介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 資格・就職・転職 【2025(令和7)年最新】認定介護福祉士とはどんな資格?取得のメリットやかかる費用、勉強時間まで徹底解説

資格・就職・転職

投稿日:
2023-02-23

更新日:
2025-11-14

【2025(令和7)年最新】認定介護福祉士とはどんな資格?取得のメリットやかかる費用、勉強時間まで徹底解説

認定介護福祉士は、取得しても「意味がない」と言われることもありますが、それは本当のことなんでしょうか?資格を取得してもすぐに給与アップにつながることは少ないものの、自身のキャリアとスキルを大きく飛躍させるための強力な武器となります。 
今回は認定介護福祉士の仕事と資格取得のメリット、介護福祉士との違いなどについて解説していきます。

認定介護福祉士とは?

認定介護福祉士とは、介護福祉士の上位資格として設置された民間資格であり、介護職のキャリアパスにおいて最上位資格として位置づけられています。

認定介護福祉士の主な役割は次の5つです。

  • ・介護現場での統率(リーダーシップ)
  • ・他職種チームとの連携
  • ・地域の介護サービス向上支援
  • ・介護現場での人材育成・マネジメント
  • ・介護福祉士のキャリアパス形成

以下、詳しく解説します。

介護現場での統率(リーダーシップ)

認定介護福祉士は、施設・事業所におけるサービスマネージャーとしての役割を担っています。具体的な業務は、以下のとおりです。

・介護職による「サービス提供チーム」の教育・指導

・介護職をまとめ、リーダーとして介護業務や業務の進め方、職場環境の仕組みなどを改善する介護サービスマネジメントの実践

介護現場ではそれぞれ能力や経験が異なる職員が働いています。認定介護福祉士は、個人の能力を最大限に生かし、チーム全体の質を向上させるリーダーシップと実践力が求められます。

他職種チームとの連携

介護サービスを提供する際に医師・看護師・リハビリ職など他職種との連携や情報共有、協働などの中心的役割を担うのも認定介護福祉士の仕事の1つです。

認定介護福祉士は、主に利用者さんの身体機能や生活環境、価値観を踏まえた支援に基づく的確な提案や調整が求められます。そのため、他職種との情報共有ができるよう連携することが必要です。そうした連携が、利用者さんの心身の安定にもつながります。

地域の介護サービス向上支援

認定介護福祉士は、所属する事業所内だけではなく、地域の施設や事業所、介護職のほか、介護者のご家族やボランティアなどへの助言や支援を行います。加えて、介護に関する地域ニーズの把握と分析ができれば、地域の介護力の向上が図れるでしょう。

超高齢化社会に伴い、施設内だけでなく地域全体の介護を支える仕組みづくりが重要です。認定介護福祉士は、自身の専門知識と経験を地域に還元し、地域全体の介護サービス向上に貢献することが期待されています。

介護現場の人材育成・マネジメント

介護現場では、質の高い人材育成が不可欠です。現在、介護現場では深刻な人手不足となっており、新人職員の定着と中堅職員の育成が課題として挙げられています。そのため、認定介護福祉士の豊富な知識と経験を生かして職員一人ひとりの成長段階や適性を把握し、それぞれに適切なフィードバックをするマネジメント力が重要です。

また、職場環境の改善やチームのモチベーション維持なども、認定介護福祉士の役割の一部です。

認定介護福祉士のキャリアパス形成

認定介護福祉士は自身の経験や知識を生かし、後輩職員のスキルアップや将来の目標に関するアドバイスができます。

また、研修プログラムの編成や意識改革をすることで、新しい知識や技術、実践方法などを介護チーム全体に浸透させることも可能です。そのため、介護職全体の専門性を向上させ、意欲的にキャリアを積める環境づくりが求められます。

自身の専門性の確立は、他の職員にとっても良い成長モデルになります。認定介護福祉士の活躍は、チーム全体の意識向上にも役立つでしょう。

認定介護福祉士の将来性は?

