介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 資格・就職・転職 【現役理学療法士が教える】仕事内容から残業の少ない職場の見つけ方まで解説

資格・就職・転職

2024-04-30

【現役理学療法士が教える】仕事内容から残業の少ない職場の見つけ方まで解説

病院で働く理学療法士は、忙しいというイメージがあり残業時間が多いのではないかと思う方も多いのではないでしょうか?

 

ワークライフバランスを考えて、職業や職場を選ぶ方にとって「残業」は重要なポイントのひとつです。

 

この記事では、理学療法士の働き方・残業の実態・残業時間を減らすための方法について解説します。理学療法士の職場を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

理学療法士の働き方と残業事情

理学療法士の仕事内容や勤務形態は職場によって異なります。職場ごとの勤務形態を以下の表にまとめました。

【職場による勤務形態の違い】

職場勤務時間仕事内容の一部
急性期病院8時間勤務手術前後のリハビリ
リハビリ病院(回復期)8時間勤務急性期病院から転院してきた方のリハビリ
クリニック8時間勤務
4時間勤務(平日1日と土曜日の午前中)
外来のリハビリ
介護施設8時間勤務入居者のリハビリ

※勤務形態についてはそれぞれ特色があるため、表の内容がすべてではありません。

病院やクリニックなどで、理学療法士が夜勤をすることはほとんどありません。夜間帯の様子は、看護師や介護士の夜勤者に確認することがほとんどです。

理学療法士の仕事内容を具体的にイメージしたい方は、以下の記事もあわせて読んでみてください。

理学療法士の残業内容と時間

令和4年度賃金構造基本統計調査によると、理学療法士の1か月の平均残業時間は5.5時間です。

残業内容は、カルテ記入や入力・入退院時に必要な書類作成などがあります。リハビリは1日に行える単位数が決まっているため、勤務時間内で終わる場合がほとんどです。

1日の業務のなかに、カンファレンスや委員会の会議、対象者やご家族との面談などが入ると、カルテ記入や入力・書類作成の時間が取れなくなるため残業になります。

職場によっては、勉強会を定期的に開催していたり研究活動をしていたりするため、残業が発生する場合もあるでしょう。

毎日のように会議や勉強会、書類作成などがあるわけではないため、月間の残業時間は5.5時間程度で収まります。

ほかの医療職の残業時間

理学療法士以外の医療・介護職の残業時間を紹介します。令和4年度賃金構造基本統計調査からそれぞれの企業規模・超過労働時間の平均値を表にまとめました。

職種残業時間
看護師6.25時間
臨床検査技師10.5時間
介護職員5時間

参考:令和4年度賃金構造基本統計調査

理学療法士以外の医療・介護職種との残業時間を比べてみると、残業時間は特に多くありません。

看護師や臨床検査技師などは、ケアや検査が終わらないと仕事を終えられないため、残業が発生しやすいといえるでしょう。

理学療法士は、リハビリを実施できる時間が決まっているため、時間外でリハビリを実施することはほとんどありません。

また、病院勤務の場合はリハビリを行う方の人数が朝の段階で分かるため、残業しないように1日のスケジュールを組むことも可能です。

理学療法士の仕事はイレギュラーなことが起こりにくく、1日・1週間・1か月の予定が立てやすいため、ほかの医療職に比べると残業が少なくなると考えられます。

プライベートと仕事は両立できるのか?

理学療法士は、職場によって勤務形態がさまざまなため、自分のライフワークに合っている場所に就職できれば、プライベートと仕事の両立は可能です。

プライベートと仕事を両立するためには、職場によってどのような休日の取り方ができて、どのような働き方が可能なのか見ていきましょう。

理学療法士の休日

理学療法士の休日は、職場によってさまざまです。

以下の表に休日と長期休暇についてまとめました。

【職場別休日と長期休暇】

職場休日長期休暇
急性期病院土日・祝日暦どおり
リハビリ病院(回復期)シフト制週休と有給の組みあわせ
クリニック日・祝日+平日
土曜日の午後など
暦どおり
介護施設シフト制施設による

急性期病院・クリニックでは、暦どおりの休みや長期休暇の場合がほとんどです。しかし、クリニックのように平日と土曜日に午前中のみ診療している場合は、その日の午後が休みになります。

そのため、クリニック勤務の場合は、1日休みになるのは日曜日と祝日のみの休みになることが多い傾向です。

リハビリ病院の場合は365日リハビリを提供しているため、暦どおりではなくシフト制が採用されているケースが多くあります。そのため、不規則な休日になる場合が多いでしょう。

