介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護業界の就職・転職 現役ケアマネにインタビュー! ケアマネージャーのリアルな悩みと対処法(前編)

介護業界の就職・転職

2023-04-20

現役ケアマネにインタビュー! ケアマネージャーのリアルな悩みと対処法(前編)

介護職の中で比較的給与が高く、職場や仕事の幅を広げられるケアマネージャーは介護の専門職としてキャリアアップしたい人に人気の職業です。

 

仕事内容は、要支援・要介護認定に関わる業務やケアプラン作成、給付管理などですが、リアルなケアマネージャーの仕事がどのようなものか、想像しにくいという人もいるのではないでしょうか。

 

そこで、現役ケアマネージャーのTさんに、ケアマネージャーを目指したきっかけや実際の働き方、ケアマネージャーとしての悩みや課題について伺いました。

ケアマネージャーとは?

ケアマネージャーとは、介護を必要とする方が円滑に介護保険サービスを利用できるよう、ケアプランの作成やサービス事業者との調整などを行う、介護保険のスペシャリストです。

介護職の中でも最上位クラスの資格ともいわれ、介護に関わる職種の中では給与が高い傾向にあります。資格を取得すると、居宅介護支援事業所や介護施設のほか、地域包括支援センターなどでも働くことができ、将来的にケアマネージャー事務所を開業することも可能です。

職場や仕事の幅を広げられるケアマネージャーは、介護職でキャリアアップを目指す人に人気の資格です。

主任ケアマネージャーとは?

主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)とは、ケアマネージャーの上位資格として位置づけられている介護相談のスペシャリストです。資格取得にはケアマネージャーの経験が5年以上必要です。

主任ケアマネージャーは実質的に管理職にあたり、地域のケアマネージャーのまとめ役として、新人育成や指導、相談などを担います。

主任ケアマネージャーの主な就業先は地域包括支援センターです。介護サービス事業者との連携構築を図りながら、地域ケア会議の開催や支援困難事例への助言などを行い、地域介護における課題を洗い出して、包括的なケアシステムの構築に努めます。

現役ケアマネージャーにインタビュー

介護福祉士からケアマネージャーへとキャリアアップし、現在は主任ケアマネージャーとして地域包括ケアシステムの構築や地域づくりに携わっているTさんに、実際のケアマネージャーの仕事内容や、やりがい、そして、ケアマネージャーのリアルな悩みについて伺いました。

ケアマネージャーのTさん

―はじめに、Tさんが福祉業界に就職した理由についてお聞かせください。

高校生の頃は教師を目指したいと考えていましたが、採用試験の難しさを知り、どうしようかと悩んでいた時期に、親に臨床検査技師の学校を勧められ、進学を決めました。

しかし、実際に臨床検査技師の学校に進学してみて、少し思うところがありました。そこで、いろいろな方のアドバイスを聞いたり、さまざまな本を調べたりして、高齢者介護分野の仕事をしてみたいと思うようになったのがきっかけです。

―なぜ高齢者介護分野だったのでしょう。

就職について考えていた時期が、ちょうど介護保険制度が開始した2000年になります。漠然とですが新制度に対する興味があったように思いますね。

―介護福祉士からケアマネージャーを目指したきっかけを教えてください。

介護業界に入った頃からケアマネージャーという上級資格があることは本などを調べて知っていました。

その後、実際に介護の職場でケアマネージャーの仕事をしている方を目の当たりにして、その姿がとてもかっこよく見え、自分もこんな仕事をしたいなとケアマネージャーを目指しました。

―ケアマネージャーの仕事のかっこよさとはどういったところでしょうか。

私は、よくセンスの要(かなめ)に例えるのですが、センスを仰ぐといい風が送られてくるのは、骨組みと和紙がしっかりしているからですよね。でもいい風を送るために最も重要なパーツは、手で持って隠れてしまうセンスの要の部分です。

ケアマネージャーの仕事は、この要の部分に当たります。骨組みや和紙はさまざまなサービス機関や、サービス事業所に相当します。いくら骨組みや紙がしっかりしていても、センスの要がちゃんとしていないといい風は送れません。手に隠れている要の部分、つまり、ケアマネージャーがしっかり機能することで、いい風、よいサービスを利用者さんに提供することができます。

このように、各サービス機関と連携し、利用者さんによいサービスを届ける陰の功労者がケアマネージャーとしてのかっこよさじゃないかな、と思います。

―これまでどのような介護業務に携わってきましたか?

