介護情報メディア ケアケア 介護士向けコラム 介護資格・スキルアップ 【どんな人が向いてる?】理学療法士に向いている人と向かない人の特徴を解説

介護資格・スキルアップ

2023-05-18

【どんな人が向いてる?】理学療法士に向いている人と向かない人の特徴を解説

理学療法士の仕事に対して「大変そう・辛そう」というイメージを持つ方もいるかもしれません。

 

理学療法士に興味がある方や、これから目指す方の中には、自分に務まるか不安に思ってしまう方もいるでしょう。

 

あらかじめ、仕事内容や理学療法士に求められる素質を理解しておくことが大切です。

 

この記事では、理学療法士の仕事内容や、向いている人・向かない人の特徴を紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

理学療法士とは

理学療法士は、怪我や病気、加齢などで身体に障がいがある方に対して、身体機能の予防・改善を目的としたリハビリをおこなう専門職です。

患者さんの生活環境や、これまで歩んできた背景を理解し、一人ひとりと向き合いながら仕事に取り組みます。

理学療法士は、それぞれの身体状態やニーズに合うプログラムを提供しなくてはいけません。

理学療法士に興味がある場合は、仕事内容や心構えを理解しておくことが大切です。

これから理学療法士になる方法や、仕事内容を紹介します。

以下で確認してみましょう。

理学療法士の仕事内容

理学療法士の主な仕事内容は、生活に必要な機能の維持・改善をおこなうためのリハビリの提供です。

患者さんが自立した生活を送れるように、日常生活に必要な筋力や関節の可動性を獲得するために、筋力強化訓練や関節可動域訓練、マッサージなどをおこないます。

その他、本人への治療だけではなく、家族に対して介助の方法を指導するのも理学療法士の仕事の1つです。

理学療法士になる方法

理学療法士になるには、文部科学省が指定する養成学校での課程修了と、理学療法士国家試験への合格が必要です。

理学療法士の養成学校は、全国に277校(*2023年3月現在)あり、養成校によって特色は異なります。

理学療法士の国家試験は、毎年2月におこなわれ、現役生の平均合格率は80〜90%ほどです。

資格取得後は、病院や介護施設などを中心に、スポーツ関係、教育機関、福祉施設などのさまざまな分野で活動します。

理学療法士に向いている人の特徴

理学療法士は、患者さん一人ひとりと、深く向き合いながらサポートしていかなければいけません。

これから、理学療法士に向いている人には、どのような特徴があるのか紹介します。

以下で確認してみましょう。

ストレスと上手に付き合える人

理学療法士は、多種多様な人との関わりがある仕事です。

多くの人への配慮や気遣いが求められるため、ストレスを感じる場面もあるでしょう。

ストレスを溜め込んでしまい、発散できない方は注意が必要です。

一方で、ストレスは悪いことばかりではありません。ストレスによって成長できたり、スキルアップにつながったりします。

ストレスの利点を理解し、適度に解消できる力がある人は、理学療法士に適した性格といえるでしょう。

明るい人

患者さんによっては、リハビリの際に思うように身体が動かせず、フラストレーションを抱く場合があります。

また、どれだけ努力しても思ったような結果が出ずに、ゴールを見失ってしまう場面があるかもしれません。

このように、モチベーションや気持ちが落ちてしまった際に、明るく励ませる理学療法士の存在が必要不可欠です。

理学療法士には、明るく前向きな姿勢で患者さんと向き合える素質が求められます。

忍耐力がある人

リハビリでは、長い期間にわたって患者さんと向き合っていく忍耐力が必要です。

場合によっては、数か月〜数年の長期にわたるケースもあります。

先の見えないリハビリに、モチベーションを失くしてしまう方もいるでしょう。

そのような時に、忍耐強く患者さんを支える理学療法士の存在が必要不可欠です。

臨機応変に対応できる

患者さんの身体機能、精神状態は、いつも同じではありません。

想定外のアクシデントが起きた場合でも、その状態に合わせて臨機応変に対応する柔軟性が求められます。

また、認知機能の低下や病気の影響で言葉が出ないなど、意思表示が難しい患者さんがいます。

理学療法士には、患者さんの表情や反応を見ながら、状況に合わせて適宜対応していくスキルが求められます。

細かい変化に気づく

理学療法士は、それぞれの身体状態だけではなく、希望や退院するにあたり必要な動作を獲得するためにリハビリを提供します。一方で、すべてのリハビリが予定通りにいくわけではありません。

