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2023-02-21
認定介護福祉士とは?資格取得方法やメリットを解説
認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格です。資格取得のためには、介護福祉士の経験と認定介護福祉士養成研修を受けてはじめて、申請と認定ができます。
認定介護福祉士は、まだ取得した人が少なく、取得方法やメリットを知らない人も多いでしょう。
そこで今回は、認定介護福祉士の資格取得方法やメリットを紹介しています。認定介護福祉士の仕事内容や活躍できる場所などを理解して、キャリアアップに役立ててください。
認定介護福祉士とは
認定介護福祉士は、要介護者によりよい介護を提供するために、専門性の高いカリキュラムを修了した専門家です。
そのため、医療や介護のサポートが必要な方のために、介護サービスの管理をおこない、自宅や施設のサービスなど、さまざまな生活環境で活躍することが可能です。
「認定介護福祉士養成研修」を受講し、認定されると認定介護福祉士として働けます。しかし、養成研修を受講するには、受講条件をクリアしていなければなりません。
認定介護福祉士と介護福祉士の違い
次の表は、認定介護福祉士と介護福祉士の違いをまとめています。
認定介護福祉士 | 介護福祉士 |
---|---|
・民間資格 ・資格試験はない ・養成研修の受講が必要 ※介護福祉士の実務経験5年以上で受講可能 ・介護リーダー的な存在 ・介護職員の教育 ・介護業務に関わる機会が少ない | ・国家資格 ・現場中心の介護業務 ・実務経験3年以上で受験可能 ※介護福祉士実務者研修を修了している必要がある。 |
(参考:認定介護福祉士認証・認定機構)
認定介護福祉士は民間資格ですが、介護福祉士が学習していない知識と経験の両方が必要となるため、600時間に及ぶカリキュラムを修了しなければなりません。
また、介護福祉士と違い、国家試験などはなく、カリキュラムを修了することで、資格を得られます。
認定介護福祉士になるメリット
認定介護福祉士のメリットは、収入アップや待遇の充実などのチャンスが広がることです。さらに、資格を保有していることで、転職や運営の助けになるでしょう。
認定介護福祉士の資格は、介護職員の指導や専門知識を提供し、チームのリーダーを補う役割もあります。
また、地域や社会で介護サポートを実施するなど、幅広いスキルを身に付けられることもメリットの1つです。
認定介護福祉士になるデメリット
認定介護福祉士になるデメリットは、資格を取得するまでに時間がかかることです。認定介護福祉士の受講資格を得るだけでも、5年以上も介護福祉士としての実務経験が必要になります。
介護福祉士の国家試験を受けるためには、3年以上の経験が必要となり、未経験からだと早くても8年はかかる計算です。
認定介護福祉士の養成研修は、総受講時間が600時間あります。そのため、受講開始から修了まで、1年~1年半ほど必要です。
また、認定介護福祉士養成研修の費用は60万円程度かかるため、ほかの介護資格より費用負担が大きくなります。
認定介護福祉士の資格取得方法
認定介護福祉士の資格を取得するためには「認定介護福祉士養成研修」の受講が必要です。カリキュラムは全22科目あります。
受講修了後は「認定介護福祉士認証・認定機構」に認定申請の手続きが必要です。申請後は認定証の交付後、認定介護福祉士として登録する必要があります。
また、介護福祉士認定には5年ごとに更新があります。更新の際は、必要書類をそろえて再度、認定介護福祉士認証・認定機構に申請が必要です。
認定介護福祉士の受講から登録までのスケジュール
認定介護福祉士の受講が修了するまでの流れは、次のとおりです。
1.認定介護福祉士養成研修の申し込み
2.認定介護福祉士養成研修Ⅰ類を受講
3.認定介護福祉士養成研修Ⅱ類を受講
4.認定介護福祉士の認定申請書を提出
5.認定証の交付
6.認定証の受け取りと登録申請をする
7.認定介護福祉士の登録名簿に掲載される
順番に解説します。
1.認定介護福祉士養成研修の申し込み
認定介護福祉士養成研修の受講は、研修実施団体(介護福祉士会)へ申し込みをします。自治体によって、受講要件などが異なるため、希望する研修実施団体に確認が必要です。
