介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 資格・就職・転職 【話題のAI!】今後どうなる?AIによるケアマネの仕事への影響や将来性について

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2023-07-06

【話題のAI!】今後どうなる?AIによるケアマネの仕事への影響や将来性について

昨今、さまざまな場面でAIの話題が取り沙汰されるようになりました。介護業界でもAIの存在は大きな注目を集めています。

 

AIの普及によって、ケアマネやヘルパーなどの介護職にどのような影響がでるのか、気になる方もいるでしょう。

 

この記事では、AIができることやケアマネ業務への影響を解説します。ケアマネの現状課題とあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ケアマネの仕事がAIに奪われる?

一部では、AIによってケアマネの仕事が奪われるのではないか?とささやかれています。

AIの普及は、今後も拡大していくと予想されており、さまざまな場面でAIが活躍するようになるでしょう。

AIを有効活用するためにも、AIの特徴を事前に理解しておかなくてはいけません。

これから、AIができることを紹介し、ケアマネの仕事への影響を解説します。それぞれ確認してみましょう。

AIができること

AIは、何かを生み出したり、作り出したりすることはできません。一方で、過去のデータをもとに分析する能力は、人にも勝るといえるでしょう。

実際に、見守りサービスやケアプラン作成支援、緊急時対応などのAIサービスが提供されています。

AIの見守りサービスの主な内容は、センサーによる利用者の状況変化や危険察知などです。

そのほか、ケアプラン作成支援では、過去のさまざまなデータをもとに、利用者の状況に合う方法を提案します。

ケアマネは不要になるのか

今後も、ケアマネージャーが不要になる可能性は低いでしょう。

厚生労働省の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」でも、AIによるケアプラン作成支援やそのほかの業務は、あくまでサポートと位置付けしています。

AIには、人の感情を汲み取り、気持ちに寄り添う機能は搭載されていません。利用者の状態改善だけではなく、気持ちを支えサポートするのも、ケアマネの仕事です。

今後も、ケアマネの存在や業務が不要になることはないでしょう。

現在のケアマネの状況と問題点

今後、AIとケアマネが共存していくためには、現在のケアマネの問題点を理解しておく必要があります。

これから、ケアマネが抱える問題点と現状を紹介します。

それぞれ確認してみましょう。

受験者数と合格率

昨今、人材不足が問題となっている介護業界ですが、ケアマネも例外ではありません。

毎年どの程度の方が、ケアマネージャーになっているのでしょうか。

まずは、以下の表で例年のケアマネの受験者数と合格率を見てみましょう。

 実施年度受験者数合格率
令和4年度(第25回)54,406人19.0%
令和3年度(第24回)54,290人23.3%
令和2年度(第23回)46,415人17.7%
令和元年度(第22回)41,049人19.5%
平成30年度(第21回)49,332人10.1%

試験の合格率は、20%ほどと高くありません。

加えて、ケアマネは受験資格の基準も高く、受験するまでに数年に及ぶ実務経験が必要です。

人材不足の理由の1つとして、試験合格までの難易度が高いことがあげられます。

人材不足の深刻化

近年、ケアマネージャーの人材不足は深刻化しており、人口の少ない地域では、より顕著になっています。

試験の難易度が高い理由のほかに考えられるのが、ケアマネの平均年齢の上昇化です。2020年以降のデータでは、ケアマネの平均年齢は49.9歳となっています。

平均年齢は、今後も伸び続けると予想されており、この問題を解消するには新たな担い手が必要です。

2040年頃には、現在のベテランケアマネージャーの引退が重なるため、人材不足を解消するための施策が急務といえるでしょう。

求められるスキルの負担

ケアマネに求められるのは、介護の知識だけではありません。

医療や福祉の知識のほか、利用者とのコミュニケーション力など、さまざまなスキルが求められます。

また、数年ごとにおこなわれる法改正の内容をキャッチして、情報をアップデートしていかなければいけません。そのため、通常業務とあわせて、常に学び続ける必要があります。

求められるスキルやプレッシャーに負担を感じるケアマネは少なくありません。

書類作成業務の負担

ケアマネは、さまざまな場面で書類を作成します。

自治体への報酬請求や、そのほかの申請などの際も文書が必要です。また、手続き内容は複雑になってきており、ケアマネへの負担は増大しています。

日々の業務では、ケアプランやモニタリングシート、契約書、事故報告書など、多くの書類を作成しなくてはいけません。

文書作成にかかる負担を軽減するために、専門委員会によって現在も検討が進められています。

将来への不安

今後のケアマネとしての働き方や、将来に不安を抱える人は少なくありません。

高齢化によって増える介護需要と同時に、ケアマネとしての業務負担も増加傾向にあります。

また、加速する人材不足や改善されない労働環境、伴う責任とプレッシャーの増加など、不安材料はさまざまです。

AIの将来性

介護業界におけるAIの将来性は高いといえます。

AI技術の活用によって、業務負担の軽減や提供サービスの質向上につながるかもしれません。

AIの導入によって期待できる効果を確認してみましょう。

国もAI導入に前向き

現在、介護業界のさまざまな問題を解消するために、AI技術の導入が進められています。

2020年の内閣府の検討会では、AIや最新のテクノロジーの活用を推進する内容が検討されました。

AIの活用によって介護職員の負担を軽減しながら、サービスの質向上を図ります。今後も、こうした動きは活発になると予想されるでしょう。

AIとあわせてICTの普及も進んでいる

昨今の介護業界では、AI技術とあわせてICTの普及も進められています。

ICTの目的は、ネットワークの活用によって、さまざまな情報や知識を共有することです。

実際に、国策としても介護ソフトやタブレットの導入を支援しています。

そのほか、各メーカーからは高機能なAIが開発されており、一部の業務負担の軽減につながっているようです。

例えば、KDDIが開発した対話型AIでは、ケアマネージャーの面談業務の時間が半分以下になったと報告されています。

このような状況からも、今後の介護業界におけるAIやICTの将来性は、高いといえるでしょう。

AI導入による効果は?

