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介護資格・スキルアップ

2023-05-09

理学療法士として働くには?活躍できる場所や待遇を徹底解説

理学療法士は、病気やケガなどで身体に障害がある方の運動機能の回復や維持を図る仕事です。医師の指示のもと指導や物理療法をおこなう専門職です。

 

身体機能の向上や予防、健康な方へのアドバイス、高齢者の介護予防、健康増進、生活習慣病に対する指導、スポーツ分野など対象者も幅広いため、理学療法士に興味を持っている人もいるのではないでしょうか。

 

今回は、理学療法士の業務内容や年収・働ける場所など、詳しく解説しています。理学療法士になるためには、専門の知識や技能を身につけることが必要です。

 

理学療法士になるメリットも紹介しているため、さまざまな魅力を見つけられるでしょう。理学療法士を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

理学療法士とは

理学療法士は、身体に障害がある方の運動機能の回復や向上・維持できるように訓練をおこない、対象者が自立を目指し、社会復帰や在宅生活を送れるように指導する仕事です。

理学療法士は「立つ」「座る」「寝返り」など、日常生活の動作が難しい方を対象としており、医師の指示のもと、歩行訓練や可動域訓練などをおこないます。温熱や電気刺激・光線など物理療法をする場合もあります。

同じリハビリ専門職である作業療法士との違いは、理学療法士は身体の基本動作能力の回復と維持をすることに対して、作業療法士は、日常生活動作や余暇活動の支援ができます。また、精神に障害がある方に対してもサポートできることが、理学療法士との大きな違いです。

理学療法士は、対象者の状態に合った訓練をおこない、社会復帰や在宅生活の支援をします。自身が提供したリハビリによって、その人らしい生活を取り戻すことを間近で見られるため、やりがいのある仕事といえるでしょう。

理学療法士の年収や待遇とは?

理学療法士は医療機関のほかに、介護福祉施設で働く人が多くいます。日本では高齢化が進んでおり、リハビリが必要になる方が今後も増加するでしょう。

理学療法士は、毎年約1.2万人以上が受験しています。約1万人が合格しており「公益社団法人 日本理学療法士協会」の登録者を見れば、年々増加していることがわかります。

このように、専門知識を生かせるためか、理学療法士を目指す人が増えています。理学療法士の勤務形態や年収・働ける場所についても詳しく解説していきましょう。

勤務形態

理学療法士は、一般的に8:00~18:00までの時間帯で約7~8時間働くことが多く、日中勤務がほとんどです。

働く施設のなかには、遅出や早出などの時間差勤務をおこない、リハビリ対象者の朝や夜の日常生活動作の評価をおこない、訓練や指導に取り入れることもします。

遅出や早出の勤務形態があることで、忙しくならないか心配になる方もいるでしょう。しかし、早出後はプライベートの時間を取りやすいため大きな負担にはならないでしょう。

時間差勤務はあるものの、深夜対応はほとんどありません。しかし、施設によっては、月に数回の宿直をおこなう場合もあります。

労働時間や休日については、勤務施設によって異なります。緊急対応はないものの、書類作成のために残業することや休日に勉強会が実施されることもあるでしょう。しかし、参加は自由なため比較的プライベートの時間を確保しやすくなっています。

年収

厚生労働省の調査によると、理学療法士の平均年収は約430.7万円、平均月収は約26万円です(※2023年4月時点)。年収や月収は、全国平均となっているため、地域や勤務地によって異なります。

次の表は、ほかの医療・福祉職種の平均年収です。

職種平均年収(万円)
理学療法士430.7
作業療法士430.7
言語聴覚士430.7
看護師508.1
介護支援専門員(ケアマネージャー)405.8
訪問介護員353.2

(参考:jobtag|厚生労働省

上記の表をご覧ください。同じリハビリ専門職である作業療法士や言語聴覚士とは、同等の年収です。夜勤のある看護師と比較すると低いと感じられるかもしれませんが、介護職と比較すると高めだといえるでしょう。

働ける場所

理学療法士の主な職場は、病院、介護施設や福祉施設などさまざまです。

病院では、社会復帰や在宅復帰を目標としたリハビリをおこなっています。補助具の調整をすることや自宅を訪問して、生活しやすい環境を整えることも重要な役割です。また、リハビリ専門病院では、長期間にわたってリハビリをします。

介護福祉施設で働く場合は、老人介護保健施設や通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションなどです。通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションでは、少しでも長く自宅で過ごせるよう支援します。

そのほかにも、保健センターや教育機関など、身体機能の改善や維持など、健康な方を支援することもあり、活躍できる場所は多岐にわたっています。

1日のスケジュール

理学療法士のスケジュールの一例を紹介します。

8:30~朝礼・申し送り・1日の予定の確認
9:00~午前のリハビリ業務
12:00~昼食・休憩
13:00~午後のリハビリ業務
16:30~リハビリ実施記録・計画書など書類作成
17:30頃申し送り・退勤

