資格・就職・転職
2023-06-06
【2023年度】ケアマネージャー試験の難易度は?受験までの流れやポイントを解説
ケアマネージャーになるには、ケアマネ試験に合格しなくてはいけません。
受験を検討する場合は、事前に受験資格や試験の概要を把握しておくことが重要です。
この記事では、受験資格の詳細と試験の難易度を解説します。合格率や、試験に向けてのポイントもあわせて紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ケアマネージャー試験の概要
ケアマネージャー(介護支援専門員)は2000年に導入された資格です。
ケアマネージャーになるためには、条件を満たした上で試験に合格しなくてはいけません。
ケアマネ試験と略される場合がありますが、正式名称は「介護支援専門員実務研修受講試験」です。
それでは、ケアマネージャー試験の詳細を確認してみましょう。
ケアマネージャー試験の実施日
ケアマネージャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)は年に1度、10月頃に実施されます。
なお、令和5年度(第26回)のケアマネージャー試験は、10月8日(日)午前10時の実施予定です。
試験の申し込み時期
試験申し込みの時期は例年6月〜7月頃となっており、受験地によって若干異なります。令和5年度の受付時期は、5月下旬〜7月上旬です。
受験地は自由に選べないため、注意しましょう。誤った受験地で申し込みをおこなった場合、受理ができないため再提出が必要になります。
不測の事態を防ぐためにも、自身の受験地を事前によく確認しておきましょう。
合格発表の時期
ケアマネージャー試験の合否は、試験実施日の概ね2か月後に発表されます。
試験は10月上旬に実施されるケースが多いため、結果発表は12月上旬になることが多いです。
令和5年度の合格発表は、12月4日(月)の予定となっています。
ケアマネージャー試験の受験資格
ケアマネージャー試験を受けるには、受験条件を満たしている必要があります。
どのような条件があるのか、以下で確認してみましょう。
規定の国家資格所持または相談業務に従事
まず1つ目の条件として、規定の国家資格または相談業務への従事があげられます。
該当する国家資格は、以下のとおりです。
医師・薬剤師・作業療法士・理学療法士・看護師・准看護師・歯科医師・歯科衛生士・助産師・介護福祉士・社会福祉士・保健師・精神保健福祉士・言語聴覚士・視能訓練士・栄養士(管理栄養士)・義肢装具士・きゅう師・あんまマッサージ指圧師・はり師・柔道整復師
その他、生活相談や支援相談などの該当業務によって、条件を満たすことも可能です。
規定の業務において実務経験5年以上
さらに、規定の国家資格・相談業務に関する内容で、5年(従事日数900日)以上の実務経験が必要になります。
該当の資格を所持している場合でも、直接関係のない業務や育休・産休などの休暇期間は、実務日数に含まれないため注意が必要です。
実務日数を計算する場合は、勤務開始日ではなく、資格登録日からカウントされます。
2018年に受験資格が変更された
2018年に、ケアマネージャー試験の受験資格が大きく変更されました。
例えば、それまで無資格の場合でも、特定の条件によって受験資格が与えられていましたが、現在は廃止になっています。
その他、ホームヘルパーや介護職員初任者研修などに適用されていた受験資格も変更になっているため、自身が受験資格に該当するか事前に確認しておきましょう。
ケアマネージャー試験の内容
ケアマネージャー試験は、ほかの介護資格と比較して難易度が高いと言われています。
どのような問題が出題されるのか、以下で確認してみましょう。
問題数
ケアマネージャー試験の問題数は、全部で60問です。
それぞれ、介護分野から25問・保健医療福祉サービスから35問出題されます。
保健医療福祉サービスの内訳は、基礎知識15問・総合問題5問・福祉知識15問の全35問です。
試験時間
試験時間は120分です。
試験問題は60問あるため、1問あたり2分以内に回答しなくてはいけません。
点字や弱視などの受験者の場合は、状況に合わせて試験時間が延長されます。
試験時間の延長措置を希望の場合は、該当の都道府県に問い合わせましょう。
なお、令和5年のケアマネ試験は、午前10時〜12時の実施予定となっています。
出題方式
ケアマネ試験では、一般的に5つの選択肢から複数回答するマークシート方式が採用されています。
例えば、介護福祉士の試験では5つの選択肢から1つ回答すればよいのに対して、ケアマネ試験では複数回答しなければいけません。
合格点を得るには、複数回答をすべて正答する必要があります。
試験の難易度
ケアマネ試験は、その他の介護試験と比較して難易度は高めです。
ケアマネージャーには、介護資格の中でもより専門的で幅広い知識が求められます。
また、試験では5肢複択が採用されており、1つでも不正解の場合は点数を得られません。
このような理由から、ほかの介護試験と比較して、ケアマネ試験の難易度が高いと言われています。
ケアマネージャー試験の合格率