リハビリ過程の中で、回復の度合いや、患者さんの心身面の変化に気づく能力が求められます。

すべての患者さんが、自身の状態を上手に伝えられるわけではありません。患者さんがうまく伝えられない、気づけていない変化をとらえ、今後のリハビリを考える必要があります。

患者さんのちょっとした仕草や表情の変化、発言内容から細かい変化に気づける洞察力が必要です。

コミュニケーションを取るのが得意

理学療法士は、適切なプログラムを提供するために、患者さん一人ひとりと信頼関係を築いていかなければいけません。

また、社会復帰や在宅復帰が目標の場合では、家族に介助指導をして、在宅復帰にあたり不安なことを聴取したりなど、コミュニケーションが大切です。

その他、リハビリは医師、看護師、介護士、ケアマネージャーなど、患者さんに関わるすべての医療職の連携によって成り立っています。スムーズなリハビリを提供するためにも、チーム医療が欠かせません。

このように、理学療法士は多くの場面でコミュニケーションが求められます。人との関わりが好きな方は、理学療法士に向いているといえるでしょう。

理学療法士に向かない人の特徴

理学療法士は、相手のペースに合わせることが大切です。

自分のペースを乱されるのが苦手な人にとっては、辛い仕事かもしれません。

そのほかに、理学療法士に向かない人には、どのような特徴があるのか紹介します。

以下で確認してみましょう。

体力に自信がない人

理学療法士は、身体が資本の職業です。体力に自信がない方にとっては、辛いと感じる仕事かもしれません。

リハビリを受ける方は、身体状態が安定していないケースも多いです。患者さんをしっかりと補助サポートするには、相応の筋力と体力が必要です。

また、リハビリは長期にわたっておこなわれるため、身体的な体力だけではなく、精神力も必要です。

体力に自信がない場合は、日頃から規則正しい生活と体力作りを心がけるとよいでしょう。

人との関わりが苦手な人

理学療法士は、患者さんやその家族だけではなく、医師・看護師など、さまざまな医療関係者との連携が求められます。

多くの場面で人と接する機会があるため、人との関わりが苦手な方にとっては、ストレスが多い仕事かもしれません。

しかし、人との関わりに苦手意識がある場合でも、場数を踏むことで克服できる可能性があります。

相手を思いやる気持ちや寄り添う気持ちがあれば、理学療法士に必要な対人力は後からでも磨いていけるでしょう。

勉強を継続するのが苦手な人

理学療法士は、資格を取ったら終わりではありません。

医学は日々進歩しているため、常に学び続ける努力が求められます。

患者さんに質の高いリハビリを提供するためにも、最新の知識やスキルをアップデートしていかなければいけません。

そのため、探究心を持って学び続けるのが苦手な人にとっては、理学療法士は辛い仕事になるでしょう。

勉強が苦手だとしても、自ら学んでいく姿勢があれば、知識やスキルは後からおのずとついてきます。

理学療法士が大変といわれる理由

理学療法士が大変といわれるのには、以下の理由があります。

・身体を酷使する
・キャリアアップが難しい
・常に勉強していく必要がある

理学療法士は、全身を使って患者さんのリハビリをサポートします。そのため、足や腰、腕などの酷使から、腰痛や関節痛に悩む人も少なくありません。

また、理学療法士には、幅広い知識と最新のリハビリスキルが求められます。日々変化する医療情報を常にキャッチし、アップデートしていかなければいけません。

その他、病院や施設などの組織の中では、役職に就ける人数が限られます。そのため、理学療法士が多い現場では、キャリアアップの難易度も高くなるでしょう。

このような理由から、理学療法士が大変だといわれる傾向があります。

理学療法士のメリット

