介護サービス・制度
投稿日:
2026-05-11
更新日:
2026-05-11
【2026(令和8)年最新】認知症カフェとは何ができる場所?利用するメリットと実態などを紹介
「オレンジカフェ」という名称で親しまれ、全国各地に展開されている認知症カフェ。しかし、介護従事者であっても「どんなことをする場所なのか、よく知らない」という方もいるでしょう。
本記事では、認知症カフェ(オレンジカフェ)がどのような役割を持ち、どのような目的で集まる場所なのかを解説します。
認知症カフェとは

認知症カフェとは、認知症の当事者やご家族、地域住民、介護従事者など、誰もが自由に交流できる場所です。「オレンジカフェ」とも呼ばれますが、その名称は認知症支援のシンボルカラーがオレンジ(橙)に由来しています。
認知症カフェは、自治体や医療機関、NPO法人などが中心となって定期的に開催するケースが多く見られます。参加者同士で介護や認知症に関する情報の共有や、気軽に悩み相談や世間話などができる、コミュニケーションの場として活用されています。
認知症カフェの目的
認知症カフェの主な目的は、以下のとおりです。
- ・認知症のご本人やご家族の孤立を防ぐ
- ・情報交換や相談の場を提供する
- ・地域住民の理解を促進する
認知症の当事者やご家族の中には、困ったことがあったとしても「人に話しにくい」「周囲の目が気になる」といった気がかりがあるというケースも少なくありません。認知症カフェは、このような悩みを当事者だけで抱え込まないよう、同じ立場の仲間や信頼できる相談相手と出会える場所です。さらに、認知症に対する偏見や誤解を解消し、地域全体で支え合える地域づくりを目指しています。
認知症カフェの活動内容
認知症カフェの活動内容は、運営団体や開催地域によって異なります。一般的には、次のような活動が行われています。
- ・参加者同士の交流
- ・認知症に関する勉強会や情報提供
- ・レクリエーション
- ・個別相談
- ・介護負担の軽減
これらの活動は、認知症の理解をより深め、当事者やご家族の精神的な支えとなります。認知症カフェによっては、当事者とご家族の交流スペースを分けることで、参加者同士が自由に話せる時間を設けるなど、心置きなく過ごせる工夫がされています。
高齢者サロンと比べて何が違う?
一般的な高齢者サロンは、主に地域の高齢者が集まって交流を深める場として設けられています。参加者は高齢者に限定されており、その中でレクリエーションや趣味、運動などの活動をする集まりです。
一方、認知症カフェは当事者やご家族が安心して過ごせる場所の提供や、地域住民への理解を目的としています。そのため、参加者は高齢者のみならず、若い人や子どもも含まれます。専門職やボランティアなど、認知症に興味がある方なら誰でも参加できる点も特徴の1つです。
オレンジカフェの探し方
オレンジカフェの運営スタイルは多岐にわたりますが、市区町村の窓口や地域包括支援センターが詳細情報を公開しているのが一般的です。各市区町村の窓口や広報誌・ホームページに開催場所や日時、開催頻度などの情報が記載されているか確認しておくとよいでしょう。
ただし、居住する地域にオレンジカフェが設置されていない場合もあるので、まずは近くの設置情報を見ていきましょう。
オレンジカフェの料金
オレンジカフェでは無料で提供しているケースも少なくありません。場所によっては、飲み物代やお菓子代、レクリエーションの材料費として数百円程度を徴収するケースもあります。
また、オレンジカフェは予約が必要な場合もありますが、一般的な喫茶店やカフェに立ち寄る感覚で利用可能です。
認知症カフェに足を運ぶメリット

