介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護資格・スキルアップ ケアマネージャーの仕事は大変?辞めて後悔しないための対処法とは

介護資格・スキルアップ

2023-06-20

ケアマネージャーの仕事は大変?辞めて後悔しないための対処法とは

「ケアマネージャーの仕事は大変?」「対処法はあるの?」このような疑問はありませんか。

 

ケアマネージャーは介護保険サービスを利用する際に、利用者・家族とサービス事業所の間に入り、橋渡しをするやりがいのある仕事です。

 

しかし、実際の現場では、利用者・家族からの無理な要望やコミュニケーションに苦労している方も少なくありません。

 

本記事では、ケアマネージャーが大変だと言われる理由や対処法について解説しています。

 

主任ケアマネージャーにインタビューした内容も紹介しているため、ケアマネージャーの仕事に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

ケアマネージャーが大変だと言われる理由

ケアマネージャーの仕事が大変だと言われる理由は、次の5つが考えられます。

・業務内容が広範囲
・人間関係が複雑
・書類作成が多い
・責任が重い
・資格の維持

ケアマネージャーの仕事は、利用者の生活を助ける大切な役割があります。1つずつ解説していきましょう。

業務内容が広範囲

ケアマネージャーが大変だと言われる原因の1つに、業務内容が広範囲なことが挙げられます。

ケアマネージャーは、ケアプランの作成やモニタリング・担当者会議など多岐にわたります。

また、書類作成のほか、サービス事業所との連携も業務の1つです。

さらに、介護保険制度やサービス内容が変わるたびに、利用者へのプラン変更と説明も必要になります。

介護保険制度や給付管理など覚えることも多く、ケアマネージャーの仕事は大変だと言われている原因です。

人間関係が複雑

ケアマネージャーは、利用者や家族をはじめ、医師・看護師・介護職員・リハビリ専門職・栄養士など、多くの人と連携が必要です。

しかし、それぞれ立場が違うため意見が合わない場合もあるでしょう。

また、家族や利用者からは、ケアマネージャーの責任外のことで不満をぶつけられることや理不尽な要求をされることもあります。

そもそも、周囲の職員からケアマネージャーの業務内容の理解が浅いために、トラブルが起きることも悩みの1つです。

関わる人が多いほど人間関係が複雑になるため、コミュニケーションが苦手な人は大変だと感じてしまうでしょう。

書類作成が多い

ケアマネージャーは、利用者のケアプラン・日々の支援経過・評価の記録・サービス提供表など、作成する書類が多くあります。

特にケアプランは介護経過の基となるため、欠かすことのできない仕事です。

介護職員と比べて作成書類の量が多く、デスクワークが苦手な人には大変な作業でしょう。

要領よく仕事をしなければ就業時間内に終わらせることも難しくなるため、作業効率を上げる工夫が必要です。

責任が重い

ケアマネージャーが作成したケアプランによって、利用者の生活が決まるため、責任のある仕事です。利用者の今後を左右するプレッシャーで、大変だと感じる人も多い傾向です。

また、ケアマネージャーの仕事は、1人で大勢の利用者を担当します。

そのため、苦労や悩みを1人で解決する場面も多く、責任を感じることも多いでしょう。

事業所にケアマネージャーの数が限られ、悩みがあっても相談できる相手が少ない状況です。

資格の維持

ケアマネージャーの資格は5年ごとの更新制になっており、更新時には「専門研修課程Ⅰ」を56時間、「専門研修課程Ⅱ」を20時間の受講が必要です(2回目以降、更新研修は32時間)。

