介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護職の給料 【介護従事者の方必見!】介護資格補助金とは?各制度と地域別に作成

介護職の給料

2025-07-18

【介護従事者の方必見!】介護資格補助金とは?各制度と地域別に作成

介護の仕事に興味があっても、「資格取得にかかる費用がネック…」という方は少なくありません。
 
しかし、国や自治体が提供している補助金や貸付制度を活用すれば、実質無料や給付型で学べるチャンスがあります。
 
本記事では、資格取得を目指す方に向けて、全国&地域別の支援制度を解説します。

そもそも、介護資格取得に補助金は使えるの?

慢性的な人手不足が深刻化している介護業界では、国や自治体がさまざまな支援制度を設け、介護職への就職や資格取得を後押ししています。

制度を有効活用すれば、経済的な負担を抑えながら、介護士としてのキャリアをスタートできるでしょう。

例えば、ハローワークが実施している「求職者支援制度」では、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの職業訓練を無料で受けることが可能です。

介護分野には資格取得や就業を支援するための補助金・貸付制度が用意されており、支援内容や対象条件は多岐にわたっています。

支援制度の中には、一定の条件を満たせば毎月10万円の給付金を受け取ることもできるため、経済的な不安を抱える方でも安心して学べる環境を提供しています。

自分の条件に合った補助金制度を活用すれば、金銭面の不安を気にせず資格取得に取り組めるでしょう。

参考:厚生労働省|求職者支援制度のご案内

国の介護支援制度3選

介護業界で長く働きたいと考えている方にとって、国家資格である「介護福祉士」や「社会福祉士」の取得は、大きなキャリアアップのチャンスです。

しかし、養成施設への入学や研修を受けるには、一定の費用がかかるため、入学や受講を迷う方も少なくありません。

そんなときに心強いのが、国や自治体の修学資金貸付制度です。

介護福祉士修学資金等貸付制度

介護福祉士修学資金等貸付制度は、厚生労働大臣が認定する介護福祉士養成施設または実務者研修の養成校に在学している方(または入学予定の方)を対象に、無利子での資金貸付が行われます。

資金は全て貸付となりますが、資格取得後に介護福祉士として5年間、介護業務に従事すれば全額返済免除となるのが大きなポイントです。

つまり、実質的に「返済が不要な奨学金」として活用できます。

【制度の概要】

対象者厚生労働大臣が認定する介護福祉士養成施設または実務者研修の養成校に在学している方(または入学予定の方)
生活支援金月額/上限5万円
入学時に必要な準備金上限20万円
就職時にかかる準備費用
上限20万円
国家試験対策にかかる費用年間/上限 4万円
返済免除条件介護福祉士として5年間、介護業務に従事
対象者厚生労働大臣が認定する介護福祉士養成施設または実務者研修の養成校に在学している方(または入学予定の方)

また、介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業の支援制度の場合、実務者研修を受講中の方を対象に上限20万円の資金を無利子で貸し付けています。研修に必要な受講料などを補えるため、金銭的な理由で資格取得を諦めたくないという方には心強いサポートになるでしょう。

さらに、研修修了後に介護福祉士として現場で2年間以上継続して勤務すれば、借りたお金の返済は全額免除の対象となります。

【制度の概要】

対象者実務者研修施設に在学中の方
貸付金額上限20万円 
返済免除条件介護福祉士として2年間、介護業務に従事

福祉系高校修学資金貸付事業

福祉系高校修学資金貸付事業は、福祉系の高校に在籍している高校生が安心して学業に専念できるように、必要な費用を無利子で貸し付ける支援制度です。

将来、介護福祉士として働くことを目指す方を対象に、入学準備・就職活動・国家試験対策などに負担する費用をサポートします。

また、高校卒業後に介護福祉士として3年間就業することで、借りた学費の返済が全額免除になるという点が大きなメリットです。

【制度の概要】

対象者福祉系高校に在学中、またはこれから入学予定の方
修学準備金3万円(入学金を除く)
介護実習費年間/3万円まで
就職準備金上限20万円
国家試験対策費年間/上限4万円
貸付期間福祉系高校に在学している期間(最大3年間)
返済免除条件高校卒業後、介護福祉士として介護の仕事に3年間継続して従事すること

参考:厚生労働省|介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ(修学資金貸付制度のご案内)

