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2023-05-11

理学療法士は「やめとけ」と言われる理由とは|理学療法士に向いている人やメリットを解説!

理学療法士は、事故や病気で身体に障害を持った方に運動療法や物理療法をします。障害の状態に合わせてプログラムを作成し、回復への手助けができるため、やりがいのある仕事です。

 

しかし、理学療法士になるのは「やめとけ」という声も聞かれます。理学療法士を目指している方は「なぜ、そう言われるのだろう?」と疑問を持つ人もいるでしょう。

 

今回は、理学療法士は「やめとけ」と言われる理由を解説しています。また、理学療法士になるメリットや向いている人の特徴についても紹介しています。

 

理学療法士のメリットとデメリットや適性を理解し、今後の参考にしてください。

理学療法士は「やめとけ」と言われるのはなぜ?

理学療法士の仕事は、なぜ「やめとけ」と言われるのでしょうか?主な理由は次の4点です。

・給料が上がりにくい
・人間関係がつらい
・プライベートの時間が作りにくい
・就職しにくい

次から解説していきます。

給料が上がりにくい

理学療法士の年収は、厚生労働省の調べによると平均で、430.7万円、月収は22.3~27.7万円です。

地域や働く施設によって異なるものの、理学療法士の給料は診療報酬制度によって定められています。

時間によって20分1単位と決められており、1人の理学療法士が取得できる単位数は1週間で108単位までと上限があるため、勤続年数が長くても給料が上がりにくい傾向です。

人間関係がつらい

理学療法士は専門職のため、それぞれ自分の考えを持って仕事をしています。そのため、同じ業種内の上下関係や同僚と意見がぶつかり合うこともあり、人間関係がぎくしゃくしてしまう場合があります。

また、理学療法士は、医師や看護師・介護員など他職種と連携しながら働いています。情報共有の行き違いやリハビリ業務への理解が浅いことによる、他業種とのトラブルも少なくありません。

また、働く施設によっては理学療法士の配置人数が少なく、業務を一任されます。同業種間で仕事の悩みを相談できないこともあり、ストレスを感じる人もいます。

プライベートの時間が作りにくい

理学療法士は、日中仕事をすることが多く緊急対応もありません。夜勤はほとんどありませんが、働く施設によっては月に数回宿直があるでしょう。

働く施設によって残業時間は異なりますが、業務終了後に計画書の作成や入力作業などの事務作業が残ることもあり、残業時間が多くなる傾向です。

理学療法士は、常に新しい情報を収集し、リハビリに取り入れていくことがあります。そのため、休日でも勉強会が実施されるなど、プライベートの時間が取りにくいと感じられます。

就職しにくい

理学療法士は、毎年約1.2万人が受験しています。次の表は、過去3年の合格者の人数です。

実施年受験者数合格者数
令和5年12,948人11,312人
令和4年12,685人10,096人
令和3年11,946人9,434人

このように、毎年約1万人の理学療法士が誕生しており「公益社団法人 日本理学療法士協会」に登録されている理学療法士の数は、2022年の時点で13.3万人います。10年前の2012年の8.3万人の登録者数から約1.6倍に増加しています(2023年4月時点)。

「やめとけ」って本当?理学療法士のメリットとは

理学療法士は「やめとけ」と言われていますが、メリットはないのでしょうか?理学療法士のメリットとして以下の4点を紹介します。

・将来性がある
・転職に有利
・夜勤が少ない
・仕事にやりがいを感じられる

次から詳しく見ていきましょう。

将来性がある

理学療法士のメリットの1つに、将来性があることが挙げられます。理学療法士の人数も増加しており「就職先がないのでは?」と、考える人も少なくないのではないでしょうか。

現在の日本では高齢化が進んでおり、2025年には75歳以上の人口は2,180万人になると推測されており、運動機能が低下する高齢者が増えることも考えられます。

介護施設には、介護老人保健施設や訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションなどがあり、訪問や通所を利用して、できるだけ長く自宅で過ごすことを目的にしています。運動機能の維持や向上も含めると、今後も理学療法士の需要は増えるでしょう。

また、理学療法士は、医療・福祉施設だけでなく、行政機関やスポーツ関連の企業など、さまざまな分野でも活躍しています。

転職に有利

理学療法士は、国家資格です。先にも紹介したように、理学療法士の活躍している場所は一般的な医療機関のほか、介護施設や教育機関・スポーツジムなど、働く場所は多岐にわたるため、就職先に困ることはないでしょう。

理学療法士の国家資格は期限が切れることはないため、結婚や出産のブランクがあっても再就職が可能です。

医療機関や介護施設は、全国各地に存在しており、引っ越しした際にも就職先が見つかりやすいと考えられます。

夜勤が少ない

理学療法士のほとんどは、リハビリ業務をおこなっているため、日中活動をしています。働く施設によっては、患者さんの生活状況や動作を確認するため、早出や遅出といった時間差出勤をおこなっています。

