介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 資格・就職・転職 【最短で何年?】ケアマネージャーになるまでの流れと必要な実務経験を解説

資格・就職・転職

2023-06-15

【最短で何年?】ケアマネージャーになるまでの流れと必要な実務経験を解説

ケアマネージャーになるには、どのような条件があるのか疑問に思う方もいるでしょう。

 

ケアマネージャーとして働くには、実務経験を積んだ上で試験に合格しなくてはいけません。

 

基本的には、数年に及ぶ期間が必要になるため、あらかじめ条件や流れを把握しておくことが重要です。

 

この記事では、ケアマネージャーになるために必要な実務経験について紹介します。

ケアマネージャーになるには?

ケアマネージャーになるには、年に1度実施されるケアマネージャー試験(介護専門支援員実務研修受講試験)に合格しなくてはいけません。

ケアマネージャーには、介護保険制度要介護認定制度の知識のほか、マネジメント力など、さまざまなスキルが求められます。

ほかの介護職と比較してケアマネージャーになるまでの道のりは長く、難易度も低くありません。さらに、年々そのハードルは上昇傾向です。

まずは、実務経験を通してスキルを磨きながら、受験資格の条件を満たすところを目指すかたちになるでしょう。

ケアマネージャー試験の概要

ケアマネージャーは国家資格ではありません。そのため試験も都道府県が認定する公的試験です。

これから、試験の内容や合格率を紹介します。それぞれ確認してみましょう。

試験内容

ケアマネージャー試験では、5肢複択のマークシートが採用されており、出題される科目は主に2種類です。

それぞれ、介護支援科目と保健医療福祉サービス科目で、全部で60問出題されます。

介護支援科目の出題内容は、介護保険制度やサービス計画の基礎知識などです。保健医療福祉サービス科目では、保健・医療の知識や福祉サービスについて出題されます。

試験に合格するには、介護支援・保健医療福祉サービスの両科目で、7割以上の点数を取らなくてはいけません。

試験時間

試験時間は120分で、例年10:00〜12:00に実施されます。

1問あたり2分程度の時間が使える計算ですが、緊張とプレッシャーから、思ったより短く感じる方もいるかもしれません。

難しい問題がある場合はあまり悩みすぎず、わかる問題から優先的に解いていきましょう。

点字や弱視の受験者は、状況に応じて試験時間の延長措置が受けられます。必要な場合は、試験申し込みとあわせて申請しましょう。

合格率

ケアマネージャー試験の合格率は、例年10〜20%前後で推移しています。

過去5年分の合格率を、以下の表で見てみましょう。

実施年度受験者数合格率
2022年度54,406人19.0%
2021年度54,290人23.3%
2020年度46,415人17.7%
2019年度41,049人19.5%
2018年度49,332人10.1%

(参考:介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況等 |厚生労働省

2018年度は、法改正によって試験内容や受験資格が大きく変更されました。その影響もあり、一時的に合格率が低迷しています。

過去のデータから、本年度の合格率も20%前後になると予想できるでしょう。

ケアマネージャー試験の受験資格

ケアマネージャー試験を受験するには、一定の条件を満たす必要があります。

ケアマネージャーを目指す場合は、受験資格となる条件を理解しておかなければいけません。

受験資格には、どのような条件があるのか、以下で確認してみましょう。

規定の国家資格または相談業務での実務経験

ケアマネージャー試験を受験するために必要な条件の1つ目は、規定の国家資格または相談業務での実務経験です。

該当の国家資格・業務内容は、以下のとおりです。

国家資格・該当業務医師・薬剤師・看護師・准看護師・助産師・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・歯科医師・歯科衛生士・介護福祉士・社会福祉士・保健師・栄養士・管理栄養士・精神保健福祉士・視能訓練士・義肢装具士・鍼灸師・あんまマッサージ指圧師・柔道整復師・支援相談員・生活相談員・主任相談支援員・相談支援専門員

ケアマネージャー試験を検討する際は、ご自身の資格・業務が条件に該当するか確認しましょう。

条件に当てはまらない場合は、まず上記に記載のある資格または業務での実務が必要です。

該当業務で5年以上の実務経験

条件の2つ目は、規定の国家資格または業務において、5年(900日)以上の従事です。

該当資格を所持している場合でも、関連のない業務は対象外のため注意しましょう。実務日数が足りない場合は、該当資格に直接関係のある内容での従事が必要です。

必要な実務経験の計算方法

実務期間の計算は勤務開始日からではなく、資格登録日からおこないます。

実務期間中に産休や育休を取った場合は、休暇期間を差し引いて計算されるため注意が必要です。

職場を変更せずに5年以上の勤続期間がある場合は、簡単に計算できます。一方で、短期間で職場を変更している場合は、それぞれで勤務日数を計算しなければいけません。

直近の職場から勤務期間を計算していき、累計で5年(900日)以上になるまでさかのぼります。

職場が複数ある場合には、それぞれの職場で実務経験証明書を発行してもらいましょう。

ケアマネージャーになるには最短で何年かかる?

