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介護サービス・制度

2023-03-22

要介護認定とは?申請方法や認定基準についてわかりやすく解説

介護サービスを利用するときには、要介護認定が必要です。「そろそろ自分の親にも介護認定を受けておきたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

 

サービスをうまく使えば、介護が必要な方も安心で快適な生活を送れます。また、家族の介護負担も軽減できるでしょう。

 

この記事では、要介護認定の申請方法とそれぞれの介護度の判定基準を解説しています。要介護認定の仕組みを理解すれば、申請の不安も軽くなるでしょう。

 

さらに、要介護認定には判定基準が設定されているため、介護が必要な方に適切なサービスを提供できると考えられます。

要介護認定とは

要介護認定とは、介護サービスを受ける際に必要な手続きです。介護が必要な方の市町村に申請し、認定調査を受けることでサービスが利用できるようになります。

介護認定は、認定調査の結果と主治医意見書を基にして判断しており、コンピュータによる一次判定介護認定審査会による二次判定で介護度が決定します。

このように、介護サービスの利用回数や内容に直結している要介護認定は、全国共通の基準を設けられ、客観的な判定ができる仕組みです。

要支援と要介護の違い

介護度には、要支援と要介護の2種類があります。

要支援は、日常生活において自分でできることが多いものの、一部見守りや介助が必要な状態です。

今後、要介護状態になる可能性があるため、介護予防サービスを使用し運動機能の低下などを防止します。

また、要介護者は、要支援者よりも日常生活において介護が必要な状態です。要介護の状態が重くなるにつれて、介護なしでは日常生活を送ることが困難になるでしょう。

なお、要支援者でも要介護者にも当たらない「非該当」の方もいます。非該当の方は、日常生活のほとんどが自立している状態です。

要介護認定において「非該当」と認定された方でも、市町村の地域支援事業などにより、生活機能を維持するためのサービスや生活支援サービスが利用できる場合があります。詳しくは、市町村の窓口または、地域包括支援センターに問い合わせてください。

介護度は要支援1~2と要介護1~5がある

介護度は、要介護1~5までの5段階、要支援は1~2の2段階あり、6か月以上にわたって身体的・精神的状態が悪化している方が対象となります。

次の表は、各介護度別に状態の変化の一例です。

要支援1入浴・排せつ・食事などは自立。
買い物・服薬管理・金銭管理など、見守りや介護が必要な状態。
要支援2立ち上がり・歩行など下肢筋力の低下が認められる。
将来的に介護が必要となる可能性がある。
要介護1日常生活の動作(買い物・服薬管理・金銭管理など)の能力の低下。
日常的な介護が必要な状態。
要介護2要介護1よりも、下肢筋力の低下が認められる。
日常生活において、一部介護が必要な状態。
要介護3要介護2よりも、日常生活の能力が低下。
ほぼ全面的な介護が必要な状態。
要介護4要介護3よりも、日常的に介護がないと生活が難しい状態。
要介護5要介護4よりも、日常的に介護がないと生活ができない状態。

(参考:介護保険制度における要介護認定の仕組み|厚生労働省)

介護保険サービスにかかる利用料

一般的に、介護保険サービスにかかる費用の1割(所得によっては、2~3割)が利用者負担となっています。

また、施設サービスを利用した場合は、1割(所得によっては、2~3割)負担のほかに、日常生活費や食費・居住費の負担があります。

所得が低い方や高額な負担がある方は、負担軽減措置があるため市町村の窓口で相談してみましょう。

介護サービスを利用する際の支給限度額

介護サービスには支給負担限度額が設定されており、介護度ごとに異なります。

限度額の範囲内で利用した場合、自己負担額は1割(所得によっては2~3割)です。万が一、支給限度額を超えて使用した場合は、超えた分は全額自己負担になります。

要介護認定の申請方法

要介護認定の申請は、本人の住んでいる市町村の窓口でおこなってください。申請後、日程が決まれば、認定調査がおこなわれます。認定調査の際は、主治医意見書が必要です。

認定調査の結果や主治医意見書は、適切な介護度の決定に不可欠です。主治医がいない場合は、市町村の指定する医療機関を受診しておきましょう。

また、サービスの量や内容は、介護度によって異なります。要介護者は、市町村が指定する居宅介護支援事業者でケアプランを作成し、要支援者は地域包括支援センターでケアプランを作成してください。

要介護認定の流れ

要介護認定は次のような流れになります。

1.市町村の窓口で申請する
2.認定調査
3.一次判定
4.二次判定
5.認定決定

要介護認定を受けるためには、申請者の自宅で認定調査をおこない、認定調査の結果と主治医意見書を基に、コンピュータによる審査(一次判定)をします。

一次判定後、医療・福祉・保健の介護認定審査会の審査(二次判定)を受け、介護度が決定すれば、自宅に決定通知書が送付されます。

なお、申請から認定されるまで30日程度かかります。介護が必要になってから慌てないように、できるだけ早く申請しておきましょう。

申請の際に必要なもの

要介護認定の際には、次のものが必要です。

・介護認定申請書
・介護保険保険者証(65歳以上の方)
・健康保険被保険者証(65歳未満の方)
・マイナンバーカードなど身分証明書
・印鑑
・主治医の連絡先が確認できるもの(診察券など)
・本人以外の方が申請する場合は委任状や印鑑・代理人の身分証明書

