資格・就職・転職
2023-03-23
現役ケアマネにインタビュー!ケアマネージャーのリアルな仕事とやりがい(前編)
介護職の中で比較的給与が高く、職場や仕事の幅を広げられるケアマネージャーは介護の専門職としてキャリアアップしたい人に人気の職業です。
仕事内容は、要支援・要介護認定に関わる業務やケアプラン作成、給付管理などですが、リアルなケアマネージャーの仕事がどのようなものか、想像しにくいという人もいるのではないでしょうか。
そこで、現役ケアマネージャーのAさんに、ケアマネージャーを目指したきっかけや実際の働き方などを伺いました。
ケアマネージャーとは?
ケアマネージャーとは、介護を必要とする方が円滑に介護保険サービスを利用できるよう、ケアプランの作成やサービス事業者との調整などをおこなう、介護保険のスペシャリストです。
介護職の中でも最上位クラスの資格ともいわれ、介護に関わる職種の中では給与が高い傾向にあります。
資格を取得すると、居宅介護支援事業所や介護施設の他、地域包括支援センターなどでも働くことができ、将来的にケアマネージャー事務所を開業することも可能です。
職場や仕事の幅を広げられるケアマネージャーは、介護職でキャリアアップを目指す人に人気の資格です。
現役ケアマネージャーにインタビュー
介護福祉士からケアマネージャーへとキャリアアップし、現在は主任ケアマネージャーとして、地域の介護福祉を発展させる活動もおこなっているAさんに、ケアマネージャーの実際の仕事内容や、やりがいについて伺いました。
―はじめに、Aさんが福祉業界に就職した理由についてお聞かせください。
「小学生の頃、両親が共働きで所謂かぎっ子だったんですが、学校から帰ると近所のおじいちゃんおばあちゃんがよく面倒を見てくれました。それで自然と介護の仕事に就きたいと考えるようになり、介護福祉士の資格が取れる専門学校に進みました」
―ケアマネージャーになるまでに、どのような仕事を経験されましたか?
「専門学校を卒業後、地元近くの特別養護老人ホームに就職し、三交代勤務のユニットケア型介護の職員として介助業務をおこない、ユニットリーダーも務めました。その後、同じ法人の介護付き有料老人ホームでも経験を積んだ後、医療系に強い老人保健施設の仕事も経験したいと考え転職し、老人保健施設の職員として働きました。
介護の仕事を続ける中で、ケアマネージャーの受験資格を満たしたので、資格を取得し、ケアマネージャーとして働き始めました」
―ケアマネージャーを目指したきっかけはありますか?
「当時から、ケアマネージャーは介護職のステップアップの資格とされていました。私は介護の仕事が好きで、長く続けていくために必然的に取らなければならない資格という認識があり、仕事を始めた頃から受験資格を満たしたら取ろうと考えていました」
―資格取得で苦労したことはありますか?
「やはり仕事と勉強の両立ですね。実は一度目の受験では仕事が多忙で勉強時間があまり取れず落ちてしまいました(笑)。そこで、二度目の受験の時は、どんなに忙しくて疲れていても毎日仕事から帰って1時間勉強すると決めて取り組み、合格することができました」
―実際にケアマネージャーの仕事を始めてみて、大変だった点はありますか?
「ケアプランを作成するために利用者さんのお宅に訪問し、ご本人のお体の状態や家の中の状況などを情報収集するアセスメント業務があるのですが、国で規定されたアセスメント書式の項目がとにかく膨大で、最初は何を聞いたらよいのかわからず、利用者さんも言いたいことをバンバン言ってくるため、とても時間がかかりました。要点をついた質問ができるようになるまでは本当に大変でしたね」
―ケアマネージャーとしてのキャリアについて教えてください。
「資格取得後、就職した特別養護老人ホームの施設長さんに『資格を持っているならやってみないか』と言ってもらえたので、施設ケアマネとしてゼロからスタートしました。
そこで、約80名の利用者さんを担当して経験を積みながら、看取り介護の委員会を立ち上げ、委員長として看取り介護の指針の作成や施設での看取り介護の仕組みづくりに取り組みました。近年、特別養護老人ホームは終の棲家として、看取り介護の役割を期待されているので、本当によい経験だったと思います。
その後、ケアマネージャーを続けるにあたって、居宅ケアマネの経験も必要と考え、転職して居宅ケアマネの仕事に従事し、主任ケアマネージャーの資格を取得して、現在は居宅の管理者を任されています」
―ケアマネージャーの重要な仕事にケアプラン作成がありますが、ケアプランを作成する上で難しさや注意点などはありますか?
「ケアプランを作成するために利用者さんのお宅で聞き取りをすると、利用者さんとご家族の希望が真逆なことが多いんですね。また、希望するサービスに介護保険が使えるものと使えないものもあり、皆さんが納得できるように調整する部分は難しいです。同時にケアマネージャーとしての腕の見せどころでもあります。
注意点は、ケアプランの期限が切れないよう管理を徹底することです。ケアプランが切れてしまうと利用者さんがサービスを利用できなくなってしまいます。煩雑な業務の中でも毎月必ずケアプランの期限を確認することは怠らないようにしています」
―Aさんのケアマネージャー業務のリアルな1日のスケジュールを教えてください。
「1日中訪問に行く日もあれば、事務作業に徹する日もあります。ケアマネージャーの業務はひと月で流れがあり、初旬、中旬、下旬で内容が違ってきます。
初旬は介護保険サービスの利用で発生する介護給付費の管理(給付管理)が主な仕事です。前月分の実績についてサービス内容と単位数を精査し、毎月10日の締め切りに間に合うよう、国民健康保険団体連合会に提出する書類を作成します。
中旬は、主に担当している利用者さんのお宅に訪問し、サービスの満足度やプランがちゃんと実施されているかを聞き取るモニタリング業務をおこないます。モニタリングは1か月に1度必ずおこなう規定があり、訪問後は結果の記録もおこないます。
下旬は、期限が切れるケアプランに対して、サービス担当者会議を実施し、利用者さんが継続してサービスを受けられるようにケアプランを作り直して、各事業所や利用者さんに交付します。このような1か月の流れで仕事をしています」
―仕事をする中で、ケアマネージャーならではのやりがいはどういうところでしょうか?
「居宅ケアマネは、利用者さんのお宅にケアマネージャーが訪問してお話を伺うので、利用者さんはリラックスして遠慮なく何でも話してくれます。雑談がなかなか終わらないこともありますが、それもまた楽しくて、より深く利用者さんの人生をサポートさせてもらっていると感じますね。
ケアプランに沿った支援の結果、利用者さんが安定した生活を送れるようになり、ご本人やご家族から喜んでいただけた時は大きなやりがいを感じます。また、利用者さんが亡くなった時にご家族から感謝の言葉をいただくことも多いです。そういった時に、大変だったけどやっていてよかったなと、心から思います」
―利用者さんやご家族と接する上で、何か心がけていることはありますか?
「ケアマネージャーは自立を支援する仕事です。あくまでサポート役として、利用者さんの気持ちに対して、良い、悪いといった審判的な態度を取り、勝手に内容を決定することがないように常に意識しています。
また、座る位置や目の高さ、声のトーンなどに気を配り、喋りやすい雰囲気づくりを心がけています。『この人は話を聞いてくれる人だな』と、思ってもらえるように、話を聞く姿勢については、いつも念頭に置いています」
インタビュー後編では、Aさんが大阪府豊中市と取り組んでいる通所訪問型短期集中サービスや地域包括支援センターの仕事について伺います。