介護サービス・制度
2022-12-22
デイサービスとは?サービス内容や利用条件を詳しく解説!
在宅で家族介護に悩みを抱える方や、介護サービスの利用を検討していても種類が多くて困っている方も多いのではないでしょうか?
今回は、さまざまな介護サービスの中からデイサービスを紹介します。希望に合うサービスや事業所選びに失敗しないためにも、デイサービスの特徴を把握しておきましょう。
デイサービスの種類やサービス内容を紹介したうえで、利用条件や費用を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
デイサービス(通所介護)とは
デイサービスは、通所介護とも呼ばれる介護認定を受けた方のためのサービスです。
介護状態になった方の生活の質(QOL)向上を目的としており、日常生活に必要な身体機能の維持・向上を図るため、レクリエーションや機能訓練など、さまざまなサービスを提供しています。
デイサービスは要介護1~5の方を対象としているため、要支援1.2の方は利用できません。
※要支援1.2の方は予防通所介護が利用できます。基本的には日帰りで、午前から夕方までの時間をサービス事業所で過ごします。サービス内容や時間はサービス事業所によって異なり、午前中のみ・午後からなど、生活に合わせて選択可能です。
次に、デイサービスの特徴やサービス内容を確認してみましょう。
デイケア(通所リハビリ)との違い
デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリ)は、似ているようでサービス内容や目的が異なります。
デイケアはリハビリが目的のサービスです。医師からリハビリが必要と判断された方が利用できます。リハビリは、理学療法士や作業療法士などによる機能訓練の他、言語聴覚士による口腔機能の訓練などがおこなわれます。デイケアはデイサービスとは異なり、複数の事業所を利用できません。また、デイケアを利用している場合は訪問リハビリが併用できないので注意が必要です。
デイサービスでは医療ケアが難しい場合が多いですが、デイケアでは医師が配置されているため安心してリハビリが受けられます。
訪問リハビリは、なんらかの理由で通所できない人に提供する訪問サービスのため、通所できる方は対象外と考えられます。
一日の過ごし方
一般的なデイサービスでの一日の過ごし方は下記のとおりです。
8:30 | お迎え 健康チェック バイタルチェック(血圧・体温測定) |
9:30 | 入浴 レクリエーション(午前) |
10:00 | 朝礼、個別アクティビティ、機能訓練、体操 |
12:00 | 昼食 口の体操 服薬介助 口腔ケア |
13:00 | 休憩 |
14:00 | アクティビティ、体操 |
15:00 | おやつ |
16:30 | 帰宅 |
朝はサービス事業所の車でお迎えがあり、事業所に着いたら手洗いやうがい、健康チェックをおこないます。準備ができたら午前中のレクリエーションです。
入浴は、スタッフがそれぞれの身体状況に合わせて適宜サポートをおこないます。事業所によって介護度が重い方にも対応しており、機械を使って座ったままや寝たままで入浴が可能です。
昼食は栄養バランスに配慮された食事が提供されます。午後のレクリエーションの後はおやつタイムです。他の利用者とゆっくりリラックスした時間を過ごしたあと、順番に自宅へ送り届けます。
事業所によってサービス内容やスケジュール、一緒に過ごす人数が異なるため、事前に確認してみると良いでしょう。
サービス内容
デイサービスで提供する主なサービス内容は下記のとおりです。
【主なサービス】
・機能訓練
・健康管理
・行き帰りの送迎
・レクリエーション
・日常生活上の介助
機能訓練では軽い運動や体操によって、身体の機能維持や関節・筋肉の拘縮予防を図ります。その他、口まわりや表情の体操も訓練内容のひとつです。
健康管理では、栄養バランスに配慮した食事提供の他、内服薬の管理などをおこないます。
レクリエーション内容は施設によってさまざまで、カラオケ・パズル・ゲーム・クイズによる頭の体操などをおこないます。
行き帰りの送迎では、福祉車両でおこなうため車いすの方でも安心です。
食事・排せつ・入浴などの介助では、できる限り本人の持つ機能を活用しながら、状況に応じてスタッフがサポートをおこないます。
デイサービスの主な利用時間は3時間〜9時間で、利用する時間数によってサービス内容が異なるため事前に確認しておきましょう。
デイサービスの種類
デイサービスには一般的なもの以外にも、いくつか種類があるため確認していきましょう。