大きな法人で訪問入浴やデイサービス、宿直業務など介護業務の経験を積んだ後、事業所のデイサービスの立ち上げや、サービス付き高齢者向け住宅の開設準備などに携わりました。

現在は、主任介護支援専門員になり、地域包括支援センターの相談員として他職種と連携し、地域包括ケアシステムの構築などの地域づくりに携わっています。また、主任ケアマネとして、ケアマネージャーの相談に乗ることもあります。

私の場合は、仕事をしていく中で講師の仕事にも興味が芽生え、ちょうどご縁もあって介護関係の講師の仕事もしています。

ケアマネージャーのTさん

―講師のお仕事は、教師の夢とも繋がっているように思いますが、具体的にどのようなことをされていますか?

週に1回、介護福祉士の養成校の非常勤講師として、生活支援技術やコミュニケーション技術、介護の基本などを教えています。その他、レクリエーション介護士2級養成講座の公認講師もしています。

依頼があれば、資格取得以外の講座の講師なども引き受けています。

―講師になるには特別な資格は必要ですか?

レクリエーション介護士については講師資格が必要ですが、その他は、介護福祉士としての実務経験が5年以上あれば特別な資格は必要ありません。後はご縁が必要かもしれませんね。

―さまざまな介護の仕事を経験した中で、ケアマネージャーならではのやりがいはどういうところでしょうか?

よく、『感謝されること』が、介護職のやりがいとしてあげられますが、私の場合は、数年後に掛けられる「ありがとう」の言葉に大きなやりがいを感じますね。

地域でずっと仕事をしていると、ばったり道端で昔の利用者さんのご家族に会うことがあります。その際に「父は亡くなったけれど、あのとき相談に乗ってもらって本当に救われました。ありがとう」といった感謝の言葉を貰うことがあり、そういった数年後の、熟成された「ありがとう」は、本当に心に沁みますし、やっていてよかったなと、モチベーションアップに繋がりますね。

仕事面でのやりがいとしては、介護福祉士の頃より、いろいろなサービス機関の人たちと関われる機会が多くなったことです。外部の方と接して学ぶ機会が増えるのは、ケアマネージャーのやりがいであり、楽しみでもあると思います。

―介護福祉士からケアマネージャーになって待遇面で変わった点はありますか?

介護福祉士の頃より、給料がアップしましたね。それから、公休や有給休暇も取りやすくなりました。現在の職場では日曜祝日が休みで、有給休暇も自分で調整できるので、介護職員の頃より働きやすくなったと感じています。

また、ケアマネージャーの資格を持っていると転職がしやすいように思います。私は、ケアマネージャーを取得した後に転職をしていますが、ケアマネージャーの資格があることで転職の採用が有利になると思います。

―Tさんのケアマネージャー業務のリアルな1日のスケジュールを教えてください。

私は主任ケアマネージャーとして地域包括支援センターで働いているため、居宅介護支援事業所のケアマネージャーとは働き方が異なります。

給付管理やモニタリングなど、通常の業務のほかに、電話窓口の当番として事務所に待機していたり、緊急の連絡が入って訪問をしたり、虐待のような困難なケースの対応を行ったりなど、突発的な業務の対応をしながら臨機応変に仕事をしています。

私の場合は、スケジュールが決まっていないというのがスケジュールですね。

ケアマネージャーのTさん

インタビュー後編では、ケアマネージャーのリアルな悩みや課題について伺っていきます。