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2024-02-21

理学療法士になるには?最短ルートや養成校の特徴をわかりやすく解説

理学療法士になるには、専門学校か大学などの養成校に入学し、国家試験に合格しなければなりません。

 

養成校への入学が必要なのはわかっていても、具体的な内容までは知らない方が多いでしょう。

 

この記事では、理学療法士になるために必要な学歴や、理学療法士になるための最短ルートなどを紹介しています。

 

理学療法士を目指している方は、進路選択の参考にしてみてください。

理学療法士になるための3つのステップ

理学療法士になるためには、以下の3つのステップを踏む必要があります。

・養成校に入学するために必要な学歴を取得する

・養成校に入学する

・国家試験に合格する

それぞれについて解説します。

養成校に入学するために必要な学歴を取得する

理学療法士になるための養成校に入学するには「高等学校卒業以上」の学歴が必要です。そのため、高等学校を卒業しているか、高等学校卒業程度認定試験に合格している必要があります。

高等学校卒業程度認定試験は、さまざまな理由で高等学校を卒業できなかった方の学習成果を適切に評価し、卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験です。

合格者は大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。高等学校を卒業していない方は、高等学校卒業程度認定試験を検討してみてください。

養成校に入学する

理学療法士になるためには、文部科学大臣または都道府県知事が指定した養成校に入学して、3年以上学ぶ必要があります。

養成校の入学試験では、面接や学力試験が行われます。養成校によっては、志願倍率が高いため、自身の学力や通いやすさなどを比較し学校を選ぶとよいでしょう。

ほかの学生との違いをアピールするためにも、理学療法士に関する知識や役割(仕事内容や役割など)を理解し、面接などの試験に挑むことが大切です。

近隣に養成校があるかどうかを知りたい場合は、日本理学療法士協会ホームページの理学療法士養成校一覧から確認できます。

国家試験に合格する

養成校を卒業または卒業見込みの方は、理学療法士国家試験を受験できます。(国家試験は毎年2月に実施)

年に1度しか行われないため、しっかりと勉強をして準備しておきましょう。国家試験に合格し免許申請することで、はじめて理学療法士として働けるようになります。

理学療法士の養成校は4種類

理学療法士の養成校は以下の4種類です。

・専門学校

・短期大学

・大学

・特別支援学校

それぞれについて解説します。

専門学校

専門学校には3年制と4年制があります。養成校は指定規則を遵守しなければならないため、定められた単位数を取得できる講義や実習のスケジュールを組んでいます。

4年制のほうが、余裕を持って学べるでしょう。1年でも早く理学療法士になりたいと思っている方は、3年制の専門学校を検討してみてください。

専門学校では、基礎知識や技術を重点的に学ぶ傾向があります。病院や介護施設などの臨床現場で活躍したい人は、大学よりも専門学校を選ぶとよいでしょう。

短期大学

短期大学は全国で4校しかありません。

・仙台青葉学院短期大学

・平成医療短期大学

・愛知医療学院短期大学

・大和大学白鳳短期大学

短期大学は専門学校とは設置基準が違うため、教員の多くは修士や博士の学位と研究実績を有しています。

大学

大学は4年制であり、理学療法に関する基礎的な分野から研究分野まで幅広く学べます。大学では研究活動まで行うため、学術的に多くの内容を学びたいと思っている方には合っているでしょう。

また、大学は専門学校とは違い卒業後の進路として、大学院や研究職への道があります。

国公立大学であれば、私立大学や専門学校に入学するよりも、大幅に学費を抑えられます。志願倍率が高く入学は難しいですが、学費を抑えたい方はチャレンジしてみるとよいでしょう。

特別支援学校

特別支援学校にはさまざまな科があり、そのうちのひとつに理学療法学科があります。

入学対象は視覚障がい者の方です。3年制で専門学校や大学などと同様に理学療法について学び、臨床実習も行います。

理学療法士国家試験は、視覚障がいの程度に合わせた内容や実施方法で行われています。

例えば、筑波大学附属特別支援学校では、これまで約350人の理学療法士を輩出しており、日本各地で活躍中です。

理学療法士の国家試験の受験資格

理学療法士の国家試験の受験資格は以下のとおりです。

・理学療法士養成校を卒業している者(卒業見込みも含む)

・外国において理学療法士または、これに相当する資格を有する者

外国において資格を取得している場合は、厚生労働大臣の認定が必要になるため、申請手続きが必要です。

詳しくは、厚生労働省「理学療法士/作業療法士国家試験受験資格の認定について」をご覧ください。

理学療法士になるための最短ルート

理学療法士になるための最短ルートは以下のとおりです。

高校卒業 ⇨ 3年制の専門学校または短期大学卒業 ⇨ 国家試験合格

理学療法士になるには、3年制の専門学校か短期大学、または4年制の専門学校か大学を選択できます。

最短で理学療法士になるには、3年制の養成校をストレートで卒業して国家試験に合格しなければなりません。ただ、3年制の養成校を卒業して国家試験に合格するのは簡単ではないでしょう。

3年制と4年制どちらの養成校も、カリキュラムの内容は同じです。そのため、3年制の養成校のほうが、講義や実習が詰め込みになるため、国家試験の勉強だけに集中できる期間が短いです。