2.認定介護福祉士養成研修Ⅰ類を受講
養成研修受講は「認定介護福祉士養成研修Ⅰ類と認定介護福祉士養成研修Ⅱ類があり、Ⅰ類(13科目)修了後、Ⅱ類に進みます。
Ⅰ類では、医療やリハビリなど、介護福祉士養成課程では学習しない知識を修得します。他職種との連携・協働をして、認定介護福祉士としての介護実践力を身に付けることが可能です。
また、要介護者の尊厳保持や自立支援などの考え方、介護リーダーに対する指導に必要な知識を修得します。
3.認定介護福祉士養成研修Ⅱ類を受講
Ⅰ類を受講後、Ⅱ類(9科目)を受講します。認定介護福祉士に必要な指導力・判断力・創意工夫する力など、Ⅰ類で学んだ知識に基づいた応用力を身に付けることが可能です。
生活支援の視点から地域の介護力を高め、利用者を中心とした地域づくりが展開できる力と、介護サービスの特性を生かしたチーム運営や人材育成を実践する力を養います。
4.認定介護福祉士の認定申請書を提出
Ⅰ類・Ⅱ類の受講修了後、認定介護福祉士の認定申請書を提出します。申請の際は次の書類が必要になるため準備しておきましょう。
・認定申請書
・介護福祉士登録証の写し
・認定介護福祉士養成研修修了証の写し
・認定費用の振込用紙および振込証明書
上記書類の必要事項を記入の上、認定介護福祉士認証・認定機構に提出してください。
5.認定証の交付
認定介護福祉士認証・認定機構による審査後、認定証が交付されます。
6.認定証の受け取りと登録申請をする
認定介護福祉士の認定証を受け取り、登録申請をします。登録申請には次の書類が必要です。
・登録申請書
・認定書の写し
・登録費用の振込および振込証明書
登録申請書・登録費用の振込および、振込証明書は「認定介護福祉士認証・認定機構」のホームページからでもダウンロードできます。
7.認定介護福祉士の登録名簿に掲載される
登録が終了すると、認定介護福祉士の登録証が交付され、登録名簿に掲載されます。
認定介護福祉士の受験資格
認定介護福祉士の受験資格は、介護福祉士として5年以上の実務経験がある人です。
また、介護職員を対象にした現任研修を100時間以上修了していることや、研修実施団体の課すレポート課題、または受講試験で一定水準の成績を収めている必要があります。
ただし、申し込む実施団体により受講要件のない項目や「介護福祉士基本研修」「ファーストステップ研修」の受講を求められる場合があります。
申し込み手順
認定介護福祉士養成研修の受講方法は、地域の「介護福祉士会」や「公益社団法人日本介護福祉士会」へ問い合わせてください。
また、自治体によって内容が異なるため確認が必要です。
講座内容と費用
認定介護福祉士養成研修はⅠ類とⅡ類のカリキュラムがあります。
カリキュラムの科目や内容については、次の表にまとめています。
Ⅰ類 | 領域名 | 科目名 | 単位 | 時間 (課題学習を可とする時間) | 形態 |
---|---|---|---|---|---|
認定介護福祉士養成研修導入 | 認定介護福祉士概論 | 1 | 15(7) | 講義・演習 | |
医療に関する領域 | 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅰ | 2 | 30(30) | 講義 | |
疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅱ | 2 | 30(15) | 講義・演習 | ||
リハビリテーションに関する領域 | 生活支援のための運動学 | 2 | 10(10) | 講義 | |
生活支援のためのリハビリテーションの知識 | 2 | 20(8) | 講義・演習 | ||
自立に向けた生活をするための支援の実践 | 2 | 30(8) | 講義・演習 | ||
福祉用具と住環境に関する領域 | 福祉用具と住環境 | 2 | 30(0) | 講義・演習 | |
認知症に関する領域 | 認知症のある人への生活支援・連携 | 2 | 30(15) | 講義・演習 | |
心理・社会的支援の領域 | 心理的支援の知識技術 | 2 | 30(15) | 講義・演習 | |
地域生活の継続と家族支援 | 2 | 30(15) | 講義・演習 | ||