市町村によって必要なものは異なるため、窓口や市町村のホームページで事前に調べておくとよいでしょう。

介護認定申請書は、市町村の窓口でもらうか、市町村のホームページからダウンロードしてください。

要介護認定の際の注意点

認定調査では、申請者の普段の様子や健康状態、運動機能などの聞き取りをおこないます。認定調査の際は、なるべく家族も同席し普段の様子を話しておきましょう。

例えば「深夜にトイレで起きることが多い」「薬を飲み忘れることが増えた」など、気になる事柄を控えておくと、認定調査がスムーズに進みます。

介護が必要な方は、朝昼晩で行動や健康状態が変化しやすくなっています。認定調査の時間は限られているため、前もって気になる点をメモしておき、正確な情報を伝えることが大切です。介護が必要な方が適切なサービスを受けられるようにしておきましょう。

介護サービス計画書(ケアプラン)について

要介護認定を受けると、本人と家族のニーズや生活環境に応じてケアプランが作成されます。その際、必要な介護サービスや利用回数が検討されます。

要介護者が居宅サービスを使用する際は、居宅介護支援事業者がケアプランを、施設サービスを利用する場合は、施設ケアマネージャーがケアプランを作成します。

要支援者は、地域包括支援センターでケアプランが作成されます。介護予防サービスについては、市町村に問い合わせてください。

介護予防サービス利用中に心身の状態に変化があった場合は、ケアプランの見直しや提供されるサービスの変更も可能です。

また、健康状態や精神状態に急激な変化をした場合は、介護区分の変更申請もできるため、まずは、医療機関へ相談してみましょう。

要介護認定の認定基準

要介護認定は、どの程度の介護サービスが必要か判断するものです。そのため、要介護者の病気や障害の程度と必要な介護の量は一致しない場合があります。

例えば、障害の程度が重くて入浴ができない場合と、身体の状態がよくても認知症が進んで入浴する気力がない方の場合では、どちらも全面的な支援が必要だと考えられるでしょう。

介護サービスの量を適正かつ公平に決定するために、コンピュータによる一次判定と介護認定審査会による二次判定がおこなわれます。

この判定は「介護の手間」と「介護に使える時間」に加え認知症の程度に基づいておこなわれます。

要支援の判定は、介護の手間に加えて「状態の維持・改善の可能性」によって、選定されています。

一次判定の基準

コンピュータによる一次判定は、介護老人保健施設などに入所している約3,500人の高齢者が、48時間にわたり、介護サービスがどれくらいの時間必要か調べたものです。

認定調査の項目ごとの結果から分類し「要介護認定等基準時間」を推計しています。

認知症の状態に加え、次の5つの分野から要介護認定等基準時間を推測し、総合的に介護度を判定しています。

直接生活介助入浴
排せつ
食事 など
間接生活介助洗濯
掃除 など
問題行動関連行為徘徊の探索
不潔行為の後始末 など
機能訓練関連行為歩行訓練
日常生活訓練 など
医療関連行為輸液の管理
褥瘡(じょくそう)の処置 など

(参考:要介護認定の基準について|厚生労働省

要支援1要介護認定等基準時間が25分以上32分未満または、これに相当すると認められる状態。
要支援2要介護認定等基準時間が32分以上50分未満または、これに相当すると認められる状態。
要介護1要介護認定等基準時間が32分以上50分未満または、これに相当すると認められる状態。
要介護2要介護認定等基準時間が50分以上70分未満または、これに相当すると認められる状態。
要介護3要介護認定等基準時間が70分以上90分未満または、これに相当すると認められる状態。
要介護4要介護認定等基準時間が90分以上110分未満または、これに相当すると認められる状態。
要介護5要介護認定等基準時間が110分以上または、これに相当すると認められる状態。

(参考:要介護認定はどのようにおこなわれるか|厚生労働省

上記表の「要介護認定等基準時間」は、介護の必要性をはかる目安としているため、実際に使えるサービスの時間と同等ではありません

二次判定の基準

二次判定は、一次判定の結果や特記事項・主治医意見書を基に、介護認定審査会が総合的に判断します。

介護認定審査会は、保健・医療・福祉で、5人の学識経験者で構成されています。

まとめ:介護サービスを受ける際は、要介護認定を受けよう

この記事では、要介護認定の申請方法や判定基準について解説しました。介護サービスを利用したいときは、まず介護が必要な方が住む市町村に申請し、要介護認定を受ける必要があります。

認定調査では、あらかじめ普段の様子をメモしておき、短い時間でも正しい情報が伝わるようにすることも大切です。

コンピュータによる一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て、介護度が決定します。

このように、一定の基準を設けることで、申請者が必要な介護量や程度の目安がわかるため、より本人や家族の希望に合った介護サービスが受けられると考えられています。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。