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2023-01-19

介護付き有料老人ホームはどんな施設?サービス内容や他施設との違いを解説!

高齢者向け施設を検討する中で種類の多さに驚く人は多いです。似たような施設名も多く、どのように選んで良いかわからない方もいるでしょう。自身の希望に合う施設を選ぶためには、それぞれの特徴を理解することが大切です。

 

この記事では高齢者向け施設から介護付き有料老人ホームを紹介します。施設の特徴や他施設との違いを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

介護付き有料老人ホームとは

介護付き有料老人ホームは老人ホームの1つで、厚生労働省の定める基準を満たし、特定施設の認定を受けて運営しています。

高齢者ができる限り自立した生活ができるように、それぞれの持つ身体機能を活用しながら日々のサポートをすることが主な仕事です。

以下でその他の特徴を確認してみましょう。

介護付き有料老人ホームの特徴

介護付き有料老人ホームの特徴は、24時間充実した介護が受けられることです。介護サービスの提供方法には2つのタイプがあり、施設によって異なります。

1つは、施設スタッフによって直接介護サポートがおこなわれる一般型と、もう1つは施設外サービスによる外部型です。

一般型では、ケアプラン作成から直接的な支援を施設スタッフがおこない、外部型では介助の部分を外部の事業者がおこないます。

介護付き有料老人ホームでは、日常生活の支援だけではなく、介護サービスが充実していることが特徴です。施設数が多く運営ごとに特色もさまざまあるため、ニーズに合う施設選びができます。

その他、レクリエーションやイベント、設備が充実しているなどの違いもあるため、検討の際はできる限り見学や確認しておくと良いでしょう。

タイプの違う3つの介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームには主に3つの種類があります。それぞれのタイプと特徴は以下のとおりです。

施設タイプ入居条件・特徴
介護専用型要介護1~5の方が入居対象です。24時間介護サービスが充実しており、介護度の高い方や認知症でも安心して過ごせます。
自立型自立した生活を送れる方向けの施設です。介護専用・混合型と比べて施設数が少ないため選択肢が限られます。
混合型要支援・要介護どちらの方でも入居可能です。要支援の方が要介護になっても利用を継続できるため、今後の状態変化に不安がある方でも安心して利用できます。

さまざまなタイプの施設があるため、利用する方の状態や家族の支援状況に合わせた環境選びが重要です。いずれの場合も施設によって入居条件や対応範囲が異なるため、事前に確認しておきましょう。

介護付き有料老人ホームの入居条件

主な入居条件は、介護が必要な65歳以上の方です。

しかし、65歳未満でも特定疾患に該当する方や、施設によっては65歳未満の自立した方でも入居可能な場合があります。

多くの介護付き有料老人ホームでは認知症の方も入居可能です。ただし、施設によって対応できる状態が異なります。

また、介護専用型・混合型・自立型では、それぞれで入居条件が異なるため、施設選びの際は事前に確認しておくと良いでしょう。

介護付き有料老人ホームのサービス内容

介護付き有料老人ホームでは、日常生活に必要な介護や生活サポートが受けられます。

その他、施設によってはレクリエーション内容が充実していたり、季節ごとのイベントが開催されたりとサービス内容はさまざまです。

以下で主なサービス内容や設備、どのような施設スタッフが配置されているのかを確認してみましょう。

主なサービス内容

介護付き有料老人ホームでは、日常生活に必要なサポートを提供します。生活支援の主な内容は掃除・洗濯・買い物などのサポートです。

日常支援の他、施設スタッフによって介護がおこなわれます。主な内容は食事・入浴・排泄・更衣・移乗・歩行介助などです。

その他、施設ごとにレクリエーションやお楽しみ会など、入居者が日々を楽しめるような企画が開催されます。

介護付き有料老人ホームは看取りまで対応している施設も多い傾向です。永続的な入居を希望する場合は事前に確認しておくと良いでしょう。

どんな設備がある?

介護付き有料老人ホームでは、多くの場合それぞれ個室が用意されています。

また、共有スペースではカラオケルーム・シアタールーム・プール・テニスコート・図書室・レストランなどが完備されている施設もあり、設備の充実度はさまざまです。

その他、幅広い身体状態に対応した機能訓練室や、寝たきりの方でも安心して入浴できる浴室設備などもあります。

施設によって設備が異なるため、ニーズに合う環境選びが重要です。

施設スタッフの配置

介護付き有料老人ホームでは専門職の配置に規定があります。主な専門職は以下のとおりです。

・介護士
・看護師
・栄養士
・調理師
・生活相談員
・施設管理者
ケアマネージャー
・機能訓練指導員

このように介護付き有料老人ホームでは、さまざまな身体状態に合わせたサービスを提供するために幅広い専門家が配置されています。

他施設との違いは?

