。

要介護度は、「要支援1.2」と「要介護1~5」、どちらにもあてはまらない「非該当」の8つの区分に分かれており、数字が大きいほど日常生活で介助が必要です。

介護度の違い

介護保険では、介護度によって支給限度額が異なるため、受けられるサービス量が変わります。

要介護度状態の目安
非該当日常生活や身の回りのことは自分でおこなえる。
要支援1日常生活の基本動作はほぼ自立している。
起き上がりや歩行などの機能低下を防ぐために、適切な介護サービスが必要な状態。
要支援2日常生活で見守りや支援があれば生活できる状態。
要介護にならないために予防介護サービスの利用が必要な状況。
要介護1見守りのもと身の回りのことはだいたい自分でできる。
運動機能・認知機能が低下しつつある。
入浴や買い物など部分的な介助が必要な状態。
要介護2日常生活に必要な運動機能が低下し、部分的な介助が必要となる。
金銭管理や服薬管理などが難しい。
認知機能の症状がみられる状態。
要介護3着替えや排泄、身の回りのことを自分でおこなうことが難しく、全体的に介助が必要な状態。
運動機能の低下がみられ、立ったり座ったりする動作も難しい場合がある。
要介護4洗顔や食事など、身の回りのことは介助が必要な状態。
運動機能が低下し、長く座ることも難しくなる。
日中でも寝ている時間が長くなる。
要介護5食事や排泄など、介助なしでは日常生活を送ることはほぼ不可能な状態。
ベッド上で生活する時間が長く、外出頻度が少なくなる。

介護度別の明確な定義はありませんが、1日に必要な介助量(時間)によって決められます。要介護状態のイメージは以下の通りです。

次は、要介護者が受けられるサービスの紹介をします。

要介護者が受けられるサービス

要介護者は、次のようなサービスが受けられます。介護サービスのほとんどは要介護1から利用可能ですが、特別養護老人ホームの入居は要介護3以上が対象になるなど、サービスにより条件が異なります。

サービスの種類サービス|施設
施設サービス特別養護老人ホーム(要介護3以上)
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)
居宅サービス訪問介護(ホームヘルパー)
訪問看護
訪問入浴
通所介護(デイサービス)
短期入所(ショートステイ)など
地域密着型サービス定期巡回・随時対応型訪問介護看護
小規模多機能型居宅介護
夜間対応型訪問介護
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)など

訪問介護や通所介護(デイサービス)などの居宅サービスや夜間対応型訪問介護などの地域密着型サービスは、介護度によって使える回数が異なります。

また、介護サービスは、歩行用の杖や車いすといった福祉用具のレンタルにも使用できます。

要支援者は介護予防として、訪問介護や通所介護、地域密着型サービスなどが受けられます。上記の介護サービスは一例です。それぞれ状況に合わせたさまざまなサービスがあるため、利用する際にはケアマネージャーとよく相談することが大切です。

要介護認定の申請をする手順

要介護認定の申請手順は以下の通りです。

  1. 市区町村・地域包括支援センターに相談する
  2. 認定調査を受ける
  3. コンピュータによる一次判定
  4. 介護認定調査会による二次判定
  5. 認定結果が自宅に届く

認定調査は、市区町村の担当職員や市区町村から委託されたケアマネージャーが自宅に訪問して調査します。(※初回は市区町村の職員がおこないます)

次に、申請の手順内容をみていきましょう。

市区町村・地域包括支援センターに相談する

要介護認定の申請は、地域の市区町村窓口で申請します。介護保険の担当窓口は、市区町村によって名称が異なるため、インターネット等で確認しておくとスムーズです。(介護保険課・高齢福祉課など)

本人以外でも委任状を作成すれば、申請手続きができます。代理で手続きする方は委任状と印鑑、代理人の身分証明ができるものを持参してください。
(※市区町村により、家族は委任状不要の場合があります。また、印鑑も不要な場合があります。)

