介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 資格・就職・転職 【インタビュー】現役の理学療法士に訊く、リアルな仕事内容や働く上で心がけてることとは(前編)

資格・就職・転職

2023-05-30

【インタビュー】現役の理学療法士に訊く、リアルな仕事内容や働く上で心がけてることとは(前編)

理学療法士とは「座る」「立つ」「歩く」といった基本的動作に対してリハビリを行い、運動機能の回復を図る専門家のことです。病院や訪問リハビリ、介護施設など活躍の場は多岐にわたります。

 

とはいえ、理学療法士の具体的な仕事内容や実際の働き方について、なかなかイメージが湧かないといった人も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は現役の理学療法士として活躍するOさんに、理学療法士を目指したきっかけや仕事のやりがい、理学療法士としての悩みなどについて伺いました。

理学療法士とは?

理学療法士はPT(Physical Therapist)とも呼ばれ、身体に障害がある人の運動機能の回復や向上・維持を目的として訓練を行います。「立つ」「座る」「寝返りを打つ」など、日常生活の動作が困難な人を対象とし、医師の指導のもと、運動療法および作業療法を用いて身体機能の改善を目指すのが理学療法士の主な仕事です。

理学療法士の仕事内容や、リハビリテーションの内容について詳しく知りたい方は以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。

あわせて読みたい:理学療法士の仕事内容とは?リハビリテーションについても紹介

現役の理学療法士にインタビュー

理学療法士のOさん

ー理学療法士を目指したきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

高校時代にケガでリハビリを受けた経験があり、そこではじめて理学療法士という職業を知りました。手術が必要なケガだったこともあり、術後すぐに動けなかったんですね。

痛みも相まってつらかったんですが、理学療法士さんのサポートもあって日常生活が送れるまでに回復したんです。そういった経験を通して、「理学療法士ってかっこいいな」と感じたことが一番のきっかけだったように思います。

ーこれまでの経歴について教えてください。

理学療法士になって始めに就職したのは一般病院、その中でも回復期病棟に2年勤務した後、外来と一般病棟でも2年勤めました。働く中で急性期に興味を持ったのですが、その病院があまり急性期っぽくなかったこともあり、4年目に総合病院に転職しました。急性期病棟で、たとえば呼吸器や心臓に疾患を抱えるハイリスクな方へのリハビリを経験してみたかったんですよね。

そこで7年ちょっと急性期を経験し、自分が理学療法士を目指すきっかけにもなった整形外科クリニックへ転職し、いまに至ります。ちょうど勤務4年目になりますね。

ー整形外科クリニックを選んだ決め手はなんだったのでしょうか。

自分がお世話になったというのが一番の決め手だったように思います。後は、回復期、急性期と見てきて、違うところが見たいと思ったことと、スポーツの疾患を見たかったというところですかね。

ーなるほど、実際に就職してみてどうでしたか。働く前と違いはありましたか。

そうですね…。これは自分が事前にもう少しきちんと確認しておけばよかった部分でもあるのですが、スポーツに起因する患者さんがあまりいなかったなと。外来の患者さんも入院の患者さんも、ほとんどが80歳以上の方ですね。

どこに勤めても高齢者が多い傾向にあるかもしれませんが、もう少しスポーツに力を入れている病院にしていたら少しは違ったのかなとも思います。

ー業務中、業務外を問わず理学療法士になって感じる仕事のやりがいがあれば教えてください。

日々感じることなんですけど、たとえば入院患者さんであればケガで入院をして、割と歩けないところから始まる方が多いんですね。もっといえば、寝たきりからスタートする方も多い。そういった人たちが自分のサポートによって日を追うごとにできることが増えたり、最終的に歩けるようになって自宅に帰れるようになったりすると、自分事のように嬉しいですね。やりがいを感じる瞬間でもあります。

ー日々働く中で大切にしていることや、心がけていることはありますか。

理学療法士のOさん

大切にしていることはやはり、コミュニケーションですね。患者さんやその家族はもちろん、介護保険を利用している方であればデイサービスの職員さんやケアマネさんとのやり取りが欠かせません。どういった方と接する場合であっても、コミュニケーションスキルが高いに越したことはないなと。

ーデイケアサービスの方やケアマネさんとやり取りをする機会もあるんですね。

そうですね。退院後のケアプランを相談するほか、福祉用具の選定の際もやり取りをしています。たとえば、杖とか手すりとかですね。入院の患者さんであれば、実際に退院後に帰宅するおうちへ訪問して、実際に動きを見て「手すりが必要ですね」といった提案をすることもあります。

ー理学療法士の方は勤務する場所によって業務内容が大きく異なると思うのですが、大岩さんが勤める病院では普段どういった仕事をしているのでしょうか。待遇についても教えてください。

私の場合はやはり、外来で来る患者さんや入院中の患者さんに対していわゆる運動療法を行うのがメインの仕事ですね。入院患者さんは3人担当しているのですが、ひとり1時間ほどかけて個々に見合ったリハビリを実施しています。また、先ほどもお伝えしたように関係各所と連携を取りながら仕事を進めることもあります。

待遇については私の職場に関しては特に資格手当などはないですね。ただ、お休みに関しては融通が利く方ではないかと思っています。日曜は固定休ですが、他の日についても予定があれば比較的休みが取りやすいかなと。

ー1日のリアルなスケジュールを教えてください。

日によって多少異なりますが、基本的には9時から13時まで外来の患者さんを担当して、昼休憩を1時間挟みます。午後の外来が16時からなので、それまでの時間に入院中の患者さんを担当するようなイメージです。残業等も原則ないですね。

ー今後の目標とキャリアアップについて、なにか考えていることはありますか。

介護保険で介護予防といった話があるのですが、市が実施している市民公開講座や健康体操など、そういった取り組みに関わっていきたいなと思っています。国としても健康寿命を延ばしましょう!といった話をよく耳にすると思うんですけれども、そういった仕事に携わっていきたいですね。

個人的なことだとライターとして執筆活動も行っているので、病院外の活動にも積極的に取り組んでいきたいなと考えています。

理学療法士のOさん

インタビュー後編では、理学療法士のリアルな悩みや課題について伺っていきます。