認知症カフェに足を運ぶ主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。
認知症に関する講義が受けられる
認知症カフェでは、医師や看護師、介護福祉士などによる、講義が受けられるメリットがあります。
今の時代、インターネットや書籍でも、認知症の情報は得られます。しかし、ご本人やご家族にとって、認知症の主な症状やケアの工夫が学べたり、講師からの質疑応答・個別相談で疑問を解消できることは、貴重な機会となります。
また、講義を担当する介護従事者は、介護サービスの手続きの仕方を説明することや地域サービスの一覧を紹介することなどで手助けができるでしょう。
認知症のご本人やご家族同士の情報交換ができる
認知症カフェでは、当事者同士やご家族など同じ立場の方と情報交換ができる点が大きなメリットです。
認知症の当事者は、病気の症状や進行に不安を抱えているケースも少なくありません。カフェで同じ状況に置かれている仲間と話すことで「自分だけじゃない」という安心感が得られます。
さらに、ご家族にとっても、介護の悩みや苦労、日々の工夫などを語り合える場となるでしょう。他のご家族と直接交流することもできるため、介護サービスについて新たな解決方法を見つけるきっかけとなるかもしれません。
地域の人々と交流を深めることができる
認知症カフェには、認知症に関心を持つ地域住民やボランティアも参加しています。学生や子ども、その親世代など、普段の生活では出会うことのない方との交流ができます。
また、定期的に認知症カフェに参加することで、地域住民に顔を覚えてもらえることもあります。このような出会いを通じて、緊急時の助け合いや日常的な見守りなど、ご家族にとっても地域住民によるサポートが受けられる可能性が広がるでしょう。
認知症カフェを利用する人
ここでは、認知症カフェを利用する人について、詳しく解説します。
認知症のご本人
認知症カフェは、認知症のご本人が安心して過ごせる居場所としての役割をしています。ご本人が抱える不安や孤立感を和らげ、外出の機会を増やせるでしょう。
他者との交流や、レクリエーションへの参加は、心身をリフレッシュする良いきっかけにつながります。次回の利用日を楽しみにすることで、日々の生活に張り合いが生まれやすくなるでしょう。
認知症のご家族
他者の悩みや経験を聞くことで「自分だけではない」という安心感を得たり、励まし合ったりできる交流の場です。ご家族がリフレッシュできることは、介護を続けていくうえで重要といえるでしょう。
介護従事者
介護や医療の現場で働く方が、地域の実情やご家族の悩みを知るために参加するケースもあります。介護従事者にとって、介護現場でのケアに生かせる意見やニーズを実感できる貴重な機会であり、認知症の地域支援に生かせるでしょう。
一般利用者
認知症について「知りたい」という一般の地域住民も利用することもあります。知人や友人のご家族に認知症の当事者がいる場合や、将来ご家族が認知症になったときの備えとして参加している場合もあるそうです。
全国における認知症カフェの総数
厚生労働省は、2015年に策定した「新オレンジプラン」において「認知症カフェの設置」を施策の1つとして掲げました。
新オレンジプランでは、2020年度末までに全市区町村に普及させることを目標としており、2022年時点では1,500以上の市区町村にて8,000箇所以上に達しています。
多くの市区町村で認知症カフェが運営されていることは、認知症のご本人やご家族が安心して暮らせる社会の実現に向かっているといえるでしょう。
参考:厚生労働省|認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要、厚生労働省|認知症カフェ
認知症カフェの運営母体は?