大変な仕事としてイメージされやすい理学療法士ですが、一方でさまざまなメリットがあります。

どのようなメリットがあるのか、以下で確認してみましょう。

国家資格のため再就職でも有利

理学療法士の資格は、一度取得してしまえば更新手続きが必要ありません。

また、国家資格というだけでも、就職は有利になる傾向があります。

その中でも、理学療法士などの医療職はとくに需要が高い職種です。

高齢化社会の影響にともない、高齢者のリハビリ需要は近年も増加傾向にあります。

このような理由から、理学療法士の再就職は、他職種よりも有利といえるでしょう。

夜勤がない

理学療法士には、夜勤がありません。

看護師と違い、夜勤手当などの加算給は見込めませんが、日中のみの働き方に集中できます。

規則正しい生活を送りやすいほか、家族との生活リズムが合わせやすいのも、理学療法士の働き方のメリットです。

医療職のため安定している

今後も、医療の必要がなくなることはありません。

医師や看護師に限らず、理学療法士や作業療法士などのリハビリ職でも同様です。他職種と比較しても、突然職を失うリスクは低いでしょう。

また、理学療法士は病院だけではなく、介護施設や福祉施設でも重宝されるため、全国どこへ行っても働けます。

その他、医療職は育休や産休制度が充実しているケースが多いのもメリットの一つです。

理学療法士に向かないかもと思ったら

中には、理学療法士は向いていないかも、と不安に思う方もいるでしょう。

しかし、経験を積んで少しずつ学んでいくことで、苦手分野を克服できる可能性があります。

なにより、得手不得手よりも、理学療法士として働きたいと思う気持ちが重要です。

これから理学療法士に向いていないかも、と思った時の対処法を紹介します。

以下で確認してみましょう。

やりがいをリストアップ

理学療法士として働くことで、得られるやりがいをリストアップしてみましょう。

例えば、自身がサポートする患者さんの状態が少しずつ回復していく姿や、よい方向へ向かっていくプロセスを共有できるのは、理学療法士のやりがいの1つです。

身体的な回復だけではなく、モチベーションをあげたり、前向きになってもらったり、内面的なアプローチは患者さんの心の支えになります。

リハビリを通して患者さんと共に苦難を乗り越え、喜びを分かち合えるのは、理学療法士としてのやりがいにつながるでしょう。

自分がやりたいと思う気持ちを大切にする

理学療法士として働く上で大切なのは、素質や才能よりも「やりたい」と思う気持ちです。

日々の業務では、よいことだけではなく、辛い思いをする場面もあるでしょう。

しかし、誰でも最初から完璧にこなせるわけではありません。皆同様に、経験と学びを得て少しずつできるようになります。

辛いと思った時に、目の前にある壁を乗り越えられるのは、理学療法士をやりたいと思う強い気持ちなのです。

向く向かないよりもやりたい気持ちが大事

この記事では、理学療法士について紹介し、向いている人・向かない人の特徴を解説しました。

理学療法士は、人との関わりが多い職業です。患者さんや家族だけではなく、さまざまな医療チームとの連携が欠かせません。

その他、日々進歩する医療技術を敏感にキャッチし、アップデートし続ける姿勢も大切です。

もし、自分にとって足りない素質があったとしても、やりたいと思う気持ちがあれば、日々の努力と経験でカバーしていけるでしょう。

ぜひ、この記事を参考に、理学療法士の仕事に向き合ってみてください。

加藤 真太郎

理学療法士
臨床実習指導者講習会修了

理学療法士として8年間、回復期病院で勤務。その後は養成校で専任教員をしながら、週1回は病院勤務を継続している。臨床と教育現場を経験している数少ない理学療法士である。
理学療法学科の専任教員を本業としながら、ライターとしても活動し記事の執筆をしている。筋トレ・ジムの紹介ブログも運営中。