介護職のお悩み
2022-11-29
高齢者介護におけるコミュニケーションでもう悩まない!コミュニケーションのコツを徹底解説
高齢者介護でのコミュニケーションに悩みを抱える人は少なくありません。上手にコミュニケーションが取れなかったり、どのように接して良いかわからなかったりする人もいるでしょう。高齢者との良好な関係を築くためにはコミュニケーションが必要不可欠です。
この記事ではコミュニケーションの重要性を説明したうえで、どのようなことを意識すれば良いか紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
介護におけるコミュニケーションの役割
介護の場面においてコミュニケーションはとても重要な役割があります。介護というと身体的なサポートに目がいきがちですが、コミュニケーションのうえに成り立っていると言っても過言ではありません。
コミュニケーションの役割や重要性を下記で詳しく紹介していきます。
・コミュニケーションの重要性
・コミュニケーションが信頼関係を築く
・コミュニケーションに悩む人も多い
ひとつずつ確認してみましょう。
コミュニケーションの重要性
介護の場面では「安心」「安全」「安楽」が重要です。どれもコミュニケーションがなくては成り立ちません。
利用者に安心して介護を受けていただくために、サポートの内容や手順を説明したうえで了承を得ておくことが大切ですし、介護を安全におこなうためには、利用者の協力が必要不可欠。どのような協力が必要なのかわかりやすく説明しましょう。介護する際は、なるべく利用者が安楽な態勢でおこないます。このときにも利用者に取って安楽な姿勢が取れているか、その都度確認しましょう。
良好なコミュニケーションが信頼関係を築く
利用者と信頼関係を構築するためには、コミュニケーションが重要です。コミュニケーションが円滑におこなわれないと、利用者が望んでいない介護をしてしまうなどのトラブルや問題が発生する可能性もあります。
利用者との関係性が薄い場合には、本音を話してくれないかもしれません。良好な関係があれば利用者の本音や希望が聞き取りやすくなるでしょう。利用者が本当に望む介護やサポートをおこなうためには、お互いにコミュニケーションを取り信頼関係を築きましょう。
コミュニケーションに悩む人が多い
コミュニケーションが大切だと理解していても、うまくできずに悩む方も少なくありません。介護現場でよくあるコミュニケーションの悩みとして、人見知りしてしまうという人がいます。人見知りがある方は思うようにコミュニケーションが取れず、ツライ思いをする場面もあるでしょう。人見知りに悩む場合は、事前に会話する内容を準備しておくと良いです。また、話すことに注力するのではなく、聞く側に徹する意識を持つとうまくいく場合があります。
また、相手との面識があまりない場合は、どのように接して良いかわからず悩む場面もあるでしょう。このような時期は誰にでもあるため、相手との関係性を気長に築いていく気持ちが大事です。ゆっくりでも、丁寧に接する気持ちは相手に伝わります。
コミュニケーションの種類や方法
介護場面で役に立つコミュニケーションの種類や方法を紹介します。
・言語コミュニケーション
・非言語コミュニケーション
・開かれた質問
・閉じられた質問
・認知症の方とのコミュニケーション
活用するにはどうしたら良いのか順番に確認してみましょう。
言語コミュニケーション
言語コミュニケーションとは思いを直接言語で伝える方法です。声や言葉によるものだけではなく、メールや筆談、手話なども言語コミュニケーションに分類されます。言語コミュニケーションでは、名称や方言など、どういった言葉を使えば相手に伝わりやすいかを考えながらおこないましょう。
伝えるだけではなく、相手の伝えたいことを理解する姿勢が大事です。アイコンタクトを活用したり、あいづちを入れたりしてコミュニケーションを取りやすい雰囲気作りを心がけましょう。
非言語コミュニケーション
非言語コミュニケーションとは、言葉や文字以外のコミュニケーション法です。
主に、表情や身振り手振りといったジェスチャーを活用します。非言語コミュニケーションは言語コミュニケーションよりも多くの情報が相手に伝わるため注意が必要です。メラビアンの法則では、非言語で伝わる情報が93%、言語で伝わるものは7%と言われています。
視覚から伝わるものだけではなく音やリズム、香りのように聴覚・嗅覚で感じるものも非言語コミュニケーションに入ります。五感を活用しておこなう非言語コミュニケーションは、介護現場でも重要視されています。
開かれた質問
開かれた質問とは、「はい」か「いいえ」では答えられないものです。開かれた質問の具体例を下記で紹介します。
【開かれた質問】
・「今日は何をしましたか?」
・「好きな色は何色ですか?」
・「好きな食べ物は何ですか?」
このように、多くの返答が考えられるものが開かれた質問です。開かれた質問は、相手の思ったことを自由に選択・発言してもらえるメリットがあります。相手の考えや感情をより詳しくうかがえるため、深いコミュニケーションが取りやすいです。
相手の自由な発想を聞けるため、意外な一面を発見できるかもしれません。また、相手に考える機会を与えられるのも利点でしょう。一方で、質問に対して利用者が困ったり、会話の要点がまとまりづらかったりするため、質問する側にも技術や慣れが必要です。
閉じられた質問
閉じられた質問とは「はい」か「いいえ」で答えられる質問です。閉じられた質問の具体例を下記で紹介します。
【閉じられた質問】
