介護情報メディア ケアケア 一般介護向けコラム 介護の基礎知識 【複数人介護とは?】多重介護の問題点と今後の課題について解説

介護の基礎知識

2024-05-15

【複数人介護とは?】多重介護の問題点と今後の課題について解説

複数人介護は、一般的に多重介護とも呼ばれており、1人で複数人の介護を行う方を指します。

 

複数人介護を行う方の人口は増加傾向にあり、今後も継続する見込みです。

 

複数人介護によって、さまざまな問題や悩みを抱えている方は多く、いつ自分がその状況になるかもわかりません。

 

このような状況に対処していくためには、日頃から介護について検討しておくことが重要です。

 

この記事では、複数人介護の問題点や課題を紹介します。家族介護がつらい場合の対処法についても解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

複数人介護とは

複数人介護の問題点について検討するためには、複数人介護の特徴や現状を理解しておくことが重要です。

複数人介護の定義や実情をそれぞれ確認してみましょう。

複数人介護の定義

複数人介護とは、1人の介護者が複数の方を同時にケアすることを指す言葉です。

例えば、配偶者が両親の世話をする場合や、実の親と義理の親を同時にケアするケースなどがあげられます。

複数人介護では、被介護者それぞれの健康状態やニーズを把握し、適切に支援していかなければいけません。

そのため、介護者には心身的な負担や時間的な制限のほか、介護者(支援者)としてのプレッシャーなど、さまざまな負担がかかります。

複数人介護を行う方の人口

近年、複数人介護を行う方の数は増加傾向です。

高齢化社会の進行や、核家族世帯の増加なども影響しており、今後も拡大していくと予想されます。

家族介護では、女性が担うケースが多いのが実情です。多重介護のほか、育児と介護のダブルケアを行うケースも増えています。

今後、さらに増加が見込まれる複数人介護者に対して、支援策を検討していかなければいけません。

複数人介護を行う方の続柄

複数人介護を行う方の続柄は、家庭によってさまざまです。

内閣府の調査によると、一般的な家族介護における続柄では、配偶者(女性)が23.8%ともっとも高い割合になっています。次に多いのが、子どもの20.7%との調査結果になりました。

参考:令和3年版高齢社会白書(全体版)-内閣府

調査結果から、家族内で複数人介護を行う場合は、子どもが占める割合がさらに高くなることが予想できます。

複数人介護の問題点

複数人介護について検討するためには、事前に問題点を理解しておかなければいけません。

ここでは、複数人介護の問題点を解説します。それぞれ確認してみましょう。

時間配分の難しさ

複数人介護の問題点の1つに、時間配分の難しさがあげられます。

複数人を同時に介護する場合、1人のご家族をケアするケースと比較して、さらに多くの時間が必要です。状況によっては、1日のほとんどを家族ケアにあてるケースもあるかもしれません。

そのほか、介護者によっては、家事や育児、仕事もあるため、使える時間がさらに限られます。

このように、複数人介護を行う場合、自由な時間が確保できなかったり、時間配分に悩んだりするケースも少なくありません。

心身的な疲労による悩み

心身的な疲労は、複数人介護における重大な悩みの1つです。

複数のご家族をケアする場合、心身的にも精神的にも負荷がかかります。ほかに頼れる存在がいない場合は、さらに負担は大きくなるでしょう。

また、介護に疲労を感じた場合でも、趣味や休息の時間確保が難しく、気分転換ができずに悩む方も少なくありません。

このような問題に対処していくためには、1人で抱え込まず周囲に相談することが重要です。

働き盛り世代への負担

家族介護を行う場合、負担は配偶者や子どもにかかりやすい傾向があります。

働き盛り世代の方が親の介護を行う場合は、仕事と両立しなければいけません。とくに、仕事の中核を任される40代以降では、仕事との配分を十分に考慮する必要があります。

また、介護に慣れていない方がケアを行う場合は、さらに多くの時間とエネルギーが必要になるでしょう。このような状況に限界を感じ、介護離職するケースは珍しくありません。

問題を未然に予防するためにも、介護の悩みがある場合は、1人で抱え込まず会社や職場の上司に相談することが大切です。

家計の圧迫

家族介護を行う場合、介護用品・介護サービス・医療費など、さまざまな費用がかかります。

要介護者が複数人の場合は、さらに多くの費用が必要です。家族ケアにかかる費用は、家計にとっても軽視できない問題になるでしょう。

とくに、介護ではケアを行う期間が長期化する傾向があり、その間も費用は発生し続けます。

介護費用に負担を感じる場合は、サービス内容の見直しや利用できる制度について、ケアマネージャーなどに相談してみるとよいでしょう。

準備不足による悩み

家族介護は、ある日突然始まるケースがほとんどです。

そのため、事前計画や事前準備が間に合わず、焦ってしまう事例も少なくありません。特に、介護に縁がなかった方は、どこに相談してよいかわからずに悩む方もいるでしょう。

そのほか、介護サービスや福祉用具など、思わぬ出費に頭を抱えてしまうケースがあるかもしれません。

いつかくる介護に備えて、早いうちから意識・検討しておくことが重要です。

複数人介護を行う際のポイント

複数人介護に疲弊しないためには、悩みを1人で抱え込まないことが大切です。

ここから、複数人介護を行う際のポイントを3つ紹介します。それぞれ確認してみましょう。

コミュニケーションを意識する

複数人介護で良好な関係を継続するためには、コミュニケーションが必要不可欠です。

良好なコミュニケーションは、介護の質を向上させるだけではなく、ご家族との絆を深くする効果があります。

そのほか、複数人介護を一緒にサポートしてくれる方(親戚や介護従事者)たちとの連携も忘れてはいけません。ご家族のケアを円滑に進めるためには、意思疎通や情報共有が大切です。

