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介護サービス・制度

2024-08-21

こども食堂を運営するには?必要な準備品や運営までの流れを解説

こども食堂は、地域の子どもたちに無料または低価格で食事を提供し、安心して過ごせる場所を提供する取り組みです。

 

近年、子どもの貧困や孤食、社会や地域での「つながり」の薄さが深刻化する中で、こども食堂の重要性は高まっています。

 

本記事では、こども食堂の運営に必要な準備や具体的な運営方法・運営を継続するポイントを解説します。

こども食堂を運営するには

こども食堂の運営に、特別な資格は必要ありません。実際のところ、個人や地域のボランティア・NPO法人・地域の企業など、さまざまな運営主体が存在しています。

ただし、運営主体によって、開催頻度や規模・対応できる子どもの数は異なるため、個人で運営する場合、自宅や地域の集会所などで開催するケースもあります。

なお、こども食堂を設ける場所については、子どもが行き来しやすく、安全性が確保でき、かつ衛生管理が整った設備や備品がそろっているのが適切です。

場所選びや運営方法に迷った場合は、地域の社会福祉協議会やボランティア経験者に相談してみましょう。

こども食堂を運営する前に準備すること

こども食堂をスムーズに運営するためには、次のような準備が必要です。

  • ・スタッフの確保
  • ・場所を選定
  • ・資金の調達
  • ・食材の確保
  • ・計画の立案
  • ・こども食堂に必要な設備と備品

以上の項目を詳しく解説します。

スタッフの確保

こども食堂の運営には、調理や配膳・子どもたちの見守りなど、さまざまな役割を担うスタッフが必要です。まずは、一緒に活動できそうな仲間を集めます。スタッフは友人や知人・地域のボランティア団体などに協力を呼びかけるとよいでしょう。

こども食堂の運営には、場所選びや資金の調達など決めることもあるため、1人で運営していくのは難しいかもしれません。相談できる仲間がいると、心強いでしょう。

場所の選定

こども食堂を設置する場所は、公民館やコミュニティセンターなど、子どもが使いやすく安全に集まれる場所が選びます。ほかにも空き店舗や定休日を利用するなど、地域住民や地元企業の協力を得るとともに、調理設備や衛生面も考慮しましょう。

こども食堂が定期的に運営する観点から、長期的に開催できる場所を確保できると安心です。無料または、低コストで利用できる場所を選ぶと、運営の負担が軽減できるでしょう。

資金の調達

こども食堂の運営には初期費用がかかるため、資金調達が重要です。自治体や民間団体の助成金の申請を検討しましょう。申請には事業計画書や収支予算書が必要になるため、事前に準備を整えておくことが重要です。

助成金の申請方法について知りたい方は、次の記事をご覧ください。

こども食堂を支える支援金制度とは?自治体と地域の連携の重要性

さらに、こども食堂の利用料についても検討する必要があります。多くのこども食堂では、子どもに対しては無料または低価格で食事を提供しています。運営費を調達するために大人は有料に設定している場合や、子どもにお金を払う練習をさせたいといった、教育的な目的で有料としているケースもあるので、特性や状況を踏まえて運営方法を考えてみましょう。

食材の確保

こども食堂で提供する食材は、個人の持ち込みや地元の農家・スーパーからの寄付を受けることが一般的です。また、フードバンクの利用も食材確保の1つの手段です。購入と寄付のバランスを考え、安定した食材を確保しましょう。

計画の立案

こども食堂を開設する際は、開催日時や場所・スタッフの配置などを決めておきます。子どもたちの年齢層や人数・アレルギーなどを考慮し、適切なメニューを検討することも大切です。

また、万が一のために緊急時の対応方法や衛生管理の手順も把握しておきましょう。運営方針にもよりますが、イベント開催や学習支援などを実施する場合は、食事以外の活動内容も視野に入れておきましょう。

こども食堂に必要な設備と備品

こども食堂に必要な設備や備品は、提供する食事内容によって異なりますが、一般的に次のようなものを準備しています。

調理設備・冷蔵庫
・手洗い場
・調理台
・防水の床 など
消耗品・備品・食器
・消毒液
・スプーン・フォーク・はし
・キッチンペーパー
・ごみ袋 など
その他・受付に必要な筆記用具
・電卓
・名札
・釣り銭
・子どもの遊び道具
絵本/ボードゲーム/画用紙/おもちゃ など

こども食堂を運営する際には、上記以外にもさまざまな設備や備品が必要です。これらの備品は、新品を購入するだけでなく、寄付やリサイクル品を活用することも可能です。準備をしておくことで、こども食堂の円滑な運営につながります。

こども食堂の開催方法

こども食堂の準備が整ったら次のような手順で開催の準備を進めていきましょう。

  1. 1. 食事のメニューや役割分担を決める
  2. 2. 安全衛生管理を考える
  3. 3. こども食堂での過ごし方を決めておく
  4. 4. こども食堂の開催
  5. 5. 開催後の振り返りと改善
  6. 6. こども食堂の存在を知ってもらう

次から、具体的な方法について解説します。

1.食事のメニューや役割分担を決める

こども食堂の運営において、食事のメニューは子どもたちの楽しみの1つです。栄養バランスを考慮しつつ、子どもたちが喜んで食べられるメニューを考えましょう。地域の特産物や季節の食材・近隣農家の野菜を活用すれば、物流費などのコストが抑えられます。

