介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護業界の常識 【経験者にありがち】ケアマネージャーによくある悩み5選と解決策を紹介

介護業界の常識

2023-07-13

【経験者にありがち】ケアマネージャーによくある悩み5選と解決策を紹介

ケアマネージャーは、利用者や家族との関わりが深く、最適なケアプランを作成するために責任が伴う職種です。

 

やりがいがある一方で、利用者それぞれのニーズに合わせる必要があるため難しさを感じる人もいます。

 

多くのクライアントを担当しながら、さまざまな問題を解決しなければならず、頭を抱える人も多いのではないでしょうか?

 

この記事ではケアマネージャーによくある悩みと解決策を紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

悩みを持つケアマネージャーはあなただけではない

ケアマネージャーは、利用者が最適な介護サービスを受けられるよう、ケアプランを作成します。

また、自治体やデイサービス・訪問介護などの事業所との連絡・調整もおこなう介護のスペシャリストです。利用者の変化を感じやすく、やりがいも大きいものです。

その反面、さまざまな問題に臨機応変に対処しなければならず、ときにクレーム処理のような場面もあるでしょう。

仕事量が多い上に、事業所との連携、利用者や家族との信頼関係などさまざまな点に配慮が必要です。

次項からはケアマネージャーによくある悩みと解決策を紹介します。

ケアマネージャーによくある悩み5選

ケアマネージャーは利用者や家族と密接に関わり、ケアプランの作成や事業所との連携など業務が多岐にわたります。

そのため、悩みを抱えるケアマネージャーも多く、対処法がわからずに途方に暮れる方もいるでしょう。

以下にケアマネージャーによくある悩みを5つ紹介します。

知識が足りない

ケアマネージャーにありがちな悩みとして多いのが「知識不足」です。

ケアマネージャーの資格を取得するには、介護支援分野と保健医療福祉サービス分野の科目からなる試験を受け、合格する必要があります。

介護保険制度の仕組みやケアマネジメントの実務を学びますが、試験勉強だけでケアマネージャーの業務がしっかりできるほど甘くありません。

介護保険制度の改定やデイサービス・訪問介護などの事業所ごとの違いや制度など、働き始めてから身につける知識は多くあります。

特に経験の浅いケアマネージャーは知識不足を感じやすく、悩みながら業務をおこなっていることでしょう。

利用者や家族との関わり

利用者や家族との関わりはケアマネージャーの仕事で多くの割合を占めます。

利用者が不便に感じていることや、困っていることに対して各種サービスを提案し、快適な日常が過ごせるように支援します。

そのためには、利用者や家族との信頼関係が重要です。

しかし「他人の世話になりたくない」「自分の思いどおりにしたい」という気持ちからケアマネージャーを遠ざけたり、サービスを拒否したりする事例もあります。

「信頼関係が作れない」「支援が上手くいかない」と悩むケアマネージャーは多いのです。

仕事量が多い

仕事量の多さもケアマネージャーの悩みのタネです。

ケアマネージャーは、利用者の自宅への訪問やサービス事業所との打ち合わせ、病気やケガなどによって利用者が入院した際の医療機関への連絡など臨機応変な対応が求められます。

加えて、ケアプランやそのほかの書類作成などデスクワークも多くあり、多様な業務をこなさなければなりません。

打ち合わせや訪問の合間に書類を作成し、急な予定が入れば書類作成が途中でも対応する必要があります。

さまざまなタスクをこなすことができず、仕事量の多さに悩む方は多いのです。

仕事内容が複雑

ケアマネージャーは豊富な知識が求められる上に、書類業務や訪問・連絡などの複雑な仕事を1人でおこないます。

こうした仕事内容の複雑さもケアマネージャーの悩みの1つとなっています。

利用者の緊急事態に家族同様の対応が必要だったり、家族やサービス事業所から苦情を言われたりするなど精神的に負担の多い仕事もあります。

スケジュール管理や対応力が必要なため、疲弊してしまう方も多いでしょう。

職場の人間関係

ケアマネージャーに限らず職場の人間関係に悩む方は多いでしょう。

毎日、顔を合わせる上司や同僚とよい関係を築けないと、職場に行くのが億劫になります。

人間関係は構築するのに時間がかかりますが、悪化するのは一瞬です。一度、関係が崩れると関係の修復には何倍も時間がかかります。

ケアマネージャーは他者を導く仕事という側面があるため、主張が強いベテランケアマネージャーの意見に流されてしまうこともあるでしょう。

自分の意見が言えずに、苦悩している方は多いのです。

職場別に見るケアマネージャーの悩み

ケアマネージャーは居宅介護支援事業所や施設入居者への支援業務、地域包括支援センターなど職場によって業務内容が異なります。

以下3つの職場別の悩みをみていきましょう。

居宅事業所ケアマネージャーの悩み

居宅事業所のケアマネージャーの悩みは、利用者や家屋環境・サービス事業所との連携に関わる内容が多い傾向です。

例えば以下のようなことがあります。

・ひとり暮らしの認知症の高齢者を対応する
・ゴミ屋敷のような家に訪問しなければならない
・駐車場のない利用者宅の前に路上駐車して近隣住民からクレームが入る
・医療機関に合わせて訪問のスケジュールを組まなければならない
・サービスを拒否する利用者とサービスを受けさせたい家族との板挟み