また、身近に頼れる人がいない場合は、地域包括支援センターの職員や居宅介護支援事業者にて代理申請が可能です。

入院中の方は、ソーシャルワーカーに相談してみると良いでしょう。病院によっては市区町村の介護保険窓口に連絡し、手続きできる場合があります。

認定調査を受ける

要介護認定の申請をする際は、まず認定調査を受ける日程を決めます。調査員が自宅や入院先に訪問し、日常生活の様子や身体機能、心身の状態などの聞き取りをおこないます。

なるべく家族も同席し、自宅での様子を話しておきましょう。認定調査を受ける前に普段の様子をメモしておくと、忘れずに伝えたい内容を伝えられます。

認定調査は以下の5つの基本項目に沿って判定しています。

・身体機能
・生活機能
・認知機能
・精神・行動障害
・社会生活

基本項目の具体的な内容は以下の通りです。

基本調査項目内容
身体機能麻痺や関節の動きに制限はないか
寝返りや起き上がりができるか
立ち上がりや歩行できるか
視力
聴力 など
生活機能食事の状況
排泄の状況
入浴の状況
自分で着替えができるか
外出頻度 など
認知機能意思の伝達ができるか
短期記憶が保てているか
場所の理解ができるか
徘徊はないか など
精神・行動障害昼夜逆転
同じ話をする
ひどい物忘れ
感情が不安定なときがある など
社会生活服薬やお金の管理ができるか
簡単な調理ができるか
買い物に行けるか など
その他過去14日間に受けた医療処置の内容

介護が必要な方は、時間帯や体調によって状態が異なることがあります。認定調査の時間は短いため、「夜になると落ち着かない」「夜中トイレに数回行く」など、正しい情報が調査員に伝わるようにメモしておくと良いでしょう。

要介護申請をする際は「主治医意見書」が必要です。病気などから心身の状態を記載してもらいます。

主治医の意見書は介護度を判定する上でとても重要です。主治医がいない場合は、自治体が指定する医療機関の受診が必要になります。

コンピュータによる一次判定

コンピュータによる一次判定は、認定調査と主治医意見書の一部をもとに「どのくらい介護サービスが必要になるか」を判断します。この時点では、まだ最終結果ではありません。

介護認定審査会による二次判定

一次判定の結果と認定調査の特記事項・主治医意見書を参考に、医療・保健・福祉の専門家による介護認定審査会二次判定をします。

審査判定

二次判定の結果により、市区町村が申し込み者の要介護度を決定し、自宅に結果を郵送します。要支援1~2・要介護1~5・非該当の方に区分されます。

市区町村によっては、介護認定がおりなかった非該当の方でも、生活機能維持のために利用できるサービスがあります。

詳しくは、市区町村または、地域包括支援センターに相談してください。

認定結果が通知される

申請日から30日以内に、認定結果と介護保険被保険証が送付されます。

新規申請で要介護認定を受けた場合、要介護・要支援ともに有効期間は原則6カ月です。

6カ月後以降、引き続き介護サービスが必要な場合は、更新が必要です。更新後の有効期限は原則12カ月ですが、状態の安定度により最大48カ月まで設定されます。

病気などで心身の状態が変わったときは、認定の有効期限内でも区分変更が可能です。

申請の際に準備しておくもの

要介護認定の申請には、主に以下のものが必要です。

・介護保険保険者証(65歳以上の方)
・健康保険被保険者証(65歳未満の方)
・要介護・要支援認定申請書
・マイナンバーカード(市区町村によっては不要な場合もあります)
・主治医の名前・連絡先・医療機関名がわかるもの(診察券など)
・本人以外が申請する場合、委任状・印鑑・代理人の身分証明

申請時に必要なものは、市区町村により異なる場合があります。一度、市区町村の窓口やホームページで確認しておきましょう。

まとめ

この記事では、要介護認定を申請する方法と事前に準備しておくものを紹介しました。要介護認定は申請から認定まで1カ月程度かかるため、早めに手続きしておくと安心です。

「まだ早い」と考えていても、突然介護が必要になることもあります。家族介護だけでは、介護の負担も大きく、うまくいかなくなることもあるでしょう。

まずは、要介護認定の申請方法や準備するものを確認しておけば、すぐに対応できます。

また、本人にとっても自宅で過ごすだけでなく、介護サービスを受けることで、外出の機会や家族以外の人との交流が図れます。

健康を維持して、今と変わらない暮らしを続けるためにも、要介護認定を受け、介護サービスを活用しましょう。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。