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2023-04-14

言語聴覚士になるには?資格取得方法や試験内容を解説!

言語聴覚士は、病気やケガで失った言葉によるコミュニケーションや嚥下機能に対してリハビリテーションをおこなう仕事です。高齢者だけでなく、子どもの言葉の発達にも深い関わりがあります。

 

言語聴覚士は、対象者とじっくり向き合い、言葉で表現することが難しい人の思いをくみ取る力が必要となる仕事です。今後も高齢化が進み、社会的にも需要が高くなるでしょう。

 

この記事では、言語聴覚士になる方法を解説しています。言語聴覚士は、性別や年齢を問わず長く働けるなど、メリットの多い資格です。

 

言語聴覚士国家資格の受験資格や受験方法を詳しく知り、言語聴覚士として働く際の参考にしてください。

言語聴覚士になるためには?3つのルートを解説

言語聴覚士の仕事は、言語聴覚士法第36条第1項の規定により、「公益財団法人 医療研修推進財団PMET」がおこなう国家資格です。

言語聴覚士になるためには、次の3つのルートがあります。

・高校卒業後に言語聴覚士養成校などに進学する
・一般の4年生大学を卒業後に言語聴覚士養成校などに進学する
・一般の大学などで一定科目を履修後に指定された学校に進学する

いずれの方法でも、言語聴覚士養成校など指定された学校を卒業しなければ、言語聴覚士の国家試験を受験できません。

また、国家試験を受験する際には、卒業証明書や修業証明書が必要です。

高校卒業後に言語聴覚士養成校などに進学する

言語聴覚士になるためには、高校を卒業後、都道府県知事が指定した3~4年制の言語聴覚士養成校(専修・専門学校)に入学し、必要となる知識や技能を履修・卒業する必要があります。

一般の4年生大学を卒業後に言語聴覚士養成校などに進学する

一般の4年制大学を卒業した場合は、指定された大学や大学院の専攻科もしくは、2年制の言語聴覚士養成校で知識と技能を履修し、卒業する必要があります。

一般の大学などで一定科目を履修後に指定された学校に進学する

言語聴覚士の定めた、基準となる科目を大学で履修している方は、指定された学校で言語聴覚士に必要な知識と技能を習得します。1年間かけて専門知識を身に付けることで受験資格を得ることも可能です。

また、外国の大学などで言語聴覚士に必要な学業を履修している方は、厚生労働大臣に指定された書類を提出し、認定されると言語聴覚士の受験資格が得られます。

認定方法は、提出された申請書類から、日本の言語聴覚士養成所を卒業した人と同等以上であるかを日本の基準に沿って判定します。

認定に必要な書類は、厚生労働省のホームページから確認できます。また、郵送や代理で提出できないため、注意が必要です。

言語聴覚士の国家試験の受験方法

言語聴覚士の国家試験を受けるには「公益財団法人 医療研修推進財団PMET」へ受験案内の請求が必要です。

角2サイズ(縦約332㎜×横約240㎜)の封筒に210円分の切手を貼ります。住所(郵便番号も記載)・氏名を明記したものを返信用の封筒として準備し、下記の住所へ送付してください。


【請求先】
〒105‐0003
東京都港区西新橋1‐6‐11 西新橋光和ビル 7階
公益財団法人 医療研修推進財団PMET 試験登録部
※封筒の表に「受験案内請求」と朱書きしてください。


受験案内の請求の際は、必ず受け取れる住所を記載しましょう。また、送付する際は、封筒の裏にも受け取り住所を明記してください。なお、電話による請求はできないため、注意が必要です。

試験期日・試験地

試験日2月中旬
試験地北海道・東京都・愛知県・大阪府・広島県・福岡県

受験する際に、なにかしらの配慮が必要な方は10月末までに「公益財団法人 医療研修推進財団PMET」に問い合わせてください。障害などの状態に応じて配慮されます。

受験資格

言語聴覚士の受験資格は、指定科目を履修し、言語聴覚士養成校で必要な知識および、技能を取得した人です。詳しくは、下記の通りです。

・高校卒業後、文部科学大臣が指定した大学(3~4年制の大学・短大)に入学し、指定科目を履修後、1~2年制の言語聴覚士養成校に入学・卒業した人
・高校卒業後、都道府県知事が指定した言語聴覚士養成校(3~4年制の専修・専門学校)に入学・卒業した人
・一般4年制大学卒業後、指定された大学・大学院の専攻科もしくは、2年制の専修・専門学校を卒業した人
・言語聴覚士の一定基準となる科目を習得している場合は、指定校で1年間知識と技能を習得した人
・外国の大学などで言語聴覚に関する学業を修了し、厚生労働大臣に書類を提出・認定された人

また、該当する学校や指定科目は、厚生労働省のホームページや言語聴覚養成校などで確認してください。

国家試験申し込みの手続き方法

言語聴覚士の国家試験申し込み手続きに必要な書類は以下の通りです。

・受験願書
・写真(縦6㎝×横4㎝)
・修了証明書(修了見込み証明書・卒業証明書・卒業見込み証明書)

