介護職の給料
2024-05-02
【2024年最新版】介護事業者が知っておきたい助成金・補助金まとめ
介護事業者を対象にした公的な助成金、補助金は数多くあります。特に介護業界の悩みである人材確保のために活用できる助成金・補助金は、多くの種類が用意されています。介護の現場で汗を流す従業員の方々が、快適に働ける環境の整備に役立つもの、モチベーションやスキルをアップできるもの、より広い人材が雇用できるよう後押しするものなど、必要に応じて申請することが可能です。ここでは、介護事業者が知っておきたい、助成金・補助金について詳しく解説します。
助成金と補助金の違い
事業者の活動を後押しする助成金、補助金にはさまざまな種類が用意されています。ところで、助成金と補助金にはなにか違いがあるのでしょうか?
助成金は主に厚生労働省が所管しており、職場環境の改善や雇用の確保、人材育成を目的に実施されているものが多くあります。申請条件をしっかり満たしていれば、ほぼ間違いなく支給されるでしょう。
ほとんどの助成金は通年で申請が可能です。ただし、需要が高いものなどは実施の発表から2カ月程度で受付終了になることもあるため、早めに申請しておくに越したことはありません。
一方、補助金は、主に経済産業省が所管しており、創業や事業の支援、設備投資などに関連したものが用意されています。予算の総額が決まっているため、支給対象となる事業所の最大件数も決まっています。その件数を上回った場合は抽選となったり、申請の早い者勝ちになったりするケースがあるので注意が必要です。
申請開始の時期は4月や5月に設定されることが多いようですが、補正予算などが組まれた場合は12月から2次募集がスタートする、といったケースもあります。早いタイミングで情報をキャッチして、すぐに申請できるよう準備していくとよいでしょう。
それでは、介護事業者が活用できる主な助成金としてどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
従業員のモチベーションやケアを後押しする助成金
主に、雇用を促進、環境改善などを目的に実施されている助成金として、キャリアアップ助成金があります。
キャリアアップ助成金
従業員の待遇、福利厚生を充実させるために活用できる助成金です。「正社員化支援」として2つのコース、「処遇改善支援」として5つのコースが用意されており、介護事業者が活用できるものとしては次のコースが挙げられます。
- 正社員化コース
有期雇用従業員などを正規雇用に転換、または直接雇用した場合。
- 賃金規定等改定コース
有期雇用従業員など基本給の賃金規定を改定し、2%以上増額した場合。
離職率を抑え、幅広い人材の雇用促進に役立つ助成金
貴重な人材の流出を抑えると共に、より幅広い人材の獲得を支援するための助成金もあります。
人材確保等支援助成金
魅力ある職場づくりのために労働環境の向上などを図る事業主に対する助成金。魅力ある雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的としています。 複数のコースがあるうち、介護業界に該当するのは次のコースです。
- ・雇用管理制度助成コース
- ・介護福祉機器助成コース
- ・人事評価改善等助成コース
- ・外国人労働者就労環境整備助成コース
トライアル雇用助成金
職業経験、技能などの理由で安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークや職業紹介事業者などからの紹介を受けて一定期間試行雇用した場合に助成金を支給。
特定求職者雇用開発助成金
高年齢者や障害者などの就職困難者をハローワークなどから紹介を受け、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対する助成金。
中途採用等支援助成金
中途採用による雇用の活性化を目的として、厚生労働省が支給している助成金で、2つのコースがあります。
- ・中途採用拡大コース
- ・UIJターンコース
65歳超雇用推進助成金
意欲と能力のある限り、高年齢者が働くことのできる生涯現役社会の実現に向けた助成金で、3つのコースがあります。
- ・65歳超継続雇用促進コース
- ・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
- ・高年齢者無期雇用転換コース
処遇改善加算
キャリアに応じた賃金体系の整備、労働環境の改善などを行っている事業所を支援するための制度。
人材開発支援助成金
職業訓練などの人材開発にかかった費用の一部を支給して、人材開発を推進するための助成金。5つのコースがあります。
