介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護資格・スキルアップ 認定介護福祉士養成研修とは?研修内容や受講の流れを紹介

介護資格・スキルアップ

2023-02-27

認定介護福祉士養成研修とは?研修内容や受講の流れを紹介

「認定介護福祉士養成研修ってどんな研修?」「認定介護福祉士養成研修では、どうしたら受講できるんだろう?」と考えることはありませんか?

 

認定介護福祉士になりたくても、受講方法やメリットがわからないため、資格を取ろうかどうか迷っている方もいるでしょう。

 

この記事では、認定介護福祉士養成研修の研修内容や受講の流れについて解説しています。

 

認定介護福祉士養成研修を受けるメリットやデメリットも紹介しています。介護福祉士よりも専門的な知識が得られるため、今より満足度の高いサービスが提供できるでしょう。

 

認定介護福祉士養成研修を受講して、自身のキャリアアップにも役立ててください。

認定介護福祉士養成研修とは?

認定介護福祉士は、これまでの経験と知識を活用し、要介護者をはじめ、職場や地域など幅広くサポートする役割を持っています。

認定介護福祉士養成研修は、認定介護福祉士の職務に必要な専門知識とスキルを身に付け、実践力を育成するものです。

認定介護福祉士養成研修には「認定介護福祉士養成研修Ⅰ類」と「認定介護福祉士養成研修Ⅱ類」から構成されており、Ⅰ類の受講修了後、Ⅱ類の受講ができるようになります。

認定介護福祉士養成研修終了後「認定介護福祉士認証・認定機構」に認定申請することで、認定介護福祉士として認められます。

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類

認定介護福祉士養成研修Ⅰ類は、13科目から構成されています。認定介護福祉士養成研修Ⅰ類では、医療・リハビリ・福祉用具・住環境・社会的支援など、介護福祉士では学習しない知識を7つの領域に分けて習得します。

介護職の小チーム(ユニット等、5~10名の介護職によるサービス提供チーム)のリーダーに対して、要介護者の尊厳の保持自立支援の考え方で、介護サービスを提供する知識を習得します。

また、他職種との連携や協働といった介護の実践力を講義や演習で身に付けることも可能です。

認定介護福祉士養成研修Ⅱ類

認定介護福祉士養成研修Ⅱ類は、9科目あります。Ⅱ類では4領域に分かれており、Ⅰ類で学んだ知識を生かして自立に向けた介護実践の指導力を身に付けます。

認定介護福祉士は、判断力・指導力・考える力など、基本的知識に基づいた応用力と、サービス管理に必要なツールの整理と改善、結果に基づいた指導ができる応用力を養うことが可能です。

生活介護の観点から、地域の介護力を高める力を獲得し、介護サービスのチーム運営・サービス管理・人材育成に必要な専門的理論に基づいた、要介護者が中心となる地域社会を作る力を学びます。

主なカリキュラム

認定介護福祉士養成研修は、Ⅰ類・Ⅱ類のカリキュラムがあり、受講時間はⅠ類345時間、Ⅱ類255時間の合計600時間です。

認定介護福祉士養成研修の形態は、講義と演習があります。詳しいカリキュラムの内容は、次の表にまとめています。

Ⅰ類領域名科目名単位時間
(課題学習を可とする時間)
形態
認定介護福祉士養成研修導入認定介護福祉士概論115(7)講義・演習
医療に関する領域疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅰ230(30)講義
疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅱ230(15)講義・演習
リハビリテーションに関する領域生活支援のための運動学210(10)講義
生活支援のためのリハビリテーションの知識220(8)講義・演習
自立に向けた生活をするための支援の実践230(8)講義・演習
福祉用具と住環境に関する領域福祉用具と住環境230(0)講義・演習
認知症に関する領域認知症のある人への生活支援・連携230(15)講義・演習
心理・社会的支援の領域心理的支援の知識技術230(15)講義・演習
地域生活の継続と家族支援230(15)講義・演習
生活支援・介護過程に関する領域認定介護福祉士としての介護実践の視点230(0)講義・演習
個別介護計画作成と記録の演習230(0)講義・演習
自職場事例を用いた演習130(20)演習・講義
Ⅰ類 計345(143)
Ⅱ類領域名科目名単位時間(課題学習を可とする時間)形態
医療に関する領域疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅲ230(15)講義・演習
心理・社会的支援の領域地域に対するプログラムの企画230(15)講義・演習
マネジメントに関する領域介護サービスの特性と求められるリーダーシップ、人的資源の管理115(7)講義・演習
チームマネジメント230(15)講義・演習
介護業務の標準化と質の管理230(15)講義・演習
法令理解と組織運営115(7)講義・演習
介護分野の人材育成と学習支援115(7)講義・演習
自立に向けた介護実践の指導領域応用的生活支援の展開と指導260(40)講義・演習
地域における介護実践の展開230(0)講義・演習
Ⅱ類 計255(121)
合計37600(264)

(参考:認定介護福祉士認証・認定機構|認定介護福祉士養成研修カリキュラム

認定介護福祉士養成研修の受講要件

認定介護福祉士養成研修の受講要件は次の4点です。

・介護福祉士の資格保有者
・介護福祉士取得してから5年以上の実務経験
介護職員を対象とした現任研修の100時間以上の研修歴
・研修実施団体からのレポート課題※または、受講試験において一定水準の成績を収めている

