資格・就職・転職
2023-03-14
介護福祉士試験に必要な実務経験証明書を取得するために知っておくべきポイントを解説!
介護の現場で専門的な知識と技術を発揮するために、介護福祉士の資格取得を目指す人も多いでしょう。介護福祉士になれば、介護が必要な方や家族によりよいサービスを提供できます。
介護福祉士国家試験は、3年以上の実務経験と介護福祉士実務者研修の修了が必要です。実務経験を証明するためには「実務経験証明書」を準備する必要があります。介護福祉士の実務経験には、働く内容や職種が指定されているため、転職をしてきた人は特に注意が必要です。
この記事では、実務経験証明書の作成方法と作成する際に注意したいポイントについて解説しています。
受験資格を満たしていない場合は、介護福祉士国家試験を受けられないため、正しい書類を作成して、受験の申し込みをしましょう。
介護福祉士の実務経験証明書とは
介護福祉士国家試験を受験する際は、実務経験証明書が必要です。介護福祉士は、3年以上の実務経験と介護福祉士実務者研修を修了した方が受験できます。介護福祉士国家試験は、パートやアルバイトでも受験可能です。
受験資格となる実務経験は、実際に働いた期間と日数のことで、1,095日以上の従業期間かつ、540日の勤務日数が必要になります。
実務経験証明書は、働いている職場で記入してもらう必要があります。
従業期間は、産休・育休・病欠などの休業期間も含みます。ただし、年次有給休暇や研修などで介護業務をしていない日は、従事日数に該当しません。
実務経験証明書の入手方法
実務経験証明書は「介護福祉士国家試験の受験の手引き」から入手できます。まずは、受験の手引きを公益社団法人社会福祉振興・試験センターに請求してください。
受験の手引きは毎年7月上旬に公開され、8月末頃まで請求可能です。実務経験証明書の作成はある程度の時間が必要になるため、早めに請求しておきましょう。
実務経験証明書の作成方法
実務経験証明書の作成は、介護業務に従事している事業所で作成依頼します。転職した方は、以前に務めた施設分の実務経験証明書も必要になる場合もあるため、注意が必要です。複数の事業所を掛け持ちしている場合は、それぞれの事業所で「従事日数内訳証明書」の作成が必要になります。
従事日数内訳証明書は、実務経験証明書とあわせて提出します。
実務経験見込みとは?
受験資格である実務経験の期間や日数が足りない状態でも、受験年度末の3月31日までに「実務経験3年以上」の必要日数に達する見込みのある人が対象となる措置です。
実務経験見込証明書は、受験申し込みの書類とともに提出すれば、介護福祉士国家試験を受験できます。
ただし、実務経験見込みの場合は、受験申し込み時と実務経験の条件を満たしたときの計2回提出が必要になります。
2回目の提出期限は受験年の4月です。期日までに提出できない場合は、試験が無効になってしまいます。詳しい日程は受験の手引きで確認しておきましょう。
提出の際は、封筒に「実務経験証明書在中」と記載し、下記の住所に簡易書留で郵送してください。
〒150ー0002 東京都渋谷区渋谷1-5-6
公益財団法人社会福祉振興・試験センター 介護係
また、受験票が届いてから提出する場合は、提出する書類の右上に受験番号を記入しておきましょう。
複数の事業所を掛け持ちしている場合
複数の事業所を掛け持ちしている場合は、それぞれの事業所で従事した期間と時間を合算できます。
ただし、同じ日に複数の事業所で働いた場合は、1日として計算してください。
転職した場合でも同様に、それぞれの職場で「実務経験証明書」と「従事日数内訳証明書」の作成が必須です。
用紙が足りない場合は、必要に応じて各証明書のコピーをとるか、公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページから、ダウンロードして使用します。
実務経験証明書には有効期限はあるの?