認知症カフェをこれから利用する予定のある方は、運営母体の情報も知りたいという方もいることでしょう。ここでは、その詳細を解説します。
地域の自治体や委員会
多くの認知症カフェは、地域の自治体や地域包括支援センター、または地域の委員会が中心となって運営しています。市区町村が5.3%、地域包括支援センターが24.3%あり、全体の約3割を占めています。
地域の自治体が運営する認知症カフェは、公的機関としての信頼性があるため、介護保険や地域サービスとの連携もしやすいのが特徴です。多くの場合、福祉センターや市区町村の多目的室といった公共施設で開催されています。
社会福祉協議会
社会福祉協議会は、「地域福祉の推進を図ることを目的」としており、地域住民が安心して生活できるまちづくりを目指している民間組織です。高齢者や障がい者などの生活問題に対応する事業を展開しており、相談支援や地域ボランティアとの連携をしています。なお、社会福祉協議会が運営する認知症カフェは、全体の約7.1%です。主に、社会福祉法人の施設や公民館などで開催されています。
介護事業所や医療機関
介護施設や医療機関などが認知症カフェの運営に関わるケースもあり、介護事業所の約26.3%、医療機関では約5.5%が運営しています。
介護事業所や医療機関が運営することで、認知症に関する勉強会やリハビリテーション的なプログラムを取り入れることも可能です。
NPO法人
NPO法人が運営する認知症カフェは、全体の約4.3%です。NPO法人は社会活動やボランティア活動をはじめとする非営利団体で、地域に根差した柔軟なサービスが提供できます。
NPO法人が運営する認知症カフェの多くはNPOの施設や一般のカフェを使用しており、認知症のご家族が主体となる場合もあります。
参考:厚生労働省|認知症カフェ、厚生労働省|社会福祉協議会の 組織・事業・活動について
認知症カフェを利用する際の注意点
認知症カフェは、カフェごとに提供されるプログラムや雰囲気もさまざまです。初めて利用する際には、事前にカフェの概要を知っておくことをおすすめします。ここでは、利用する際の主な注意点を紹介します。
事前に情報収集をする
初めて認知症カフェを利用する際は、開催場所や日時、プログラム内容などを事前に確認することが大切です。多くの方との交流が苦手な場合は、サポート数や訪問者数を調べておくとよいでしょう。また、必要な持ち物や予約の有無、参加費用を把握しておくと、スムーズに利用できるため、何かと安心です。
運営団体によって活動が異なることを理解する
認知症カフェの運営母体は自治体や医療機関、NPO法人などさまざまです。そのため、運営団体によってカフェの雰囲気や提供される活動内容が異なることを理解しておきましょう。
例えば、ミニ講座や季節の活動などに力を入れている団体もあれば、プログラムは特になく、ゆったりした時間を過ごしてもらうことを目的としている団体も存在します。
認知症カフェの規模や開催時間も異なるため、地域に複数のカフェがある場合は、参加者の目的に合ったカフェを選びましょう。
アクセスや開催頻度を確認する
認知症カフェを利用する前には、自宅からのアクセスや、公共交通機関からの距離、駐車場の有無も調べておくことも大切です。
また、認知症カフェは一般的に1か月に1~2回程度ですが、中には毎日開催されているケースもあります。無理のない範囲で継続的に参加できるよう、自分の生活に適切なカフェを選びましょう。
認知症カフェとは地域と連携して開かれるサポートケアの場所
認知症カフェは、認知症ご本人やご家族、地域住民などが気軽に集まることができる交流の場です。2015年の「新オレンジプラン」の策定以降、全国に普及が進み、2022年には全国に8,000箇所以上の設置がされました。
認知症カフェは単なる交流の場にとどまらず、認知症への理解を深め、当事者やご家族が孤立せずに地域社会とつながりを持続できるサポートケアの場所として位置づけられています。
内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、2024年10月時点の65歳以上の人口の割合は総人口の約3割で、約3人に1人が高齢者という結果でした。同資料によると今後も高齢者の割合がさらに増えると記されています。こうした社会背景を踏まえると、認知症カフェの必要性はますます高まるでしょう。
コラム執筆担当者
山本史子
介護福祉士
デイサービスで10年以上、介護福祉士として現場勤務を経験。利用者さまに「またデイサービスに行きたい」と思ってもらえる施設づくりを目指し、日々ケアに携わっている。趣味は工作やハンドメイドで、利用者さまとのコミュニケーションにも活かしている。現在は、介護現場での勤務と並行してライターとしても活動中。現場経験に基づき、実用的で温かみのある記事執筆を心がけている。