ケアマネージャーになるには、数年に及ぶ長い下積み期間が必要です。

そのため、これからケアマネージャーを目指す場合は、長期的な視点で計画を立てる必要があります。

どのような段階を踏んでいくのか、あらかじめビジョンを明確にしておきましょう。

これから、ケアマネージャーになるまでに必要な年数を、条件ごとに紹介します。それぞれ確認してみましょう。

受験資格や条件が揃っている場合

該当の国家資格や相談業務の経験が5年以上ある場合は、すぐにケアマネージャー試験を受験できます。

一方で、ケアマネージャー試験の合格率は、例年20%前後と高くありません。実務経験がある方でも、受験対策は必要不可欠です。

試験勉強に必要な期間は、6〜12か月を目安にするとよいでしょう。

無資格からケアマネージャーを目指す場合

未経験・無資格の方がケアマネージャーを目指す場合、最短でも8年以上かかります。試験を受験するには、該当の国家資格で5年以上の実務経験が必要です。

無資格からケアマネージャーを目指す方法の1つとして、介護福祉士を経由するルートがありますが、介護福祉士になるには3年以上の介護経験が必要です。

ケアマネージャーになるには、該当の国家資格を取るまでに3年以上の期間と、その後に5年以上の実務経験が必要になることを覚えておきましょう。

介護福祉士からケアマネージャーを目指す場合

介護福祉士からケアマネージャーを目指す場合、5年(900日)以上の勤務経験があれば試験の受験が可能です。

実際に、介護福祉士からケアマネージャーを目指す方は多く、試験の合格者の約半数が介護福祉士となっています。

介護福祉士になったばかりの場合であれば、ケアマネージャーを目指すまでの目安期間は5年になるでしょう。すでに介護福祉士としての勤務経験がある場合は、さらに期間は短くなります。

法改正によって変更になる場合がある

ケアマネージャーの受験資格は、法改正によって変更になる可能性があります。

直近では、2018年に受験資格の見直しがおこなわれました。例えば、無資格の場合でも、介護業務に10年従事することで受験資格が与えられていましたが、現在は廃止になっています。

今後も、法改正によって受験資格が変更になる可能性があります。ケアマネ-ジャーを目指す際は、事前に受験資格を確認しておきましょう。

ケアマネージャーとして働くまでの流れ

ケアマネージャーになるには、さまざまな条件をクリアしていかなければいけません。

これから、ケアマネージャーとして働くまでの流れを、順番に解説します。

それぞれ確認してみましょう。

実務経験を満たして受験資格を得る

ケアマネージャーになるには、まずケアマネージャー試験に合格しなくてはいけません。

そのためには、事前に受験資格の条件を満たす必要があります。

無資格・未経験からケアマネージャー試験を目指す場合は、8年以上の期間が必要です。

該当の国家資格を取得した後に、規定の業務で5年以上の勤務を目指しましょう。

ケアマネージャー試験に合格する

ケアマネージャー試験の受験資格を満たしたら、試験合格を目指します。

ケアマネージャー試験の合格率は20%前後と低く、簡単な道のりではありません。試験対策を万全におこなった上で挑みましょう。

独学での試験勉強が不安な場合は、スクールや通信講座を利用する方法があります。ご自身に合う方法で、学習計画を立てましょう。

ケアマネージャー試験合格後に実務研修を受ける

試験に合格して終わりではありません。ケアマネージャーとして働くためには、試験合格後に実務研修の受講が必要です。

実務研修では、介護保険制度の知識のほか、ケアマネジメントやコミュニケーションスキルを学びます。

実習カリキュラムは87時間で構成されており、スケジュールは実施場所によって異なります。実務研修を受講する際は、ご自身に該当する受験地で確認しましょう。

登録申請と介護支援専門員証の発行

実務研修を修了した後は、介護支援専門員資格簿への登録申請をおこないます。

実務研修修了書を受け取ったら、3か月以内に各都道府県へ提出しましょう。期限を過ぎてしまった場合、実務研修を再度受講しなければいけないため、注意が必要です。

登録申請と同時に、介護支援専門員証の交付申請をおこないましょう。必要な手続きや手数料は、都道府県によって異なるため、該当の地域での確認が必要です。

以後5年ごとの更新手続き

介護支援専門員証が交付された日から、ケアマネージャーとして働くことができます。

介護支援専門員証には有効期限があり、ケアマネージャーとしての業務を継続する場合は、5年ごとに更新しなくてはいけません。

更新手続きは、有効期限満了日の60日前から可能です。有効期限の1〜2か月前を目処に手続きをするとよいでしょう。

更新後の新しい介護支援専門員証は、有効期限が満了すると交付されます。古い介護支援専門員証は、有効期限満了後に返還しましょう。

ケアマネージャーになるには実務経験が必要

ケアマネージャーとして働くまでには、数年に及ぶ期間が必要です。まずは、ケアマネージャー試験の受験資格を得ましょう。

受験資格を得るには、規定の国家資格または該当業務で5年以上の勤務が必要です。未経験・無資格の場合は、国家資格の取得から始まるため、さらに期間は延びます。

ケアマネージャーを目指す際は、事前に試験合格までの道のりや、必要な期間をイメージしておくとよいでしょう。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。