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介護職のお悩み

2024-08-08

理学療法士の悩みを解決!筆者の体験談と実践的な解決策の紹介

理学療法士の悩みは、その仕事特有のものから、ほかの職業に共通するものまで、多岐にわたります。患者さんのリハビリをするため「たくさん悩みがあるのではないか」と思う方もいるのではないでしょうか?

 

この記事では、理学療法士が抱えている悩みとその解決策、実際の体験談を紹介していきます。現役の理学療法士の方から、これから目指そうと思っている方まで、参考になる内容を紹介していますので、ぜひご参考にしてみてください。

理学療法士が抱えている悩み

理学療法士は、患者さん一人ひとりに合わせた、運動機能の改善や生活の質を目的としたリハビリを提供する職業です。専門職としての責任や専門性の高さ、人と直接関わる仕事などの理由から、主に次のような悩みを抱えています。

  • ・コミュニケーションの難しさ
  • ・多忙な業務
  • ・肉体的な疲労
  • ・精神的な疲労
  • ・知識・技術の悩み
  • ・経済的な悩み

それぞれの内容を紹介します。

コミュニケーションの難しさ

理学療法士にとって、患者さんやご家族、多職種とのコミュニケーションは非常に重要なので、コミュニケーションを取る相手に合わせて適切な言葉や伝え方、態度などを考えなくてはなりません。

例えば、患者さんが精神的に落ち込んでいたり、認知症を抱えていたりする場合は、安心感を与える雰囲気やポジティブな声がけが大切です。なお、職員間での会話では専門用語を使用しながら、患者さんの状態を的確にかつ簡潔に伝える必要があります。

理学療法士の中でもコミュニケーションを交わすのが苦手な方にとっては、患者さんとの会話や多職種との情報共有などが悩みになることもあるでしょう。

多忙な業務

業務が多忙で残業が増え、休日だけでは疲れが取れず、リフレッシュする時間も十分に取れないことに悩んでいる理学療法士もいます。

特に、患者さんの多いクリニックや職員が少ない職場では、理学療法士が多忙な業務に追われることがしばしばあります。勤務時間中にリハビリ業務に追われるとカルテ入力や書類作成、物品の清掃などのほかの業務が勤務時間外になるため、残業が多くなり帰宅が遅くなってしまうこともあるかもしれません。

また、忙しい日常の中で自己研鑽の時間が取れず、専門知識や技術のさらなる向上が難しいと感じることもあるでしょう。このような状況では、心身ともに疲弊し、モチベーションが低下してしまいます。

肉体的な疲労

理学療法士の仕事として、患者さんの身体を動かしたり、歩行の介助を行ったりするため、肉体的な疲労の蓄積も大きな悩みのひとつです。

理学療法士の業務の中には、複数の患者さんの身体を動かしたり、筋力トレーニングをしたりします。ひとりでは歩けない患者さんに対しては、身体を支えながら歩行訓練をすることも業務のひとつです。理学療法士の身体には徐々に負担が蓄積されるため、関節を痛めたり、腰痛になったりするケースも多い傾向にあります。

こうした肉体的な疲労は、理学療法士の健康や仕事のパフォーマンスに直接影響を及ぼすため、今後仕事を継続するのかといった重要な問題にも直面することがあります。特に歳を重ねてくると、肉体的な疲労が大きな悩みになるでしょう。

精神的な疲労

理学療法士を含め医療職種は、患者さんの身体や健康を守るために、万が一を常に考え仕事をしなければなりません。そのため、患者さんの身体状況の変化や転倒のリスク、点滴やモニターのコード類などが絡まないようにすることなどに注意を払います。

理学療法士の主な仕事は患者さんの動作の改善です。患者さんの精神状態や性格などに合わせた適切なリハビリをしながら、同時に周囲の環境にも細心の注意を払うことになるため、精神的な疲労も大きくなるのです。