食事の準備や提供には、スタッフの協力は不可欠です。調理や配膳・片付け・受付など、それぞれの役割を明確に決めておけば、スムーズな運営ができるでしょう。ただし、安全には十分配慮し、怪我やトラブルを防ぐために、スタッフが見守る体制を整えましょう。万が一の事故に備えて、ボランティア保険やレクリエーション傷害保険などの加入も検討しましょう。

2.安全衛生管理を考える

こども食堂を運営する際には、保健所に相談をすることを推奨しています。保健所では、衛生管理の基準や必要な手続きを教えてもらえるので、事前に相談し、必要な書類や手続きの確認をしておきましょう。

こども食堂では、安全でおいしい食事を提供するために、食中毒などを起こさないよう、細心の注意を払うことも大切です。不安な点や疑問点があれば、地域の保健所に問い合わせてみてください。専門家のアドバイスを受けながら、安全で衛生的なこども食堂運営を目指しましょう。

3.こども食堂での過ごし方を決めておく

こども食堂では、食事だけでなく、子どもたちが楽しく過ごせる場所にすることも大切です。自由に遊べるスペースを設けたり、読書や勉強・交流の時間を作ったり、子どもたちのニーズに合わせた過ごし方を検討しましょう。

4.こども食堂の開催

実際のこども食堂の開催にあたっては、事前の準備と計画に基づいて運営をします。子どもたちを温かく迎え入れ、楽しい時間を過ごせるように心がけましょう。

食事中は、子どもたちとのコミュニケーションができるため、悩みや困りごとを聞き出す機会が生まれるかもしれません。そこから何らかのよいヒントが得られたら運営に生かすのも1つの手です。

初回は、少人数でプレオープンをしてみることもおすすめです。食事の提供や子どもの様子をみながら、運営上の改善点が見つけやすいでしょう。

5.開催後の振り返りと改善をする

こども食堂終了後には、振り返りをします。良かった点や改善点などを共有しましょう。特に、子どもたちの反応やスタッフ間のコミュニケーションに注目し、よりよいこども食堂を目指して、改善を重ねていくことが大切です。

6.こども食堂の存在を知ってもらう

こども食堂の存在を地域に広めることも重要です。チラシ配りやポスター掲示・SNSなど、さまざまな方法で積極的に広報活動をします。こども食堂の活動を広く紹介すれば、地域全体の理解と協力を得られるでしょう。

地域によってはこども食堂のネットワーク団体があり、開催情報や支援の呼びかけなどを発信協力してくれる場合がありますので、「○○市 こども食堂ネットワーク」などと、ネットなどで調べてみることをおすすめします。

こども食堂の課題とは

こども食堂の運営には、次のような課題があります。

  • ・子どものアレルギー対策・安全面
  • ・運営費やスタッフの確保
  • ・こども食堂広報

こども食堂では、子どものアレルギー対策が難しいという現実があります。アレルギー対策が難しい場合は、その旨を分かりやすく掲示し、保護者との連携が取れるようにしておきましょう。

こども食堂の運営は、助成金や寄付の援助を受けて維持している状況です。また、ボランティアで活動するには負担が大きく、人員の確保が難しくなっています。

加えて、こども食堂の存在を知らない家庭も多く、利用してもらいたい家庭まで情報が行き届いていない状況です。積極的に広報活動を実施し、地域の理解や協力を得ながら、支援が必要な子どもたちに届く仕組みを作りましょう。

こども食堂の運営を維持するために支援できること

こども食堂の継続的な運営には、地域社会からのサポートが欠かせません。次のような方法で、個人単位でもこども食堂を支援する方法があります。

  • ・寄付
  • ・ボランティア
  • ・フードバンク

自分が無理なくできることで、支援してみましょう。

寄付

こども食堂を支援する方法の1つに寄付が挙げられます。寄付は、直接こども食堂に持ち込む方法と自治体やこども食堂をサポートする支援団体に取りまとめてもらう方法があります。

ボランティア

こども食堂の活動において、ボランティアの力が必要です。こども食堂では、食事の調理や掃除・子どもとの交流・広報など、さまざまな役割があります。自分の無理のない時間を使って、子どもを笑顔にできるかもしれません。興味のある方は、近くのこども食堂で声をかけてみれば、きっと喜ばれるでしょう。

フードバンク

フードバンクは、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品を、必要とする人々に届ける活動をしています。こども食堂への食材提供も行っており、フードバンクを通じて支援できます。

次のサイトは、こども食堂の運営をサポートしている団体の一例です。まずは、自分にできることから始めてみましょう。

こども食堂は未来を支える一歩になる

こども食堂は、地域の子どもたちに食事と温かい居場所を提供する取り組みです。食事提供だけでなく、地域交流の場としての役割も担い、子どもの成長をサポートします。

こども食堂の安定した運営には、場所の確保や食材調達をはじめ、スタッフの確保や衛生管理など、多くの準備と配慮が必要です。

こども食堂には、子どものアレルギー対策や資金の確保などの課題もありますが、子どもを手助けできる第一歩でもあります。地域社会全体で協力し、子どもたちの明るい未来に向けて支援しましょう。