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介護職のお悩み

2022-09-05

介護職のお悩みあるある3選。対処法を知って乗り切ろう

介護職は肉体労働だけではなく、精神的にも辛い仕事と言われています。 実際に悩みが多く、辞めたいと思った経験のある方も多いのではないでしょうか。この記事では、やりがいのある仕事でニーズもあるため、辞めたくはないけれど、どう解決していいかわからず苦しい思いをしている方に向けて、介護職でよく見られる悩みの対処法をご紹介します。

【腰痛の悩み】介護職は体力的な負担が多い

介護職の悩みでもっとも多く聞かれるのが、腰痛に関する悩みです。介護員の約3〜4割が腰痛に悩んでいると言われています。 元々腰痛がある人は、仕事で悪化することもあり、仕事が続けられなくなって離職してしまうケースもあります。介護職員は、なぜ腰痛になりやすいのでしょうか。腰痛が悪化する原因として、主に以下の3つの要素が考えられます。

  • ・無理な移乗介助
  • ・ベッドを適切な位置に上げずに介助
  • ・腰痛予防に対する施設の考えが乏しく介護用品が揃っていない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

無理な移乗介助

介助する側のスタッフが力ずくで利用者移乗すると、腰に大きな負担がかかり腰痛のリスクがあります。 ボディメカニクス(最小限の力で介助すること)を取り入れ、無理なく介助しましょう。

ベッドを適切な位置に上げずに介助

1人で大人数の利用者のおむつ交換をするため、ベッドを上げる時間がもったいないと考え、適切な高さに上げないままおむつ介助をすると腰に余計な負荷がかかり、腰痛を悪化させてしまう可能性があります。ベッド上での体位変換も同様です。

腰痛予防に対する施設の考えが乏しく福祉用具が揃っていない

厚生労働省も「持ち上げない介護」を推奨していますが、まだまだ普及していない施設が多く、腰痛予防について意識はあるが、十分に取り組めていない状況です。

福祉用具も多数ありますが、どれを選んだらいいのかわからず、一つひとつが高額なのですぐに揃えられないのが現状です。また購入したが使用方法がわからず、対象利用者に合わないこともあります。

施設によっては、使用するたびに福祉用具を各居室に移動しなければならないことや、準備にも時間がかかる場合もあり、結局使わないで無理な移乗をして時間短縮してしまうケースも多いようです。

【対処法】腰痛を予防する解決策

では、介護職における腰痛のリスクを予防したり解決したりするには、どのような方法があるのでしょうか。

ひとつは、以下のボディメカニクスの8つの原則を理解することが大切です。

  • ・重心を近づける
  • ・重心を低くする
  • ・支持基底面を広くする(両足を開き身体を安定させる)
  • ・身体をひねらない
  • ・身体全体を使う(大きな筋肉を使う)
  • ・水平に移動する
  • ・テコの原理を上手に利用する
  • ・要介護者をなるべく小さくまとめる

例えば、利用者をベッドから車いすなどに移乗する際に、ベッドの適切な高さを、介助するスタッフの膝の高さに合わせます。そうすることで過度に腰を曲げたりすることがなく、腰に負担がかかりにくくなります。

また、正しい体位変換をすることで、腰に負担をかけずに介助することができます。

そして、これは施設側の対策になりますが、導入する福祉用具を選定するにあたり、現場の声を聴き、施設長や上司、看護師、機能訓練指導員などの専門職の方に相談しながら優先順位を考えることが大切です。

安価なものをたくさん揃えていくのか、高額なものをひとつ購入するのかはよく話し合いながら、介護職員にとっても利用者にとっても、最善なものを選定するとよいでしょう。購入後は、誰もが活用できるように使用方法をマニュアル化して共有し、定期的に確認することも大切です。

【サービス残業の悩み】業務時間外の対応が多い

介護職は、サービス残業になりやすい業務があります。サービス残業はなぜ発生するのか、その内容を見てみましょう。

生活記録(食事・排泄・入浴など)