最短ルートで理学療法士を目指す場合は、1年生のときからしっかり勉強していきましょう。

社会人からでも理学療法士は目指せる

社会人を経験してから、理学療法士を目指す方はめずらしくなく、40歳以上の方が入学するケースもあります。

社会人を経験して理学療法士を目指す方の動機はさまざまです。「はじめてなりたいと思った職業だったので後悔したくないため入学した」「安定した職業に付きたかったから」「国家資格に憧れがあったから」など、さまざまな思いを持って理学療法士を目指しています。

社会人を経験した人だと「現役生と馴染めるか」「記憶力が衰えているので、勉強についていけるのか」などの不安もあるでしょう。

勉強についていくには、それなりの努力は必要ですが、国家試験対策をしっかりとしていれば、40歳以上の方でも国家試験に合格できます。

理学療法士を目指すのに年齢は関係ありません。「理学療法士になりたい」という強い気持ちがあれば、養成校の教員がサポートしてくれるので、きっと乗り越えられるでしょう。

理学療法士の国家試験の難易度

理学療法士国家試験の合格率は、実施年度によっても変わりますが例年80%台です。 

合格率だけで見れば、難しい試験ではないと感じるでしょう。しかし、国家試験の内容は簡単ではありません。養成校で3年または4年間学んだ内容すべてが試験範囲なのです。

学生によっては、国家試験の半年前くらいから試験対策の勉強を始めます。勉強時間の短い学生でも数か月前には、国家試験勉強を始めます。

養成校でしっかりと勉強をして、国家試験対策をすれば合格できない試験ではありません。

理学療法士の就職先について

理学療法士の就職先はさまざまです。就職先の一部を以下に紹介します。

・病院・クリニック

・介護施設、福祉施設

・スポーツトレーナー

・一般企業

・教育機関

理学療法士の知識や技術はさまざまな分野で生かせます。病院や介護・福祉施設などでは、怪我や病気によって身体機能が低下した方に対して、リハビリテーションを実施します。

一般的には、病院や施設で働いているイメージが強いと思いますが、理学療法士の中にはスポーツトレーナーとして活躍している方も多いのです。

理学療法士は、身体の機能(筋肉や関節など)を高めたり、コンディションを整えたりする専門家でもあるため、さまざまな分野で活躍できます。

理学療法士の将来性

理学療法士の将来性については、安定しているといえるでしょう。その理由は次のとおりです。

・国家資格である

・AIやロボットができる職業ではない

・さまざまな活躍の場がある

それぞれの内容を解説します。

理学療法士は国家資格のため、無資格の人が代わりにできる仕事ではありません。

また、理学療法士の持っている技術は、ほかの医療職が真似できるものでもないです。

近年、AI技術が進歩して、さまざまな職業がなくなるかもしれないと言われていますが、理学療法士の仕事はロボットができる内容ではありません。

ロボットに自分の身体を任せてもいいと思える社会になるまでには、まだ時間がかかるでしょう。

また、前述したように理学療法士の働く場所は多くあるため、すぐに働く場所がなくなるという不安もありません。

理学療法士の給料

理学療法士の年収は約430万円です。理学療法士の給料は、勤務先や経験年数、スキルなどによって異なり、より専門的な資格を取得すると給料がアップする勤務先もあります。

理学療法士は、夜勤がなく日勤のみの雇用形態がほとんどのため、月収が低くなりやすい傾向です。

また、理学療法士の平均年齢が34.7歳と若いことも、月収平均がほかの職種と比べた際に低い要因の1つかもしれません。

参照:厚生労働省「jobtag:理学療法士(PT)」

理学療法士の給料は、ほかの医療職や一般企業の会社員と比べると決して高いとはいえません。しかし、ほかの職業では得られないやりがいがあります。

病院や施設勤務では給料に限界がありますが、理学療法士の知識や技術は幅広い分野で生かせるため、働き方次第では高収入を得られる可能性もあります。

理学療法士の勤務形態と休み

理学療法士の休みや勤務形態は勤務先によって異なります。一般的な勤務形態や休みについて、表にまとめました。

ただし、勤務先によって勤務形態が異なる場合もあるため、注意が必要です。

勤務先の種類勤務形態休み
急性期病院月~金曜日土日・祝日休み
リハビリ病院週5日勤務週休2日
クリニック月~土曜日
(平日のどこか・土曜日が午前中勤務)
日曜・祝日
午後半休が2日
介護施設月~金曜日土日・祝日休み

※上記の表はあくまでも一例です。

リハビリ病院は、365日リハビリを提供しているため、理学療法士の勤務はシフト制です。そのため、平日休みや休日出勤の可能性があります。

勤務先によって勤務形態や休みがさまざまなため、自分の生活スタイルに合った勤務先を選ぶとよいでしょう。

まとめ

理学療法士になるには、高等学校卒業以上で、理学療法士養成校(専門学校・短期大学・大学・特別支援学校)を卒業し、理学療法士国家試験に合格する必要があります。

最短ルートは、高等学校卒業後、3年制の専門学校または短期大学に進学し、国家試験の受験です。

専門学校は、3年制と4年制があり、基礎知識や技術を重点的に学びます。また、大学では基礎から研究まで幅広く学べます。

理学療法士の就職先は、病院・クリニック・介護施設・スポーツクラブなどさまざまです。

理学療法士の知識や技術は幅広い分野で生かせるため、働き方次第では高収入を目指せるでしょう。

理学療法士は、国家資格であり、AIに代替されにくいため、将来的にも安心して目指せる職業といえるでしょう。

理学療法士は患者さんの人生に関わるやりがいのある仕事です。ぜひ、理学療法士を目指してみてください。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。