すでに、AIサービスの導入事例が報告されています。

例えば、代表的なサービスが、AIによるケアプラン作成です。介護や医療における過去のデータを活用し、利用者に合うサービス計画を提案します。

AI技術の活用によって、ケアマネにかかる負担軽減のほか、知識差や経験による差の解消にもつながるでしょう。

ケアマネの今後の課題

介護を必要とする方がサポートを受けるには、ケアマネージャーの存在が必要不可欠です。

ケアマネの抱える問題は、介護業界のみならず、社会全体で考えていかなくてはいけません。

ケアマネの今後の課題を確認してみましょう。

人材不足の解消

近年、ケアマネの職業は、人気が下降傾向にあります。

主な理由は、以下のとおりです。
・仕事量の負担
・人間関係によるストレス
・研修や自主学習による負担など

ケアマネに求められる仕事量や勉強量は、増加傾向です。法改正による情報の更新や、必要な研修時間の増加など、学習時間の負担に懸念を抱く人もいるでしょう。

人材不足を解消するには、さまざまな視点から負担の軽減を検討する必要があります。

処遇の改善

令和3年のケアマネの平均給与額は、約35万円となっています。

介護職員の約32万円と比較すると高いものの、求められるスキルや仕事量を考慮すると、高いとはいえません。

加えて、国は介護職員の人材確保のための処遇改善案に注力しており、ケアマネとの給与差はさらに縮まる可能性があります。

そのため、ケアマネから介護職員に戻ることを検討する方もいるでしょう。このような流れを止めるためにも、ケアマネの処遇改善が急務といえます。

AI導入による人的負担の軽減

現在、介護業界へのAIの普及が進んでおり、導入によって負担の軽減につながった事例もあがってきています。

人材不足の問題を解消するためにも、AIの導入を積極的に検討していく必要があるでしょう。

一方で、AIに対して懐疑的な意見を持つ人もいます。そのため、今後AIの普及を加速させるためには、AI導入による加算などの施策が必要になるかもしれません。

今後のケアマネージャーに求められること

法改正や最新テクノロジーの導入など、介護業界では日々さまざまな変化がおこっています。このような状況変化に対応していかなくてはいけません。

今後のケアマネージャーには、どのような素質が求められるのか、確認してみましょう。

常に学び続ける姿勢

AIの活用によって、ケアマネの業務負担は軽減されるでしょう。]

一方で、全ての仕事をAIに任せるわけにはいきません。新しい治療法やケア手法が考案されるたびに、自身のスキルをアップデートしていく必要があります。

負担を軽減しながら、質の高いケアを提供するには、努力が必要不可欠です。

人間にしかできない仕事への意識

AIが持つデータ分析力や情報力は、人間以上ともいえます。一方で、人間にしかできない仕事があるのも事実です。

AIはすでに存在する情報や過去のデータをもとに、さまざまな分析をおこないます。そのため、もとになる情報材料がない場合は、何かを新しく生み出すことはできません。

そのほか、利用者や家族の気持ちに配慮したサービスの考案、ほか職種とのチームワークの向上なども、人間にしかできない役割の1つです。

今後、AIに任せられる業務が増える一方で、人間にしかできない仕事の重要性は高まるでしょう。

AI活用スキル

よりよい介護サービスを提供するためには、AIの知識やスキルを学んでいかなければいけません。

例えば、ケアプランの作成では、これまでの経験に頼っている部分があります。医学的・科学的な観点を含めるためにも、AIが提案するアイディアには活用の余地があるはずです。

今後、提供するケアやサービスの質向上を考える上で、AIを使いこなせるスキルの有無がポイントになるでしょう。

ケアマネージャーの将来性

AIができるのは、あくまで作業の補助やサポートまでです。

ケアマネージャーの役割が、完全にAIに置き換えられることはありません。ケアマネの存在は今後も必要であり、その重要性はますます高まるでしょう。

今後もケアマネージャーの存在は必要

この記事では、介護業界におけるケアマネの現状と、今後のAIの将来性について紹介しました。

介護業界における人材不足を考える上で、AIの存在は無視できません。AI導入は国も積極的に進めており、今後ますます拡大すると予想されます。

業務負担を軽減しながら、サービスの質を向上させるためにも、AIとの共存を検討する必要があるでしょう。

大岩保英

理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

理学療法士として10年以上の臨床経験あり。一般病院・総合病院の勤務経験を経て、現在は整形外科クリニックに勤務。本業と並行し、ライターとして執筆活動や編集者も行う。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)を取得し、オンラインサロンでお金や投資関連の情報発信・相談業務も行っている。