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2022-11-03

必見!介護ICT導入を成功させるポイント

介護ICTを導入するメリットは理解していても、実際に介護事業所に導入するには、どんな準備をして、どのような手順を踏めばいいのか分からないという方も多いと思います。介護ICTをスムーズに導入し、十分にメリットを得るためには、しっかり事前準備を行い、適切な手順(プロセス)に沿って進めることが大切です。ここでは、介護事業所への介護ICT導入を成功させるためのポイントについて解説します。

介護ICT導入が決まったら、まずするべきこと

介護事業所に介護ICTを導入することが決まったら、まずは、導入を主導するプロジェクトチームを作り、しっかりとした導入計画を立てることをおすすめします。プロジェクトチームは、ICTに詳しい担当者だけでなく、実際に介護ICTを利用する各業務スタッフにも入ってもらって、現場の意見も取り入れることが重要です。また、複数の介護事業所を展開している場合は、どの介護事業所から導入するのか、どのようなプロセス、スケジュールで他の介護事業所に導入していくのかということも、最初に決めることが大切です。

介護事業所の規模にもよりますが、介護ICTの導入は短期間では終わらないと考えておきましょう。導入計画を立ててから、本格導入が完了するまでには半年から1年ほどの時間がかかることもあります。介護ICTを慌てて導入して、思ったような成果が出ずに後悔するようなことがないように、入念に準備を行い、計画にしたがって慎重に導入を進めていくことが重要です。

介護事業所に介護ICTを導入する主な理由は、現状の介護業務における課題を解決し、業務の効率を向上させ、スタッフの負担を下げることや、利用者の満足度を向上させることです。そのためには、介護ICTの導入前に現状の介護業務における課題をピックアップし、介護ICT導入によってそれらの課題がどの程度解決されることを目標とするのかという介護ICTの導入に対する目標設定をきちんと行うことも重要です。

さらに、介護ICTの導入効果を最大限に高めるためには、介護事業所における一連の業務の流れ(業務フロー)を見直すことも大切です。介護ICTの導入により、スタッフや利用者にどのような影響が出るのかを事前に整理しておけば、本格的に導入する際の説明もスムーズに進めることができます。介護ICTを最大限に活かせるように、場合によっては従来の業務フローにこだわることをやめ、業務フローを介護ICT前提で一新することも検討すべきです。

基本的な介護ICT導入のプロセス

それでは具体的に介護ICT導入のプロセスについて考えていきたいと思います。一般的には、介護ICT導入のプロセスは「準備段階」「試用段階」「運用段階」の3つに分けることができます。この3つのプロセスを順番に実施していくことが、介護ICT導入を成功に導くためのポイントとなります。

介護ICT導入の「準備段階」

準備段階は介護ICTを導入するための環境を整備するプロセスになります。具体的には、ICT機器で利用するWi-Fi環境の整備や電源コンセントの用意などを行います。Wi-Fiについては、事業所のさまざまな場所からアクセスできるか確認するほか、同時に多くの端末が接続しても大丈夫かなどを検証しておきます。電源コンセントが足りない場合は、テーブルタップを利用してコンセントを増やすか、コンセントを増やす電気工事を依頼することになります。また、介護ICT機器を設置する場所の確保や、介護ICT機器の管理・保管方法についても、しっかり検討しておきましょう。

また、業務において介護ICT機器を使う場面ごとに、リスクに対する有効な対策についても、この段階で検討しておく必要があります。さらに、介護ICT導入前の評価(現状調査)もこの時点で行います。介護ICTの導入によって、介護事業所のスタッフと利用者のふれあい方が変わってきます。利用者が戸惑わないように、利用者に対する告知や説明もこの準備段階で行っておくべきでしょう。

介護ICT導入の「試用段階」

試用段階は、介護ICTの本格導入前に、試験的に一部に導入を行うプロセスです。小規模な介護事業所では、この試用段階のプロセスを省略することもできますが、中規模以上の介護事務所に介護ICTを新たに導入する場合は、試用段階を経てから本格導入を行うことをおすすめします。