しかし、夜勤をするほど帰宅時間が遅くなることはなく、緊急対応をすることも多くありません。ですから、プライベートの時間の確保がしやすく、生活リズムが乱れることもないでしょう。

ただし、勤務先によっては、月に数回の宿直をすることもあるため、就職時には確認が必要です。

仕事にやりがいが感じられる

理学療法士は、リハビリの時間を通して、患者さんと信頼関係を築いていきます。自分の体が思うように動かないとき、絶望感のある方が多くいるでしょう。

「早く家に帰りたい」という前向きな気持ちで訓練に取り組んでもらえたときにも、大きなやりがいを感じられます。

繰り返し訓練や指導をする中で、機能回復が見られたときは、リハビリ患者さんの笑顔が見られます。

また、実際に自宅に帰る日がきたときには、本人や家族からお礼を言われることもあり、人の役に立てた喜びも味わえるでしょう。

訓練をおこなっても、なかなか思うように成果が出ないこともありますが、できることが増えることもあり、やりがいを持って仕事に取り組むことも可能です。

理学療法士に向いている人

次のような人は、理学療法士に向いています。

・人と接することが好きな人
・小さな変化にも気付ける人
・心身ともに健康な人

理学療法士は、リハビリ患者さんに合った計画を立てます。体の状態や生活環境など、さまざまな情報を理解したうえで訓練をおこないます。

理学療法士に向いている人の特徴を、次から解説していきます。

人と接するのが好きな人

まず、人と接することが好きな人が向いています。理学療法士の仕事は、1対1で人と関わる仕事です。

患者さんや家族の希望を聞きながら計画書を作成・実施するため、リハビリ内容を本人や家族に説明もします。対象者とやり取りしながらリハビリをおこない、コミュニケーションをする機会も多くなります。

理学療法士は医師の指示によって業務をおこないます。また、働く場所によっては看護師や介護員など他業種と連携が必要です。

このように、対象者や家族だけでなく、医師や看護師、介護員などさまざまな業種のスタッフともコミュニケーションを取る場面が多いため、人と接することが好きな人がよいでしょう。

些細な変化にも気付ける人

理学療法士は、1対1のコミュニケーションが必要となる仕事です。患者さんの中には、今までできていた動作が難しくなる方もいます。

普段と違う表情や動作に気付き、相手の気持ちに寄り添えることが大切です。悩みや気持ちを聞く時間を作り、リハビリ内容の変更も必要になるでしょう。

リハビリの患者さんは、理学療法士に何でも話せる人ばかりではありません。ですから、普段から相手のことをよく観察して訓練をおこなうことが大切です。

対象者の普段の様子はすぐに把握できるものではなく、日々の積み重ねや経験も必要です。何気ない話の中からでも、楽しく訓練ができるようなアプローチが可能です。対象者に興味を持ち、多面的に見ることも大切です。

心身ともに健康な人

理学療法士は、心身ともに健康な人に向いています。理学療法士の仕事は、主に運動機能の回復や維持の訓練をおこないます。リハビリの患者さんは体をうまく使えない方が多いため、体全体を支える力や体力が必要です。

リハビリの安全を守るためにも体力は必要です。うまく体を支えられなければ、対象者も不安を感じることでしょう。

個別にプログラムを作成し、訓練を実施しますが、すぐに回復に向かうわけではありません。リハビリ対象者のモチベーションが低下していれば、じっくり話を聞く忍耐力も必要です。

さまざまな悩みを持つ方を対象にしており、個別に対応しています。自分自身に悩みがあったり、体調が悪かったりすれば、相手の方を思いやる余裕もなくなります

普段から健康管理に気を付け、適切な訓練をおこなえることが大切です。心身ともに健康で働けることが重要です。

理学療法士は「やめとけ」という人もいるが、将来性がある仕事

理学療法士の国家資格は、毎年1万人以上が誕生しており、就職難が懸念されています。給料面や勤務時間などを考え、理学療法士は「やめとけ」という意見を耳にします。

理学療法士は、ほかの医療職と比べて年収が低い傾向です。しかし、理学療法士の活動範囲は医療機関だけでなく、介護保険施設や教育機関・行政など、多岐にわたります。

また、他職種と働く機会が多いため、情報共有の行き違いや業務内容の理解が薄いことから、うまく連携が取れないこともあります。施設によっては理学療法士の配置が少なく、孤独を感じる人もいるでしょう。

しかし、一人ひとりと忍耐強く向き合い、身体機能回復の手助けができる、やりがいのある仕事です。メリット・デメリットを理解したうえで、理学療法士を目指してみてはいかがでしょうか。

加藤 真太郎

理学療法士
臨床実習指導者講習会修了

理学療法士として8年間、回復期病院で勤務。その後は養成校で専任教員をしながら、週1回は病院勤務を継続している。臨床と教育現場を経験している数少ない理学療法士である。
理学療法学科の専任教員を本業としながら、ライターとしても活動し記事の執筆をしている。筋トレ・ジムの紹介ブログも運営中。