介護施設
2022-12-13
【簡単!】老人ホームに入るには?5つの入居条件や流れを紹介
在宅で介護をする家族の負担が増えてくると、老人ホームへの入居を考え始める人もいるでしょう。
老人ホームにはさまざまな入居条件が設けられており、入居するにはその条件をすべて満たす必要があります。
そこで今回は、老人ホームに入るために必要な5つの入居条件と、入居前に確認するポイントや流れを解説します。老人ホームへの入居を検討している人はぜひ参考にしてください。
老人ホームにおける5つの入居条件
一般的な老人ホームの入居条件は以下のとおりです。
・年齢
・要支援・要介護度
・医療ケアの必要性
・保証人・身元引受人
・収入
それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
年齢
老人ホームに入居できる年齢は、60歳以上または65歳以上です。施設の種類によって入居要件となる年齢が異なります。
例えば、特別養護老人ホームなど介護保険にもとづくサービスを提供する施設では、原則として65歳以上の人が入居可能です。
介護保険サービスを利用するために必要な「要介護認定」を受けられる年齢が65歳(第1号被保険者)以上と定められているためです。
ただし、40〜64歳(第2号被保険者)の人で、特定疾病により要介護認定を受けた方は入居できる老人ホームもあります。
以下の表は、主な老人ホームの「年齢」に関する入居条件です。
民間施設 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 65歳以上 |
有料老人ホーム(介護付き) | 65歳以上 | |
有料老人ホーム(住宅型) | 60歳以上または65歳以上 | |
サービス付き高齢者向け住宅 | 60歳以上 | |
公的施設 | 特別養護老人ホーム | 65歳以上 |
介護老人保健施設 | 65歳以上 | |
介護医療院 | 65歳以上 | |
介護療養型医療施設 | 65歳以上 |
要支援・要介護度
要支援・要介護度の条件も、老人ホームによって異なります。入居者のレベルに応じた適切なサービスを提供するためです。
また、特別養護老人ホームやグループホームのように「要介護〇以上」などと定められているケースもあるため、確認しておきましょう。
以下の表は、主な老人ホームの「要介護度」の入居条件です。
民間施設 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 要支援2・要介護1〜5 |
有料老人ホーム(介護付き) | 要支援1.2・要介護1~5 | |
有料老人ホーム(住宅型) | 自立~要介護5まで入居可能 ※介護度が高くなると退去になる場合がある |
|
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立~要介護5まで入居可能 ※介護度が高くなると退去になる場合がある |
|
公的施設 | 特別養護老人ホーム | 要介護3〜5 ※特別な事情がある場合は要介護1・2も入居可能 |
介護老人保健施設 | 要介護1〜5 | |
介護医療院 | 要介護1〜5 | |
介護療養型医療施設 | 要介護1〜5 |
医療ケアの必要性
老人ホームでは、医療ケアの必要性に応じた入居基準が設けられています。これは、老人ホームの医療体制が施設によって異なるためです。
グループホームなど看護師の配置義務がない老人ホームでは、日常的に医療ケアが必要な人は入居できない場合があります。また、入居中に身体状態が悪化して、医療ケアの必要性が高くなった場合には退去を求められることもあるため、注意が必要です。
一方で、介護老人保健施設や介護医療院などの施設では、医師が常駐し看護師の配置も手厚いため、医療ケアの必要性が高い人でも入居できる場合があります。
老人ホームの医療体制は、入居後の生活や命に関わることもあるため、施設を選ぶ際は確認しておくと良いでしょう。
保証人・身元引受人
老人ホームは多くの場合、入居するときに、保証人や身元引受人を必要とします。一般的には家族が引き受けることが多いです。
頼れる家族がいない単身者など、保証人・身元引受人を立てることができない場合には、保証人の役割を有料で代行する「保証会社」を利用します。また、施設によっては成年後見制度で法定代理人を定めることで入居を受け入れる場合もあるため確認すると良いでしょう。
保証人・身元引受人の役割は、緊急時の連絡・利用料の支払い・入院時や死亡時の手続きなどが挙げられます。
収入
老人ホームの入居には、収入の基準はありません。しかし、施設側が入居前に本人や家族に対して、収入や資産を確認する場合があります。
これは、将来的に利用料の支払いができなくなる事態を避けるためです。本人と保証人の通帳を提示して、入居審査で確認される場合があるため、注意が必要です。
老人ホーム入居の流れ