ほかにも、介護職の小チーム(ユニットなど、5~10名の介護サービス提供チーム)のリーダー(ユニットリーダーやサービス提供責任者)としての実務経験や、居宅・施設サービス両方の生活支援の経験が必要な場合もあります。

また、認定介護福祉士養成研修Ⅱ類の受講は、Ⅰ類の修了者が対象です。

認定介護福祉士養成研修の受講要件は、自治体によって異なります。受講要件のない項目や「介護福祉士基本研修」「ファーストステップ研修」の受講を求められる場合もあります。

申し込みの際は、認定介護福祉士養成研修実施団体で確認しておきましょう。

認定介護福祉士養成研修を受けるには

認定介護福祉士養成研修を受けるためには「認定申請書」などの必要書類をそろえ、認定介護福祉士認証・認定機構に申請が必要です。

認定介護福祉士養成研修は、各自治体の介護福祉士会に申し込みをしてください。受講期間や受講費用は、自治体によって異なるため確認が必要です。

例えば長野県の場合、認定介護福祉士養成研修の受講費用は、594,500円とされています。※長野県介護福祉士会会員の場合、348,500円

その他の地域でも、同程度の費用がかかると考えられます。

認定介護福祉士養成研修の受講後の流れ

認定介護福祉士養成研修の修了後は、認定申請が必要です。申請すると認定介護福祉士として登録名簿に掲載され、登録証が交付されます。

認定介護福祉士の認定申請の流れは次のとおりです。

・認定申請書の提出
・認定書の交付
・認定介護福祉士の認定と登録

それぞれ見ていきましょう。

1.認定申請書を提出
認定申請には、次の書類が必要です。

・認定申請書
・介護福祉士登録証の写し
・認定介護福祉士養成研修修了証の写し
・認定費用の振込及び振込証明書

「認定申請書」「認定費用の振込及び振込証明書」については、認定介護福祉士認証・認定機構でダウンロードできます。

書類に必要事項を記入し「認定介護福祉士認証・認定機構」へ申請してください。

2.認定証の交付
認定介護福祉士認証・認定機構による審査後、認定証が交付されます。さらに、登録手続きが必要です。

3.認定介護福祉士の認定と登録
認定証の発行後は、登録申請が必要です。登録申請には、次の書類を準備しておきましょう。

・登録申請書
・認定証の写し
・登録費用の振込及び振込証明書

申請が終了すると、認定介護福祉士の登録証の交付と認定介護福祉士登録名簿に掲載されます。

また、認定介護福祉士は5年ごとの更新申請が必要です。更新時には、更新要項をクリアし、必要書類を提出する必要があります。

認定介護福祉士を取得するメリット・デメリット

認定介護福祉士の取得には、メリットとデメリットがあります。
次の項目から、認定介護福祉士を取得するメリットとデメリットをそれぞれ解説しています。

メリット

認定介護福祉士のメリットは、給与が上がる可能性があることです。認定介護福祉士は、介護のプロフェッショナルとしてサービスを提供するため、介護福祉士の上位資格に位置づけられています。

介護福祉士よりも専門的な知識を持つ、認定介護福祉士の資格を保有することで、役職に就いたり資格手当や役職手当が付いたりする可能性が高くなるでしょう。

また、認定介護福祉士は、介護リーダーへの指導や研修の機会を作る役割もあります。介護職員のモチベーションが上がれば、さらに質のよいサービスを提供できるため、やりがいも感じられるでしょう。

事業所の需要が高まれば、自身のキャリアアップや転職活動で有利になるなどのメリットも考えられます。

デメリット

認定介護福祉士になるデメリットは、認定介護福祉士養成研修の費用が高額なことです。認定介護福祉士養成研修を受講するためには、日本介護福祉士会の会員で約30万、非会員で約60万円の費用がかかります。認定介護福祉士養成研修の費用は、自治体によって異なります。

また、認定介護福祉士養成研修の受講時間は約600時間あり、期間にして1年半程度かかる点もデメリットです。

認定介護福祉士になるためには、介護福祉士として5年以上の実務経験が必要になります。無資格の方なら、介護福祉士の資格を取得しなければならず、介護福祉士の資格を取得するためには、3年以上の実務経験が必要です。

このように、認定介護福祉士になるためには、費用と時間がかかります。しかし、スキルを身に付けキャリアアップや昇給を目指すことも可能です。

今よりよい介護サービスを提供したいと考えている方は、認定介護福祉士養成研修の受講がおすすめです。

まとめ:認定介護福祉士は介護福祉士の上位資格!

この記事では、認定介護福祉士養成研修について解説しています。認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格であり、介護福祉士よりも専門的な知識やスキルを身に付けられます。

認定介護福祉士養成研修を受講するためには、介護福祉士として5年以上の実務経験があるなどの、受講要項があります。受講要項は、自治体によって異なるため、確認が必要です。

認定介護福祉士養成研修を受講するには、費用や時間がかかってしまいます。しかし、専門的な知識やスキルを生かして、今より優れた介護サービスを提供できるでしょう。

今後、事業所で人材育成の需要が高まれば、資格手当や給与のアップも期待できます。介護業界でキャリアアップを目指している方は、ぜひ、認定介護福祉士養成研修を受講して活躍してください。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。