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2023-01-31

機能訓練指導員の主な仕事内容とは?働ける施設や1日のスケジュールを紹介!

「機能訓練指導員ってどんな仕事をしているの?」「どんな資格が必要なんだろう」と気になることはありませんか?

 

機能訓練指導員は、高齢者や障害者が日常生活に必要な運動機能の維持や回復のために、機能訓練をする職種です。

 

近年、介護施設の増加で機能訓練指導員の需要も高まっています。利用者の運動機能の回復に直接携われるため、目標を達成できたときは、一緒に喜びを共有できる仕事です。

 

この記事では、機能訓練指導員が働ける場所や仕事内容、1日のスケジュールを紹介します。機能訓練指導員に必要な資格や給料面についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

機能訓練指導員の業務内容

機能訓練指導員の業務は、利用者の状態や生活環境などを確認しながら、意向やニーズを汲み取り目標に向けて機能訓練を実施します。

ケアマネージャーからのケアプランと利用者や家族の要望をもとに「個別機能訓練計画書」を作成。機能訓練を実施したあとは、評価をおこない記録します。

計画書は3か月に1回、利用者の心身の状態の変化に合わせて、見直しや修正が必要です。

また、介護職員や看護師の協力を得ながら訓練を実施します。

個別機能訓練計画書で立てた目標を達成するには、計画に取り組むチームが必要です。そのため、さまざまな職種と連携して訓練をおこないます。

次から、機能訓練指導員に必要な資格について解説しています。それぞれの資格に求められる役割を確認しておきましょう。

機能訓練指導員に必要な資格

機能訓練指導員に必要な資格は、以下の7つです。

・理学療法士
作業療法
・言語聴覚士
・看護師
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師
・鍼灸師

それぞれの資格によって、機能訓練指導員として求められる役割は異なります。順番に見ていきましょう。

理学療法士

理学療法士(PT)は、運動機能の回復と維持を目的に機能訓練をおこないます。利用者の状態に合わせて訓練し、自立した日常生活を送れるよう支援します。

現在使われている機能が低下しないように、予防訓練として理学療法士のスキルが求められるでしょう。

作業療法士

作業療法士(OT)は、身体や精神に障害のある方に向けた機能訓練が可能です。食事や家事などの生活動作を用いた訓練をおこないます。

身体の障害や認知症など、心身の状態に応じた目標を立て、実施することが求められるでしょう。

言語聴覚士

言語聴覚士(ST)は、発語や嚥下などが難しい方を対象に訓練や指導をおこないます。コミュニケーションや食事・飲み込みに関する指導や機能訓練を求められるでしょう。

看護師

看護師は、機能訓練をする専門職ではありませんが、介護施設では医療的管理をおこないます。

利用者の心身の変化を見ながら、体操やレクリエーションを通じて、食事や排泄といった日常生活動作につながる動作訓練をおこないます。

通所介護などの事業所によっては、看護師と機能訓練指導員の兼任もあるでしょう。

あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師は、マッサージや指圧をすることによって、身体の痛みやコリの緩和・改善を図ります。

機能訓練をすることで、利用者の体力回復や健康管理などの役割が求められています。

身体の血流を改善し、痛みを緩和することで利用者の体調を良くできるでしょう。

柔道整復師

柔道整復師は、打撲や骨折などの損傷に対して出血を伴わない処置が可能です。

血流の改善や、身体を動かしやすくすることを目的とし、個人に合わせた運動機能の維持と低下予防の訓練をおこないます。

鍼灸師

鍼灸師は、利用者の体力回復や精神的なリラクゼーションの役割も求められています。

平成30年より、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の資格を有する機能訓練指導員がいる事業所で6か月間勤務し、機能訓練指導に従事した鍼灸師は、機能訓練指導員として働けるようになりました。

身体の痛みや負担を軽減する機能訓練や健康維持のサポートも期待されます。

機能訓練指導員の仕事ができる場所

機能訓練指導員の仕事ができる場所は、大きく分けて以下の2つです。

・介護福祉施設
・医療が必要な要介護者向け施設

下記に、具体的な施設の具体例の一部をまとめています。

働ける施設具体的な施設特徴
介護福祉施設デイサービス
特別養護老人ホーム
有料老人ホーム
ケアハウス
介護型サービス付き高齢者向け住宅
認知症対応型通所介護
機能訓練指導員を1人以上配置することが定められている。
医療が必要な要介護者向け施設デイケアサービス
(通所リハビリテーション)
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
医師や看護師の配置が多い
介護度が高い人の利用が多い
専門的なケア
必須の職種ではない

通所介護では、介護予防に力を入れている施設もあるため、介護度が比較的低い方も利用しています。

介護度の低い方に対しては機能低下を予防する訓練を実施。介護度の高い人に対しては、日常生活に必要な運動機能の維持・向上を目指し、少しでも自分でできることを増やすことを目的に訓練をおこないます。