それぞれ異なるタイプの中から身体の状態やニーズに合わせた施設選びが可能です。今回はタイプ別に以下の3つを紹介します。
【デイサービスの種類】
・特化型デイサービス
・認知症対応型デイサービス
・宿泊型デイサービス
特化型デイサービス
まず紹介するのは特化型デイサービスです。特化型の中にもさまざまなタイプがあります。
例えば、リハビリ特化型のタイプでは手厚いリハビリサービスを受けられるのが特徴です。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職が配置されています。
身体の状態に合わせたリハビリが受けられるため、日常生活に必要な筋力や機能の維持・向上を目指す方におすすめです。
その他にも、料理特化デイサービスなどもあります。料理を通して楽しく身体を使える他、旬の食材によって季節を楽しめるため料理好きな方におすすめです。
上記以外にもさまざまな趣味や活動に特化したデイサービスがあるため、好みの施設を選ぶと良いでしょう。
認知症対応型デイサービス
2つ目は認知症対応型デイサービスです。
認知症サポートに特化した施設のため、認知症の方でも安心して利用できます。認知症の知識が豊富なスタッフが常駐しており、それぞれの症状に合わせた対応が可能です。
認知症対応型デイサービスは利用人数が12名以下と定められているため、一人ひとり丁寧なサポートを受けられます。
少人数制のため、大人数で過ごすことが苦手な方でも過ごしやすい環境です。
認知症対応型デイサービスは地域密着型のサービスのため、同一市区町村内の事業所以外は利用できないので注意しましょう。
宿泊型デイサービス
3つ目が宿泊型デイサービスです。
通常のデイサービスは日帰りのため宿泊はできません。しかし、宿泊型タイプであれば日中のサービス終了後にそのまま施設に宿泊できます。
ご家庭の都合でどうしてもその日だけ在宅介護ができない場合や、家族の介護負担を軽減させたい時などに利用を検討すると良いでしょう。
普段は在宅介護を希望する方や、要介護者を施設に預けるほどではない方におすすめです。
しかし、宿泊費は全額自費になるため注意しましょう。宿泊を利用する際は事前に利用料を確認しておくことが大切です。
利用方法や手順・費用について
これからデイサービスの利用方法や手順を紹介します。
サービスを利用するにはいくつかの条件クリアが必要です。利用条件に当てはまらない方の利用はできないため、注意しましょう。
また、デイサービスでは重い医療ケアに対応していない場合が多いため、身体状態が心配な方は事前に確認が必要です。
利用時の流れや、一般的な費用を利用時間・介護度別に下記で確認してみましょう。
利用条件
デイサービスが利用可能な条件は下記のとおりです。
【利用条件】
・要介護認定を受けている方
・介護度1~5の方(要支援は不可)
・施設の規定する範囲内に住所がある方
デイサービスの利用を検討する際は、要介護の認定を受けているか確認しておきましょう。また、要介護1~5の方が対象のため、要支援の方は利用できません。
介護認定は、役所の担当窓口で申請するか、地域包括支援センターで代行申請が可能です。また、40~64歳の方でも、特定疾病を診断されている方は、介護認定を受けられます。
デイサービスを利用するには施設が規定するサービス提供範囲内に住んでいる必要があります。希望する事業所がサービス提供範囲なのか事前に確認しましょう。
要支援の方はデイサービスを利用できませんが、別途で介護予防サービスが利用できます。さまざまな事業所が市町村の許可を得て介護予防サービスを提供しているため、希望に合うサービス利用によって対処可能です。
利用までの流れ
デイサービス利用までの一般的な流れを紹介します。順番に確認していきましょう。
【利用までの流れ】
・要介護認定を受ける
・ケアプラン作成
・施設選択
・見学・体験
・契約
まずは介護認定を受けましょう。要支援認定の場合は、利用可能な介護予防サービスを検討します。
ケアプランは基本的にケアマネージャーが作成します。施設選びの際は、ケアマネージャーと相談しながら決めると良いでしょう。
その後、担当者が集まりサービス内容や利用回数の確認をおこないます。最後に契約を交わし、サービス利用開始です。
施設選びの際は、実際に見学や体験利用へ行って事前に施設の雰囲気を確かめてみると良いでしょう。
費用
一般的なデイサービス利用時の費用を確認していきましょう。利用時間や介護度により、費用は異なります。
時間/介護度 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
---|---|---|---|---|---|
