介護情報メディア ケアケア 一般介護向けコラム 介護サービス・制度 介護保険被保険者証(介護保険証)とは?保険証の役割や利用方法、受け取り方を徹底解説!

介護サービス・制度

2023-04-18

介護保険被保険者証(介護保険証)とは?保険証の役割や利用方法、受け取り方を徹底解説!

保険証には、医療保険証のほかに介護保険証があります。介護保険証の適用条件や、どのようなサービスが利用できるのか気になる方もいるでしょう。介護保険証だけでは、介護保険サービスは利用できないため注意が必要です。

 

この記事では、介護保険証の特徴や適用条件を紹介します。保険証の更新手続きや、住所変更も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

介護保険被保険者証とは

介護保険を利用して介護サービスを受ける際に必要なのが、介護保険保険者証です。それぞれの年齢や身体状況によって、介護保険証の交付方法、保険料の負担額が異なります。

以下で詳しく確認してみましょう。

第1号介護保険被保険者

65歳になると、第1号介護保険被保険者になり、介護保険証が各市町村から郵送で自宅に届きます。とくに必要な手続きはなく、自動的に送られてきますが、市町村の役所窓口での受け取りも可能です。

施設入所や入院などの都合で自宅での受け取りが困難な場合は、入所先の施設や、親族の住所へ送付することもできます。

介護保険証が届いても要介護認定を受けていない場合は、介護保険サービスを利用できないため注意しましょう。

第2号介護保険被保険者

40歳から65歳未満の方で、医療保険に加入している場合は、第2号介護保険被保険者になります。

条件を満たしている場合は、自動的に分類されるため特別な手続きは必要ありません。原則として、第2号介護被保険者の場合は、介護保険サービスを利用できないため注意しましょう。

例外として、末期がんや関節リウマチなど、16種類の特定疾病に該当する場合は、65歳未満でも介護保険サービスが利用できます。該当疾患のある第2号被保険者の方で、介護保険サービスを利用する場合は、各市町村の担当窓口で介護認定の申請をおこないましょう。

介護保険被保険者証を使う場面

介護保険証は、どのような場面で使用するのか確認してみましょう。

介護保険証が必要になるのは以下の3つです。

・要介護認定の申請時
・介護(予防)サービス計画書の作成時
介護給付費の支給申請をおこなう時

介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受けなければなりません。要介護認定の申請時に、担当窓口へ介護保険証の提出が必要です。

介護サービスを利用する際、介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)が作成されます。この時、介護サービス事業者や地域包括支援センターへ介護保険証の提示が必要です。

福祉用具購入や、住宅改修の際にかかった費用に対して、介護給付の支給申請ができます。支給申請をする場合は、各市町村の担当窓口に、申請書と介護保険証の提出が必要です。

介護保険被保険者証の受け取り方

介護保険証は、基本的に65歳になる月に各市町村から郵送で届きます。送り主の担当部署名は、自治体によってさまざまです。

原則として65歳未満の方は、介護保険証は交付されないため、受け取ることはできません。

65歳未満で特定疾病に該当する方で、介護サービスの利用を希望する場合は、要介護認定を受けることで介護保険証が交付されます。

介護保険料の納付額の違い

年齢や状況によって、それぞれ介護保険料の納付方法や徴収額が異なります。介護保険の納付額や介護保険サービス利用時の負担額、納付方法の違いを以下で確認してみましょう。

第1号介護保険被保険者

第1号被保険者の介護保険料の納め方には、2通りあります。年金からの天引きによる特別徴収と、納付書や口座振替による普通徴収です。

特別徴収は「老齢年金・障害年金・遺族年金」などを受給している方で、年額18万円以上受け取っている人が対象になります。

天引きによって介護保険料を差し引いた額が、年金として受け取れる金額です。

第2号介護保険被保険者

第2号介護保険被保険者は、健康保険組合や共済組合などから、医療保険と介護保険を合わせて徴収されます。

保険料の計算は、標準報酬月額が採用されており、等級によって納付額はさまざまです。

標準報酬月額とは、毎年4〜6月の給与額を平均した額で、等級に応じて健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料などが決定されます。

