介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護業界の就職・転職 作業療法士は残業が多い?少ない?平均時間や残業代、休日、働き方について解説

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2023-09-27

作業療法士は残業が多い?少ない?平均時間や残業代、休日、働き方について解説

作業療法士は夜勤もなく働きやすそうだと思ったことはありませんか?
勤務が規則的かつ残業が少ないよい労働環境で、作業療法士として働きたいと思う方もいるかもしれません。

 

しかし実際には、残業時間が多い上、土日休みが取れないといった職場も少なくありません。

 

この記事では、作業療法士の残業・休日の実態や残業の少ない働き方なども併せて解説しています。作業療法士の働き方に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

作業療法士の残業は多い?少ない?平均残業時間は?

作業療法士の多くは病院や施設などで働いていますが、残業時間はどのくらいなのでしょうか?実際の平均残業時間や臨床での様子を調べました。

以下でそれぞれ解説します。

厚労省によると平均残業時間は4時間

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査では、作業療法士の月の残業は5時間と示されています。

これは職場の規模によって異なり、1,000人未満の規模では月4時間、1,000人以上の規模では月9時間という調査結果でした。

全業種の残業時間は平均13.2時間であるため、作業療法士の残業は比較的少ないといえます。後述しますが、厚労省のデータより残業時間が長い場合も多々あるため注意が必要です。

 残業の多い少ないは職場により差が大きい

作業療法士の残業が多いか少ないかは職場によって差が大きいのが実情です。

前述した調査のように月5時間なら多くないように感じますが、職場によっては残業がかなり多いところもあります

筆者の職場は維持期の病院ですが、基本的に残業がなく毎日ほぼ定時で退勤できます。残業はまれであり、会議や勉強会が少し長引くと定時を過ぎてしまう程度です。

一方で、毎日のように残業があり、月の残業時間が平均を大きく超える越える職場もあります。同じ病院でも急性期や回復期は残業が多く、施設や維持期の病院は少ない傾向にあるようです。

また、訪問リハビリの場合は、訪問件数や訪問先からの直帰ができるかどうかで退勤時間も変わります。

残業が多い職場の中にはサービス残業が常態化している場合もあり、このような実態は前述した調査に反映されていません。そのため、この調査結果を見て「実際にはもっと残業してる」と感じる作業療法士の方も多くいるでしょう。

作業療法士の残業の仕事内容

作業療法士が患者さんのリハビリに介入するために残業することは多くありません。よくある残業の仕事内容としては、以下のものが挙げられます。

・書類の記載

・会議・委員会・カンファレンス

・勉強会・研修会

・実習生の指導

最もよく聞かれるのが書類の作成です。カルテ記入の時間はリハビリ時間の中に含まれません。

そのため、書類作成の時間が確保されていない職場では、残業の時間を記載することもあります。そのほかの書類としては、計画書やサマリーなども挙げられます。

また、職場によっては終業時間以降に会議などがおこなわれ、残業となる場合も少なくありません。勉強会や研修会も同様です。

実習生の指導も、勤務時間内にフィードバックできない場合があります。実習生をあまり遅い時間に帰らせるわけにもいかないため、できるだけ早く終えられるようにはしたいものです。しかし、そもそものリハビリ介入が就業時間いっぱいまで詰まっていると、指導が時間外になることも往々としてあります。

このように作業療法士の残業内容は患者さん様のリハビリ介入以外のものが多くを占めています。

作業療法士の休日は多い?土日休みは可能?

残業と同様に、作業療法士の休日も職場によって大きく異なります。年間休日が多いか少ないか、土日休みが取れるかどうかも、以下で解説します。

年間休日はあまり多くない

作業療法士の平均的な年間休日数は110日前後です。週休2日や4週8休の職場が多く年間108日〜110日となるため、120日程度のところは少ない傾向にあります。

労働基準法による休日のルールによると、年間休日の最低ラインは105日と考えられるため、作業療法士の年間休日はあまり多くないといえます。

土日休みでない職場は多い

作業療法士の勤務先で、土日休みのところは多くありません。領域や職場にもよりますが、急性期や回復期では365日リハビリ体制を整えているところが多いことも要因といえるでしょう。

このような職場ではシフト制の勤務となるため、週休2日でも必然的に土日に出勤せざるを得ない状態となります。

また、一般病院では日祝休み+平日にもう1日(もしくは日・土曜半日・平日半日)で週休2日のケースもあります。ちなみに夏季休暇や年末年始休暇は病院勤務でも取得しやすいですが、職場によっては一般的な時期とずれる場合もあるようです。

一方で、施設(介護老人保健施設・特別養護老人ホーム)や訪問リハビリはカレンダー通どおりの休みが多い傾向にあります。

このように、作業療法士の職場は土日休みでないところが多いといえます。

作業療法士にはどんな働き方がある?