有料老人ホームには介護付きの他に住宅型・健康型があります。介護付きと住宅型が大半を占め、もっとも少ない健康型は、全国に20施設ほどしかありません。

介護付き有料老人ホームを検討する際の比較候補としてあがりやすい「住宅型」「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」「特養(特別養護老人ホーム)」との違いを紹介します。

それぞれの特徴から介護付きとの違いを確認していきましょう。

住宅型との違い

住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームの主な違いは以下のとおりです。

住宅型有料老人ホーム介護付き有料老人ホーム
主な入居条件・施設によって60歳以上や65歳以上
・自立~要介護まで
・65歳以上
・介護が必要な方
入居時費用0~数百万円0~数千万円
月々の費用目安10~30万円15~30万円
介護サービス各自で適宜外部サービスを利用施設スタッフによって介護サービスを提供
介護サービス利用料利用した分だけ必要介護度ごとに定額

住宅型では要支援要介護の方まで幅広く対応している施設が多く、介護付きでは要介護の方を対象としているところがほとんどです。

介護付きでは施設スタッフによって介護サービスが提供されますが、住宅型では各自が目的に合わせて施設外サービスを契約します。

介護付きは介護サービスの利用回数に影響せず定額なのに対して、住宅型では利用ごとに費用の支払いが必要です。

その他、介護付きでは介護度が高くなった場合でも入居を継続できますが、住宅型では状態によって退去が必要になる場合があります。

特養との違い

特養(特別養護老人ホーム)と介護付き有料老人ホームの主な違いは以下のとおりです。

特別養護老人ホーム介護付き有料老人ホーム
運営主体公共団体・社会福祉法人民間企業
主な入居条件・65歳以上
・要介護度3以上
上記の両方を満たす方
・65歳以上
・介護が必要な方
入居時費用無し0~数千万円
月々の費用目安10~15万円15~30万円
介護サービス施設スタッフによって介護サービスを提供施設スタッフによって介護サービスを提供
その他・費用を抑えながら介護サ―ビスを受けられる
・入居までに長期間の待機が必要
・施設数が多いため状態や希望に合わせた選び方ができる
・比較的すぐに入居できる

介護付き有料老人ホームは主に民間企業によって運営されています。一方、特養は公共団体や社会福祉法人などが、国・自治体から補助を受けながら運営するため、安い費用で利用可能です。

特養は人気が高く、多くの場合、待機期間があります。施設選びでは候補を特養だけに絞らず、他の施設なども選択肢として考えておくと良いでしょう。

サ高住との違い

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)と介護付き有料老人ホームの違いは以下のとおりです。

サ高住介護付き有料老人ホーム
契約方式賃貸契約利用権契約
主な入居条件・60歳以上
・60歳未満で要介護認定された方
・65歳以上
・介護が必要な方
入居時費用0~数十万円0~数千万円
月々の費用目安10~30万円15~30万円
設備の特徴バリアフリー構造
・スロープ
・手すり
・段差解消
など
幅広い状態に合わせた対応ができる設備
(例)
・寝たきりの方でも入浴可能な浴室設備
・施設によっては病院が併設されている
サービス内容・日常生活のサポート
・安否確認
・見守り
・介護サービス
・医療ケア
・レクリエーションやお楽しみ会

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は自身で身の回りのことができる高齢者を対象としています。

介護付き有料老人ホームは原則65歳以上の方が対象ですが、サ高住では60歳以上または60歳未満で介護認定を受けた人が対象です。

サ高住では介護が必要になった場合、各自で通所サービスや訪問介護などを利用します。また、介護度が高くなると退去が必要になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

サ高住は一般の賃貸住宅に近い感覚で利用できるため、介護付き有料老人ホームよりも自由度が高い施設がほとんどです。

全体的に介護付き有料老人ホームは、サ高住よりも費用が高い傾向にあります。

介護付き有料老人ホームの費用について

介護付き有料老人ホームを利用する際にかかる費用は、入居時にかかる費用と毎月かかる費用の2つがあります。

介護付きでは、入居一時金が必要な場合があり、金額は施設によって数十万円~数千万円とさまざまです。

毎月かかる費用には、主に家賃・管理費・食費・医療費・消耗品などが含まれ、月額費用は施設によって異なるため事前に確認しましょう。

また、入居一時金を支払っても居住期間が短い場合は、退去時に一部返金を受けられる場合があります。返金を受けられる期間や金額は施設によって異なるため、よく確認しておきましょう。