次に、老人ホームに入居するまでの流れを確認しましょう。
【入居までの流れ】
・施設選び
・見学、体験利用
・契約
・入居
以下で詳しく解説します。
施設選び
数ある老人ホームの中から、入居したい施設を選ぶために、まずは老人ホームの情報を集めることから始めましょう。
老人ホームに関する情報は、インターネット検索や老人ホームに直接連絡をしてパンフレットを取り寄せるなどの方法で集めます。
さらに、施設の場所やサービス内容など、利用者や家族が希望する条件の優先順位を決めておくと選びやすくなります。
施設見学・体験利用
気になる老人ホームが見つかったら、必ず見学に行きましょう。パンフレットでは伝わらない実際の様子を確認できます。
見学には予約を入れておきましょう。予約なしで訪問すると、担当者が不在などの理由で断られる可能性があります。昨今のコロナ禍において、見学できない施設も多くありますので、必ず連絡を・確認が必要です。
見学では、スタッフの対応や入居者の様子など施設全体の雰囲気を確認しましょう。さらに、部屋の広さや明るさ、清潔感なども確認しておくポイントです。
また、有料老人ホームなどでは数日〜1週間ほどの体験入居を行っていることもあります。すぐ利用することに抵抗がある方は体験入居を申し込み、実際に利用して気になる点を確認していくと良いでしょう。
体験入居では、「どんな職員がいるか」「食事が合うか」「暮らしやすいか」「夜間や早朝にサービスが受けられるか」など、見学だけではわからない部分を確認できます。体験入居で問題がなければ、本契約に進みます。
契約・入居
契約に合わせて事前に必要な書類を準備しておきましょう。医療機関に依頼する健康診断書は書類ができるまでに時間がかかるため、早めに依頼しておくと良いでしょう。
【契約時に必要なもの】
・印鑑
・保証人・身元引受人の印鑑
・戸籍謄本・住民票
・健康診断書
契約では、「重要事項説明書」「入居契約書」などの書類をもとに詳しい説明を受けます。ここで少しでも疑問に思うことがあれば質問をして、その場で解決しておきましょう。
契約内容に納得できれば、書類に署名・捺印をします。
契約を交わしたあとは入居予定日までに必要な荷物を揃えて、施設に運び入れなどの準備を進めます。施設によって持ち込めるものは異なるため、契約時に確認しておきましょう。
入居前に確認するポイント
前述した5つの入居条件のほかにも、老人ホームに入るときにチェックしておくべき大切なポイントがあります。
施設側とのトラブルとならないためにも、以下の項目は必ず確認しておきましょう。
1つずつ説明します。
看取りケア
看取りケアとは、近い将来、死に至ることが予見される入居者に対して、精神的・身体的な苦痛を軽減して、本人や家族の希望に沿った最期を迎えられるように支援することです。
高齢者の増加に伴い、近年では看取りケアを行う老人ホームは増えています。しかし、看取りケアを行うには、職員の配置や他職種との連携が必要となるため、すべての施設で対応しているわけではありません。
そのため、将来的に老人ホームでの看取りを希望する場合は、対応できる施設なのか確認して選ぶ必要があります。
退去要件
老人ホームでは、施設が定める退去要件に該当する場合、退去を求められることがあります。退去要件は「重要事項説明書」や「契約書」に明記されているため、契約の際に必ず確認しておきましょう。
退去要件の項目は施設によって異なりますが、主に次の項目が定められています。
・長期入院となった場合
・医療ケアの必要性が高くなった場合
・他の入居者への迷惑行為がある場合
・自傷行為が見られた場合
・利用料の支払いを滞納した場合
認知症の症状
認知症の受け入れについては、入居条件に明記されていないこともあるため確認が必要です。症状の度合いによっては入居を断られる場合があります。
また、入居後に認知症が進行し、施設で対応が難しくなった場合にも退去を求められる可能性があります。その際は、どこまで支援してもらえるかを確認しておくと良いでしょう。
まとめ
老人ホームに入るには、「年齢」「要介護度」「医療ケアの必要性」「保証人・身元引受人」「収入」の5つの入居条件を満たす必要があります。
入居条件に合う施設が見つかったら、施設見学や体験利用を通して入居する施設を決定しましょう。本契約の前には、看取りケアの有無や退去要件の内容、認知症の受け入れについて確認しておくことが大切です。
なお、一般的に施設見学から入居するまでの期間は、1〜2か月程度かかると言われています。しかし、長期利用を前提とした施設や人気がある老人ホームでは入居待ちの人が多いため、すぐに入居できないことがあります。
待機期間が長いと家族の介護負担も増えていくため、早いうちから施設探しを始めておくと安心でしょう。
老人ホームの探し方や選び方に悩んだときは、地域包括支援センターや担当ケアマネージャー、民間の紹介センターなどで相談できるため、ぜひ活用してください。