介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 資格・就職・転職 超高齢社会で需要が拡大する「介護福祉士」の仕事とは?

資格・就職・転職

2022-09-05

超高齢社会で需要が拡大する「介護福祉士」の仕事とは?

超高齢社会の到来により、介護福祉士のニーズが高まっています。しかし厚生労働省は、2040年までに医療・介護従事者は100万人も不足すると予測しています。今後ますます需要が高まる介護福祉士にスポットを当て、資格取得方法や、介護福祉士と介護士の違い、介護福祉士の業務などをご紹介します。

介護福祉士は介護のプロフェッショナル

介護は家庭でも行われていることから、多くの人たちは「誰でもできる仕事」と認識しているケースが少なくありません。しかしながら、一般の人の料理とシェフの料理ではクオリティが異なるように、介護福祉士が行う介護には高い技術が求められます。「家族の介護」と「プロが施す介護」は、別物と考えたほうがよいでしょう。

介護福祉士は国家資格である

介護業界は、長らくこうした偏見に苦しめられていました。1987年5月26日に「社会福祉士及び介護福祉士法」が公布され、国家資格である「介護福祉士」が誕生。「介護のプロ」として認知されるようになりました。同法には、次のように記載されています。

「介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの〈厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。〉を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう(第二条2項)。」
参考:厚生労働省「第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

介護福祉士の魅力

公益財団法人 介護労働安定センターが調査した令和2年度「介護労働実態調査」の結果によると、介護の仕事を選んだ理由は、「資格・技能が活かせるから」最も多く、「やりたい職種・仕事内容だから」「働きがいのある仕事だと思ったから」という回答も数多く挙げられています。

介護福祉士の仕事は、学歴や転職回数が問われることが少なく、性別・年齢を問わず募集しています。介護福祉士の求人はとても多く、一度資格を取得すると安定して働けることは大きな魅力といえるでしょう。

介護福祉士になるためには

介護福祉士になるためには、国家試験に合格した後に登録を行わなくてはなりません。介護福祉士になるための主なルートをみていきましょう。

養成施設ルート

専門の養成施設で知識とスキルを学び、介護福祉士を目指します。資格を取得するための条件は以下の2つです。

  • ・高等学校を卒業した後、2年制以上の介護福祉士養成施設を卒業している。
  • ・高等学校を卒業した後、福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設のいずれかを卒業し、1年制以上の介護福祉士養成施設を卒業している。

令和8年度末までに養成施設を卒業した場合、その後5年間は介護福祉士として登録することができます。ただしその間に国家試験に合格するか、5年続けて介護関連の仕事に就いていなければ、登録を継続することはできません。

また、令和9年度以降に養成施設を卒業する人の場合は、国家試験を受けて合格しなければ、介護福祉士としての登録はできません。

福祉系高校ルート

全国に介護福祉士が受験可能な教育課程を設置している高等学校もあります。中学生の段階から介護の仕事を目指している人は検討してみるとよいでしょう。

実務経験者ルート

すでに介護職員としての勤務経験がある人が、介護福祉士を取得するためのルートです。実務経験(3年以上介護等の業務に従事)並びに実務者研修修了または実務経験(3年以上介護等の業務に従事)並びに介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修が受験条件となります。

介護福祉士資格取得にかかる費用

養成校ルートは、初年度に約100万円の入学金や学費、実務者ルートは介護福祉士実務者研修を受ける必要があるなど、時間と費用を必要とします。また介護福祉士試験に合格した際は、登録免許税(9,000円)及び登録手数料(3,320円)も必要です。介護人材確保のために、一定期間働くことなどを条件に奨学金や補助をサポートしている事業所もあります。

試験要綱

原則として毎年1回、筆記試験と実技試験が実施されています。なお、養成施設ルート、実務経験者ルート、平成21年度以降に福祉系高校に入学した人は、実技試験が免除されます。

合格基準と合格率

問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上を得点しなければならず、試験科目11科目群すべてにおいて得点しなくてはなりません。合格率は毎年70%台であり、国家資格としてはそれほど難関ではありません。

学習方法

過去に出題された問題を数多く解き、出題傾向を把握することをおすすめします。特に法律や制度の問題が多い「社会の理解」を苦手とする人が多いようです。1科目群でも得点できない科目があると不合格になってしまうため、苦手な科目を重点的に学習するとよいでしょう。

介護福祉士と介護士の違いは

介護福祉士と似た資格に、介護士があります。介護福祉士と介護士には、どのような違いがあるのでしょうか。

業務上の違いはほとんどない

身体介護レクリエーション活動のサポートなど、介護福祉士と介護士の業務に違いはありません。そもそも介護福祉士は、医師や看護師のような「業務独占資格」ではなく「名称独占資格」であり、取得していなくても介護業務は可能です。

しかし、介護保険法では介護福祉士の配置を強化して基準を満たし、届け出を行っている介護事業所に対して算定できる「サービス提供体制強化加算」を設けるなど、介護福祉士の積極的な採用を促しています。また7年以上同一法人に勤務している介護福祉士にも加算があるため、給与は同じでも資格手当で差をつけているのが一般的です。