作業療法士は患者様さんのリハビリをする仕事ですが、働き方はさまざまです。ここからは作業療法士が働く領域や勤務体系について解説します。

領域は4つに大別される

作業療法士が働く領域は、身体障がい・精神障がい・老年期障がい・発達障がいの4つに大別され、そのリハビリ内容や役割は異なります。

例えば、同じ身体障がい領域でも脳血管疾患や整形疾患、癌など対象となる患者さん様の疾患はさまざまです。さらに急性期・回復期・維持期といった時期によっても、リハビリの方針は変わります。

作業療法士は領域や病院によって、365日体制となったり勤務の時間帯も変わったりと、働き方が大きく左右されます。

常勤か非常勤かによっても変わる

作業療法士の場合、病院や施設勤務がほとんどであるため、常勤であれば8〜9時に始業、17〜18時に終業のところが多い傾向にあります。

ただし、一部の回復期病院などでは早出・遅出をしている場合があります。

一方で、非常勤(パート)であれば、4〜6時間勤務で働く人が多いようです。ちなみに、業務内容は常勤とほぼ同じといってよいでしょう。そもそも作業療法士の仕事内容は患者さんへのリハビリです。

病院では、20分を1単位として1日上限24単位までおこなえるため、非常勤でも取得単位数が減るだけで業務内容はほぼ変わらないケースが多い傾向です。

ただし、非常勤の場合、会議・委員会などにの参加しがないケースも多く、筆者の勤務先の病院でも非常勤は会議などの参加が免除されています。

残業が少ない職場・働き方の特徴

ここからは、残業が少ない作業療法士の職場や働き方の特徴を紹介します。プライベートを充実させたい方は、ぜひ求職・転職時の参考にしてください。

通所系・訪問系は残業が少なめ

デイケアやデイサービスといった通所系施設は利用者の帰宅が早いため、残業が少ない傾向です。ただし、入所サービスが併設されていれば、通所の利用者が帰られた後に入所の利用者を対象としたリハビリをおこなう場合もあります。

訪問リハビリも残業が少ない傾向はありますが、件数によって異なるため一概にはいえません。訪問件数と移動時間、直帰の可否も退勤時間に影響します。

書類作成時間が確保されている

作業療法士の残業理由として多いのが書類業務(カルテ記載・計画書作成など)です。そのため、書類作成の時間が勤務時間内に確保されていれば、定時に退勤できる可能性が高いでしょう。

また、書類作成時間を確保できるかどうかは、1日の実施単位数によっても異なります。カルテ記入の時間はリハビリの時間に含められないため、1日の単位数が多いほど、就業時間内にカルテ記入が終わらない可能性が高くなります。そのため、求職時にはどの程度単位数を取っているか確認するとよいでしょう。

会議や勉強会が勤務時間内におこなわれる

書類作成以外で残業理由として多いのが会議・カンファレンス・勉強会などです。ただし、職場により会議などの時間帯は異なります。

筆者の職場では、基本的に勤務時間内におこなっていますが、職場によっては始業前・昼休み・終業時間後におこなうケースも少なくありません。また、就業時間近くにおこない時間超過して残業になるケースもあります。

さらに、作業療法士や理学療法士などのリハビリ職で度々耳にするのが、定期的な終業後の勉強会です。ほかにも休日にセミナーなどの参加を求められる場合もありますが、勤務扱いになるかどうかは職場によります。こちらも求職時に尋ねておきましょう。

パートや時短は残業が少なめ

パートや時短勤務では会議や勉強会が免除になる場合があるため、残業も少ない傾向にあります。

そのため、担当する患者様さんのリハビリ介入とカルテ記入が終われば退勤できる場合が多いでしょう。ただし、これも職場によるため、確認が必要です。

作業療法士に関するよくある疑問質問

ここからは作業療法士に関するよくある疑問に答えていきます。資格取得の難易度や将来的なことに触れているため、これから作業療法士を目指そうと思う方の参考になれば幸いです。

作業療法士になるのは難しい?

作業療法士になるためには、養成校(大学・短大・専門学校)を卒業(見込みも含む)し、国家試験に合格しなければなりません。ただし、国家試験の合格率は80%以上と高い水準を維持しています。

また、養成校への入学自体は、あまり難しくはありません。養成校には大学・短大・専門学校などがありますが、偏差値に大きく差があること、養成校の数自体が多いことから、特定の養成校にこだわらなければ入学はできるでしょう。

ただし、卒業までの勉強と長期実習が大変ではあるため、作業療法士になるのが一概に簡単とはいえません。

作業療法士は何歳まで働ける?

作業療法士の資格に年齢制限はないため、何歳まで働けるかは職場の定年制度によって変わります。定年は概ね60〜65歳くらいの場合が多い傾向です。また、職場によっては定年後も再雇用といった形で働くことが可能です。

実際には、年齢を重ねると身体的な理由から作業療法士として働くのが難しいと感じる方もいるかもしれません。そのため、働き方を見つめ直す人もいます。

移乗介助といった身体的な負担の少ない職場に転職する

・養成校の教員となる

・セミナーなどの講師となる

・治療院などとして開業する

このように働き方を選べば、あまり年齢を問わず長く働けるでしょう。

まとめ

作業療法士の残業時間は職場によって大きく異なります。残業時間は、書類業務や会議などが就業時間内で終えられるかどうかに左右されるでしょう。

また、作業療法士の休日数はあまり多くありません。勤務は規則的な職場が多いですが、土日休みが取れるかどうかは、365日体制か否かが大きく影響します。

これから作業療法士として求職・転職を考える際に残業が少ない職場を選びたいなら、書類業務や会議などの時間について尋ねることをおすすめします。ワークライフバランスが叫ばれる昨今、残業が少ない職場を選んで自分の時間を大切にしましょう。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。