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介護サービス・制度

2023-12-26

子ども食堂とは?生まれた背景や役割をわかりやすく解説

近年、さまざまな活動や宣伝によって「子ども食堂」の存在が広く知られるようになりました。

 

子ども食堂の存在は知っていても、利用方法や活動実態がわからない方も多いのではないでしょうか。

 

昨今、子どもの相対的な貧困が問題となっており、子ども食堂の重要性は高まっています。これらの問題に対処し、活動を支援していくためには、周囲の協力が必要不可欠です。

 

この記事では、子ども食堂の役割や支援方法、今後の課題について解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

子ども食堂とは?

子ども食堂は、孤食に悩む子どものために始まった活動です。子ども食堂の役割や生まれた背景、利用方法などをそれぞれ紹介します。

子ども食堂の役割

子ども食堂は、1人で食事をする機会が多い子どもに対して、共食の機会を提供することを目的とした活動です。

(参考:こども食堂と連携した地域における食育の推進:農林水産

共働きやひとり親世帯の増加によって、1人で食事をする子どもが増えています。同時に、コンビニのお弁当やカップ麺など、インスタント食品で済ませる家庭も少なくありません。

こうした、孤食の悩みや栄養バランスの偏りによる問題を解消するために生まれたのが、子ども食堂です。また、子どもだけではなく、子育てをする親の憩いの場としても重宝されています。

お店のスタッフや地域住民など、幅広い世代の方と交流できるのも子ども食堂の特徴です。さまざまな人に利用してもらいたいという理由から「子ども食堂」の名前を付けないお店もあります。

子ども食堂が生まれた背景

2012年、東京都大田区にある八百屋さんの取り組みがきっかけとなり、子ども食堂が誕生しました。

一方、子ども食堂ができる以前から、似たような活動は存在しています。例えば、児童館での食事提供や、自治体施設での食事会などです。

2010年代に「子ども食堂」のネーミングが、幅広い世代の方から受け入れられ、全国的に知られるようになりました。

その後「こども食堂サミット」の開催をきっかけに、子ども食堂に興味関心を持つ人が増え、現在の活動へとつながっています。

子ども食堂の現状

認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえによると、2023年2月現在、全国7,363か所で子ども食堂が開催されています。

2016年に319か所だった子ども食堂は、7年後の2023年には約23倍にまで増加しました。

その背景には「広がれ、こども食堂の輪!」の活動があります。この活動は、2016年から行われており、子ども食堂の役割や重要性を伝え広めるのが目的です。

子ども食堂を始めたい方に対しては、ノウハウの共有や活動事例の紹介なども行われます。

子ども食堂の利用方法

多くの子ども食堂では、利用時に特別な条件を設けていません。

開催頻度は、月に1〜2回程度としている場合が多いですが、運営によっては週5日開催する食堂もあります。主に、平日の朝や夜、休日の昼に開催されるのが一般的です。

子どもに対しては、無料で食事を提供する食堂も少なくありません。その場合は「お手伝い」を条件にするなど、さまざまな工夫がされています。

有料の場合は、50円〜500円を参加費として徴収するのが一般的です。この際「料金」ではなく「参加費」と表記するのには、営利目的の活動ではないという理由があげられます。

子ども食堂の運営元は?