介護を受ける方の思いや希望を理解し尊重するためにも、こまめなコミュニケーションを心がけるようにしましょう。

役割分担を行う

一般的に、介護は長期化するケースが多いため、役割分担が重要です。

介護者間での役割分担によって、それぞれの負担を軽減し、効率的にケアを進められます。

ご家族や兄弟がいる場合は、担当する曜日・時間・内容などを可能な範囲で相談し、特定の人だけに負担が集中しないように配慮しましょう。

長い目でケアを行っていくためには、1人で抱え込まず誰かに協力してもらうことが大切です。

支援制度を活用する

家族内で複数人介護を行う場合、身内だけでは対応が困難な状況がでてくるかもしれません。

その際は、必要に応じて支援制度を利用する方法があります。地域や自治体によって、さまざまな支援制度があるため、有効活用しましょう。

そのほか、地域のサポートグループやボランティア活動に参加するのもおすすめです。同じ悩みを持つ方との情報交換やアドバイスが得られるかもしれません。

利用できる制度がわからない場合は、地域包括支援センターや自治体の福祉窓口などに相談してみましょう。

複数人介護の予防策

一般的に、介護は突然必要になるケースが多いです。タイミングが重なって複数人介護が必要になる可能性があるかもしれません。

このような状況を予防し、事前に準備しておくためには日頃の心構えが重要です。ここでは、複数人介護の予防策を3つ紹介します。それぞれ確認してみましょう。

日頃から健康に配慮する

複数人介護を予防する際のポイントは日頃の健康管理です。

バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠など、健康習慣を心がけることで介護状態の予防ができるかもしれません。

そのほか、介護を行う方にとっても健康管理は必要不可欠です。介護者が健康でなければ、家族介護は成立しません。

家族全員の健康のために、それぞれが可能な範囲で日々の健康維持に取り組んでいくことが大切です。

介護に関する情報に触れておく

複数人介護が必要になった際に慌てないためにも、日頃から介護に関する情報に触れておくことが重要です。

特に、介護に関係のない仕事の場合、介護情報に触れる機会は少ないかもしれません。そのため、日頃から意識的に介護について情報をキャッチしておくとよいでしょう。

そのほか、介護に関する相談ができる窓口を把握しておくことも大切です。相談窓口を頭の片隅に入れておくことで、相談できる安心感が得られるでしょう。

また、地域によっては、介護の専門家を招いたセミナーやワークショップを開催するケースもあります。興味がある場合は、こうした活動に参加してみるのもよいでしょう。

介護費用について話し合いをしておく

現状ケアが必要ない場合でも、家族介護が必要になった際の費用について相談しておくことが大切です。

介護には、介護用品や介護サービスなどさまざまな費用がかかります。また、介護施設への入居を視野に入れる場合は大きな費用を準備しておかなければいけません。

介護サービスや高齢者向け施設の費用目安などを考慮した上で、必要な資金を算出しておくと安心です。

高齢のご家族がいる場合や、貯蓄面に不安がある場合は、早めに話し合いの機会を作っておくと安心できます。

複数人介護がつらい場合は?

複数人介護に限界を感じた場合は、無理に抱え込まず、専門機関や介護保険サービスを利用するようにしましょう。

介護サービスには、日常生活を支援する内容から身体的な介護まで、さまざまなサービスがあります。それぞれの状況やニーズに合わせて、検討するとよいでしょう。

また、在宅介護が困難な場合や家族間でのケアに限界を感じた場合は、施設を利用する方法があります。施設に預けたきりになることに不安を感じる場合は、ショートステイなどを検討してみるとよいでしょう。

介護に関する相談は、主に地域包括支援センターや役所の福祉窓口などで受け付けています。どうしてよいかわからずに悩んだ場合は、まずは相談するところから始めてみましょう。

まとめ

この記事では、複数人介護について解説しました。

複数人介護は“多重介護”とも呼ばれて、その数は現在も増加傾向です。心身状態や経済状況など、複数人介護に悩みを抱える介護者は少なくありません。

こうした問題に対処するためには、1人で抱えこまず周囲に相談することが重要です。複数人介護に限界を感じた場合は、地域包括支援センターや自治体の福祉窓口などで相談してみましょう。

地域によっては、介護に関するセミナーやワークショップなどを開催している場合があります。日頃、介護情報に触れる機会が少ない方は、こうした活動へ気軽に参加してみるのもおすすめです。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。