このように、利用者との関わりや各種の調整に関する悩みを多く抱えています。

施設ケアマネージャーの悩み

施設ケアマネージャーならではの悩みは以下のとおりです。

・ケアマネージャーとして採用されたのに介護業務も兼務している
管理者兼ケアマネージャーのため仕事量が膨大
・最大100名の入居者に対してケアマネージャー1人で対応しているため、休暇を自由に取れない
・仕事量の割に給料が少ない
・認知症高齢者ばかりの施設でサービスの重要性を理解してもらえず辛い

このように業務内容や仕事量の多さに悩む方が多いようです。

地域包括支援センターで働くケアマネージャーの悩み

地域包括支援センターのケアマネージャーは要支援1・2の認定を受けた方への介護予防ケアプランを作成します。

地域包括支援センターで働くケアマネージャーの悩みは以下のとおりです。

・担当件数の上限がないため50人以上を1人で対応することもある
・ケアマネージャーに対するサポート業務が負担になっている
・介護予防に向けた豊富な知識が求められる
・介護以外の世間話に時間を費やす場合がある

担当件数の多さに疲弊するケアマネージャーが多いようです。また、主任ケアマネージャー研修を修了すると、地域のケアマネージャーの助言役としての役割も必要となります。

利用者の支援に加え、ほかのケアマネージャーのサポート業務も重なり悩みを抱える方が多いようです。

ケアマネージャーに向いている人

ケアマネージャーは要介護者を支える専門家として社会に欠かせない職種です。一方で向き・不向きがあるのも事実。

例えば、以下の人はケアマネージャーに向いています。

・コミュニケーション能力が高い
・介護関連の仕事にやりがいを感じる
・人と関わるのが好き

利用者の多種多様なニーズに応えるためには、高度なコミュニケーション能力が求められます。

利用者それぞれに合った支援が必要であり、上手に業務をすすめられる方はやりがいも感じやすいでしょう。

また、人を相手にする仕事のため難しさはありますが、喜びも大きいものです。

ケアマネージャーに向いている人について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

ケアマネージャーの悩みの解決策

ここまでケアマネージャーによくある悩みを紹介しました。

「自分にも当てはまる」と思った方は多いのではないでしょうか。

以下では、現場で使える悩みの解決策を提案しますので、参考にしてみてください。

上司に相談する

悩みがある場合、まずは職場の上司に相談してみましょう。

ケアマネージャーに限りませんが、同じ職場で働く者なら、同じような悩みを経験していることがよくあります。

特に自分よりも経験豊富な上司なら、自身の経験を踏まえて適切な解決策を提案してくれるかもしれません。

また、悩みを打ち明けることで、上司との信頼関係が構築しやすくなり、仕事量の調整や精神的な負担を減らせる可能性があります。

まずは、上司に気持ちを伝えることから始めてみましょう。

研修で知識を増やす

悩みの原因が知識不足なら研修などを利用すれば解決しやすくなります。

利用者が要介護状態に至る原因はさまざまで、幅広い疾患の知識が求められます。

例えば、疾患の治療やリスク管理に伴う知識が足りないと感じれば、医療ケアについての研修を探して受講してみるとよいでしょう。

また、介護保険制度は3年ごとに見直しされており、その度に法的知識を更新しなければなりません

最新の情報を得ることで知識レベルが上がり、悩みの解決につながるでしょう。

SNSやインターネットでつながりを作れる

SNSやインターネットでケアマネージャー同士のつながりを作るのも、悩みの解決策になります。

例えば、SNSでケアマネージャーをしている人をフォローし、相談しやすい相手を見つけたり、ケアマネージャー交流サイトなどを利用したりするとよいでしょう。

ケアマネージャーをする人にしかわからない悩みや、独自の解決方法を教えてくれる場合もあるため上手に活用してみてください。

1人では解決できないことも、交流を深めることで解決の糸口を掴めるかもしれせん。

職能団体を利用する

ケアマネージャーが悩みを相談できる場は、SNSやインターネット上だけではありません。

職能団体を利用することも悩みの解決に役立ちます。

ケアマネージャーは全国に支部を持つ「日本介護支援専門員協会」があり、各種の問い合わせや会員が集まる機会などが設けられています。

だれしも1人で悩みを解決するのは難しいため、いざとなったときに相談できる場所があるのは重要です。

所属する団体によっては会費が必要な場合もあるため、確認してみるとよいでしょう。

転職を検討する

上司に相談したり、業務改善を要望したりしても悩みが解決しない場合は、転職も選択肢の1つです。

特に職場の人間関係に悩みを抱えているのなら、職場を変えることで解決される場合があります。

転職サイトやエージェントを利用すれば、自分の条件に合った職場が見つかりやすくなるでしょう。

給与や休日などの働き方を見直すきっかけにもなるため、転職はおすすめです。

悩みのあるケアマネージャーは1人で抱え込まないようにしよう

本記事ではケアマネージャーによくある悩みや解決策を紹介しました。

利用者の支援や家族との関わり方、仕事量の多さに悩み、1人で抱え込んでしまう方も多いでしょう。

上司に相談したり、ケアマネージャーが集まるコミュニティを活用したりすることも有用です。

今回の記事を参考に、悩みに応じた解決策を実践してみましょう。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。