知識・技術の悩み

理学療法士は、患者さんの身体機能の改善をサポートするために、幅広い知識と高度な技術が求められます。

患者さんの身体機能の改善には幅広い知識だけではなく、関節を動かしたり、筋肉を働かせやすくしたりする技術なども必要です。先輩や上司から技術を教わったり、研修会に参加したりはしますが、「なかなか成果が出ない」と悩む理学療法士もいます。

経済的な悩み

理学療法士の仕事は、多くの人々の健康と生活の質を向上させる重要な役割を果たしていますが、その給与は一般的な仕事と比べて特段高いわけではありません。また、看護師のように夜勤がある職種ではないため、夜勤手当などの追加収入が見込めないことが一般的です。このため、経済的な悩みを抱えている理学療法士もいると言われているのです。

ご家族を養う責任がある場合や、自己研鑽のための研修参加費用などが経済的な負担になる場合があります。また、勤務先によっても給与や待遇に差があるため、経済的な安定を求めて副業を始めたり、転職を考えたりする方もいることでしょう。

理学療法士の給与はこちらの記事(理学療法士の年収は?他職種との比較や年収の推移、年収アップを実現する方法まで解説!)で詳しく解説しています。

新人理学療法士の悩み

新人理学療法士の悩みには、学んだ知識を実際の臨床現場で生かすという難しさがあります。学校を卒業して臨床に出ると、臨床実習のときよりもさらに高いレベルが求められます。そのため、自分のスキルアップを目指している段階では、先輩や上司とのレベルの差を実感するため、あせってしまい、不安になる場合が多いでしょう。

また、患者さんとのコミュニケーションや信頼関係の構築も課題のひとつです。理学療法士としての責任感が重くのしかかり、精神的なプレッシャーを感じることもあります。さらに、多岐にわたる症例に対応するために、常に新しい知識を学び続けなければならないこともプレッシャーとなるので、新人理学療法士は、技術面だけでなく、精神面でも多くの試練を味わうことになるでしょう。

プライベートと仕事の両立ができない

理学療法士の仕事は、常に知識と高い技術が求められるため、自己研鑽が欠かせません。そのため、学会や研修会に参加することが推奨されています。しかし、これらの学会や研修会の多くは、出張扱いではなく、自分の休みを利用して参加する場合がほとんどです。

休日を利用して仕事に関連する活動を行わなければならず、リフレッシュの時間が削られてしまいます。ご家族や友人との時間を大切にしたいと考える理学療法士にとって、この状況は大きなストレスとなります。

このような悩みは、多くの理学療法士が直面する問題です。また、学会や研修会への参加費用や交通費も自己負担となる場合が多く、経済的な負担も無視できません。

さらに、プライベートの時間を削ってまで研修に参加しても、その努力が必ずしも評価されるとは限らない場合もあります。結果として、仕事とプライベートのバランスを取りにくくなり、疲労やストレスが蓄積しやすくなるのです。

理学療法士が抱えている悩みの解決策を紹介

理学療法士が抱えている悩みを紹介しましたが、どれも解決策がなく我慢しなければならないものではありません。それぞれの悩みの解決方法を紹介します。

コミュニケーションの悩み解決策

コミュニケーションの悩みの解決策のポイントは、「最初からうまくやろうとしない」「相手の話を聴く」です。

コミュニケーションが苦手な方は、「うまく喋ろう」「うまく説得しないと」など、うまくコミュニケーションを取ろうとする意識が強くなり、患者さんの話をしっかり聴いていない場合があります。

まずは、最初からうまくやろうとせず、「相手が何を伝えたいのか」「どんな内容の話をしているのか」を聴くところから始めて見ましょう。

知識・技術の悩み解決策

知識・技術に関する悩みの解決策としては、学会や研修会に参加するのが一番です。しかし、プライベートな時間を多く削りたくない方も多いでしょう。

プライベートな時間をなるべく削りたくない人は、先輩がどのようなリハビリをやっているのかをよく観察して、考察してみてください。「何を目的にあの運動をしているのだろう」「どのような考えを持ってリハビリをやっているのだろう」などを考え、実際に先輩に質問してみましょう。