介護付き有料老人ホームでは充実した介護サービスを受けられるため、その他の施設よりも費用は高めの傾向です。

介護付き有料老人ホームの3つの支払い方式

介護付き有料老人ホームには、主に以下の3つの契約(支払い)方式があります。それぞれ確認してみましょう。

・前払い方式
・月払い方式
・併用方式

前払い方式では、契約時に入居一時金を支払います。一度に多くの費用がかかる一方で、月々の料金を抑えられることが特徴です。

2つ目は月払い方式。入居時にかかる費用を毎月分割して支払っていきます。支払う金額は、これから居住する期間を想定したうえで割り出されるのが一般的です。

3つ目が併用方式で、入居時にある程度の費用を支払い、残りの金額を月々に分割して支払います。

施設によって採用されている契約方式や金額が異なるため、事前確認が必要です。

サービス利用料

介護付き有料老人ホームで提供される介護サービスは定額料金で利用でき、金額は介護度ごとに異なります。

介護度ごとのサービス利用料金と負担額は以下のとおりです。

介護度自己負担額/月(1割負担の場合)
要支援15,460円
要支援29,330円
要介護116,140円
要介護218,120円
要介護320,220円
要介護422,140円
要介護524,210円

※加算等を含まない
出典:介護報酬の算定構造

サービスの使用頻度による料金変動はないため、安心して利用できます。

負担費用を軽減する方法

控除制度を上手に活用することで負担を減らせる場合があるため確認しておくとよいでしょう。

主な控除は以下のとおりです。

・配偶者・扶養控除
・障害者控除
・医療費控除

家族を養っている方や、障害者本人・障害者を扶養している方は控除を受けられる場合があります。控除を検討している方で、自身が控除の対象になるか不明な方は税務署へ問い合わせてみましょう。

医療費控除は基本的には対象外ですが、治療費など一部対象になる場合があります。領収書に「医療費控除対象」の記載がある場合もありますが、不明なときは税務署に問い合わせて確認しましょう。

介護付き有料老人ホームのメリット・デメリット

介護付き有料老人ホームの主なメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット施設数が多く状態やニーズに合う施設を選びやすい
介護サポートが充実しているため安心して過ごせる
施設によってアクティビティや訓練設備が充実している
デメリット入居時一時金が必要な場合が多い
介護サービスを利用していなくても定額費用がかかる
費用が高くなりやすい

その他のメリットとして、介護度が上がったとしても入居を継続できることや、施設によって設備が充実している点などがあげられます。

また、施設数が十分にあるため特養などの公的施設と比べて順番待ちが少なく、比較的すぐに入居できるのもメリットです。

デメリットとして、食事や入浴など1日のスケジュールが組まれている場合は、一般住宅よりも時間の自由が少ない点があげられます。

入居までの流れ

介護付き有料老人ホーム入居までの一般的な流れを以下で確認してみましょう。

・施設選び
・資料請求
・申し込み
・書類の準備
・施設との面談
・契約
・入居

施設選びではサイトやパンフレットをよく見て、自身の状態やニーズに合う施設を検討しましょう。実際に見学へ行って雰囲気を確かめるのも大切です。

希望の施設が決まり、申し込みをおこなったら必要な書類(健康診断書や介護保険証の写しなど)を準備しましょう。

施設スタッフとの面談内容は、身体状態や経済状況・家族状況などを確認し、入居が決まれば契約して利用開始になります。

介護付き有料老人ホームがおすすめの人

これから介護付き有料老人ホームがおすすめできる人の特徴を紹介します。以下でそれぞれ確認してみましょう。

・長期的に居住したい方
・身体の状態に不安がある方
・レクリエーションなどを楽しみたい方

介護付き有料老人ホームでは、看取りまで対応する施設もあるため、永住や長期間の居住を希望する方は介護付き有料老人ホームがおすすめです。

また、認知症の方や身体状態に不安がある方は、手厚いサポートが受けられる介護付き有料老人ホームを選ぶと安心でしょう。

その他、日常の生活を充実させたい方は、レクリエーションなどのサービス内容にバリエーションがある介護付き有料老人ホームがおすすめです。

施設の選び方

施設選びではサービス内容や設備以外にも意識したいポイントがあります。
以下で確認してみましょう。

・立地面
・費用面
・同居者の有無

立地条件は施設を決めるうえで重要な判断材料です。病院やスーパー、その他にも日常生活に必要な施設が近くにあるか確認すると良いでしょう。

費用面では、現在の経済状況だけではなく、将来のことも見据えたうえで無理なく利用できる施設選びが重要です。

その他、夫婦で入居を希望する場合、お互いの介護度に差がある場合は注意してください。同室で生活するため、介護度の低い側に介護負担が大きくかかる場合があります。また、家よりも狭い空間になる場合も多いため、逃げ場がなくストレスにつながることもあるでしょう。

いずれの場合も候補は1つだけに絞らず、いくつか選択肢を用意しておくことが大切です。最終的に候補が絞れたら、実際に見学にいって雰囲気を確かめてみましょう。

まとめ:自身の状態や希望に合う施設選びが大切

この記事では、介護付き有料老人ホームの特徴を説明し、他の施設との違いを紹介しました。介護付き有料老人ホームでは手厚い介護が受けられるほか、施設ごとにさまざまな内容のサービスが提供されます。

施設選びでは自身の状態や希望を十分に考慮し、いくつか候補を用意したうえで他施設との比較検討をしましょう。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。