一般的に、子ども食堂は民間団体によって運営されています。

主な運営元は、NPO法人や社会福祉法人、自治体や個人などです。地域住民の方が協力しあって、有志で運営しているケースも少なくありません。

そのほか、小学校のPTAや教員、福祉に携わる地域職員などが、ボランティアで運営する場合もあります。

また、2019年には、大手コンビニチェーン店のファミリーマートが「ファミマこども食堂」の展開をスタートしました。

(参考:こども食堂|ファミリーマート

子ども食堂のメリット

子ども食堂のメリットは、ただ安いだけではありません。現代の子どもが抱える悩みに対して、さまざまな角度からアプローチできる取り組みです。

これから、子ども食堂のメリットを3つ紹介します。

誰かと一緒に食事ができる

子ども食堂のメリットは、誰かと一緒に食事ができることです。

子ども食堂の多くは、子ども1人でも利用できるように配慮されています。また、子どもだけではなく、親子で食事を楽しむ方も多い傾向にあります。

そのほか、地域の高齢者と子どもが一緒に楽しめる、会食イベントを開催する食堂もあります。普段、誰かと食事をする機会が少ない人にとっては、貴重な共食の場です。

アットホームな雰囲気づくりに取り組む食堂も多く、相席を促すケースも珍しくありません。落ち着いた雰囲気の中で、誰かと一緒に過ごせるのが子ども食堂の魅力です。

無料や安い価格で手料理が食べられる

無料または安い価格で手料理が食べられるのも、子ども食堂のメリットです。

子ども食堂では、栄養バランスに配慮された食事が提供されます。店舗数は少ないものの、プロの料理人が運営する子ども食堂もでてきました。

そのほか、地域の特産品を活用する食堂や、ビュッフェ・バイキングのスタイルを取り入れる食堂もあります。

このように、低価格で充実した料理を食べられるのが、子ども食堂の利点です。

コミュニティの構築につながる

子ども食堂は、新たなコミュニティの構築にもつながります。

子ども食堂には、子どもや親だけではなく、お店のスタッフや地域住民など、幅広い層の方が集まります。そこから、新しい出会いが生まれるケースは珍しくありません。

なかには、食事とあわせて、子どもと一緒に料理ができるイベントを開催する食堂もあります。食育を交えながら、楽しくコミュニケーションを取れるのが利点です。

子ども食堂は、幅広い世代の方がつながる交流の場として、重要な役割を担っています。

子ども食堂のデメリット

子ども食堂には、さまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。

これから、子ども食堂のデメリットを3つ紹介します。

衛生面の管理が大変

通常の食堂やレストランをオープンする場合、厳しい条件をクリアする必要があります。一方で、子ども食堂には、そのような規制がありません。

子ども食堂では、運営の際に特別な資格も必要ないため、衛生管理が難しいケースがあります。また、アレルギー対応についても、留意しなくてはいけません。

(参考:文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応について」)

これらの課題に対処するために、厚生労働省では、事前に最寄りの保健所から指導を受けるように呼びかけています。

(参考:厚生労働省「子ども食堂における衛生管理のポイント」)

子ども食堂を運営する場合は、衛生管理について事前によく検討することが重要です。定期的な研修や検便の義務化など、マニュアルを準備しておくとよいでしょう。

運営を維持するのが難しい

子ども食堂は、ボランティア活動を中心として、非営利目的で運営されています。

そのため、会場や駐車場を有料で借りる場合、運営者の自己負担によって賄われているケースや、運営資金の確保が難しく、運営の維持が困難になる食堂も多い傾向にあります。

これらの資金問題を解決するために、クラウドファンディングに取り組む団体があります。そのほか、オリジナルグッズの販売や、デジタルアートに取り組む団体もでてきました。