- ・特定訓練コース
- ・一般訓練コース
- ・教育訓練休暇等付与コース
- ・特別育成訓練コース
- ・人への投資促進コース
補助金でさらに働く環境を向上
補助金は、助成金とやや意味合いが異なり、企業が成長する取り組みに対して支援するために用意されている制度です。予算が決まっており、最大何件という決まりがあるため、抽選などになる可能性や、申請しても支給されない場合もあるのでご注意ください。
介護・福祉人材確保緊急支援事業費補助金
学生や主婦などへの資格取得を支援します。
ICT導入支援事業補助金
介護現場にICT機器を導入することで業務効率や職場環境を改善し、職員の負担軽減を図る際に対象となる補助金。
IT導入補助金
中小企業および小規模事業者が業務改善のためにITツールを導入する際、その経費の一部を補助することでこれらの施策を支援するための補助金。
介護職員処遇改善支援補助金
介護職員を対象に月額平均6,000円(給与の約2%)の賃金引き上げに相当する額を受けられる補助金。
取得条件は、介護職員ベースアップ等支援加算を取得している事業所です。交付方法は対象事業所がある都道府県に対して申請します。申請・交付スケジュールは「令和5年度内に概算交付」となっています。
事業所への交付スケジュールは、都道府県の準備の観点から、やむをえない事情による場合は「令和6年4月から受付、6月から交付」も想定されているため、各都道府県のHPまたは担当窓口にお問い合わせください。
補助金を受け取った事業所は、賃金改善期間後に「処遇改善実績報告書」を提出する必要があります。要件を満たさない場合は、一部または全額を返還しなければいけません。
詳しくは厚生労働省の作成したこちらの資料をご覧ください。
介護職員等処遇改善加算
従来の処遇改善加算が一本化され、介護職員等処遇改善加算(新加算)になりました。これは介護職員の処遇を改善するために、令和6年度+2.5%、令和7年度に+2.0%の賃金ベースアップを実現するための制度です。
令和6年6月から介護職員等処遇改善加算になります。算定するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
・キャリアパス要件
・月額賃金開園要件
・職場環境等要件
介護職員等処遇改善加算の詳細は、厚生労働省の作成したこちらの資料をご覧ください。
こまめな情報収集とすぐに申請できる準備がカギ
ここまで介護事業所で活用できる、主な助成金と補助金をご紹介してきました。ほとんどの助成金・補助金は、厚生労働省が実施し、詳細については各実施主体のホームページに掲載されています。
では、こうした助成金・補助金を取りこぼすことなく活用するには、どうしたらよいのか?そのポイントをご紹介します。
普段から助成金・補助金に関する情報にアンテナを張る
前述したように補助金については、事業予算が決まっているため、基本的に申し込みの早い順番から支給が決まっていくのが一般的です。ただ助成金に関しても、申請状況などによっては応募要件が変更になることも珍しくありません。
せっかく受給できる要件が揃っているにもかかわらず、要件変更などの情報をキャッチアップできなかったために逃してしまったということを避けるために、助成金・補助金に関する情報に対して普段からアンテナを張っておくとよいでしょう。
同業者のネットワークを構築する
介護事業者向けの助成金・補助金は、共に厚生労働省が実施主体であることがほとんどですが、地方自治体やその他の団体などでも実施しているものがあります。そうした助成金・補助金に関する情報は、インターネットでも公開されていますが、取りこぼすことなく受給するためには、同じ業界内、同業者のつながりといったネットワークを構築しておくと、最新の情報を早く収集しやすくなるはずです。
いつでも申請できるように準備しておく
数ある助成金・補助金の要件を早めに確認し、すぐに申請できるような体制を整えておくことも重要です。先ほどご説明したように、申請のための準備に時間を割いている間に応募要項が変更になってしまうこともあり得ます。そうならないための準備をしっかり整えておきましょう。
まとめ
介護事業者向けの助成金・補助金は、ここで紹介しただけでもかなりの数があります。事業所によって対象になる・ならないということはもちろんありますが、活用しない手はありません。対象になるものに関しては、ぜひ申請しておきましょう。
手続きは、手間がかかるかもしれませんが、現場で頑張る従業員の負担を軽減し、モチベーションを高めてもらうためにも、対象となるものはぜひ活用しましょう。