ケアマネージャー試験の難易度が高いと言われる理由を解説してきました。
ここからは、毎年どのくらいの方がケアマネ試験に合格しているのか紹介します。
例年の合格点や合格率を、それぞれ確認してみましょう。
過去の合格点の推移
まず、ケアマネ試験の過去の合格点を紹介します。
以下の表に、過去5年分の合格点をまとめました。
実施年度 | 介護科目(全25問) | 保健福祉科目(全35問) | 合計 |
---|---|---|---|
2022 | 18点 | 26点 | 44点 |
2021 | 14点 | 25点 | 39点 |
2020 | 13点 | 22点 | 35点 |
2019 | 15点 | 24点 | 39点 |
2018 | 13点 | 22点 | 35点 |
合格点は一定ではなく、年度によって異なることがわかります。
参考目安として把握しておくとよいでしょう。
合格率は10〜20%
続いて、ケアマネ試験の合格率を紹介します。
過去5年分の合格率をまとめたものが、以下の表です。
実施年度 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|---|
2022 | 19.0% | 54,406人 | 10,328人 |
2021 | 23.3% | 54,290人 | 12,662人 |
2020 | 17.7% | 46,415人 | 8,200人 |
2019 | 19.5% | 41,049人 | 8,018人 |
2018 | 10.1% | 49,332人 | 4,990人 |
最も合格率が高かったのは、2021年(第24回)の23.3%です。一方で、2018年が過去最低になっていますが、法改正による受験内容の変更や、厳格化が要因になっていると考えられます。
合格ライン
ケアマネ試験に合格するには、介護科目・保健医療福祉科目の両方で70%以上の正答が求められます。
年度によって若干合格点が異なるため、目安として把握しておくとよいでしょう。
例年通りであれば、介護科目で16点、保健医療福祉科目で24点、合計40点前後が合格ラインだと予想されます。
試験勉強では、これらのラインを基準に対策するとよいでしょう。
合格者の職種別比率
最後に、ケアマネ試験の合格者を職種別で紹介します。
以下の表が、2022年度の合格者を職種別にまとめたものです。
職業 | 人数 | 全体との比率 |
---|---|---|
医師 | 30人 | 0.3% |
歯科医師 | 32人 | 0.3% |
薬剤師 | 110人 | 1.1% |
保健師 | 216人 | 2.1% |
助産師 | 21人 | 0.2% |
看護師・准看護師 | 1,849人 | 17.9% |
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 925人 | 9.0% |
視能訓練士・義肢装具士 | 23人 | 0.2% |
歯科衛生医師 | 122人 | 1.2% |
あんま指圧師・はり師・きゅう師 | 169人 | 1.6% |
柔道整復師 | 159人 | 1.5% |
栄養士・管理栄養士 | 133人 | 1.3% |
社会福祉士 | 815人 | 7.9% |
介護福祉士 | 6,096人 | 59.0% |
精神保健福祉士 | 109人 | 1.1% |
※相談支援業務従事者 | 198人 | 1.9% |
合計 | 11,007人 |
出典:第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
最も多いのは、介護福祉士からケアマネージャーを目指すケースで、半数以上を占めています。続いて、多いのは看護師・准看護師で5分の1程度です。
無資格からケアマネージャーを目指す場合は、ぜひ参考にしてみてください。
ケアマネージャー試験を受験する手順
ケアマネージャー試験を受験する際は、事前に流れを把握しておくことが重要です。
これから、ケアマネージャー試験までの流れを解説します。
流れに沿って、確認してみましょう。
受験資格を満たす
まずは、自身の状況が受験資格に該当するか確認しておきましょう。
受験資格の詳細は、以下のとおりです。
・規定の国家資格または該当の相談業務での従事経験がある方
・該当の業務において5年(900日)以上の勤務実績がある方
勤務実績のカウント開始日は、勤務開始日ではなく資格登録日になるため注意しましょう。
申し込み時点で条件を満たしていない場合でも、試験前日までにクリアできる場合は、受験が可能です。
令和5年の試験予定日は10月8日となっています。
願書を受け取る
受験資格に該当する場合は、願書を手配します。
願書は、各都道府県や自治体、試験実施団体などで入手可能です。願書の配布開始時期は、毎年6月〜7月頃となっており、各都道府県によって異なります。
下記のリンクから、願書の入手場所の確認が可能です。
参考:[介護支援専門員]:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