サービス利用料の負担額の違い

介護保険サービスを利用する際の負担額は、所得によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

それぞれの前年の所得に応じて1〜3割を負担します。負担額は、要介護(要支援)認定を受けた際に交付される「介護保険負担割合証」で確認可能です。

介護保険で利用できるサービス

介護サービスには保険が適用できるものと、適用できないものがあり、介護保険法によって条件が定められています。サービス内容や利用条件によっては、介護保険が適用されないため注意しましょう。

これから、介護保険適用の条件や介護保険で利用できるサービスを紹介します。それぞれ確認してみましょう。

介護保険適用の条件

介護保険サービスを利用する場合は、要介護(要支援)認定を受けなければいけません。介護保険被保険者証を持っているだけでは、介護保険サービスは利用できないため注意が必要です。

介護保険サービスの利用を検討中の方で、要支援・要介護の認定を受けていない場合は、事前に要介護認定の申請をおこないましょう。

在宅サービス

介護保険を利用できる在宅サービスには、以下のようなものがあります。

・訪問介護(予防)
・訪問看護
・訪問リハビリなど

それぞれの専門職が自宅に訪問しておこなう介護サービスが中心で、要支援・要介護1〜5の方が利用可能です。その他、介護保険の規定に該当する福祉用具レンタルや購入・自宅リフォーム費用についても介護保険を利用できます。

通所サービス

介護保険で利用できる通所サービスは以下のとおりです。

・デイサービス(通所介護・通所介護予防)
・通所リハビリ(デイケア)など

デイサービスは入浴や食事、レクリエーションなどが受けられる日帰りサービスです。

通所リハビリ(デイケア)では、医療ケアや機能回復訓練などを含めた、リハビリサービスが受けられます。

どちらのサービスも、要支援・要介護1〜5の方が利用可能です。

施設サービス

介護保険で利用できる施設サービスには、以下のようなものがあります。

・介護老人保健施設
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
介護療養型医療施設
介護医療院
特定施設入居者介護など

食事や入浴・排泄・更衣などの介助サービスのほか、施設によって、医療ケア・看護サービス・リハビリなどが受けられます。

地域密着型サービス

地域密着型サービスは2006年に始まった制度です。サポートが必要な高齢者が、住み慣れた地域で生活できるように配慮されています。

介護保険で利用できる地域密着型サービスを確認してみましょう。

小規模多機能型居宅介護
夜間対応型訪問介護
認知症対応型通所介護
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型特定施設入居者介護など

主に、買い物や掃除・洗濯などの生活支援や、食事・排泄などの介護サービスが受けられます。その他、施設によって認知症の方への生活支援や、認知症ケアなども介護保険サービスの対象です。

介護保険被保険者証の更新・再発行の手順

これから介護保険証の更新手続きの手順を紹介します。紛失してしまった場合の再発行の方法も、あわせて確認してみましょう。

以下でそれぞれ詳しく説明します。

介護保険被保険者証の更新方法

介護保険証には有効期限があります。有効期限の60日前から最終日までの間に、更新の手続きが必要です。有効期限が切れてしまった場合、保険が適用されない可能性があるため注意しましょう。

手続きに必要な書類と、流れは以下のとおりです。

【手続きに必要な書類】
・要支援・要介護認定更新申請書
・介護保険被保険者証
・40〜65歳未満の場合は健康保険証

要支援・要介護認定更新申請書を各役所の担当窓口に提出し、更新に必要な審査を受けます。主治医の「主治医意見書」と、自治体等による「要介護認定審査会」をもとに、介護度と認定有効期間が決定され、新しい介護保険証が自宅に郵送されます。

紛失した場合は?