理学療法士の1日の業務内容には、書類作成などの事務作業や、必要であれば家族への説明・指導などもおこないます

また、対象者の状態の把握やリハビリ内容の見直し・他職種ミーティングなどもあります。理学療法士は、他職種と連携して仕事を進めるために情報の共有は大切です。

理学療法士になるには

理学療法士になるには、国家試験の合格が必須です。国家試験を受けるには、養成校で必要なカリキュラムを修了し、卒業見込みまたは卒業しなければなりません。

具体的には、次のような養成校で学びます。

・4年制大学
・短期大学(3年制)
・専門学校(3年~4年制)
・特別支援学校(視覚障害者が対象)

養成校では、基礎教養・基礎医学・臨床医学や、病院や介護施設などでの臨床実習を通して、理学療法士に必要な知識や技術を学びます。

すでに作業療法士の資格を取得している人は、養成校で2年以上学べば理学療法士の受験資格が得られます

理学療法士のメリット

理学療法士の資格を取得するメリットは、次の3点です。

・専門職として働ける
・活躍できる場所が多い
・やりがいが感じられる

患者さんと向き合うときには「うまくいかない」と感じることもあるでしょう。適切な訓練に必要な理学療法士ですが、どのようなことにメリットを感じられるのか、解説していきます。

専門職として働ける

理学療法士は国家資格であり、更新制の資格ではないため期限が切れる心配はありません。また、正社員だけでなく、パートで働く選択も可能です。

結婚や出産などで働かない期間ができたとしても、理学療法士の資格があれば再就職がしやすくなるため、専門職として長い期間働ける資格の1つといえるでしょう。

また、理学療法士としての技能や知識をさらに高めていくことも可能です。住環境コーディネーターや義肢装具士など、ほかの資格を組み合わせれば、仕事の幅も広げられるでしょう。

活躍できる場所が多い

理学療法士は、医療機関だけでなく介護福祉施設で働くこともあります。医療機関や福祉施設は全国各地に存在しており、自宅からの距離や待遇など自分の希望する職場を選べます。

医療・福祉施設のほか、教育機関・行政機関などでも活躍しており、なかにはスポーツ関連など一般企業に関わる場合もあります。

今後、日本では高齢化が進んでいけば、身体に障害を抱える人が増加する可能性も考えられるため、リハビリを受けるニーズが増えると予想されます。ですから、理学療法士が活躍できる場所が、今後も増えていくでしょう。

やりがいを感じられる

理学療法士は、やりがいを感じられる仕事であることもメリットの1つです。

理学療法士は、急性期のリハビリをおこなうこともあり、病気や介護が必要な状態から、退院や社会復帰できる状態まで回復する姿を間近で見られます。

なかなか成果がでないため、モチベーションが下がってしまう患者さんもいるでしょう。思うように身体が動かせないため、いつでもよい状態でリハビリできるとは限りません。

落ち込む気持ちを察しながらも時間をかけて取り組み、できることが1つでも増えたときは、大きなやりがいを感じられるでしょう。また、本人・家族から感謝され、直接「ありがとう」と言われる機会も多くあります。

理学療法士は、医師や看護師・介護員などと協力して、対象者のサポートをします。他業種と情報共有をおこない、チームケアがうまくいったときは、自分もチームの一員として役立てたことにも、やりがいを感じられるでしょう。

理学療法士はメリットが多い仕事!専門知識を生かそう

理学療法士は、病気やケガで身体に障害を持った方の訓練や指導をおこない、運動機能の回復・維持をすることです。医師の指示をもとに運動訓練や温熱・電気など物理療法をすることも可能です。

自宅に帰ることや社会復帰を目標としています。また、現在の運動能力を維持して、自分らしい生活を維持することも理学療法士の役割の1つです。訓練の成果があらわれたときは、直接お礼を言われることもあり、やりがいを感じられる仕事です。

理学療法士は日中働くことが多く、夜勤はほとんどありません。主に、医療機関や介護・福祉施設で働いており、今後日本では高齢化が進むことを考えると、リハビリ対象者も増えるでしょう。

理学療法士の資格は更新制ではないため、1度取得すればブランクができても働くことが可能です。

医療現場以外にも活動の場が広がっており、国家資格を取得していれば就職や転職に有利になるでしょう。

理学療法士はメリットが多く、さまざまな分野で活躍できる資格です。ぜひ、専門的な知識を身につけ、理学療法士を目指してみてはいかがでしょうか。

加藤 真太郎

理学療法士
臨床実習指導者講習会修了

理学療法士として8年間、回復期病院で勤務。その後は養成校で専任教員をしながら、週1回は病院勤務を継続している。臨床と教育現場を経験している数少ない理学療法士である。
理学療法学科の専任教員を本業としながら、ライターとしても活動し記事の執筆をしている。筋トレ・ジムの紹介ブログも運営中。