介護の現場では、すべての利用者のバイタルサイン、身体的特記事項など細かく記入しなければなりません。また、ミーティングや会議の記録など、生活記録とは違う記録も書かなければならないこともあります。特に現在はコロナ禍により面会ができない施設も多く、利用者の状況を報告書やお手紙などでお伝えする施設もあります。

研修や勉強会

各施設では、スキルアップのためのさまざまな研修や勉強会などがあります。その多くが、時間外に行うことが多く、業務時間は終了しても、研修や勉強会の時間まで待機しなければならないこともあります。さらにレポート提出などがある場合は、その分さらに残業となってしまうケースもあります。

利用者、家族対応

普段は時間外でも、利用者からの要望に対応することがあります。また、家族対応についても、ケアマネージャーや介護士が日頃の生活面、健康面を時間外で説明することがあり、家族の要望を聞くことは必須です。

急変時対応

利用者の急変時、人手が欲しい状態の時に、業務時間外でも対応しなければならないこともあります。介護職員が添乗員の場合、病院に行く準備をすることで、フロア内が手薄になり、お手伝いのためにサービス残業することもあります。

サービス残業は、違法です。では、サービス残業をなくすために、どのような対策があるのでしょうか。

【対処法①】上司に相談する

まずはしっかり上司に相談して、残業届けを出せるように相談しましょう。また、サービス残業が常態化している場合であれば、業務の見直しや改善、人員増加について検討してもらうように相談しましょう。

【対処法②】働き方を変えてみる

正職員からパートや派遣など、働き方を変えるのもひとつの手段です。特に派遣になると労働時間が厳守されるため、サービス残業はありません。万が一派遣で残業になってしまった場合でも1分から残業代が発生し、派遣会社から先方に伝えてくれるので解決もしやすいでしょう。

【対処法③】転職する

改善の見込みもなく、この先もサービス残業の常態化が変わらないのであれば、転職を考えてもよいでしょう。本来であれば施設側が改善すべき内容ではありますが、なかなか職場の雰囲気で改善の見込みがなく、いくら伝えても変わらないケースもあります。

改善の見込みのないなか、ストレスを抱えて働き続けるより自分に合った施設に転職し、気持ちよく働ける場所を探したほうが、将来のためになるかもしれません。

【精神的な悩み】激務、責任の重さで気持ちが不安定になりやすい

介護の現場では、1フロアを少人数で看る必要があります。特に夜勤になると1人で看なければならないこともあり、業務過多で精神的に不安定になってしまうこともあります。

ここでは、介護職でよく見られる、精神的に不安定になりやすい4つの原因をご紹介します。

職場の人間関係

施設では、さまざまな職種の職員と一緒に働いています。そのため、他職種のなかには介護職を「下」にみる職員もいます。また、介護職は年齢層や経験も幅広く、高校卒のまったくの未経験や無資格の人もいれば、介護の大学や専門学校を卒業し、知識のある人や社会人経験者の人もいます。そのため、意見の食い違いや経験の差からストレスを感じることもしばしばあります。

人手不足

この問題はどの施設でも聞かれることで、重労働の割に給料が見合っていない、利用者は増える一方だが職員数は増えない、重度の介護をする利用者が増加しているなど、がんばっても終わりのない仕事のために、精神的に疲れてしまう人も多いです。

職場の方針や理念が合わない

業務改善を提案しても「前からこういうやり方だから」と突っぱねられてしまうことや、理念とやっていることが伴っていないこともあります。

身体的・精神的負担が大きい

介護は人を相手にする仕事です。一歩間違えただけで、大ケガをさせてしまう可能性もあります。利用者の生活全般を介助するにあたり、身体的にも重労働なうえ、精神的にも気を遣いながら、慎重に行わなければならないため、介護職は心身ともに疲れやすい傾向にあります。