実務経験証明書に有効期限はありません。また、2回目以降に受験する場合は、実務経験証明書の提出は不要です。
実務経験の範囲
介護福祉士の受験資格は「介護等の業務に従事したと認められる職種」に該当する分野で従事していた人が対象です。
実務経験として認められる分野は以下の5つです。
・児童分野
・障害分野
・高齢者分野
・その他の分野
・介護等の便宜を供与する事業
それぞれ詳しく見ていきましょう。
実務経験の対象となる分野と職種
実務の対象となる分野は5つあり、それぞれの分野から該当する職種で従事した場合、実務経験として認められます。
次の表は、それぞれの分野において該当する職種の一例です。
受験資格となる分野 | 受験資格となる職種 |
---|---|
児童分野 | 保育士 介助員 看護助手 訪問支援員 など |
障害分野 | 介護職員 介助員 生活支援員 ホームヘルパー ガイドヘルパー など |
高齢者分野 | 介護職員 介護従事者 介護従業者 訪問介護員 看護助手 など |
その他の分野 | 介護職員 看護助手 家政婦 原爆被爆者家庭奉仕員 など |
介護等の便宜を供与する事業 | 介護職員 訪問介護員 |
(参考:社会福祉振興・試験センター|受験資格|実務経験の範囲)
上記の分野において、各職種の業務で従事していたとしても、明らかに業務外の仕事を担っていた場合は、実務経験にはなりません。
ほかの業務と兼任している場合でも、介護業務に従事していることが辞令などで明記されていれば、実務経験として認められます。
また、施設長や事業所長と兼任しているケースでも、介護業務をおこなっている場合に限り、実務経験として認められます。
実務経験の対象となる施設・事業
次の表は、各分野の施設・事業の一例を紹介します。
受験資格となる分野 | 受験資格となる施設・事業 |
---|---|
児童分野 | 知的障害児施設 肢体不自由児施設 放課後等デイサービス ろうあ児施設 重症心身障害児(者)通園事業 保育等訪問施設 など |
障害者分野 | 短期入所 生活介護 就労移行支援 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業 居宅介護 行動援護 など |
高齢者分野 | 老人デイサービスセンター 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 指定通所リハビリテーション 指定介護予防訪問介護 指定訪問看護 など |
その他の分野 | 救護施設 更生施設 地域福祉センター 原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業 家政婦紹介所(個人の家庭で介護等の業務をする場合) 訪問看護事業 など |
介護等の便宜を供与する事業 | 地方公共団体が定める条例・実施要綱等に基づく事業 指定事業所を除く、介護保険法の基準該当居宅・介護予防サービス など |
(参考:社会福祉振興・試験センター|受験資格|実務経験の範囲)
受験申し込みをする際は受験の手引きをよく読み、自身の職場や職種が該当しているかを確認しておきましょう。
介護福祉士受験資格の対象にならない職種
長年従事したとしても介護福祉士国家試験の受験資格を満たさない職種があります。
下記の職種は、受験資格とならない職種の一例です。
生活相談員・支援相談員
医師・看護師・准看護師
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
職業指導員・就労支援員
事務員・栄養士・福祉用具専門相談員 など
上記のような、相談支援業務や機能訓練担当職員、介護業務をおこなっているか明確ではない職種は受験資格の対象外です。
また、実務経験証明書の代表者が申し込み者本人の場合は、実務経験の対象となる業務をおこなっていると分かる書類「法人の履歴事項全部証明書」の原本提出が必要です。また、証明書は第三者に作成してもらう必要があります。
介護福祉士の受験申し込みの際に確認しておくこと
介護福祉士国家試験の受験申し込みをする前に、どのような書類を準備しておくか確認しておきましょう。
また、受験の手引きの取り寄せや受験申し込みには期限があります。申し込みができる日程を確認しておくことも大切です。
2回目以降の受験をする方で、すでに受験資格がある場合は、インターネットからの申し込みもできます。
また、書類に不備があると受験ができなくなります。提出する書類によっては、試験が取り消される場合があるため、受験の手引きに沿って作成し、締切日に十分注意してください。
介護福祉士国家試験の申し込みに必要な書類
受験の申し込みの際は、次の書類をそろえておきましょう。
・受験申込書
・受験用写真等確認票
・受験手数料払込受領証貼付用紙
・実務者研修修了証明書または実務者研修修了見込証明書
・実務経験(見込)証明書
複数の事業所で掛け持ちしている方は、従事日数内訳証明書の準備も必要です。
また、区分によっては、上記以外の書類が必要な場合があります。受験の手引きに従って作成するようにしてください。
介護福祉士国家試験の受験申し込み日程
介護福祉士国家試験の受験申し込み受付期間は、毎年8月上旬から9月上旬の約1か月間です。受験の手引きが公開される7月上旬には、詳しい日程が決まります。
必要書類作成時の注意点
介護福祉士国家試験の受験料にも支払い期限があるため、期間内に支払い「受験手数料払込受領証貼付用紙」を貼り付け、提出してください。
また、受験申し込みに必要な書類は、受験までのルート(福祉学校卒業や実務経験を積んで受験する人など)によって異なります。
該当する区分の書き方に沿って書類を準備しておくことが大切です。
まとめ:実務経験証明書は早めに準備して介護福祉士試験に申し込みをしよう
この記事では、介護福祉士国家試験の実務証明書の入手方法や作成方法について解説しました。
介護福祉士国家試験の受験には、3年以上の実務経験と実務者研修を修了しておかなければいけません。
実際に介護等の業務についていたことを証明する「実務経験証明書」は、受験を申し込む際に必要な書類の1つです。
受験の手引きの請求や実務経験証明書の作成には日数がかかるため、早めに準備しておき、余裕をもって申し込みをしてください。