2025年に団塊の世代全員が75歳以上(後期高齢者)となるため、介護サービスの需要はさらに高まることが見込まれています。それに伴い、高度な知識と技術を備えた認定介護福祉士は、これからの介護現場をリードすることが求められています。

認定介護福祉士資格は、2015年12月に一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が創設しましたが、現時点では取得者は多いとはいえません。しかし、高齢者の増加や介護人材のニーズの高まりを踏まえると、質の良い介護サービスを提供できる専門職の需要が増えることも予想されます。

また、認定介護福祉士は介護技術を提供できるだけではなく、チームマネジメントや他職種との連携を図ることも可能です。そのため、介護現場を率いるリーダーや管理職の面でも重宝されるでしょう。役割が多い分、責任も伴いますが、それだけに大きなやりがいが得られる職業といえます。

認定介護福祉士と介護福祉士の違い

認定介護福祉士と介護福祉士には3つの明確な違いがあります。

1.国家資格と民間資格

認定介護福祉士は民間資格、介護福祉士は国家資格という点が大きな違いといえます。介護福祉士は国家試験に合格することが求められます。また、認定介護福祉士になるためには、介護福祉士として5年以上の実務経験と養成研修の修了が必要です。

2.担当する業務内容

介護福祉士は介護のプロフェッショナルとして、利用者さんの介護をメインに行う専門職です。小チームのリーダーなど、先頭に立って業務を進めることもありますが、現場をメインとした活躍と考えていいでしょう。

一方、認定介護福祉士は介護に関する知識・スキルは十分に備えているものの、現場での介護業務はほとんど担当しません。多数の介護チームの取りまとめやリーダーの教育、マネジメント、サービス管理など、業務が広範囲で多岐にわたる点が大きな違いです。

3.取得に必要な実務経験の年数

認定介護福祉士資格を取得するには、介護福祉士として5年以上の実務経験が必要です。それに対して、介護福祉士は3年以上の介護の実務経験と実務者研修を修了していれば受験可能です。

認定介護福祉士の資格取得が「意味がない」と言われる理由

結論からお伝えすると、認定介護福祉士資格が「意味がない」と言われる主な理由は、以下のとおりです。

取得後の待遇が整備されていない

認定介護福祉士は介護報酬の加算対象となる資格ではありません。事業所側が認定介護福祉士を配置しても収入増が見込めないため、資格取得者の収入面に反映しにくいと考えられます。

膨大な時間と学費をかけて認定介護福祉士の資格を取得したとしても、それに見合った報酬や待遇を受けられないと、「認定介護福祉士を取得しても意味がない」といった声があがっていると考えられています。

介護現場では浸透していない

認定介護福祉士は比較的新しい資格であるため、現時点では介護現場に浸透しているとはいえません。資格の存在自体を知らない介護職員もいるため、「実際に何をするのかよくわからない」と思っている方も少なくありません。

資格の認知度の低さや一般の介護職員との待遇面の明確な違いがわかりにくいことから「資格を取得しても活用できないのでは?」という不安につながっていると考えられます。

取得後のキャリアパスが不透明

認定介護福祉士は介護キャリアパスの最上位に位置づけられている資格にもかかわらず、取得後の具体的なキャリアパスが不透明である点が「意味がない」と言われる理由の1つです。

本来であれば、認定介護福祉士を取得することで管理職や専門職への登用、教育・研修分野での活躍といったキャリアの幅が広がることが理想とされています。

2025年7月現在、認定介護福祉士の取得者(登録者)は全国で約200人にとどまっており、数から見ても決して多いとはいえません。その要因の一つとして考えられるのは、現場で認定介護福祉士が定着しておらず、施設での具体的な役割やキャリアアップの実例が少ないことが挙げられます。こうした現状が、認定介護福祉士としてスキルアップを目指そうとする介護福祉士のモチベーションを低下させる理由につながっているとされています。

参考

認定介護福祉士認証・認定機構|認定介護福祉士を目指す人 AIM

認定介護福祉士認証・認定機構|認定介護福祉士養成研修 受講の手引き

認定介護福祉士資格取得の4つのメリット

「意味がない」という声がある認定介護福祉士資格ですが、もちろんメリットがあります。ここでは4つのメリットについてご紹介します。

1.総合的なスキルが身につく

認定介護福祉士には介護技術・マネジメント力・教育のスキル・他職種と連携するコミュニケーション力・周囲を引っ張っていくリーダーシップなど、非常に多くのスキルや能力が求められます。これらの総合的なスキルが身につくとともに、自己の成長につながることは大きなメリットです。

2.キャリアアップにつながる

認定介護福祉士の資格を取得すれば、将来的に管理職としてキャリアアップすることも可能です。認定介護福祉士は、介護の現場よりも事務的な仕事やマネジメントに注力する機会が増えます。これらの仕事を担うことで、管理や運営について理解でき、施設長や管理職などへのキャリアアップにつながる可能性もあります。