生活支援・介護過程に関する領域 | 認定介護福祉士としての介護実践の視点 | 2 | 30(0) | 講義・演習 | |
個別介護計画作成と記録の演習 | 2 | 30(0) | 講義・演習 | ||
自職場事例を用いた演習 | 1 | 30(20) | 演習・講義 | ||
Ⅰ類 計 | 345(143) |
Ⅱ類 | 領域名 | 科目名 | 単位 | 時間(課題学習を可とする時間) | 形態 |
---|---|---|---|---|---|
医療に関する領域 | 疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅲ | 2 | 30(15) | 講義・演習 | |
心理・社会的支援の領域 | 地域に対するプログラムの企画 | 2 | 30(15) | 講義・演習 | |
マネジメントに関する領域 | 介護サービスの特性と求められるリーダーシップ、人的資源の管理 | 1 | 15(7) | 講義・演習 | |
チームマネジメント | 2 | 30(15) | 講義・演習 | ||
介護業務の標準化と質の管理 | 2 | 30(15) | 講義・演習 | ||
法令理解と組織運営 | 1 | 15(7) | 講義・演習 | ||
介護分野の人材育成と学習支援 | 1 | 15(7) | 講義・演習 | ||
自立に向けた介護実践の指導領域 | 応用的生活支援の展開と指導 | 2 | 60(40) | 講義・演習 | |
地域における介護実践の展開 | 2 | 30(0) | 講義・演習 | ||
Ⅱ類 計 | 255(121) | ||||
合計 | 37 | 600(264) |
(参考:認定介護福祉士認証・認定機構|認定介護福祉士養成研修について)
また、認定介護福祉士養成研修は、介護福祉士会の会員で30万円程度必要です。非会員の場合、60万円程度の費用が必要になります。地域によっては補助金が出る可能性もあるため、各実施団体に確認するとよいでしょう。
認定介護福祉士の仕事内容
認定介護福祉士の主な仕事は、ほかの専門職との連携です。たとえば、他職種に対して介護情報の説明や共有をしたり、他職種の助言を介護サービスに生かしたりします。
また、認定介護福祉士は、介護福祉士の指導者としての役割も担っているため、介護福祉士の能力を高め、スキルアップできる研修の場を提供することも重要な役割です。
合格率
認定介護福祉士は、養成研修のカリキュラムを修了すれば認定されるため、介護福祉士のような国家試験などはありません。
しかし、認定介護福祉士は、介護福祉士の資格が必要です。
年収
認定介護福祉士になったからといって、年収が上がるという保証はありません。しかし、資格手当やキャリアアップ、転職の助けになることはあるでしょう。
具体的に年収を公表しているものはありませんが、事業所によってそれぞれ異なる評価基準があるため、資格取得を検討する場合は、所属している事業所や企業に確認してください。
また、今後の社会を支える人材として注目されるため、近い将来、年収アップが期待できるかもしれません。
働く場所
認定介護福祉士の勤務先は、介護福祉士同様、特別養護老人ホームや介護老人保健施設・デイサービスなどです。
認定介護福祉士の専門性を生かしながら、他部署と情報を共有し、介護サービスを提供できます。また、人材強化や介護リーダーを求めている事業所では、必要とされる人材になるでしょう。
まとめ:認定介護福祉士の取得には時間がかかるが、キャリアアップにつながる
この記事では、認定介護福祉士の業務内容や資格取得の流れについて解説しました。認定介護福祉士は、介護福祉士で5年以上の実務経験が必要です。
認定介護福祉士の資格取得には、養成研修のⅠ類とⅡ類を修了しなければなりません。研修には約600時間が必要となり、1年~1年半の期間がかかります。
認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格として位置づけされており、今後、介護福祉士の人材育成や教育・業務指導をおこないたい事業所での需要が高まると予想されます。
介護業界でさらなる展開やスキルアップを考えている方は、ぜひ受講してみてはいかがでしょうか?