仕事に対する自信がなくなる

自分なりに一生懸命がんばっても、「本当にこれでいいのかな?」と思うことも多いでしょう。なぜなら、職員自身も自分の仕事でいっぱいいっぱいになっているため、なかなか良し悪しを評価してもらえる機会が少ないからです。

その不安が解決されないと、どんどん不安が大きくなり、自分に対して自信を失ってしまうケースもあります。

こうした原因に対し、どのような対処法があるのでしょうか。

【対処法①】辛いことがあったときに話せる人がいる

悩みがあれば、人に話すことで気持ちが和らぐことがあります。

仕事で息詰まったときに話せる上司や同僚はいますか?一人で悩んでしまうと精神的に追い込んでしまうことになってしまいます。小さなことでもいいので人に話してみましょう。我慢してストレスが溜まった状態で話すより、普段から話すほうが精神的に不安定になりにくいものです。

また、職場の人に相談できない場合は、家族や友人に話を聞いてもらうのも有効です。

【対処法②】趣味を見つける

プライベートの時間を充実させることは、息抜きになります。好きなことに集中することで、仕事のことを考えない時間をつくることが大切です。

例えば、アクティブに身体を動かしたり、創作に没頭したり、無心になれる趣味を見つけてみましょう。また、きれいな景色を見に行ったり美味しいものを食べたりすることも、リフレッシュにつながります。

休日に笑顔になれるような楽しい時間を過ごすことが、また新たにがんばる力にもなるはずです。

【対処法③】思い切って転職する

いろいろ試したけれど精神的に不安定な状態が改善されない場合は、無理をせず、転職することも、状況を打開する解決策のひとつです。どこで働くにも身体が大切です。心の病が重篤化すると、長期間働けなくなる可能性もあります。そうなる前に、新しい場所で働くことをおすすめします。

環境を変えてもまだモヤモヤする場合は、一度、病院などでカウンセリングを受けるとよいでしょう。近年、カウンセリングや精神科を受診する人は増える傾向にあり、それだけ「心の病」はいつでも起こり得るものです。精神科は行きにくい、恥ずかしい、認めたくないなど、思いはさまざまあるかと思いますが、我慢している状態を放っておくと仕事ができなくなるだけでなく、日常生活にも支障が出てしまう可能性もあります。

自分を追い込まず、苦しいときは人に相談したり、専門のカウンセリングを受診したりすることも、やりがいのある介護職を続けることにつながるのです。

まとめ

どんな仕事でも悩みやストレスはあるかと思います。しかし、介護の仕事は身体的な介助が多く、疲労が蓄積されて腰痛が悪化しやすい仕事です。

さらに、業務外の残業で疲れが取れず、ストレスが溜まってしまいがちです。心身ともに負担の多い介護職だからこそ、少しでも悩みがあれば、1人で抱え込まずに上司や先輩に相談してみてください。

また、ライフワークバランスを考えて、オンとオフのメリハリをつけることも大切です。

2025年には、団塊の世代と言われている方が後期高齢者になり、4人に1人が75歳以上になることがわかっています。超高齢社会を迎えるこれからの時代、介護という仕事の需要はさらに高まり、これまで以上に社会を支える重要な仕事になるでしょう。

ニーズとやりがいのある仕事だからこそ、悩みを克服し、身体と心のケアをしながら長期に働ける方法を見つけてみてください。

合同会社小森塾 代表 小森敏雄
介護福祉士 准看護師 認知症ケア専門士
おむつフィッター2級 実務者研修教員講習会講師

フリーランス介護講師として2017年に独立し、「介護のプロを育てたい」「根拠を語れるプロを育てたい」という思いで、岐阜県を中心に資格取得講座、施設に出張しての研修会実施を行う。2021年に「合同会社小森塾」を設立。小森塾としての資格取得講座開講と運営も開始。
独立後5年間は年間200本以上の研修登壇。
本出版事業 外国人向け実務者研修 YouTube配信等 多岐に渡り活動している。