医療が必要な要介護者向けの施設は、一般的な介護施設より介護度が高い人が利用している傾向です。そのため、専門的なケアや機能訓練が必要な利用者も多くなるでしょう。

機能訓練指導員の1日のスケジュール

機能訓練指導員は事業所によって、利用者の送迎やバイタルチェック・集団レクリエーションの担当をすることがあります。

下記は、通所介護事業所における1日のスケジュールを紹介します。

時間業務内容
8:30利用者の送迎
9:00バイタルチェック
9:30個別機能訓練の実施
11:30口腔機能訓練の実施
13:30集団体操や集団レクリエーションの実施
個別機能訓練の実施
16:00利用者の送迎
カンファレンスや自宅訪問など
17:00身体機能評価・生活機能評価の作成
個別機能訓練計画書の作成

※上記はあくまでも一例です。

通所介護の場合、利用者は9:30~16:00頃まで利用しており、入浴・食事・排泄・集団レクリエーションなどを担当します。

利用者が入浴やレクリエーションをしていない時間を使って、機能訓練を実施。それ以外の時間は、カンファレンスや自宅訪問、書類作成などもおこなわないといけません。

施設では、1日のスケジュールに合わせて機能訓練を実施します。必要な場合は、介護業務を手伝うこともあるでしょう。

機能訓練指導員の給料はどれくらい?

機能訓練指導員として働く場合の給料について見ていきましょう。機能訓練指導員は、一般的には夜勤がありません。

機能訓練指導員に必要な国家資格で働いた場合の給料(正社員)と、機能訓練指導員の給料(正社員)を比較できるように、以下の表にまとめています。

資格|職種機能訓練指導員の給料
(全国平均)
国家資格としての給料
(全国平均年収)
理学療法士(OT)年収:約349.7万円
(月収:約24.7万円)
約426.5万円
作業療法士(OT)約426.5万円
言語聴覚士(ST)約426.5万円
看護師約498.6万円
あん摩マッサージ指圧師約423.4万円
柔道整復師約423.4万円
鍼灸師約423.4万円

(参照:Indeed(インディード)|日本での機能訓練指導員の平均給与
(参照:厚生労働省|職業情報提供サイト「jobtag」

上記の表は、全国平均であり働く施設によって給料は異なります。また、パートで働いた場合、全国の平均時給は1,225円です。

機能訓練指導員になるメリット・デメリット

機能訓練指導員の配置基準は、施設に1人以上となっているため、多職種との情報共有やカンファレンス・聞き取り調査など、すべての仕事を1人でする場合があります。
※機能訓練指導員の配置基準がない事業所もあります。

1人で計画や評価することが苦にならない方や、利用者の話をじっくり聞きながら機能訓練ができる人が機能訓練指導員に向いていると言えるでしょう。

ここから、機能訓練指導員になるメリット・デメリットをそれぞれ比較し見ていきましょう。

機能訓練指導員になるメリット

機能訓練指導員として働くメリットは、自分のペースで働けることです。

機能訓練指導員は、夜勤がないため、プライベートの時間が取りやすく、家族の介護や子どもの送迎などに時間を使うこともできるでしょう。

また、機能訓練指導員の働く場所は、介護施設や医療が必要な要介護者向け施設です。社会福祉法人や大手企業が運営している介護施設なら、個人経営の施設よりも収入が安定している場合が多いです。

また、定期的に機能訓練する利用者と信頼関係を結びやすく、自身の働きかけで機能回復する姿を見ることも可能です。

何よりも、利用者の笑顔や「ありがとう」と言われることは、機能訓練指導員として大きな喜びを感じられるでしょう。

機能訓練指導員になるデメリット

機能訓練指導員のデメリットは、施設内で機能訓練指導員が1人しかいない場合が多いことです。

介護福祉施設では、最低1人の機能訓練指導員の配置が必要です。機能訓練指導員は、看護師が兼任している施設も多く、他業種との連携や1人で計画書を作成するなど、1人に責任が集中します。

施設勤務は収入が安定はしているものの、国家資格を有する業務と比較して給料が低くなるところもデメリットの1つです。

機能訓練指導員は資格を生かした仕事ができる

この記事では、機能訓練指導員が働ける場所や仕事の内容・1日のスケジュールを紹介しました。

機能訓練指導員は、理学療法士や言語聴覚士・作業療法士などの国家資格が必要です。また、機能訓練指導員は、介護施設勤務になることが多く、働き方や役割もさまざまあります。

夜勤がないため、プライベートな時間が作りやすく、安定した収入が得られますが、有する国家資格の職種に就くよりも給料は少なくなるかもしれません。

しかし、利用者と少しずつ信頼関係を結び、目標を達成できたときは、大きな喜びとやりがいを感じられる仕事です。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。