安価で食事を提供する裏側で、こうした資金不足に悩む食堂は少なくありません。

利用できる機会が限られる

子ども食堂の平均的な開催頻度は、月に1〜2回程度となっています。一般的な食堂のように、いつでも利用できるわけではありません。

また、開催場所が限定されるのも、利用機会を減らす要因の1つです。主な開催場所としては、公民館や児童館、学校などがあげられます。

空き家や倉庫、お寺や廃校などを活用する動きもありますが、郊外ではそういった場所が少ないのも実情です。

この数年で、開催場所は増えたものの、利用できる機会はそれほど多くありません。

子ども食堂の課題

子ども食堂は、この数年で急激に活動の幅を広げました。

利用できる機会が増えた一方で、考えなければならない子ども食堂の課題もあります。

人員や資金の維持確保

子ども食堂は、主にボランティアで成り立っている活動です。そのため、資金や人員の確保が課題となっています。

現在、主な資金源は運営者の持ち出しによって賄われています。公的補助や民間からの助成金などもありますが、十分ではありません。

また、安定的な人員配置や、固定スタッフの確保も課題です。毎回スタッフが変わる場合、利用者との関係構築に、時間がかかる可能性があります。

子ども食堂を安定的に運営するためには、人員確保と資金調達の両面に取り組んでいくことが重要です。

必要な人が利用できる手段の確立

子ども食堂を利用する際、特別な条件やルールはありません。そのため、安いからという理由で利用する人も多く、本当に必要な人のもとへ食事が届かない問題もでています。

そのほか、子ども食堂が浸透していない地域も少なくありません。こうした地域では、子ども食堂の存在が認知されていないのが実情です。

本当は利用したいものの、周囲の目を気にして利用できないケースもあります。これらの対策として、あえて「子ども食堂」の名前をつけない食堂もでてきました。

今後は、さまざまな視点から、本当に必要な人が利用できる方法を思案していかなければいけません。

子ども食堂への支援方法

子ども食堂の運営を維持するには、さまざまな課題をクリアしていかなければいけません。

子ども食堂を一緒に支援していくためには、どのようなことができるのでしょうか。これから、子ども食堂への支援方法の一例を紹介します。

フードバンクへの寄付

子ども食堂への支援の方法として、フードバンクの利用があげられます。

フードバンクは、外箱の傷などで販売できなくなってしまった食材を引き受ける場所です。全国にあるフードバンクに食材を寄付することで、子ども食堂の支援につながります。

一般家庭の方が寄付を行う場合は、フードドライブを利用する方法があります。フードドライブは各家庭で余った食材を引き受け、フードバンク等に寄付する活動です。

フードドライブの利用方法は、下記の農林水産省のページから確認できます。

(参考:農林水産省「フードドライブ実施の手引き」)

ボランティアで参加する

子ども食堂を支援する際、ボランティアとして参加する方法があります。この場合、子ども食堂に対して直接の支援が可能です。

これから子ども食堂を始めたいと思っている人が、見学も兼ねてボランティアに参加するケースも増えています。

ボランティアへの参加を希望する場合は、子ども食堂ネットワークのホームページなどで、情報を確認してみましょう。

(参考:こども食堂を手伝いたい人

募金や運営元へ直接寄付をする

そのほかの方法として、募金や運営元へ直接寄付をする方法があります。

身近なのが、スーパーやコンビニ、地域施設などに設置された募金箱を利用する方法です。最近では、Tポイントやスマホ決済による寄付に対応する団体もあります。

そのほか、食材を寄付する方法も有効です。例えば、肉類を寄付する養豚業者や、野菜を寄付する農家、供物を提供するお寺などもあります。

子ども食堂への寄付を行う際は、自分に合う方法を検討するとよいでしょう。

子ども食堂に食材を寄付する際の注意点

子ども食堂へ食材を寄付する際は、気をつけなければいけない点があります。

できる限り、消費期限や保存期間の長い食材を選択するようにしましょう。例えば、お米や乾麺、飲料水、調味料などが重宝されます。

そのほか、野菜なども使い勝手がよいため、歓迎される傾向が強いです。缶詰やお菓子などを引き受ける団体もあります。

一方で、お肉などの生鮮類を寄付する場合は注意が必要です。運営団体によって、受け入れ可能な食品や受け入れ方法が異なるため、事前に確認するようにしましょう。

子ども食堂の今後とSDGs

現在、国内の子どもにおける相対的貧困が問題になっています。

厚生労働省の調査によると、令和3年現在、17歳以下の子どものおよそ9人に1人が、相対的貧困の状況にあることが明らかになりました。

(参考:厚生労働省「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」)

ひとり親に限っては、約半数の子どもが貧困状態であることもわかっています。こうした貧困に悩む子どもに対して、健康的な食事を提供するためには、子ども食堂の存在が必要不可欠です。

「誰一人取り残さない」を合言葉としたSDGsの17の目標のなかには、子ども食堂と関連する内容が含まれています。関連のある内容は、以下の通りです。

(参考:日本ユニセフ教会「SDGsってなんだろう?」)

・貧困をなくそう

・飢餓をゼロに

・すべての人に健康と福祉を

・人や国の不平等をなくそう

住み続けられるまちづくりを

このように、SDGsの観点からも子ども食堂の重要性がわかります。今後は、自治体や民間、行政などが連携して活動を支援していくことが重要です。

まとめ

この記事では、子ども食堂の役割や生まれた背景を紹介しました。

現在、国内の子どもの相対的貧困が問題になっています。これらの問題を解決するには、子ども食堂の存在が重要です。

一方、継続的に子ども食堂を運営するためには、資金や人員の確保など、クリアしなければいけない課題も多くあります。

今後、子ども食堂を安定して運営するためには、民間や行政、地域全体の協力が必要不可欠です。ぜひ、この記事を参考に、子ども食堂の存在意義について検討してみてください。

渡口将生

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながらライターとしても活動、記事の執筆や本の出版をしている。