給与や待遇の比較

令和2年の厚生労働省の発表によると、介護職員の平均給与額は、介護福祉士の329,250円(平均勤続年数8.9年)、実務者研修303,230円(平均勤続年数6.7年)、介護職員初任者研修(平均勤続年数7.3年)301,210円、保有資格なし(平均勤続年数5.5年)275,920円となっています。勤続年数が異なるため単純な比較はできませんが、主任やリーダーなど、キャリアアップをするうえでも介護福祉士は取得しておいたほうがよいでしょう。

介護福祉士の就職先

介護福祉士の就職先は、入所施設、通所施設、医療機関、訪問介護など多岐にわたります。養成校を経由する場合は就職のあっ旋を受けることができ、中途採用の場合は自ら求人を探すことになります。代表的な就職先として、入所施設、通所施設、訪問介護の一日の流れをご紹介します。

入所施設は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、有料老人ホームなどが該当します。早番・日勤・遅番・夜勤など交代勤務が多く、身体介護やレクリエーションの実施以外に食事を作る業務がある事業所もあります

介護福祉士の1日

介護福祉士の1日の主な業務内容と流れを、施設別にみていきましょう。

入所施設 日勤

8:30-9:00出勤
朝食の準備及び介助、片付け、夜勤スタッフからの申し送りなど
9:30-11:00入浴介助、排せつ介助、リネン交換など
11:30-13:30昼食準備、食事介助、排せつ介助、外出支援、入浴介助など
13:30-14:30休憩時間
15:00-16:30おやつの準備、レクリエーションの実施、排せつ介助、入浴介助など
16:30-17:30夜間スタッフへ申し送り、介護記録作成など

入所施設 夜勤

16:00-16:30出勤
朝食の準備及び介助、片付け、夜勤スタッフからの申し送りなど
16:30-17:30入浴介助、排せつ介助、リネン交換など
18:00-19:30昼食準備、食事介助、排せつ介助、外出支援、入浴介助など
20:00-21:00休憩時間
22:00-おやつの準備、レクリエーションの実施、排せつ介助、入浴介助など
23:00-01:30夜間スタッフへ申し送り、介護記録作成など
3:00-05:00交代制で夜食や仮眠
6:00-7:30起床後、整容の介助、朝食の準備及び介助、服薬介助
8:30-9:00日勤スタッフへ申し送り、介護記録作成など
9:00退勤

通所施設

8:30-9:30出勤。利用者の自宅に迎え
9:30-10:00検温、脈拍、血圧測定など利用者の健康チェック
10:00-11:00利用者の生活機能訓練、入浴介助
11:30-14:30昼食準備、食事介助。その間は交代で休憩
13:00-14:30体操や生活機能訓練、レクリエーションの実施など
15:00-16:00おやつの準備、おやつの提供
16:00-16:30帰宅の準備、トイレ誘導
16:30-17:30利用者の自宅に送り
17:30-18:00フロア清掃、翌日の準備、1日の記録とミーティング

訪問介護

8:00出勤。訪問する利用者の情報確認と準備
8:30-8:45移動
8:45-9:45Aさん宅で通院等乗降介助
9:45-10:00移動
10:00-11:30Bさん宅で身体介護と生活援助
11:30-11:45帰社・介護記録
12:00-13:00休憩・昼食
13:00-13:10移動
13:10-14:10Cさん宅で身体介護
14:10-14:30移動
14:30-16:00Dさん宅で身体介護と生活援助
16:00-16:10移動
16:10-16:30帰社
16:30-17:00介護記録、申し送り、翌日の準備
17:00-退勤

入所施設は夜勤手当があり、通所施設よりも報酬が高くなりますが、不規則な勤務に慣れるまでは辛いかもしれません。通所施設は日勤帯の勤務のため、子育てをしている方などに好まれる傾向にあります。

訪問介護はフルタイムにせずスポット的に勤務することも可能ですが、そのぶん収入が低くなります。それぞれメリットとデメリットがあるので、自分に合った勤務先を選ぶとよいでしょう。

介護には高いコミュニケーション能力が求められる

「介護の仕事は給与が低く離職率が高い」といわれています。辞める理由は人それぞれですが、なかには「誰でもできる簡単な仕事」と思って就職したものの、業務の難しさに音を上げてしまう人も少なくないようです。

介護福祉士は、意思疎通が困難な認知症高齢者と接しなくてはならないなど、高いコミュニケーション能力が求められる仕事です。「間口は広いが、誰にでも務まるものではない」ということを念頭において、チャレンジしてください。

合同会社小森塾 代表 小森敏雄
介護福祉士 准看護師 認知症ケア専門士
おむつフィッター2級 実務者研修教員講習会講師

フリーランス介護講師として2017年に独立し、「介護のプロを育てたい」「根拠を語れるプロを育てたい」という思いで、岐阜県を中心に資格取得講座、施設に出張しての研修会実施を行う。2021年に「合同会社小森塾」を設立。小森塾としての資格取得講座開講と運営も開始。
独立後5年間は年間200本以上の研修登壇。
本出版事業 外国人向け実務者研修 YouTube配信等 多岐に渡り活動している。