研修は講義と演習で構成されており、16日間かかります。

更新時には、通常業務の合間に研修を受講するため、時間が足りないと感じる人もいるようです。

更新期限が切れてしまうと、再度研修を受けなくてはいけません。

仕事をこなしつつもケアマネージャーを続けたいとがんばっている人がいる一方で、時間が足りないと悩む方も多く、資格維持の難しさが課題です。

また、資格更新時には更新費や事務手数料が発生するため、費用面でも負担がかかります。

ケアマネージャーの仕事が大変だと思うときの対処法

ケアマネージャーの仕事が大変だと感じたときは「ケアマネを辞めたい」と考えることもあるでしょう。

しかし、ケアマネージャーの仕事は、利用者に寄り添えるやりがいのある仕事です。

難関試験を突破し、研修を終えたにも関わらず辞めてしまうのは勿体ないかもしれません。

また、介護福祉士のように夜勤がほとんどなく、身体的負担が少ない部分も魅力の1つです。

ケアマネージャーの仕事が大変だと感じたときは次の点を考えてみましょう。

なぜケアマネージャーになりたかったかを考える

「ケアマネージャーになりたかった理由」を考えてみましょう。

たとえば、介護職員と違って夜勤がなく、プライベートな時間が確保しやすい上に、身体介護がないなど、体力的にも無理なく働けることも魅力です。

また、キャリアアップや給与アップのために資格取得をした人もいるのではないでしょうか。

原点に立ち返り、初心を思い出すことで、辞めたい気持ちが緩和されるかもしれません。

上司に相談する

ケアマネージャーは単独で業務にあたることが多い職業です。

悩むときも1人の場合がほとんどでしょう。

そのため、相談がしにくい状況になりやすいといえます。

しかし、他人に話すことで不安な気持ちが解決することもあるため、上司に相談してみると業務改善が図れるかもしれません。

それでも無理な場合は、早めに退職相談をおこない、十分な引き継ぎができるようにしておくことが大切です。

今の職場でできることを考える

ケアマネージャーを辞めてしまう前に、今の職場で改善できることはないか、考えてみましょう。

たとえば、パソコンのスキルを向上させたり、書類のひな形を事前に作ったりしておけば、作業効率を上げられます。

また、利用者との人間関係で悩んでいるなら、担当を変えることも可能です。

ケアマネージャーは理不尽な要求をされることもあるため、悩みが尽きないかもしれませんが、自分にできることは限られていると自覚し、割り切る気持ちも大切です。

介護福祉士として働く

ケアマネージャーの仕事が大変だと感じていても介護の仕事を続けたい人は、介護福祉士として働く方法もあります。

介護福祉士としてなら、ケアマネージャーとして働いていたときの知識や経験が役立つでしょう。

ケアマネージャーの経験があるため、職員や利用者から信頼され、頼りにされることも増えるでしょう。

2023年5月時点で、ケアマネージャーは処遇改善加算の対象にはなりません。

しかし、介護福祉士としてなら処遇改善加算の対象になるため、給与アップの可能性もあります。

転職する

「ケアマネージャーの仕事に魅力を感じているけど、人間関係がうまくいかない」という人は、ほかの職場で働けば解決できる場合もあります。

ケアマネージャーが不足している事業所もあるため、経験があるなら即戦力として働くことも可能です。

また、ケアマネージャーとして5年以上働いている人なら研修を受けて、主任介護支援専門員(主任ケアマネージャー)としてスキルアップする方法もあります。

主任ケアマネージャーの資格があれば、管理責任者になることや地域包括支援センターで働くことも可能です。

ケアマネージャーに向いている人

ケアマネージャーに向いている人は次のとおりです。

・コミュニケーションが好きな人
・積極的に仕事に取り組める人
・複数の業務を同時におこなえる人

順番に紹介していきましょう。

コミュニケーションが好きな人

ケアマネージャーはコミュニケーションが好きな人が向いています。

利用者や家族の要望を聴き取るだけでなく、医師や施設職員・市区町村の職員など、さまざまな人との関わりが必要です。

そのため、人付き合いが苦手な人には向いていない職業です。

また、さまざまな意見をまとめて適切な介護サービス計画の作成が必要なため、異なる意見を言われても、前向きにとらえることが重要です。

