介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護資格・スキルアップ 介護支援専門員証はケアマネージャーに必須!交付時期や更新方法など解説!

介護資格・スキルアップ

2023-07-04

介護支援専門員証はケアマネージャーに必須!交付時期や更新方法など解説!

介護支援専門員証とは何かご存じでしょうか?

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネージャー試験)の合格者に交付される証明書ですが、これがなければケアマネージャーとして働くことができない、非常に大切なものです。

この記事では介護支援専門員証の概要や交付の申請方法、失効した場合やうっかり紛失・破損してしまった場合など、イレギュラーなケースについてわかりやすく解説します。

ケアマネージャーを目指す方、興味がある方はぜひ参考にしてください。

介護支援専門員証とは

「介護支援専門員証(ケアマネ証)」は、介護支援専門員として業務をおこなうために必要なものです。

介護支援専門員試験に合格しただけではケアマネージャーとして仕事をすることができないため、注意してください。

2006(平成18)年4月、介護支援専門員の資質の確保・向上を目的に介護保険制度が改正され、介護支援専門員証の有効期間は5年間と定められました。

資格を更新するには、有効期間が切れるまでに決められた研修を受講しなければなりません。

万が一、介護支援専門員証の有効期間が切れてしまった場合は、再研修の受講によって再発行してもらうことができます。

介護支援専門員証の概要に続いては、実際に交付されるまでの流れについて詳しくご説明します。

介護支援専門員証交付までの流れ

介護支援専門員証の交付はどのタイミングでおこなわれるのか、必要な手続きはあるのか、詳しくご紹介します。

【介護支援専門員証の交付までの流れ】

1.介護支援専門員実務研修の受講・修了

介護支援専門員証の交付を受けるためには、「介護支援専門員実務研修受講試験(いわゆるケアマネージャー試験)」に合格後、まず介護支援専門員実務研修を受講・修了しなければなりません。

研修の主な内容はケアマネージャーとして働くための実践的なものです。

研修内容

講義・演習および実習の各形式で実施します。実施内容は以下のとおりです。

ケアマネジメントに必要な基礎知識および技術
・ケアプランの作成
要介護認定などに関する専門知識の習得
・見学実習など

研修日数・受講費用

研修時間は講義・演習で合計87時間以上(前期・後期で計16日程度)、さらに前期・後期の間に3日程度の現場実習をおこないます。

また、受講費用は都道府県によって異なりますが、5万円前後の地域が多くなっています。

ただ別途テキスト代が必要になる場合もありますので、正しくは該当する都道府県の公式HPで確認しましょう。ちなみに東京都の受講料は52,800円となっています。

研修機関

研修が実施されるのは各都道府県、または都道府県知事に指定された研修機関です。

スケジュールや実施回数/年は都道府県によって異なりますので、該当する都道府県のホームページでご確認ください。

またケアマネージャー試験合格通知に同封されている「介護支援専門員実務研修の受講手続き」にも研修に関する注意が記載されていますので、そちらを参考にしてもいいでしょう。

2.介護支援専門員資格登録簿に登録

介護支援専門員実務研修を修了したら、3か月以内に「介護支援専門員資格登録簿」に登録します。

登録には下記の書類が必要です。
・申請書
・研修修了証明書の写し
・住民票
・本人の写真(2枚)
・手数料納付書の領収証
・都道府県の収入証紙

登録の方法について、各都道府県で申請先や書類様式が異なることが多いので、事前に確認しておきましょう。

3.介護支援専門員証の申請・交付

介護支援専門員資格登録簿への登録と同時に、介護支援専門員証の交付申請もおこないます。

申請から交付までは約1か月かかります。交付後はケアマネージャーとして働けますが、有効期間は5年間となっているため、期限が切れる前に研修を受けて更新する必要があります。

介護支援専門員証の交付までの流れに続いて、更新について詳しくご紹介します。

介護支援専門員証の更新について

介護支援専門員証の有効期限は5年間と定められており、更新には「更新研修」または「専門研修」の修了が必要です。

どちらの研修を受講するかは、介護支援専門員としての実務経験の有無などによって決まります。各研修の詳細については「介護支援専門員証を更新するための研修」で解説しています。

また更新研修および専門研修は、介護支援専門員に登録した都道府県でおこなわれます。

更新が近づくと登録した都道府県から更新通知が送付されることがほとんどですが、中には通知が送付されない地域もあります。

原則として更新研修は年1回のため、うっかり忘れないよう、各都道府県のホームページなどで研修の開催時期や受講施設について把握しておきましょう。

介護支援専門員証の更新方法

介護支援専門員証を更新するには、受講が義務づけられている「更新研修」と「専門研修」を受講する必要があります。

受講すべき研修はケアマネージャーとして仕事をした経験やその期間などによって異なりますので、ご自身に合った内容を確認してください。

更新研修(実務未経験者向け)

介護支援専門員資格の有効期限内に実務経験がない人は、受講時間56時間の更新研修を受講します。

更新研修(実務経験者向け)