社会福祉士修学資金貸付事業

福祉の現場で専門的な相談支援を行う「社会福祉士」を目指す方向けの社会福祉士修学資金貸付制度もあります。

この制度は、将来社会福祉士として活躍したいと考えている学生が、安心して学業に集中できるよう、必要な費用を無利子で貸し付ける支援制度です。

【制度の概要】

対象者社会福祉士養成施設に在学(入学を予定)している方 
貸付金月額/5万円以内
入学時に必要な準備金上限20万円
就学準備金上限20万円
返済免除条件卒業後、社会福祉士として相談援助業務に5年間従事すること

参考:厚生労働省|介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ(修学資金貸付制度のご案内)

自治体の介護資格取得支援制度4選

介護資格取得支援制度は、厚生労働省だけでなく、各自治体も運営しています。お住まいの地域で受けられる制度がないか確認してみると良いでしょう。

※本章に掲載している内容は2025年4月時点の情報をもとにまとめていますので、ご検討の際には、各自治体のホームページで最新の情報を確認することをおすすめします。

※事業所を対象とした制度もあります。

東京都|初任者研修等資格取得支援事業

東京都では、介護の現場で働きたいと検討されている方を対象に、基本的な資格取得を支援する制度として「初任者研修等資格取得支援事業」を実施しています。

この制度では、介護職に就くことを目指す求職者の方や学生(高校生・大学生)をはじめ、主婦(主夫)、働く意欲がある高齢者など幅広い層を対象に、介護の現場で必要とされる基礎知識・技術介護の基本を学べる講座を無料で提供しています。

介護の仕事に興味があるものの、費用面が不安という方でも、安心して学びの第一歩を踏み出せるでしょう。

関連ページ: 東京都福祉局|初任者研修等資格取得支援事業

宮城県|外国人介護人材資格取得支援事業

県内の介護現場で働く外国人介護職員が、より専門的なスキルを身につけて職場の中心的な存在として活躍できるよう、自治体が事業所を対象にサポートする制度です。外国人職員のキャリア形成を後押しし、介護施設での長期的な活躍を促進することを目的としています。

外国人職員が介護福祉士の国家資格を取得するために必要な「実務者研修」の受講費用と、研修期間中に配置される代替職員の人件費に相当する額を補助します。

補助の対象となる事業者は、以下のとおりです。

  • ●実務者研修の受講料を負担した法人
  • ●研修中の外国人職員に代わって勤務する代替スタッフの人件費を負担した法人

なお、対象となる事業所が宮城県内に所在していることが前提です。

関連ページ:宮城県|令和6年度宮城県外国人介護人材資格取得支援事業について

大阪府|介護・福祉 応援貸付金

大阪府では、介護や福祉の分野で活躍を目指す方に向けて、修学・就職・再就職などに必要な費用を無利子で貸し付ける制度を用意しています。


対象となる条件を満たし、府内の福祉施設などで就業することで、返還が免除される制度もあります。

【主な貸付制度一覧】

制度名対象者・目的備考
介護福祉士
修学資金貸付制度
介護福祉士を目指して養成校に通う学生修学に必要な費用を無利子で貸付。修了後、一定期間従事で返還免除。
社会福祉士
修学資金貸付制度
社会福祉士養成施設に通う方福祉系大学は対象外。一定条件を満たせば返還免除あり。
介護福祉士実務者研修
受講資金貸付制度
実務経験3年以上の介護職員資格取得のための研修費用を貸付。
再就職準備金
貸付制度
介護職を離職した経験者で再就職予定の方
※介護保険施設で介護職として1年以上勤務経験のある有資格が対象
再就職に必要な準備費用を支援。
障害福祉分野
就職支援金
他業種から障害福祉職へ就職する方週20時間以上の勤務予定が条件。
介護分野
就職支援金
他業種から介護職へ就職する方就職に伴う初期費用をサポート。
福祉系高校
修学資金貸付制度
福祉系学科の高校に在学するで学ぶ学生介護福祉士を目指す高校生向け。

関連ページ:大阪府社会福祉協議会 大阪福祉人材派遣センター|貸付制度介護・福祉 応援貸付金    

神奈川県|介護職員研修受講促進支援事業費補助金

介護職員研修受講促進支援事業費補助金は、介護職員のスキルアップを支援するための、研修費用および代替職員配置費用の補助制度です。

【概要】

内容詳細
対象事業者県内の指定介護サービス事業者および施設の開設者
対象経費①研修受講料  ②代替職員配置にかかる費用
補助対象職員雇用形態を問わず(常勤・非常勤いずれも対象)
申請条件介護事業者が職員の費用を負担した場合に、補助対象
補助方式補助金は事業者に対して交付

