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2023-06-13
【取得困難】ケアマネージャーの合格率が低い理由と試験対策を徹底解説
ケアマネージャーは、ほかの介護資格と比較して合格率が低い傾向があります。
これからケアマネージャーを目指す場合、どのような対策をしてよいかわからず、不安に思う方もいるでしょう。
ケアマネ試験に合格するには、試験内容を把握した上で、計画的に学習を進めることが大切です。
この記事では、ケアマネージャーの合格率が低い理由と試験対策を解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
ケアマネージャー試験の合格率と難易度は?
ケアマネージャーの試験対策を効果的に進めるためには、難易度を把握しておく必要があります。
難易度をイメージするためにも、例年の合格率や合格点を確認してみましょう。
合格率は10〜20%
ケアマネージャー試験の合格率は、例年10〜20%台を推移しています。
近年、最も合格率が高かったのは、令和3年(第24回)の試験で23.3%でした。
一方で、最も合格率が低かったのは、平成30年(第21回)の試験で10.1%となっています。
平成30年は、法改正によって受験資格の見直しや、内容の厳格化がおこなわれ、受験者数や合格率に影響があったと考えられます。
試験の難易度
ケアマネージャー試験は、ほかの介護資格試験と比較して合格率が低く、難易度が高い傾向があります。
例えば、ケアマネ試験の合格率が20%前後なのに対して、介護福祉士試験の合格率は70%前後です。また、試験の出題方式にも、難易度を上昇させる要因があります。
介護福祉士の試験は、5つの選択肢から1つを回答する「5肢択一」方式ですが、ケアマネ試験は、5つの選択肢から複数回答する「5肢複択」方式が採用されています。
このような理由から、ケアマネ試験の難易度が高いことがわかるでしょう。
合格率の推移
これから、実施年度ごとの合格率の推移を紹介します。
以下の表が、ケアマネージャー試験の受験者数と合格率をまとめたものです。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和4年 | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
令和3年 | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
令和2年 | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% |
令和元年 | 41,049人 | 8,018人 | 19.5% |
平成30年 | 49,332人 | 4,990人 | 10.1% |
直近でおこなわれた令和4年度「第25回」の合格率は、19.0%となっています。
例年の傾向からすると、令和5年度「第26回」の合格率も20%前後になると予想できるでしょう。
試験の合格ラインは?
ケアマネージャー試験に合格するには、出題される問題に対して7割以上の正答が必要になります。
また、出題される科目には、介護分野と保健福祉分野があり、その両方で7割正答しなくてはいけません。
以下の表で、過去の合格点を確認してみましょう。
実施年度 | 介護分野(全25問) | 保健福祉分野(全35問) | 合計 |
---|---|---|---|
令和4年 | 18点 | 26点 | 44点 |
令和3年 | 14点 | 25点 | 39点 |
令和2年 | 13点 | 22点 | 35点 |
令和元年 | 16点 | 25点 | 41点 |
平成30年 | 13点 | 22点 | 35点 |
1問1点。合計60点満点
合格点は実施年度によって異なるため、目安としてご覧ください。
例年の傾向から、介護分野16点前後、保健福祉分野24点前後、合計40点前後が合格ラインになると予想できます。
他介護資格との合格率の比較
ケアマネージャーの合格点や合格率の傾向がわかったところで、ほかの資格との合格率を比較してみましょう。
令和5年度の介護福祉士・社会福祉士・看護師の合格率を、以下の表にまとめました。
資格 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
ケアマネージャー | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
介護福祉士 | 79,151人 | 66,711人 | 84.3% |
社会福祉士 | 34,563人 | 10,742人 | 31.1% |
看護師 | 64,051人 | 58,512人 | 90.8% |
そのほかの資格と比較しても、ケアマネの合格率が低いことがわかります。
看護師では、新卒の受験者が多いのに対して、ケアマネの受験者は、基本的に社会人です。
試験自体の難易度が高いのに加えて、学習時間の確保が難しいのも、ケアマネの合格率を低くしている理由の1つと言えます。
ケアマネージャー試験の内容
ケアマネージャー試験は、ほかの介護資格試験と比較して難易度が高いと言われています。
試験の概要を、以下で確認してみましょう。
受験資格
ケアマネ試験を受けるには、下記の条件を両方とも満たす必要があります。
受験資格となる条件は、以下の2つです。
・規定の国家資格所持または該当の相談業務における実務経験
・該当の国家資格または相談業務に関連する内容で5年(900日)以上の勤務
医師や歯科医師、介護福祉士、栄養士などの業務において、5年以上の実務経験が必要になります。または、生活相談員や支援相談員など、該当の相談業務でも受験可能です。
国家資格を所持している場合でも、営業や事務などの業務においては、実務期間に含まれないため注意しましょう。
出題科目
ケアマネ試験では、介護支援科目(25問)と保健医療福祉サービス科目(35問)で合計60問が出題されます。
介護支援科目の主な出題内容は、介護保険制度や要介護認定制度、サービス計画の基礎知識などです。
保健医療福祉サービス科目では、保健医療の基礎知識や福祉サービスなどの内容が出題されます。