長期休暇を取得したい場合は、全員が同じ時期には取れないため、時期をずらして有給を組みあわせる場合が多い傾向です。

プライベートと仕事の両立を可能にする働き方

リハビリ病院は365日リハビリを提供しているため、土日も出勤しなければなりません。そのため、休日はシフト制の職場がほとんどです。「平日に休みが欲しい」と思っている方は、リハビリ病院への就職をオススメします。

リハビリ病院によっては、完全に土日休みが難しく、どちらかは出勤しなければならない場合があります。子どもの休みにあわせた休日を希望する方には向いていない職場かもしれません。

暦どおりの休みを希望する方は、急性期病院やクリニックに就職するとよいでしょう。ただし、クリニックは土曜日に半日出勤しなければならない場合があるため、注意が必要です。

残業を減らすためのポイント

理学療法士が行う業務で残業を減らすポイントは次の2つです。

・業務の効率化

・業務のスケジュール管理

それぞれ解説します。ちなみに、ほとんどの職場で残業時間を減らすためにリハビリする時間を削ることはありません。

業務の効率化

理学療法士の業務で効率化できる内容は「カルテ記入・入力」「書類作成」の2つです。

リハビリ時間を削れないため、いかに業務を効率よくできるかを考えなければなりません。まず、カルテ記入・入力で時間がかかる理由の多くは、リハビリ内容を思い返したり、問題点を整理したりするからです。

リハビリ中に適宜メモをしておくことで、カルテ記入・入力にかかる時間が短縮できます。また、書類作成時に時間がかかる理由も同様です。

対象者の情報を整理しておくことは、リハビリ計画や実施にも役立つため、日頃からメモを取る癖をつけておくといいでしょう。

業務のスケジュール管理

適宜、時間が取れるときに書類作成を進めておくと残業時間を減らせます。

病院や施設勤務の場合は、急に仕事が増減しにくい職場です。また、1週間や1か月先の大まかなスケジュールは把握できます。

そのため、書類作成がしやすい時間を把握し、業務のスケジュール管理をしていれば、残業時間を減らせるでしょう。

将来プラスになる残業もある

将来の自分にとってプラスになる残業もあります。それは勉強会に伴う残業です。

病院によっては定期的な勉強会が開催されており、基本的に勤務時間内で行われる場合が多い傾向です。

しかし、勉強会に参加すると、ほかの業務を行う時間が削られてしまうため、カルテ記入・入力や書類作成が後回しになり、残業になってしまいます。

勉強会に参加し、新たな知識や気付きを得ることで、リハビリの効果を高めたり、対象者の機能回復やサポートができたりするようになるのです。

「残業したくないから」勉強会に参加しないというのはオススメできません。新しい知識を得ていくことは理学療法士にとって将来プラスになることがほとんどです。

【転職】残業の少ない職場の見つけ方

残業の少ない職場を見つけるポイントは次の3つです。

・採用情報をチェック

・施設見学や面接での質問

・口コミを確認

それぞれ解説します。

採用情報でチェックすべきポイント

求人情報で給与に固定残業代が含まれていないかをチェックしましょう。固定残業代が含まれている場合は、月何時間の残業を想定しているかも記載してあります。

「残業をしたくない」「定時で仕事は終わりたい」と思っている方は、就職先の選択肢から外した方がいいかもしれません。

施設見学や面接での質問

施設見学や面接時に質問が可能であれば、以下の内容を聞いてみてください。

・勉強会はありますか?週にどれくらいですか?勉強会をやる時間帯は何時頃ですか?

・リハビリは何単位取得を目標としてますか?

・書類作成の業務は多いですか?(リハビリ計画書・カルテの記入・入力、入退院時の書類など)

ちなみに、リハビリ単位取得が18単位であれば、日々の業務時間内でカルテ記入・入力や書類作成が行えるでしょう。20単位を超えてくると、書類作成の量にもよりますが、残業が発生しやすい傾向です。

口コミ

病院の口コミサイトや職場の内情を知っている人から、情報を集めるのもよいでしょう。実際にその職場で働いている方からの情報は信憑性が高いため、知り合いがいたら積極的に話を聞いてみてください。

理学療法士の残業は職場によって異なる

理学療法士の残業の多くはカルテ記入・入力、書類作成によるものがほとんどです。月間の残業時間の平均は5.5時間で、ほかの医療職と比べても少ない方といえるでしょう。

勤務形態は職場によってさまざまなため、ライフスタイルに合わせて選択できます。そのため、平日の混んでいないときに買い物に行ったり、旅行したりすることも可能です。

理学療法士の仕事内容は明確であるため、施設見学や面接時の質問である程度残業が発生しやすい職場なのかを判断できます。

ワークライフバランスを重視する方にとって、理学療法士は魅力的な職種です。本記事を参考に、残業の少ない理想的な職場を検討してみてください。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。