介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護資格・スキルアップ 【令和4年度最新】機能訓練指導員とはどんな人?必要な資格や仕事内容を紹介!

介護資格・スキルアップ

2022-12-15

【令和4年度最新】機能訓練指導員とはどんな人?必要な資格や仕事内容を紹介!

「機能訓練指導員とは、どんな仕事をしているの?」「どんな資格が必要か知りたい」機能訓練指導員を目指す方は、このような疑問を持つのではないでしょうか?

 

近年、介護施設やサービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホームの増加で、機能訓練指導員の需要が高まっています。機能訓練指導員は、高齢者や障害者が、日常生活に必要な機能の回復や維持のために機能訓練をおこなう職業です。機能訓練の成果で、利用者が機能回復できれば、機能訓練指導員として大きな喜びを感じられるでしょう。

 

この記事では、機能訓練指導員の仕事の内容や働ける場所、給料について解説しています。機能訓練指導員を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

機能訓練指導員になるには

機能訓練指導員になるためには、7つの国家資格のうち、いずれか1つを取得しておく必要があります。

・理学療法士(PT)
作業療法士(OT)
言語聴覚士(ST)
・柔道整復師
・あん摩マッサージ指圧師
・看護師・准看護師
・鍼灸師

通所介護では機能訓練指導員の確保のため、平成30年より一定の実務経験を有する鍼灸師も、機能訓練指導員として追加されました。しかし、介護職員介護福祉士は、機能訓練指導員になれません。

以下の表は、機能訓練指導員になる際に必要な資格の主な取得方法をまとめています。

資格取得要件
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
4年生大学・短大・専門学校にて、各専門科目を履修後、各国家試験に合格する
柔道整復師4年生大学・短大・専門学校にて、専門科目を履修後、柔道整復師の国家試験に合格する
あん摩マッサージ指圧師厚生労働大臣指定の養成校で3年以上就学し、あん摩マッサージ指圧師の国家試験に合格する
看護師・准看護師看護大学・看護短期大学・専門学校などで3〜4年履修後、国家試験に合格する
鍼灸師認定された専門学校や大学・短大で3年以上履修後、国家試験に合格する

機能訓練指導員として働く職場やサービス内容によって、求められる業務内容が異なります。また、保有している資格によっても期待される機能訓練が異なる場合があるため、確認しておきましょう。

理学療法士(PT)

理学療法士は「PT」とも呼ばれ、日常生活における基本動作能力の回復と維持・運動機能の低下予防のために機能訓練をします。

関節の可動域の拡大や筋力アップなど、動作訓練や歩行訓練、運動についてのアドバイスができます。

自立した生活が送れるように住宅改修や福祉用具の助言も可能です。

作業療法士(OT)

作業療法士は「OT」とも呼ばれ、食事や入浴といった、日常生活でおこなう活動や作業の向上と維持のために機能訓練をおこないます。

理学療法士との違いは、より具体的な動作への働きかけをするところです。たとえば「1人で体を洗う」「自立して食事をとる」などで、理学療法によって得られた筋力や可動域を応用して活動に移すイメージです。

作業療法士は、利用者の心身のサポートが可能なため、メンタル面のケアも期待されます。リハビリ職の中で唯一メンタルケアがおこなえるため、精神科やメンタルクリニックなどで活躍する方も多いです。

言語聴覚士(ST)

言語聴覚士は「ST」と呼ばれ、交通事故や病気が原因で、言葉によるコミュニケーション面で問題を抱える方の支援をします。

理学療法士や作業療法士よりも後期にできた資格ということもあり、有資格者は少ない傾向です。

また、嚥下機能が低下して、誤嚥(ごえん)するリスクのある方に対して、摂食や嚥下などの口腔機能を回復するための機能訓練をおこないます。

柔道整復師

柔道整復師は、過去にほねつぎや接骨師と呼ばれていた職業です。主に、骨折・打撲・脱臼・捻挫などに対して出血をともなわない処置ができます。

医師の指示がなくても、骨折や脱臼に対して固定術ができる唯一の国家資格です。

血流を良くすることや体を動かしやすくすることを目的に、物理療法を実施することもあります。

あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師は、「あん摩」「マッサージ」「指圧」と3つの手技を習得した職業です。器具を用いず、手技で指圧やマッサージを実施します。