所持資格や職種によって、得点しやすい分野が異なるため、自身の状況に応じた科目対策が必要です。
出題方式
ケアマネ試験では、5肢複択のマークシート方式が採用されています。
5つの選択肢から回答を複数選択する必要があり、得点するにはすべて正答しなくてはいけません。
このように、ほかの資格試験と比較しても、ケアマネ試験が難しいことがわかるでしょう。
試験時間
試験時間は、全国統一で120分です。また、点字や弱視などの受験者は、状況に応じて試験時間が延長されます。
60問を120分で回答するには、1問あたり2分以内で解かなくてはいけません。加えて、複択方式のため、思ったよりも短いと感じる可能性があります。
時間が足りずに焦ってしまうことがないように、ペース配分に注意しましょう。
ケアマネージャーの合格率が低い理由
これからケアマネージャーを目指す場合は、例年の合格状況を把握しておくことが重要です。
合格率が低い理由を、以下で確認してみましょう。
受験資格が見直された
2018年に、ケアマネージャー試験の内容が大きく変更されました。
これまで、試験資格の対象になっていた一部の業務が対象外になり、より厳格化されています。
例えば、介護職員初任者研修やホームヘルパー2級、実務者研修などの資格は、受験資格対象外になっているため注意が必要です。
また、所持資格によって一部免除になっていた試験科目も、現在は免除されません。
試験内容の難易度が高め
ケアマネ試験は、ほかの介護資格試験と比較して出題内容の難易度も高めです。
昨今では、ケアマネの質がより重視されるようになっており、試験内容もさらに厳格化されています。
法改正に合わせて知識を更新する必要がある
介護保険法は、3年ごとに内容が見直されます。
そのため、ケアマネージャーはその都度、知識のアップデートをおこなわなくてはいけません。
実際に、法改正がおこなわれた年の試験では、合格者が減少する傾向があります。
ケアマネージャーに合格するには、常に新しい情報を学び続ける努力と順応性が必要です。
勉強時間の確保が難しい
ケアマネージャーを受験する人の多くは、仕事と学習を両立しています。
ケアマネ試験を受験するには、実務経験が必要なため、一般的な学生がケアマネを目指すケースは稀でしょう。
そのため、合格率が低い理由の1つとして、勉強時間の確保の難しさが挙げられます。
ケアマネージャーに合格する確率を上げるコツ
これから、ケアマネージャー試験に合格するためのコツを紹介します。
とくに、独学を検討している場合は、効率的な試験対策が必要です。
それぞれ確認してみましょう。
テキストやアプリを活用する
試験勉強の際には、自分に合ったテキストや参考書を使用します。
テキストを選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
・最新テキストを選ぶ
・自分の好みに合うものを選ぶ
・持ち運べるサイズのものを選ぶ
介護保険法は、定期的に内容が見直されます。古い情報を覚えてしまわないためにも、テキストは最新のものを選ぶようにしましょう。
外出時や通勤時に学習したい場合は、ポケットサイズのテキストやアプリを活用する方法もあります。
ご自身の状況やニーズに合わせて選ぶとよいでしょう。
苦手分野を重点的に学習する
ケアマネージャー試験では、介護支援科目と保健医療福祉科目の両方で合格点をクリアする必要があります。
どちらかが合格ラインを超えていても、片方が合格点に到達していない場合は、合格になりません。
また、学習時間が限られている場合は、得意分野を伸ばすよりも、苦手分野を克服する方が効率的です。
ご自身の科目ごとの理解度を把握した上で、苦手分野を重点的に学習してみましょう。
本番を意識してタイマーを活用する
試験本番は、60問ある問題を120分で回答しなければいけません。
焦りや緊張から、普段どおりの力が発揮できない可能性もあります。少しでも、制限時間のプレッシャーに慣れておくために、タイマーを活用するのがおすすめです。
本番の1〜2か月前を目処に、試験当日を意識した練習を取り入れてみましょう。
ケアマネージャー試験に落ちてしまったときの対処法
ケアマネ試験の合格率は10〜20%と高くありません。
残念ながら、落ちてしまう可能性も考えられます。万が一、落ちてしまった場合の対処法を紹介します。
それぞれ確認してみましょう。
落ちた原因を明確にしておく
経験を次回に活かすためにも、落ちてしまった原因を必ず分析しましょう。
自己採点をした上で、不正解が多かった科目分野はどこなのかを明確にします。
分析して見えた原因をもとに、対策を組み立てることが重要です。
次回の試験に向けて、自身の苦手な分野を中心に学習を進めていきましょう。
内容を忘れる前に次回の試験対策を開始する
もし、試験に落ちてしまったとしても、これまでの努力は無駄にはなりません。
一方で、再学習までの期間を空けすぎてしまうと、せっかく覚えた内容を忘れてしまう可能性があります。
次回の試験につなげるためにも、覚えたことを忘れる前に学習を再スタートしましょう。
テキストを開くのが億劫な場合は、スマホを触ったついでに過去問アプリを開くのがおすすめです。
次年度の試験対策を取る
ケアマネ試験では、幅広い分野から問題が出題されます。
難しい問題まですべて完璧に覚えようとすると、かなりの時間と労力が必要です。
ケアマネ試験に合格するには、約7割正答すればよいため、満点を取る必要はありません。
確保できる勉強時間に応じて、理解が難しいと感じる問題は割り切る選択も必要です。
過去問によく出てくる問題や、確実に取れそうな内容を優先的に押さえていくとよいでしょう。
通信講座やスクールを利用する
独学のほかに、通信講座やスクールを利用する方法があります。
費用はかかってしまうものの、プロの講師から試験対策が学べるため効率的です。
独学に不安を感じる方や、合格の手応えを掴めない場合は、こうしたサービスの利用を検討するとよいでしょう。
合格率を上げるために早い時期から学習を開始しよう
ケアマネージャー試験の合格率は10〜20%と、ほかの介護資格と比較して高くありません。
仕事をしながら受験勉強をする方も多く、時間の確保が難しいケースもあるでしょう。そのため、なるべく早い時期に学習を開始することが重要です。
少しずつでも、できるところから試験対策をスタートしてみましょう。