原則として、自身の勤務地がある都道府県(勤務をしていない場合は住所がある都道府県)が、受験地となります。
願書配布期間は1か月ほどしかないため、余裕を持って準備を進めましょう。
期限内に願書を提出
願書は、期限をよく確認して間に合うように提出しましょう。
締切日や提出期限、手続き方法は受験場所によって異なるため、自身に該当する都道府県での確認が必要です。
参考:[介護支援専門員]:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
また、受験料の支払いは、申し込み締切日までの受領印が必要になります。1日でも過ぎると無効になってしまうため、注意しましょう。
郵送にかかる時間や配送トラブルを考慮して、早めに提出するのがおすすめです。
受験票の受け取り
願書が受理されると、受験票が届きます。
試験当日に必要になるため、無くさないように大切に保管しておきましょう。
試験日2週間前になっても届かない場合や、紛失してしまった場合は、担当の窓口に問い合わせをおこないます。
ケアマネージャー試験に向けてのポイント
これから、ケアマネージャー試験に向けての心構えや、受験対策のポイントを紹介します。
それぞれ確認してみましょう。
基礎知識は確実に抑える
まずは、最低限の業界用語や基礎となる知識を押さえておきましょう。
試験当日は、1問に使える時間が2分程度しかありません。難しい問題や悩む問題は、後回しにする場合もあるでしょう。
そのため、基礎となる問題でなるべく点数を稼いでおきたいところです。基礎知識は確実に取れるように、対策しておきましょう。
過去問テキストやアプリを活用する
自分で学習を進める場合、過去問は必ず解いておきましょう。
試験の傾向や流れがわかるほか、重要な内容については毎年同じような問題が出る場合があります。
過去問はテキストやアプリなど、自分に合うものを選択するのが大切です。目安として、直近5年分の過去問をさらっておくとよいでしょう。
それぞれの科目で7割以上取れるように学習する
ケアマネ試験では、介護科目と保健医療福祉科目で合格点が設定されています。合格ラインの目安は、それぞれ7割以上の正答です。
苦手な科目がある場合は、どちらかに偏らないように、工夫しながら学習を進めましょう。
試験当日の時間配分の練習を組み込む
試験当日は、60問を120分で解答し終えなければいけません。
本番でいつも通りの力が発揮できずに、焦ってしまう可能性も考えられます。
本番で焦らないためにも、普段から本番を意識した練習を取り入れておくとよいでしょう。
ケアマネージャー試験合格後の流れ
ケアマネージャー試験に合格しただけでは、ケアマネージャーとして働くことはできません。
試験に受かってから、ケアマネージャーとして働くまでの流れを解説します。
それぞれ確認してみましょう。
ケアマネージャー実務研修を受講する
ケアマネージャー試験合格後は、実務研修を受けます。
内容は、書類作成に必要な知識や保険制度を学ぶ講義と、介護スキルやケアマネジメントなどを学ぶための実習です。
研修は全部で87時間用意されており、日程は開催地によって異なります。自身に該当する開催地のスケジュールを確認しておきましょう。
ケアマネージャー資格簿へ登録
実務研修がすべて修了した後は、3か月以内に各都道府県に対して、資格簿への登録手続きをおこないます。
必要な書類や手続き方法は、合格通知書に同封の案内冊子で確認が可能です。わからないことがある場合は、各都道府県の担当窓口へ問い合わせましょう。
介護支援専門員証の申請
ケアマネージャーとして働くには、実務研修の修了と資格簿への登録のほかに、介護支援専門員証の交付手続きが必要です。
介護支援専門員証の交付に必要な主な書類は、以下のとおりです。
・介護支援専門員証交付申請書
・証明写真
・手数料など
手続きの方法や手数料は、各都道府県によって異なるため確認が必要です。
介護支援専門員証の申請は、資格簿への登録申請と合わせておこなうとよいでしょう。
介護支援専門員証の交付
介護支援専門員証は、申請から1〜2か月で交付されます。
介護支援専門員証が交付された日から、ケアマネージャーとしての勤務が可能です。
介護支援専門員証が初めて交付された日から、以後5年ごとに更新手続きをおこないます。更新手続きは有効期限の満了日60日前から可能です。
更新手続きをおこなった場合は、有効期限満了後に新しい介護支援専門員証が届きます。有効期限が切れてしまわないように、次回の更新時期を把握しておきましょう。
ケアマネージャー試験の受験計画は余裕を持って立てよう
この記事では、ケアマネージャー試験の受験資格や合格率を紹介しました。
ケアマネージャーになるには、試験に合格した上で実務研修を修了しなくてはいけません。試験内容は、ほかの介護資格試験と比較して難易度が高い傾向があります。
試験に受かるためには、計画的に受験勉強をすすめていくことが重要です。余裕を持ってスケジュールを立てて、準備を心がけましょう。
ケアマネージャー試験の受験を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。