試用導入を行う前に、介護事業所のスタッフ全員に対して、試用導入を理解してもらうために説明会を行うとよいでしょう。説明会の目的は、試用導入の目的や介護ICT導入に期待する効果、介護ICT機器や介護ソフトウェアの利用方法、評価方法などを介護事業所に勤めるスタッフ全員にしっかり理解してもらうことです。

介護ICT機器や介護ソフトウェアには、一定期間無償で試用できるものもありますので、そうした制度を利用して本格導入前に実際に試用してみることによって、介護ICTの本格導入時に想定される問題点などをあぶり出すことができます。また、介護事業所の利用者にも、介護ICT導入に対する感想を聞くことも大切です。本格導入時にこうしたスタッフや利用者からのフィードバックを活かすことで、トラブルを減らし、よりスムーズな導入が可能になります。本格導入の可否や導入台数なども、この試用段階での効果を基にして決定することになります。

もし、この試用段階で大きな問題が発生した場合は、介護ICTの本格導入に進むことは一旦断念して、もう一度導入プロジェクトで検討することをおすすめします。

介護ICT導入の「運用段階」

最後のプロセスが、本格導入およびその後の実運用のプロセスになります。導入した介護ICT機器や介護ソフトウェアをスタッフ全員がスムーズに利用できるように、各部署や業務ごとに講習を行うことが重要です。各部署のICTが得意な人をICTリーダーに任命し、不明な点はリーダーに気軽に尋ねられるような体制を作ることをおすすめします。

実際に介護ICTを運用する中で、新たにリスクや課題が見つかることがありますが、スタッフが情報共有し、どうしたらより良い運用ができるか検討できる仕組みを作ることが大切です。意見などを交換する場所として、SlackやTeamsなどのコラボレーションツールを活用するのもおすすめです。

介護ICT導入後に行うべきこと

介護ICTは、ひと通り導入が完了したらそれで終わりというものではありません。費用と時間をかけて導入したのですから、導入効果の検証をしっかり行い、効果を確認することが大切です。期待通りの効果が出ていないようなら、原因を探り、継続的に改善を行っていく必要があります。各部署のICTリーダーは、導入後もスタッフの意見を吸い上げ、改善に役立てていきましょう。評価についても、スタッフ全員が共有できるようにするとよいでしょう。

介護ICTの導入効果を高めるためには、それぞれの介護事業所の状況に即した独自マニュアルを作成することも有効です。マニュアルを作成しておけば、新たに介護事業所に入ってきたスタッフも、すぐに介護ICTを使いこなすことができます。また、複数の拠点において介護事業所を展開している場合は、他の介護事業所への介護ICT導入に際して、作成したマニュアルが役に立ちます。
介護ICT機器や介護ソフトウェアは、年々進化していきますので、ICT機器やソフトウェアの更改(ICT機器のリプレイスやソフトウェアのバージョンアップ)についても、しっかりと計画を立てることが大切です。また、PCやスマートフォンなどは、セキュリティ対策も重要です。OSやソフトウェアを常に最新の状態にアップデートしておくことや、総合セキュリティソフトなどを導入して、サイバー攻撃に備える必要があります。

介護ICT導入後に行うべきこと

介護ICTを適切に導入することで、介護事業所で働く職員の業務効率が上がり、職員の満足度も向上します。また、利用者に寄り添ったきめ細かな介護ができるようにもなり、利用者からの評判も上がります。一度に導入するのではなく、試用段階を経て、そのフィードバックを活かして本格導入に反映することが大切です。導入後も、講習や効果検証、改善活動、マニュアル作りなどを継続して行うことで、介護ICT導入の効果をより高めると良いでしょう。

石井 英男

第2種情報処理

東京大学大学院工学系研究科材料学専攻修士課程修了。工学修士。フリーライター歴は30年を超える。PC/IT系からSTEM教育、医療分野まで幅広い分野で執筆を行っており、多くの媒体に寄稿している。インタビュー経験も豊富で、トップインタビューから導入事例までさまざまな実績がある。セキュリティ関連や経営関連のオウンドメディアなどへの執筆も多数行っており、最近は、AIや量子コンピューター、SDGsなどの分野の記事執筆も増えている。