3~4時間 | 368円 | 421円 | 477円 | 530円 | 585円 |
4~5時間 | 386円 | 442円 | 500円 | 557円 | 614円 |
5~6時間 | 567円 | 670円 | 773円 | 876円 | 979円 |
6~7時間 | 581円 | 686円 | 792円 | 897円 | 1,003円 |
7~8時間 | 655円 | 773円 | 896円 | 1,018円 | 1,142円 |
8~9時間 | 666円 | 787円 | 911円 | 1,036円 | 1,162円 |
(通常規模型通所介護1回あたりの料金/1割負担の場合*2022年11月現在)
通常規模とは、前年度の1ヶ月あたりの平均利用延人数が750名以内のデイサービスのことです。
上記料金の他に、食費(おやつ含む)や施設備品の利用費がかかります。
その他、地域による加算や自己負担割合(所得に応じて1~3割)により料金表と異なる場合があるため事前に確認が必要です。
デイサービス利用の目的
デイサービスの利用にはさまざまな目的があります。
ひとつは要介護者の身体機能を維持することです。その他、本人の生活の質(QOL)向上だけではなく、家族の介護負担軽減にもつながります。また、在宅生活を継続したい場合にも利用を検討します。
デイサービスのメリットやデメリットをみていきましょう。
デイサービスのメリット
デイサービスのメリットは以下のとおりです。
【メリット】
・外出によって刺激を受ける
・家族への介護負担を軽減できる
・誰かに会ってコミュニケーションが取れる
・身体機能の維持や向上が図れる
・栄養バランスに配慮された食事が提供される
まず、デイサービス利用によって外出の機会を作れます。筋力や身体の機能低下によって外出が億劫になる方も少なくありません。
もともとインドアな方や外に出る機会が減ってしまった方でも、デイサービス利用によって外出の機会を作れるのがメリットです。
同時に、施設で誰かと会ってコミュニケーションを取る機会も増えるでしょう。外で誰かと会って話すことは脳の活性化につながります。
また、栄養バランスに配慮された食事が提供されるのも利点です。本人にとっての健康面だけではなく、食事を用意する家族の負担軽減にもつながります。
デイサービスの利用は、要介護者と家族のどちらにもメリットがあることを覚えておくと良いでしょう。
デイサービスのデメリット
一方で、デイサービスのデメリットは以下のとおりです。対処法とあわせて確認してみましょう。
【デメリット】
・利用回数に制限がある
・施設によって対応エリアが決まっている
・施設の雰囲気が合わない場合ストレスになる
・利用料による出費が増える
介護度によって利用可能な上限数があります。多く使いたい方や、利用回数が心配な方はケアマネージャーに相談しましょう。
希望の施設が対応エリア外の場合には利用できません。自宅から近い場所や、対応エリア内の施設を探してみましょう。
その他、施設の雰囲気が合わないとストレスや精神的な負担につながるので、施設検討の段階で見学や体験利用へ行き、雰囲気を確かめてみると良いでしょう。
サービス利用料の他に、食費や備品代がかかります。備品の持ち込みが可能な場合は、自身で用意するなどの工夫をすると良いでしょう。
デイサービス利用がおすすめの人
デイサービスの利用がおすすめの方は下記のとおりです。
【おすすめの方】
・外出の機会が減った方
・1人で排泄が難しい方
・日常生活で動作が不安な方
・日常生活に支障が出始めた方
・家族の介護負担を軽減させたい方
普段から外出が少ない方や外に出る機会が減ってしまった方は、デイサービスの利用がおすすめです。安全に外出の機会を増やせます。
その他、機能や筋力の低下によって1人で排せつが難しくなってきた方や、日常生活上の動作に不安が出てきた方はデイサービスの利用がおすすめです。スタッフのサポートによって身体状態に合わせた機能の維持や向上を図れます。
家族介護の負担を軽減させたい方にもおすすめです。施設スタッフが栄養に配慮した食事の用意や、日常生活を支援してくれるため家族の負担軽減につながります。
まとめ
この記事ではデイサービスごとの特徴を説明したうえで、利用条件やサービス内容を紹介しました。
デイサービスにはさまざまなタイプがあり、サービス内容も施設によって異なります。自身の状態や希望に合わせた施設を検討してみてください。
利用を検討の際は、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。施設選びでは、事前に足を運んで雰囲気を確かめることをおすすめします。