主に身体の血流を改善し、痛みを緩和することが目的です。機能訓練に合わせて利用者の不調を改善し、肩や腰のコリや痛みが軽減するようなサポートが求められるでしょう。

看護師・准看護師

看護師・准看護師は、利用者の健康状態や医療的な側面から機能訓練を実施します。機能訓練の専門ではありませんが、廃用性症候群を防止する役割が求められるでしょう。

通所施設では、看護師が機能訓練指導員として兼任することも多く、体操やレクリエーションを通して、食事や排泄といった動作訓練を実施しています。

鍼灸師

平成30年より、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・看護職員の資格を有する機能訓練指導員がいる事業所で6カ月間勤務し、機能訓練指導に従事した鍼灸師は、機能訓練指導員として働けるようになりました。

鍼灸師は、利用者さまの身体の痛みや負担を軽減します。病気やケガの機能訓練や健康維持のサポートも可能です。

機能訓練指導員の業務内容

利用者の介護状態や障害のレベルは個人で異なり、残存する機能や住環境によってもアプローチ方法は違います。

機能訓練指導員は、利用者のやりたいことや目標を一緒に見つけ出し、目標や計画を立てて訓練をしていくことが大切です。運動機能を維持・向上するためには、趣味やレクリエーションなども機能訓練の1つと考え、積極的な活動参加が求められます。

機能訓練を実施する流れは、まず利用者や家族の希望を聞き取りします。自宅で面談するときは、生活環境を見ることで本人の課題や目標が見つかる場合もあります。

ケアマネージャーが作成するケアプランや主治医の意見書などに記載された内容を取り入れ、利用者に合った機能訓練計画書を作成し、計画に基づいて実施します。

機能訓練計画書は3カ月に1度の見直しが必要で、利用者の心身の状態や変化に合わせて、内容や目標の変更をしていきましょう。変更の際は、本人と家族の同意を得るようにしてください。

機能訓練指導員が働ける職場とは

機能訓練指導員は、主に以下の場所で働けます。

・介護福祉施設
・医療が必要な要介護者向け施設

各施設によって、機能訓練指導員に求められる役割は異なります。

介護福祉施設

介護福祉施設とは、特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・デイサービス・有料老人ホーム・ケアハウスなどを指します。

中でも、特別養護老人ホーム・特定施設にあたる介護付き有料老人ホーム・ケアハウス・介護型サービス付き高齢者向け住宅認知症対応型通所介護などは、機能訓練指導員を1人以上配置することが義務付けられています。

介護福祉施設を利用している方は、継続的にサービスを使っているため、じっくり時間をかけて利用者の機能回復に関われるでしょう。

施設によっては、機能訓練指導員としての業務だけでなく、レクリエーションの参加や送迎に出る場合もあります。

医療が必要な要介護者施設

医療が必要な要介護者向け施設は、主に以下の3つです。

・介護老人保健施設
介護療養型医療施設
・デイケアサービス(通所リハビリテーション)

一般的な介護福祉施設より医療環境が整っており、医師や看護師が多く配置されています。また、利用者の介護度が高い方が利用している傾向です。

重度の利用者に対して「1人でトイレに座れるようになる」など、自立した生活を送れるように機能訓練をおこない、在宅で生活できるように目標を立てます。

一般的な介護施設より、専門的なケアや機能訓練が必要となるでしょう。
機能訓練指導員の給料はどれくらい?
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要|厚生労働省」の介護従事者等の平均給与額の状況(月給・常勤の者、職業別、新型コロナの影響別)によると、機能訓練指導員の平均給与額は、月額約35万円です。

しかし、この給与額には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の給与も含まれています。

機能訓練指導員に必要な国家資格で働いた場合の平均給与額は以下のとおりです。

資格|職業平均年収
理学療法士(PT)約426.5万円
作業療法士(OT)約426.5万円
言語聴覚士(ST)約426.5万円
柔道整復師約423.4万円
あん摩マッサージ指圧師約423.4万円
看護師・准看護師約498.6万円
鍼灸師約423.4万円

ただし、地域や市町村によって金額が異なります。

機能訓練指導員になるメリット

機能訓練は、日常生活に必要な運動機能の回復と維持が目的です。近年では、介護施設が増え、機能訓練指導員の需要が増えています。対象の資格を持っていれば、機能訓練指導員として働く場所がないということは少ないでしょう。

さらに、資格そのものを生かした職に就くことも可能なため、就職の幅は広がります。

まとめ

この記事では、機能訓練指導員の仕事内容や働ける場所、給料について解説しました。

機能訓練指導員が働ける場所は、介護福祉施設や医療付き要介護者向け施設などさまざまです。自分の知識や経験を生かして利用者の機能回復ができたときは、大きなやりがいを感じるでしょう。

機能訓練指導員は、さまざまな専門職との連携が求められます。実務経験を積めば、ケアマネージャーの受験資格なども得られるため、さらなる資格取得のチャンスが広がるでしょう。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。