介護支援専門員の実務経験がある場合、専門員証の更新が初回か2回目以降かによって受講する研修が異なります。それぞれの内容は下記のとおりです。

実務経験あり(初めての更新)

①実務経験が6か月未満の場合
受講時間88時間の「更新研修」を受講
②実務経験が6か月以上3年未満の場合
32時間の「更新研修」と「専門研修Ⅰ」を受講
③実務経験が3年以上の場合
「専門研修Ⅰ」・「専門研修Ⅱ」を受講

実務経験あり(2回目以降の更新)

①前回の更新で実務経験者向けの研修を受講した場合
・実務経験が3年未満:32時間の「更新研修」を受講
・実務経験が3年以上:「専門研修Ⅱ」を受講
②前回の更新で54時間の更新研修を受講した場合
・実務経験が6か月未満:88時間の「更新研修」
・実務経験が6か月以上3年未満:「専門研修Ⅰ」と32時間の「更新研修」
・実務経験が3年以上:「専門研修Ⅰ・Ⅱ」
次は更新研修・専門研修の内容について、さらに詳しくみていきましょう。

介護支援専門員証更新の研修内容

ここでは介護支援専門員証の更新時に受講する研修内容をご紹介します。

更新研修

講義や演習を中心に、介護支援専門員試験のために学んだ知識に加え、ケアマネージャーとして働くために必要なより実践的・専門的な内容を学びます。

「介護支援専門員証の更新方法」でご紹介しましたが、32時間・54時間・88時間と分かれており、それぞれ対象が異なるのでご自身がどの研修を受ける必要があるのかを確認してください。

専門研修

専門研修はケアマネージャーとしての実務経験の長さによって変わります。

専門研修Ⅰ

ケアマネージャーとしての実務経験が6か月以上ある人を対象におこなわれる56時間の研修です。

専門的な知識・技術を習得し、多様な疾病や生活状況に応じて医療との連携・多職種協働を図りケアマネジメントを実践できることを目標としています。

【カリキュラム】
・ケアマネジメントにおける実践の振り返りおよび課題の設定
・介護保険制度および地域包括ケアシステムの現状
・ケアマネジメントの実践における倫理
・ケアマネジメントの演習
・個人での学習および介護支援専門員相互間の学習
・研修全体を振り返っての意見交換、講評およびネットワーク作り など(抜粋)

専門研修Ⅱ

ケアマネージャーとしての実務経験が3年以上ある人を対象におこなわれる32時間の研修です。

個別支援やネットワーク作り、事例に応じた支援方法・内容の改善などを主体的におこなうことを目標にしています。

【カリキュラム】
・介護保険制度および地域包括ケアシステムの今後の展開
・ケアマネジメントの実践における倫理
・ケアマネジメントにおける実践事例の研究および発表 など(抜粋)
続いては、介護支援専門員証を失効した場合はどうするかについて解説します。

介護支援専門員証を失効したら

介護支援専門員証の更新期限が過ぎてしまった、あるいは失効したものの再度ケアマネージャーとして働きたいなどの場合は、再研修を受講すれば再発行してもらえます。

再研修は54時間で、開催時期や申請方法は都道府県によって異なりますが、年1回開催される地域が多いようです。

■再研修

対象者・5年以上、ケアマネージャーとして実務に従事した経験がない人
・介護支援専門員証の有効期限が切れたが、再度交付を希望する人
時間54時間
受講料およそ2~6万円 ※都道府県ごとに異なる
受講時期各都道府県で異なる

失効しても再発行は可能ですが、うっかり介護支援専門員証を紛失してしまった、あるいは破損してしまったという場合はどうしたらよいのでしょうか。

続いては紛失・破損した場合の対応についてご紹介します。

介護支援専門員証を紛失・破損したら

介護支援専門員証を紛失・破損してしまったときは、介護支援専門員証の登録をおこなった都道府県に再発行を申請します。

申請方法は各都道府県で異なるため、該当する地域の決まりに従っておこないましょう。

例えば東京都では介護支援専門員証の紛失・破損ともにまとめて電子または郵送で再交付を申請できます。一方、大分県では紛失した場合と破損した場合で提出が必要な書類が異なります。

このように都道府県ごとに必要書類や対応に違いがあるため、公式HPを確認して適した手続きをおこなってください。

まとめ

ケアマネージャーとして働く上で欠かせない「介護支援専門員証」についてご紹介してきました。

交付されるには「介護支援専門員実務研修」の受講が必要なこと、5年ごとの更新と必要な研修、各種手続きは登録した都道府県で異なることなど、いろいろな規定がありますので、必要に応じてしっかり調べておくと安心です。

介護支援専門員証を失効するとケアマネージャーとして業務をおこなえなくなりますが、もし失効しても再研修の受講で交付が可能なため安心してください。

大岩保英

理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

理学療法士として10年以上の臨床経験あり。一般病院・総合病院の勤務経験を経て、現在は整形外科クリニックに勤務。本業と並行し、ライターとして執筆活動や編集者も行う。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)を取得し、オンラインサロンでお金や投資関連の情報発信・相談業務も行っている。