※予算超過の場合、受付終了となる可能性があります。

【研修受講料に対する補助】

項目内容
補助対象事業者が負担した受講料の1/3を補助
対象費用・研修機関に支払った受講料
・従業者に支給した相当額
対象研修介護職員初任者研修  |24,000円
実務者研修      |40,000円
生活援助従事者研修  |12,000円
介護福祉士基本研修  |11,000円
認定介護福祉士養成研修|37,000円
対象職員常勤・非常勤を問わず/一部研修は「雇用予定者」も可能

関連ページ:神奈川県|介護職員研修受講促進支援事業費補助金

介護資格補助金を活用する前に知っておきたい申請時の注意点

介護業界でのキャリアアップや就職に向けて、補助金や貸付制度を利用する方も少なくありません。しかし、「制度の内容をよく知らずに申し込んでしまった」「申請し忘れた」といった、貴重なチャンスを逃したという声も上がっています。「知らなかった」といった小さなミスが、モチベーションの低下や学習意欲の喪失につながるケースもあるでしょう。

補助金制度は特に費用面においては心強い支援ですが、仕組みや条件を事前に正しく理解しておくことが重要です。申請前に必ず確認しておきたい3つのポイントを紹介します。

申し込み期限を見逃さない

補助金の申請には、「いつでも申し込める」というわけではありません。多くの制度では年度ごとに申請期間が設定されており、募集開始から一定期間で締め切りを設けています。

また、受講前に申請をするケースもあるため、講座を申し込んだあとに補助金を探し始めると、手遅れになる場合があります。早めに情報収集してスケジュールを抜け漏れなく確認しておきましょう。

「条件」には要チェックポイントがある

補助金制度には、支給条件を設けています。詳細は以下のとおりです。

● 研修修了後に介護事業所などへ就職する意思の有無
● 定められた養成校に在学中(入学予定)であること
● 特定の地域に在住していること

制度を利用する際は、以下の点に注意しましょう。

● 制度の「要項」や「募集要領」に書かれている支給条件を確認する
● 「就職意思」「勤務地」「勤務期間」の3点は必ずチェックする
● 不明点は、学校・事業者・支援センターなどに早めに相談する

特に、転職や引越しなどライフスタイルが変わる可能性がある方は、将来的に条件を満たせるかどうかを考えたうえで申し込みをしましょう。

返済・返金の有無とタイミングを把握する

介護分野の補助金や貸付金の多くは、「一定の条件を満たせば返済不要」とされる返還免除制度がありますが、あくまで「免除条件を満たした場合」という意味合いです。以下のような場合は返済義務が発生する可能性があるため、注意しましょう。

● 受講修了後、指定期間内に就職しなかった
● 就職したが、途中で離職してしまった
● 免除条件に合致していない職種で就業した

条件を満たすことで「返還免除」が適用される制度もありますが、条件を十分理解せず利用すると、返還対象となり思わぬ出費につながることもあります。

申請前に制度の仕組みを理解し、返還免除を受ける場合は以下の点を確認しておきましょう。

● 「返還免除条件」と「返済が発生する条件」
● 返済が必要になった場合の金額や支払方法
● 就職先の要件(地域・施設種別など)

制度を活用して、介護のキャリアを切り拓こう

介護の仕事に必要な資格の取得には、国や自治体が用意している補助金・貸付制度を活用すれば、経済的な負担を軽減できます。

ただし、制度ごとに申請期限・支給条件・返済免除の要件などが異なるため、申請前には必ず内容を入念に確認しておくことが大切です。 

まずは、お住まいの地域や希望する資格に応じた制度を調べ、自分に適切な支援を選択し、今後のキャリアアップを目指していきましょう。

コラム記事執筆者

渡口 将生(ゆづる)

介護福祉士
介護支援専門員
認知症実践者研修終了
福祉住環境コーディネーター2級

介護福祉士として10年以上介護現場を経験。その後、介護資格取得のスクール講師・ケアマネジャー・管理者などを経験。現在は介護老人保健施設で支援相談員として勤務。介護の悩み相談ブログ運営中。NHKの介護番組に出演経験あり。現在は、介護相談を本業としながら、ライター活動をおこなっており、記事の執筆や本の出版をしている。