・「昨夜は眠れましたか?」
・「猫は好きですか?」
・「音楽は好きですか?」
このように、「はい」か「いいえ」の2択で答えられる質問が閉じられた質問です。介護で閉じられた質問をするメリットは、コミュニケーションが苦手な相手でも比較的答えやすい点にあります。会話が苦手な方でも答えやすいほか、発音が難しい方であっても首を振る動作で答えられるため、場面に応じて使い分けると良いでしょう。
一方で会話が広がりにくいため、開かれた質問と織り交ぜて使用すると効果的です。閉じられた質問でコミュニケーションがスムーズに進む場合には、開かれた質問を混ぜてみましょう。
認知症の方とのコミュニケーション
認知症の方とのコミュニケーションで大事なのは、相手の状態を良く理解することです。認知症の影響で、物忘れや感情が不安定になる場合があります。症状や度合いは人によってさまざまなため、認知症の症状を理解し、相手を受け入れる姿勢が大切です。
うまく言葉が出てこない場合には、相手のペースに合わせて閉じられた質問や非言語コミュニケーションを上手に活用してみると良いでしょう。認知症の方と接するときは、相手を否定したり責めたりせず、一人ひとりに寄り添った対応が必要です。
高齢者介護で上手なコミュニケーションの取り方
高齢者介護で上手にコミュニケーションを取るコツを6つご紹介します。コミュニケーションに苦手意識がある方は、ぜひ参考にしてください。
【コミュニケーションのコツ】
・相手を受け入れて聞く姿勢
・声の大きさやトーンに配慮する
・相手のペースに合わせる
・表情に気を配る
・経験や慣れも必要
・相手を思いやる気持ちと敬意を持つ
どのようなことを意識すれば良いのか詳しくみてみましょう。
相手を受け入れて聞く姿勢
介護では高齢者の思いや意思を受け入れて耳を傾けることを”傾聴”と言います。相手の思いを受け入れ、共感する意識を持って話を聞きましょう。同じ内容を繰り返したとしても、否定はせずに受け止めます。
高齢者は急に不安やネガティブな気持ちを抱く場合がありますが、どのような感情を抱いているのかを理解し寄り添いましょう。一人ひとりの状況や環境に合わせ、丁寧に傾聴する姿勢が大切です。
声の大きさやトーンに配慮する
高齢者介護でコミュニケーションを取る際は、ゆっくり・はっきりと話しましょう。大きな声で話せば良いという訳ではなく、相手に伝わりやすい大きさを意識しなければ、怒鳴られているなどの誤解を与える可能性があります。
相手の様子を見ながら、聞き取りやすい声の大きさを心がけましょう。このとき左右の耳で聞き取りやすさに違いがある場合は、聞き取りやすい側の耳に向けて話をすると良いでしょう。また、高齢になると音量だけではなく、高い音が聞き取りづらくなる傾向のため、普段よりも低い声ではっきりと発音すると良いでしょう。
相手のペースに合わせる
高齢者との会話では、相手が言葉に詰まり、思ったように話せない場合があります。なかなか言葉が出なくても、焦らず相手のペースに合わせましょう。積極的なコミュニケーションを意識するあまり、自分のペースになっていないか注意が必要です。認知症や発語障害などの理由で反応に時間がかかる場合でも、相手の状況を見ながら余裕を持って接します。たとえ沈黙の時間が長い場合でも、非言語コミュニケーションは成立することを忘れず、表情などに気を配ると良いでしょう。高齢者介護では、利用者一人ひとりに合ったペースのコミュニケーションが重要です。
表情に気を配る
高齢者とのコミュニケーションでは、表情から相手の感情を読み取れる場合があります。
相手がリラックスしている場合や、好きな話題では自然と笑顔になるでしょう。一方で言葉とは裏腹な表情が見える場合は何か秘められた思いがあるかもしれません。会話の内容だけではなく、日頃から相手の表情に気を配るようにしましょう。
相手もこちらの表情を読み取っているため、不安感や不信感を与えないためにも内容にあった表現が必要です。目線にも配慮し、お互いの表情を確認できる姿勢でコミュニケーションを取ると良いでしょう。
経験や慣れも必要
初対面の人や、知り合って間もない人とのコミュニケーションでは、少なからず緊張します。そのため、ある程度の時間と慣れも必要でしょう。接する機会を重ねて関係性が深まることで、コミュニケーションが取りやすくなります。また、経験を重ねると余裕が持てるため、自分に合った方法やコツがわかり、コミュニケーションの幅も広がるでしょう。
相手を思いやる気持ちと敬意
高齢者を介護するうえで重要なのは相手への思いやりの気持ちです。これまで高齢者が歩んできた人生や、その人の価値観を尊重した対応を心がけましょう。思うようにコミュニケーションが取れない場合でも、相手を責めたり急かしたりせず、余裕を持った対応が求められます。ときには沈黙も重要なコミュニケーションのひとつとなるでしょう。非言語コミュニケーションを上手に活用し、表情や仕草、ジェスチャーなどを使うのもおすすめです。
一人ひとりに敬意を払い、相手に寄り添ったコミュニケーションを意識するとことで利用者の安心感・信頼感へとつながります。
まとめ:介護でのコミュニケーションは思いやりが大事
この記事では、高齢者介護でのコミュニケーションの重要性と役割を説明し、上手にコミュニケーションを取るコツを紹介しました。介護の場面ではいつも相手に配慮しながら、心に余裕と思いやりを持ってコミュニケーションを取ってみてください。
言葉による方法だけではなく、表情やジェスチャー、その場の雰囲気などさまざまなものを活用することで充実したコミュニケーションになるでしょう。