受験願書に記載する氏名は、戸籍で使用されている文字を正確に記載してください。また、願書に使用する写真の裏面に、撮影した年月日と氏名の記入が必要です。

写真は、医療研修推進財団で交付している受験写真用台紙に貼り、所定の項目を記入して提出します。

上記の書類はすべての受験者に該当しますが、受験資格を取得するルートによって、必要になる書類は異なります。

また、願書は「公益財団法人 医療研修推進財団PMET 試験登録部」で受付しており、郵送するか直接提出することが可能です。

願書の受付は、11月下旬~12月上旬です。持参する場合は、期間中の9:30~12:00・13:00~17:00の間で受付しています。ただし、土日・祝日は受付していないため、注意してください。また、郵送する場合は書留郵便で、願書受付期限までの消印が有効です。

試験科目

言語聴覚士の試験科目基礎医学
臨床医学
臨床歯科医学
音声・言語・聴覚医学
心理学
音声・言語学
社会福祉・教育
言語聴覚障害学総論
失語・高次脳機能障害
言語発達障害学
発声発語・嚥下障害学および聴覚障害学
合格基準点配点:1問1点(午前100問・午後100問 合計200問)
合格基準点:120点以上 / 200点

試験費用

言語聴覚士の試験費用は34,000円です。公益財団法人 医療研修推進財団PMETが指定する銀行または、郵便局の口座に振り込みしてください。振り込み費用は受験者で負担します。

受験票の発送

言語聴覚士国家試験の受験票は、2月上旬に郵送されます。

合格率

下記の表は、令和4年度から過去5年間の受験者と合格者から見た合格率を表しています。

受験年度受験者数合格者合格率
第24回(令和4年)2,593名1,945名75.0%
第23回(令和3年)2,546名1,766名69.4%
第22回(令和2年)2,486名1,626名65.4%
第21回(平成31年)2,367名1,630名68.9%
第20回(平成30年)2,531名2,008名79.3%

(参考:言語聴覚士国家試験の合格発表について|第20回~24回|厚生労働省

上記の表より、言語聴覚士国家試験の合格率は65~79%あり、過去5年間の平均では約71.6%です。

平均合格率が70%以上あることから、言語聴覚士養成校で必要科目を集中的に身に付け、学んだことを試験で発揮できれば合格を狙える難易度だといえるでしょう。

合格発表

3月下旬14:00以降に厚生労働省ホームページの資格・試験情報のページまたは公益財団法人 医療研修推進財団PMETホームページで発表されます。

言語聴覚士国家試験の受験地と受験番号が掲載されるため、受験票と照らし合わせて確認しましょう。

合格後の手続きと流れ

言語聴覚士国家試験に合格後は、免許申請の手続きが必要です。申請手続きは、試験の際に交付された必要書類をそろえて、公益財団法人 医療研修推進財団PMETへ送付します。


公益財団法人 医療研修推進財団PMET
〒105-0003東京都港区西新橋1-6-11西新橋光和ビル7F
TEL:03-3501-6592 FAX:03-3501-6593


詳しい内容は、公益財団法人 医療研修推進財団PMETの「言語聴覚士国家試験・免許登録」で確認してください。

※公益財団法人 医療研修推進財団PMETで行っています。ただし、2023年3月の時点では、詳細は記載されていません。

言語聴覚士の資格取得のメリット

言語聴覚士の資格を取得すれば、幼児から高齢者まで幅広い年齢層の言葉や聴覚、嚥下に課題を持つ人に対応できます。

たとえば、発達障害や聴覚障害を持つ子どもへの療育や、脳卒中が原因で失語症嚥下障害のある人への訓練や指導などが可能です。

日常的な支援をおこなうことで、今までできなかったことができる瞬間に立ち会えたり、子どもが成長する姿を見られたりするため、喜びとやりがいが感じられる仕事です。

また、言語聴覚士は、急患の対応もなく夜勤もありません。結婚や出産といった環境の変化が起きても時間の調整や職場復帰がしやすく働き続けやすい資格です。

言語聴覚士の約70%は女性が働いており、男女問わず活躍できる職業だといえるでしょう。働く場所も医療機関のみならず、介護保険施設や教育現場など幅広く働けます。

このように、言語聴覚士は多くの人のサポートができ、やりがいのある仕事です。性別や年齢を問わず働けるため、言語聴覚士の資格を取得することは、大きなメリットがあるといえます。

まとめ:言語聴覚士の国家試験を受けて、専門知識を生かした支援を!

この記事では、言語聴覚士国家試験の受験資格や受験方法について解説しました。言語聴覚士の国家試験を受けるには、言語聴覚士養成校などで必要な専門知識と技能を履修し、卒業する必要があります。

言語聴覚士国家試験は毎年2月中旬におこなわれます。11月下旬~12月上旬に願書受付をしているため、それまでに受験案内を請求し、必要な書類をそろえておきましょう。

言語聴覚士は、性別や年齢を問わず長く働けます。国家資格を取得していることから、社会的信頼を得られ、専門性を持って働くことができるでしょう。

言語聴覚士の国家試験の合格率は70%前後です。言語聴覚士養成校で学んだ内容を発揮できれば、十分合格を目指せるでしょう。言葉や嚥下機能の支援をおこないたい人は、ぜひ言語聴覚士を目指してみてください。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。