3.転職の武器になる

十分なスキルや技術があるとみなされる認定介護福祉士は、昇進や昇給などのチャンスにも恵まれることがあるため、転職時にも有利に働くことが多いといえます。

4.将来的に給与アップの可能性がある

認定介護福祉士資格は手当支給の対象になっていない事業所も少なくありません。しかし、資格取得によって担当業務の幅が広がり、基本給が優遇され、役職に就くことで手当がプラスされるなどの可能性はあり得ます。

また、認定介護福祉士は将来的に「介護職員等特定処遇改善加算」の評価対象となる可能性も言及されており、さらなる処遇の向上につながることが期待されています。

介護職員等特定処遇改善加算の目的は、技能・経験のある、勤続年数の長い介護職員の処遇改善です。具体的には、従来の「介護職員処遇改善加算」に、さらに上乗せするという取り組みとなります。

また、経験・技能のある介護職員の指標として、認定介護福祉士の価値が高まるとされています。リーダーとしての役割が認められれば、結果的に待遇の向上や給与アップにつながるでしょう。

認定介護福祉士資格を取得するには?

認定介護福祉士資格を取得するには養成研修を受講し、定められたカリキュラムを修了しなければなりません。しかし受講するためには満たすべき要件があります。まず養成研修の受講要件についてご説明します。

認定介護福祉士養成研修の受講要件

・介護福祉士の資格を持っている

・介護福祉士としての実務経験が5年以上ある

・介護職員を対象とした現任研修(※1)で、100時間以上の研修歴がある

・研修実施団体の課すレポート課題、または受講試験において、一定水準の成績を収めている(※2)

・介護職の小チームのリーダーとしての実務経験がある

・居宅系および施設系サービスの両方で生活支援経験がある

(※1)現任研修:実施団体により「介護福祉士基本研修(介護福祉士資格取得後2年未満の方が対象)」「ファーストステップ研修(小規模チームリーダーの養成を目的に行われる)」の受講が求められることがある

(※2)免除の場合あり

ハードルが高いと感じた方も多いのではないでしょうか。なかには免除可能な条件もありますが、これらの条件をクリアした人のみ養成研修の受講が可能です。

養成研修のカリキュラム

研修内容はⅠ類とⅡ類に分かれています。Ⅰ類は医療・リハビリ・福祉用具と住環境・認知症・心理・社会的支援などについて学ぶカリキュラムです。

Ⅱ類はⅠ類で得た知識を土台に、介護の実践力や応用力・チーム運営・サービス管理、人材育成・マネジメントについて学びます。

養成研修の受講にかかる期間

Ⅰ類の受講にかかる時間はおよそ345時間、Ⅱ類はおよそ255時間が目安となっています。トータルでおよそ600時間となり、受講修了までに約1年半かかります。全てのカリキュラムを修了するには1年以上かかるため、介護職として勤務しながら資格取得する場合はハードなスケジュールになるでしょう。

養成研修の受講にかかる費用

受講にかかる費用も決して少なくありません。研修の実施団体によって異なりますが、目安としては60万円前後必要です。しかし、一定の条件を満たせば受講費用が大幅に免除されたり、助成金制度を活用して負担を軽減することも可能です。

また、資格取得において理解のある職場では、費用面で取得をサポートしてもらえる場合もあります。認定介護福祉士の資格取得を考えている方は、一度、職場またはお住まいの自治体の介護窓口に相談してみてはいかがでしょうか。

認定介護福祉士は介護現場を支える重要な仕事。自分の成長のために取得の検討を

認定介護福祉士は、総合的なスキルを磨けるメリットがあり、高度なスキルを持つ介護職員のニーズが高まることを考えると、将来的には重要な存在になるでしょう。

認定介護福祉士の資格取得は、所属する介護チーム全体の質を高め、自身の成長にもつながります。キャリアの証明にもなるため、転職を考えている方や介護職員の育成、管理スキルを身につけたい方は、認定介護福祉士の取得を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

コラム執筆担当者

山本史子
介護福祉士
デイサービスで10年以上、介護福祉士として現場勤務を経験。利用者さまに「またデイサービスに行きたい」と思ってもらえる施設づくりを目指し、日々ケアに携わっている。趣味は工作やハンドメイドで、利用者さまとのコミュニケーションにも活かしている。現在は、介護現場での勤務と並行してライターとしても活動中。現場経験に基づき、実用的で温かみのある記事執筆を心がけている。