理学療法士の多くは、知識・技術的なポイントの質問をされれば親切・丁寧に教えてくれます。この繰り返しでも、自分の知識・技術は確実に向上します。

新人理学療法士の悩み解決策

新人理学療法士の悩みの解決策ポイントは「積極的に質問する」「たくさん観察する」これに尽きます。学校や臨床実習で習ったり、経験したりしたことは、臨床のほんの一部にしかすぎないため、わからないことだらけかもしれません。

先輩にどんなことを質問しても丁寧に教えてくれることが多いので、わからないことはすぐに聞きましょう。また、働き始めた頃は、先輩のリハビリの見学から始める場合がほとんどです。そのため、この時期に先輩の行動をよく観察しておきましょう。リハビリの内容だけではなく、患者さんとどのようにコミュニケーションをしているのか同時に観察しましょう。

転職で悩み解決【肉体的・精神的疲労、経済的な不安】

肉体的・精神的な疲労、経済的な不安がある場合は、転職を考えてみましょう。自分自身の努力では改善が難しい場合が多いので、環境を変える方が妥当です。

理学療法士が働ける職場は病院や介護施設だけではなく、フィットネスジムや一般企業などさまざまです。また、個人事業主として独立する道もあります。

まずは転職サイトに登録して、さまざまな転職情報を見るところから始めてみてください。多くの転職サイトは無料で登録できるためデメリットはありません。

悩み相談は誰にすれば効果的?

職場内の悩みがある場合、仕事に関する具体的な解決策を見つけるには、現場経験が豊富な先輩や上司に相談しましょう。状況に応じた的確なアドバイスがもらえるはずです。

また、職場や将来のキャリアなどに関する悩みがある場合は、キャリアカウンセラーに相談しましょう。キャリアカウンセラーは、あなたのスキルや目標に基づいて最適なキャリアパスを提案してくれるだけでなく、具体的な行動計画も一緒に考えてくれます。

特に、自分のキャリアの方向性に迷ったり、新しい挑戦を考えたりしている場合には、専門的な視点からアドバイスを受けることで、より明確な道筋が見えてきます。

ストレスや不安から健康に支障をきたしている場合は、心療内科や精神的な健康に関する専門家に相談しましょう。心療内科の医師やカウンセラーは、メンタルヘルスの専門知識を持っており、適切なサポートや治療を提供してくれます。放置すると体調を崩す原因にもなるため、早めに専門家に相談することが重要です。

理学療法士の筆者が抱えていた悩みと解決方法

筆者である私が理学療法士として働き始めたときは、コミュニケーションに悩みを抱えていました。理学療法士の仕事自体は非常に好きで、患者さんから感謝されることに喜びを感じていたものの、患者さんとの対話がうまくいかず、精神的な負担を感じることが多く、悩みを抱えていました。

そこで、私はコミュニケーションの問題を克服したいと思い、悩みの解決策として「状況に応じた適切なコミュニケーション」「先輩の声かけを聴く」を意識的に行いました。最初はうまくいかないことも多くありましたが、徐々に患者さんとのコミュニケーションにも慣れ、今では心の余裕が生まれています。

理学療法士ならではの悩みには解決方法がある

理学療法士が抱えている悩みは、一般的な内容から専門職ならではのものまでさまざまです。しかし、どれも解決策がない悩みではありません。

先輩や上司からアドバイスをもらったり、転職をしたりすることで解決できるケースがあります。患者さんと関わることが多い仕事であるため、さまざまな悩みはつきものですが、その分、患者さんから喜びの声をいただけることが多い仕事です。リハビリに興味がある方は、ぜひ理学療法士を目指してみてください。

加藤 真太郎

理学療法士
臨床実習指導者講習会修了

理学療法士として8年間、回復期病院で勤務。その後は養成校で専任教員をしながら、週1回は病院勤務を継続している。臨床と教育現場を経験している数少ない理学療法士である。
理学療法学科の専任教員を本業としながら、ライターとしても活動し記事の執筆をしている。筋トレ・ジムの紹介ブログも運営中。