介護保険証を破損・紛失してしまった場合は、新しい保険証を再交付してもらえます。再発行を希望する場合は、各役所の担当窓口にて申請が可能です。

手続きに必要な書類と流れを以下で確認してみましょう。

【再発行に必要な書類】
以下いずれか1点
・個人番号(マイナンバー)カード
・運転免許証
・パスポート
・身体障害者手帳など

以下いずれか2点
・年金手帳
・預金通帳
・健康保険証
・児童扶養手当証書
・キャッシュカードなど

顔写真付きの本人確認書類であれば、1点で申請が可能です。顔写真がない書類の場合は、氏名が記載されている本人確認書類を2点用意しましょう。

もし、新しい介護保険証が交付されたあとに、古い介護保険証を発見した場合は、古い方を役所へ返却します。

住所変更した場合は?

住所変更する場合は、各役所の担当窓口で手続きが可能です。転居先が同じ市町村の場合と、別の市町村の場合で手続きの方法が異なります。

それぞれ確認してみましょう。

転居先が同じ市町村の場合

転居先が同じ市町村の場合は、転居届と介護保険証を持参の上、役所の各担当窓口で住所変更手続きをおこないます。介護認定度や利用中の介護サービスは、そのまま継続できるため、とくに難しい手続きは必要ありません。

自治体によっては、転居届と介護保険証を提出するだけで、新しい介護保険証を発行してくれる場合もあります。手続きの方法や流れは、各市町村の役所によって異なるため、事前に確認してみましょう。

転居先が別の市町村の場合

転居先が別の市町村の場合は、転居元と転居先、両方の役所で手続きが必要になります。転居元の役所で転出届の手続きをする際に、介護保険の担当窓口で介護保険証を返納しなくてはなりません。

介護保険証の返納と「資格喪失手続き」をおこなうと、「介護保険受給資格証明書」が交付されます。転居先の役所で転入手続きをする際に、同時に介護保険に関する手続きをおこないましょう。

介護保険の担当窓口で「介護保険受給資格証明書」を提出することで、新しい介護保険証を発行してもらえます。

市町村が変わる引越をする場合は、転入から14日以内に手続きをしましょう。

14日を過ぎると再度申請が必要になり、保険証交付までに時間がかかる上に、介護度が変更になるリスクがあります。

介護度が変更された場合、これまで利用していたサービスを継続利用できなくなるかもしれません。転入後はなるべく早く、手続きを済ませるようにしましょう。

その他、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、対象の施設に入所する場合は、住所地特例の制度を利用できるケースがあります。

住所地特例では、別の市町村にある施設に入所する場合でも、そのまま介護認定の継続が可能です。住所地特例制度を検討の場合は、転居元の役所に確認をしてみましょう。

介護保険被保険者証の返却について

介護保険被保険者の死去などによって介護保険資格を喪失する場合は、保険証の返却が必要です。亡くなってから14日以内に、介護保険資格喪失届と介護保険証を、亡くなった方の住所がある役所の担当窓口へ提出します。

介護保険証の返却手続きができるのは、亡くなった方の同一世帯家族・相続人・代理人です。介護保険負担限度額認定証が交付されている場合は、あわせて返却します。

まとめ:介護保険サービスを利用するには要介護認定が必要

この記事では、介護保険被保険者証について紹介しました。

介護保険証は、原則として65歳になる月に自宅へ郵送されます。介護保険サービスを利用するには、介護保険証のほかに要介護(要支援)認定が必要です。介護保険サービスを利用検討の場合は、要介護認定の申請を含めて、各役所の担当窓口へ相談してみましょう。

藤井寿和

18歳~24歳まで陸上自衛官の救急隊員(衛生科)を経験し、三宅島噴火に伴う災害派遣をきっかけに介護の仕事に転身。医療法人で在宅医療に特化した介護を学び、管理者・事業部統括マネージャーに就任した後、株式会社にて超都心型デイサービスの管理者を経験。その後、35歳で独立。