積極的に仕事に取り組める人

ケアマネージャーの仕事は、業務範囲が広いため、積極的に仕事に取り組める人が向いています。

初めて介護サービスを利用する方は、不安を感じているかもしれません。

利用者と信頼関係を築くためには、積極的に様子を見に行ったり、まめに連絡を取ったりすることも重要です。

複数の業務を同時におこなえる人

ケアマネージャーの仕事は、書類作成や自宅訪問など、1日の中でもさまざまな業務をこなしています。

そのため、複数の業務を同時におこなえる人が向いているでしょう。

適切に優先順位を付けて時間管理やスケジュール管理をおこなわないと、時間が足りず、業務を圧迫してしまいます。

ケアマネージャーに向いていない人

ケアマネージャーに向いていない人は、次のとおりです。

・感情の起伏が激しい人
・計画性のない人
・自分の考えが強い人

次から解説していきます。

感情の起伏が激しい人

感情の起伏が激しい人は、ケアマネージャーに向かないでしょう。

ケアマネージャーは、利用者に自分の思いが伝わらないときや納得がいかないこともあります。

自分の感情を表に出すと、利用者によっては不快な思いをするため注意しましょう。

客観的に状況を判断し、冷静に対処できるメンタルが必要です。

計画性がない人

ケアマネージャーは多岐にわたる業務があるため、計画性がないと仕事が終わりません。

聴き取りや担当者会議をするときは、情報収集するためにも余裕のある時間配分が必要です。

自分の考えが強い人

プライドを持って仕事をすることはよいことですが、利用者主体のケアプランを作成することが重要です。

利用者のニーズよりも自分の考えを押し付けてしまう人は、ケアマネージャーに向いていないでしょう。

利用者の状態に合わせられる、柔軟な対応が必要です。

ケアマネージャーが大変な理由と後悔しないためのポイント

主任ケアマネージャーとして、20年以上の相談実績があるAさんに、ケアマネージャーの仕事が大変な理由を伺いました。

ケアマネージャーが大変だと思う理由は何だと思いますか?

ケアマネージャーの仕事は理解されにくいからでしょう。

毎月必要なアセスメントで自宅に訪問するのも決まりですが、自宅の訪問を断られる場合があります。

制度を基に進行していることを一生懸命説明しても、ご家族にうまく伝わらないときもあります。

ほかにも、業務外の要求をされるときは、ケアマネージャーの経験が浅い人はハッキリ断れない人もいるでしょう。

ひとつひとつの対応に困ったときも仕事が大変だと感じます。

ケアマネージャーは関わる人が多いためか、人間関係が難しいと聞きます。何か苦労した点はありますか?

ケア内容について、多少の意見の違いはあるかもしれませんが、事業所とのトラブルで相談を受けることはあまりありません。

しかし、ケアマネージャーの所属事業所と他事業所との調整が難しいと感じることがあります。

利用者の意向を尊重して事業所を選びますが、常に希望が通るとは限りません。

事業所の定員や介護度によって、希望どおりの事業所が使えないこともあるからです。

後悔しないために考えるポイントはありますか?

ケアマネージャーの仕事は大変だと思うと、資格を取ろうか迷うかもしれません。

しかし、資格を取っておけば就職先も広がる上に、ケアマネは多くの事業所で募集されています。

長く続けようと考えると、会社の方針が合っていることや人間関係が円滑に進むことなど、勤め先での居心地の良さは大事だと思います。

ケアマネージャーの仕事が大変だと思うときは、メリットを考え対処しよう

ケアマネージャーの仕事は広範囲のため、常に時間が足りないと感じる人が多い傾向です。

業務範囲外のことを要求されることもあり、ケアマネージャーになりたての人は対応に悩みを持つ人もいます。

しかし、自分が立てたケアプランで利用者のニーズが満たされる状況は、ケアマネージャーとして、大きなやりがいを感じられるでしょう。

ケアマネージャーの資格があれば、介護職員として働くことや転職するなど、選択肢が増えます。

今後も高齢化に伴い、ケアマネージャーの手が必要です。

ケアマネージャーの仕事に興味がある人は、ぜひ資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。